令和4年度決算特別委員会 都市整備質疑
2022年10月13日 江口じゅん子区議
補助52号線について
江口 じゅん子
おはようございます。日本共産党の質疑を始めます。
まず、補助五二号線です。
九月、船橋の町会主催で、区道路計画課長から五二号線などの進捗状況などを聞く情報交換会がありました。当日は約五十名が参加、私も出席しました。
町会の方々からは、千歳通りでも騒音を感じるのに二十メートル道路ができたらどうなるのか、また、昭和二十一年につくられた計画の強行はおかしい、さらに、既に城山通り、小田急の高架下側道など五二号線と並行する道路が走っている、近接した場所につくる必要があるのか、また、三つの児童遊園や公園が潰される、今子育て世帯が増えているのに本当に必要なのかなど、整備の必要性を問う意見が圧倒的でした。
私はこの間、昭和二十一年決定の住民不在の計画であって、整備の必要性はなく、住民理解は得られていないと指摘してきました。町会の方々の御発言を聞き、改めて地域の世論を実感したものです。
平成二十四年に事業中区間の環七から世田谷線までは特定整備路線に選定、平成二十八年度からの第四次事業化計画では、宮坂、経堂から環八、船橋までの区間が優先整備路線に選定されました。
それでは、ここでそれぞれの選定理由を伺います。
石川 道路計画課長
補助第五二号線の事業中区間の選定理由でございますが、まず特定整備路線であります環七通りから東急世田谷線の区間につきましては、木密地域不燃化十年プロジェクトにおきまして、東京都が整備地区内での延焼遮断帯形成など整備効果が高い路線として、当該区間が指定されたものでございます。
また、第四次事業化計画にて都施行の優先整備路線に選定されました宮坂、経堂から環八通りまでの区間につきましては、地域の安全性の向上に資する路線として選定されたものでございます。
江口 じゅん子
地域からは、五二号線の必要性、町会の意見交換会でも多くの意見が出されました。私はこの必要性について、この間、都と区が示している理由や根拠について検証してきました。
優先整備路線では、地域の安全性向上につながるということが大きな目的で選定されましたが、さきの予算特別委員会では、その必要性について、都の第四次事業化計画策定における専門アドバイザー委員会の議事録を示し、検証しました。
このパネルは全てタブレットにあります。また、これから示すパネルも同様にタブレットに資料がありますので、委員の方はそちらを御覧ください。
ここに書いてありますけれども、専門アドバイザー委員会の委員が、幹線道路を整備すれば事故が減少することに因果関係はあるのかという質問に対し、事務局の都は、道路整備と事故件数との因果関係を明確に示すものはないが、生活道路では安全な道路が整備されれば事故が減るという前提にしたと回答しています。
このやり取りがあり、私も、さきの予算特別委員会で区の見解をただしましたけれども、区も都市計画道路開通で、生活道路の交通事故が減るとは断言できないと御答弁された。そういった経緯があります。
では、都市計画道路が延焼遮断帯となって防災性向上というその必要性について、本日は検証したいと思います。
東京都は、特定整備路線選定の際、焼け止まり効果を確認する延焼シミュレーションを実施しています。
これが、共産党都議団が――これはパネル2になります――情報公開で入手をした五二号線の延焼シミュレーションの一部です。
五二号線では、全ての出火地点で焼け止まる、つまり路線を越えて隣接街区へ延焼拡大しませんよという結果になっています。これが整備後なんです。
この灰色の帯が五二号線です。ここで発火しているけれども、五二号線があるおかげで隣の隣接区域には延焼が拡大しない、焼け止まると。一方、これは整備前です。五二号線がないのでこのように延焼拡大していますよという、これがシミュレーションの結果なんですね。
しかし、問題は、シミュレーションの前提条件です。
皆さんのタブレットにもありますが、ここにシミュレーションの前提条件が示されています。ちょっと字が小さいのでパネルの方は見にくいかもしれませんけれども、ここにシミュレーションの条件、風速、風向きなんです。
これには何と書いてあるかというと、風向きは最悪の条件下での焼け止まり効果を測定するため、測定路線が風下になるように設定しと、風下になるように設定してあるんです。
これはどういうことかというと、ちょっとさっきのシミュレーションに戻りますが、皆さんパネル2のこちらのほうを御覧いただきたいと思います。
シミュレーションの設定は、五二号線が風下になるように北から南、上から下です。風が吹く結果、延焼遮断帯の効果を発揮をしたと。
では、風向きの測定条件が東から西、こうですね。吹いたらどうなるかと。当然、左側に延焼します。また、風向きの測定条件が、南から北、これだと下から上になります。
どうなるかというと、当然その上側に延焼します。ですから、この風向きの測定は、特定整備路線の延焼遮断帯の効果が最も出やすいよう、そもそも設定されているということが情報公開の資料で明らかになりました。
共産党都議団は、このことについて都議会で質疑をしています。東京都も想定する特定整備路線に対して直角に風が吹いており、そのようにいたしましたと、このように認めていらっしゃいます。
ただ、現実に風は、都の延焼シミュレーションと同様の消防庁システムで私たち都議団も検証したんですけれども、風というのは道路に火を止めてもらうようにいつも直角に吹くかというと、もちろんそうではないんですね。
都議団は、同様の消防庁のシステムで、特定整備路線に対して直角ではない風向き、つまり下から上とか、こういうふうに吹いたらどうなるかというのでシミュレーションしたんですが、そうすると当然延焼が続くということも分かっているんです。
都市計画道路による延焼遮断帯の効果というのは、完全には否定はできません。ただ、都のシミュレーション設定には疑義があるということです。東京都は、特定整備路線選定の住民説明会でも、このシミュレーションを根拠に燃え広がらない町をつくると説明をされています。
一方、同じ都の防災都市づくり推進計画ではどのように説明されているか。それが、パネル4になります。タブレットの方は御覧ください。ここに何と書いてあるかというと、延焼遮断帯は、例えば道路の幅員が十六メートル以上二十四メートル未満の場合、沿道三十メートルの不燃化率六〇%以上が併せて達成されていたら、これは延焼遮断帯として機能を発揮すると、より正確に説明されているんですね。
つまり、特定整備路線をつくるだけで燃え広がらない町にはなりません。道路ができて、その後、何年もかかって、沿道不燃化の向上とともに延焼遮断帯として機能すると、一方の同じ都の防災都市づくり推進計画では、このようにもっと正確に説明されているんですね。
道路整備によって、もちろん地権者の方は長年住み続けた地域から転居を迫られます。残置は買い取られず生活再建に苦しむ方もいらっしゃいます。ある地権者の方は、用地買収された金網で追われた空き地がだんだん我が家に迫っている、不安で夜も眠れないときがあると訴えられました。
先ほど示した延焼シミュレーション結果、所管にも、東京都のほうにどこにあるか聞いてくださいと探してもらいましたが、今、都のホームページなどにはもう公開されていないんですね。共産党都議団も情報公開請求で請求したと。ですから、地域の方が防災性向上って本当かなというふうに思っても検証のしようがないんです。せめて根拠や説明というのは正確に地権者、区民に示していただきたいと思います。
特定整備路線の用地買収は現在も続いています。区から都へ正確な説明、情報提供を行うよう、議会からの本日の指摘を伝え、改善要望していただきたく伺います。
石川 道路計画課長
特定整備路線の整備につきましては、防災拠点や広域避難場所へのアクセス道路としまして防災上欠かせないものでございます。
補助第五二号線の特定整備路線として指定された区間につきましては、事業者である東京都から用地取得率が現時点で七割を超えたものと聞いてございます。
早期完成のためには、引き続き関係する区民の御理解と御協力を得ていくことが欠かせない状況と考えてございます。
区といたしましては、東京都に対しまして、今いただきました御指摘につきましても伝えてまいりたい、このように考えてございます。
江口 じゅん子
地域の方から、大震災は明日かもしれない、いつ完成するか分からない道路より、住宅耐震化とか、感震ブレーカー普及とか、総合的防災対策を優先してほしいと言われました。
五二号線の特定整備路線の用地買収率は七割、平成二十四年に事業化され十年目です。
当初は昨年度完成予定でしたが、いまだ工事の着工はできず、都は令和八年度まで取組を延長しました。その先の優先整備路線も未着手、住民理解が得られていない表れです。
都区共同で選定された優先整備路線の選定から六年目、四次計画は残り四年です。
地元区として住民の声にも耳を傾け、この間の到達、課題、検証が必要な時期ではないでしょうか。
特定整備路線、優先整備路線の進捗、先ほど述べましたが、区は計画どおり整備が進まない理由、何と考えているんでしょうか伺います。
石川 道路計画課長
都市計画道路の事業開始から完了に至るまでには、用地交渉等大変長い時間が必要となっているところでございます。
地権者お一人お一人の考え方、事情につきましてヒアリングをいたし、補償調査等を行った上で地権者の方の立場に立ちまして、生活再建を第一に考え、用地取得に向けたお話を進めていく必要がございます。
東京都では賛否の声がある中、地権者の不安をなくしていくよう丁寧に用地交渉を進めております。区としても、そのように丁寧な対応をしていっていただけるという認識でございます。
江口 じゅん子
今、課長、賛否の声があるとおっしゃっていました。さきの予算特別委員会の質疑で、当時の道路計画課長が何と答えていらっしゃるかというと、現時点で既に生活やコミュニティーの変化、町の環境変化などの不安や事業の必要性に対する疑問などが生まれ、地域におきまして賛否両論が生じていると区は認識している、このように御答弁しています。
参加と協働は区政の根幹です。計画決定時と社会情勢は大きく変わります。地域は住民参加での再検討を求めています。
地元区として賛否の声があると、事業が進まない最たる理由である住民理解がなぜ得られないのか。ここにしっかり向き合っていただきたいと思います。地域の声、聞く場を設け、独自に各路線の必要性と課題を検証する、そして今後につなげる、こういった必要もあるのではないでしょうか。
私は、副区長に伺いたいんですが、参加と協働は区政の根幹、都市計画道路については賛否両論があると実際に事業が進まない中、参加と協働のまちづくりに責任を持つ区として今後どうしていくのか、副区長に伺いたいと思います。
岩本 副区長
参加と協働について御指摘ございました。区民参加の機会の充実であるとか、住民意思を尊重した区政運営というのは、基本計画の中で基本方針としては定めているところです。
一方で、安全で災害に強いまちづくりも区政の重大なテーマだと考えてございます。区民の方々の御理解を得て取り組むというのが、都市計画道路についても早期整備につながるものと考えてございますが、住民合意と協働を軸にした地域のまちづくりということが区の責任であると考えてございますので、そのように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
江口 じゅん子
住民合意と協働が、まちづくりに責任を持つ区政の基本的姿勢だという答弁が示されました。大変重要と思います。その方向で、まちづくりのみならず都区共同でこの整備は進めておりますし、優先整備路線は選定されましたから、その姿勢を事業についてもぜひ反映していただきたいと、ここは要望したいと思います。
環八千歳台交差点バリアフリーについて
江口 じゅん子
それでは次に、地域の悲願である環八千歳台交差点バリアフリーについてです。
我が党の里吉ゆみ都議が、東京都の第二建設事務所と警視庁から聞き取ったところ、東京都はバリアフリー化に向けて調査委託を発注、その結果を踏まえ、八月、九月、警視庁と都で具体的に協議を実施、区も同席したということです。
まず、この事実関係を確認します。伺います。
工藤 土木部長
六月以降、関係機関と協議が二回ほど実施されております。
江口 じゅん子
二回だから協議をしたと。そして、八月、九月、警視庁と都で具体的に協議を実施したということが確認できました。
区も同席したということですが、協議内容について伺います。
工藤 土木部長
基本的には一般式の信号の要望がございますので、その信号をどのように設置するかということで、交差点の形状等協議をしているところを区のほうも同席しております。
江口 じゅん子
一般信号で交差点の形状など協議をしているということで、大変重要な前進と思っています。バリアフリー、早急に進めていただきたい。地域の悲願です。
同時に、交差点改良は地域の交通環境に大きな変化をもたらします。広く地元の理解と合意が必要です。かつて付近のクリニックや高校など、バリアフリー要望に賛同する十七団体の団体署名が提出された経緯もあります。
検討過程から町会・自治会はもちろん、広く地域への丁寧な説明と情報提供、意見聴取が必要と思いますが、区としてどうするか伺います。
工藤 土木部長
ちょうど一年前の九月に地元要望がございまして、新年度、四月以降になって、さっき言いましたように、具体的な協議、関係機関のほうで進めております。
区としましては、その協議の状況を見据えまして、適宜、情報提供、また合意形成が必要になってまいりますので、丁寧な対応をしてまいりたいと思っております。
引き続き関係機関と連携して取り組んでまいります。
江口 じゅん子
地元の方、待ち望んでいます。また、議会も超党派で取り組んでいます。ぜひその方向でしっかりと進めていただきたく要望いたします。よろしくお願いいたします。
祖師谷2丁目地区地区計画案について
江口 じゅん子
それでは次に、祖師谷団地建て替えに伴う祖師谷二丁目地区地区計画案です。
さきの都市整備委員会で報告がありました。原案の意見について地域の方から寄せられていますが、その意見には、現況の千二十戸の水準の維持、または高さは高度地区の十九メートルとすること、さらに先行決定された区道認定は、今後十六年間、祖師谷団地建て替えの計画なんです。工事車両のルートなどが未定のままで交通環境変化への不安や丁寧な情報提供を求める意見、こういったことが提出されました。
ただ、示された計画案については、住民の方々からは、自分たちの意見が反映されていない、残念だといった声も同時に伺っています。地域の方からは、地区計画決定後でないと建て替えの詳細計画が明らかにされない。祖師谷団地の建て替えは四期に分かれています。一期工事がまずあって、二期工事以降は九年後になるんです。
ですから、東京都は住宅の規模や高さなど、二期工事以降については将来的な住宅状況を踏まえて検討、現段階では示せないと、住民の方はそのように説明を聞いているということです。
これに対して地域の方からは、そういう手続なのかもしれないけれども違和感がある、本来は事前に全体の考えを示してほしいと要望が寄せられています。
区はこの間、早期からの丁寧な説明や意見交換の場の設定、繰り返し公社へ申し入れていますが、残念ながら実現はしていません。この課題の受け止めと、今後どうするか伺います。
松本 砧総合支所街づくり課長
祖師谷二丁目地区におけるまちづくりの検討につきましては、東京都住宅供給公社祖師谷住宅の建て替えを適正に誘導し、周辺市街地との調和を図ることなどを目的に、地区計画策定に向けた検討を進めてまいりました。
本年八月には地区計画原案説明会を開催し、原案の縦覧の際、地域の皆様から御意見をいただいており、委員お話しのような地域の御心配の声につきましては、区も認識しているところでございます。
建て替え事業に関する御意見につきましては、その都度公社にお伝えするとともに、公社においても、祖師谷まちづくりセンター二階の情報コーナーや団地内の掲示板などを活用して、公社からの情報を提供する手段を拡充し、対応してまいりました。
建築計画などにつきましては、地区計画が決定した後に検討が進められることになります。今後も、公社が具体的な建築計画をお示しする段階では、地域住民の意見を十分に聞きながら手続を進めるとともに、早期に地域への情報提供を行うよう、機会を捉え公社に申し入れてまいります。
江口 じゅん子
区としては、この間、地域への丁寧な情報提供ということで様々な工夫もしていただいていると思っています。JKK、そして東京都に対しての地域からの要望ですけれども、機会を捉えということなので、積極的にお願いしたいと繰り返し要望します。
世田谷公園等駐車場について
江口 じゅん子
それでは最後に、世田谷公園などの駐車場です。
世田谷公園の駐車台数の不足、これは長年の課題です。土日はいつも駐車場待ちの列が朝から午後まで十数台以上並びます。
今般、羽根木公園とセットで駐車場の、今まで直営委託でしたけれども、それをやめて民営化する、民間運営を提案されました。
ここでやはり重要なのは、世田谷区は民間活用では、行政経営改革の十の視点に基づいて、税外収入確保、事業効率化のみならず、サービス向上、質の確保に留意すると書いてありますから、それの徹底が必要です。
所管から、駐車台数不足には、公園利用者以外の駐車がある、民間運営で改善が期待できると聞きました。しかし、それは区として直ちに対処が必要な問題です。
利用者要望は駐車台数の増加です。この課題に対し、民間運営で何を期待し、どうサービス向上するのか伺います。
市川 公園緑地課長
世田谷公園及び羽根木公園の駐車場において、民間事業者のノウハウを発揮した効率的な運営や維持管理費用の軽減、税外収入の確保を目的に、駐車場運営事業者を十月より公募しております。
区民サービスにつきましては、満空情報、コールセンターによる管理など、区ではこれまで実施してきていないスケールメリットを生かした民間事業者のサービスを期待しております。
委員お話しのとおり、現状の駐車場運営において様々な課題もございます。今回行う民間運営に伴い、駐車台数を増やすことはスペースの関係から難しい面もございますが、入庫待ちなどの課題につきましては、公募が成立した場合においても民間任せにすることなく、事業者と一緒に改善に努めてまいります。
今後、事業者を選定していく上では、このような公共マインドを持つ事業者の選定に努め、区民サービスの向上につなげていきたいと考えております。
江口 じゅん子
問題は駐車場代を値上げするのではないかということです。周辺駐車場料金を踏まえということですが、例えば二子玉川公園の駐車場の民間運営では値上げになりました。駐車待ち問題は解決しないのに料金値上げでは何のための民間活用なんでしょうか。据置きを要望します。
また、根本的な駐車台数増加にどう取り組むのか併せて伺います。
市川 公園緑地課長
駐車場料金につきましては、現行の料金である三十分以内百円を基本とし公募を実施しております。しかしながら、周辺駐車場の駐車料金を踏まえ、世田谷公園、羽根木公園それぞれ個別の駐車料金を提案することを可能としております。
今現在公募中で、どのような提案が来るか分かりませんが、今後駐車料金を決めていく上では、公共駐車場の駐車場として、利用者への過度な負担とならないよう区民目線に立ち審査してまいります。
また、抜本的な解決につきましては、現在も十分な台数ではないというふうには認識しております。今後、令和九年度を初年度とする次期公園等長寿命化改修計画の改定の中で検討してまいります
江口 じゅん子
値上げに区民理解は得られません。
据置きを重ねて要望し、以上で質疑を終わります。
