令和3年 決算特別委員会 総括質疑

2021年9月30日 江口じゅん子区議

感染対策について

江口 じゅん子

日本共産党世田谷区議団の総括質疑を始めます。

まず、感染対策についてです。

第五波は、五輪強行、そして原則自宅療養方針を大きな要因として、医療崩壊、感染爆発を招きました。在宅死は八月だけで二百五十人、政権の責任は大変重く、第六波を見据えた対策と備えが必要です。

感染力が非常に強いデルタ株が主流になり、ワクチンだけではコロナの抑え込みはできないことは、国内外の事実が示しています。

我が党は、今般の感染対策の基本として、一、ワクチンと一体の大規模検査、二、医療体制と保健所体制の抜本的強化、三、十分な補償を求め続けてきました。

本日は、区長に今後の第六波を見据えた対策として、特に大規模検査について伺います。

社会経済活動を止めないためにも、ワクチンと一体に大規模検査を実施し、無症状感染者の早期発見、保護での感染の封じ込めが必要です。

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、繰り返し検査の重要性とその促進を表明、八月の提言でも、自治体は学校、職場、保育園などで体調が少しでも悪い場合に気軽に抗原定性検査やPCR検査を受けられるよう促すことなどと提起しています。

また、今月の東京都の新型コロナウイルス感染症モニタリング会議では、迅速かつ広くPCR検査などを実施することは、感染拡大防止と重症化予防の双方に効果的である、さらに、検査を迅速に受けられないことで多数の感染者が潜在している可能性がある、PCR検査体制のさらなる強化が必要と指摘をしています。

国も専門家の提言などを受けて、この間、検査拡充をしていますが、その先鞭をつけたのが当区の社会的検査です。

区長を先頭に国を動かし、行政検査と認めさせ、今や介護などリスクの高い施設、職員の積極的検査はスタンダードになりました。さらに今般、小中学校などの抗原検査の実施に踏み出しました。

感染抑止と経済社会活動の両立を一体に進める方策を評価し、今後も科学的エビデンスを持ちながら、さらなる社会的検査の拡充を求め、区長の見解を伺います。

保坂 区長

お答えいたします。

これまでの感染対策なんですが、社会経済活動を抑えて、感染防止策を徹底した上で検査をすることで、陽性者を早期に発見して隔離することで、感染拡大を阻んできたやり方でした。ただ、コロナ禍の期間は大変長期間に及んでおりまして、いずれかのタイミングで、感染拡大防止と社会経済活動の支援を両立させる必要があると考えてきました。

七月下旬から感染が深刻化しました第五波におきましては、ワクチン接種が進んだ高齢者の感染は急激に減少する中、しかしながら、接種がまだ行き渡っていない中学生やその対象となっていない小学生、保育園児、あるいは五十代、四十代の未接種の方で大変拡大をいたしました。

これまでの感染拡大防止策を強化する一方で、九月から、子どもたちの学校活動は行事を全て延期したり、様々抑えて、例えば、楽しみにしていた校外学習なども行けなかったということも踏まえて、抗原検査キットをもって、随時検査の補完と学校活動の支援と二つの側面を目的としたこの抗原定性検査の実施に踏み切ったところであります。

現在、中学校で部活動の対外試合に出る前にこの抗原定性検査を実施していまして、生徒及び保護者は、そのことによって一定のチェックをかけた上での大会ということで活動ができています

。事前検査を活用することで、これから校外学習などもより安全に実施ができて、明日から緊急事態宣言の解除など、社会状況が少しずつ変わってきますので、子どもたちにかけがえのない体験をできるだけ多く積んでもらいたいというふうに思っております。

現在、国において行動制限緩和を検討していますが、区としては、国に先行する形で、小中学校において感染拡大の防止と活動支援の両立に取り組んでいるところでございます。

江口 じゅん子

今後、この対策をぜひ広げる方向で考えていただきたいんですが、区長、見解はいかがでしょうか。

保坂 区長

もちろん始めたばかりですけれども、しっかりとこの辺を徹底していくように、まだ感染をされた方、陽性者は見つかっていませんが、見つかることも可能性があるので、その場合も子どもたち自身にトラウマが残るようなことがなく、教育的に解決をしていくということも含めて準備をしていきたいと思います。

江口 じゅん子

社会的検査の対象拡充にぜひ取り組んでいただきたいと要望します。

次に、急務の対策として、保育施設への検査拡充を求めます。

デルタ株が猛威を振るう第五波は、保育所を直撃しました。区内保育施設のコロナによる休園は、八月は九十五園、九月は三十一園、合計で百二十六園にもなりました。同じ園で複数回休園の園は二十三園、うち三回も休園した園が七園もあります。保護者の負担は大変大きく、親が働きに出られないことは企業活動の停滞にもつながります。

本来、休園を防ぐための検査推進が必要ですが、今、保育現場からは検査を受けたくても受けられない声が届いています。今般、社会的検査の定期検査は停止となりました。厚労省配付の職員向け抗原簡易キットは八月で終了しています。

なお、現場からは、この厚労省キットは大変使いにくい、医療従事者か研修修了者が鼻に綿棒、スワブを入れて実施することになっていて全く使えなかったと不満の声が届いています。

一方、保育所によっては内閣府の唾液PCRモニタリング検査キットを利用する施設もありますが、私も幾つか聞き取ったんですが、その情報を知らない保育所も多いのが実情です。保育の安定的運営支援は、保育部の一義的な仕事です。相次いだ休園をしっかり受け止め、横断的対応で早期検査での感染拡大防止対策強化を求めます。

保育職員などが受検できるスキームが弱くなっています。自費で検査を受ける保育士もいると聞きました。内閣府の唾液PCRモニタリング検査の広報、周知など、まずできることから取り組んでいただきたい。さらに、家庭から園への感染拡大予防のため、社会的検査の対象を拡充し、家庭に抗原キット配付を提案し、伺います。

有馬 保健福祉政策部次長

区では、本年七月下旬から随時検査の申込みが増加し、特に保育園や学校等の子ども関連施設からの申込みが急増したこと、また、九月より学校の活動が再開されることから、さらなる検査体制の強化が必要不可欠と判断し、速やかに検査結果が判明する抗原定性検査を導入いたしました。

その活用としましては、小中学校等における随時検査の補完のほか、校外学習等の行事前に実施し、学校活動を支援するという新たな運用も追加しております。

委員お話しの保育園経由等での家庭への抗原検査キット配付については、今後の区内の感染状況等を踏まえるとともに、関係所管からの有効性や事業者からの要望等を踏まえた実施の相談に応じて検討してまいります。

また、保育所等に向けて国が無料PCRモニタリング検査を実施しており、これについても関係所管と協力し周知に努めてまいります。

江口 じゅん子

また、保育現場からは、三回目のワクチン接種は今度こそ保育職員を優先接種にの要望が聞かれ、対応を求め、伺います。

久末 住民接種担当部長

 国は、九月十七日に開催された厚生科学審議会の審議を踏まえ、二回目接種を終了した者のうち、おおむね八か月以上経過した方を対象に一回の追加接種を行うという方針を示しております。

追加接種の対象者は、今は二回目接種をした方全員で準備をするようにということですけれども、科学的知見や諸外国の対応状況を踏まえ、改めて審議会の審議を経て判断することとされております。

諸外国の例を見ると、高齢者や基礎疾患を有する方など重症化リスクの高い方や、感染リスクの高い職業の従事者を対象に追加接種を行う動きもあり、引き続き国の動向などを注視し、リスクの高い現場で働く方のニーズも踏まえながら、三回目接種の円滑な実施に向けた準備に取り組んでまいります。

江口 じゅん子

リスクの高い現場で働く方のニーズも踏まえながら、今般は訪問も含めて介護職員は優先接種としたわけですから、ぜひ三回目に向けてもよく現場の声を聞いて準備を進めていただきたいと要望します。

都立松沢病院の独立行政法人化について

江口 じゅん子

次に、都立松沢病院の独立行政法人化についてです。

九月中旬、日本精神科病院協会は、精神科病院の入院患者でコロナ感染にもかかわらず転院できず死亡された方が、二百三十五人に上ったとの調査結果を公表しました。

転院できない理由は、精神疾患に対応できないが多かったと発表されています。精神疾患だからという命の選別のため、満足な治療を受けられずお亡くなりになられた患者さんに、ここで哀悼の意を表します。

私も都立松沢病院に勤務していましたが、コロナだけでなく、通常、身体的治療が必要な精神科患者を一般病院は受け入れません。精神疾患ゆえの治療拒否などなど問題行動が生じることが多いからです。そのため松沢病院では、身体的治療が必要な精神科患者のため、内科、神経内科、外科、脳外科、整形外科、感染症の各病棟を持ちます。

都内精神科病院からの転院を広く受け入れていました。精神患者のためのコロナ専用病棟もつくり、八月はNHKで特集も組まれ、命の最後のとりでとしての実態が報道されました。

ところが、東京都は、今議会に松沢病院を含む全都立・公社病院の独立行政法人化―独法化というふうに略しますけれども、独法化のための定款を提出予定です。定款が議決されれば、今後の議会で廃止条例提出の見通しです。都立という名称は残っても、独法化になれば、基本的に独立採算制であって直営には戻れません。

独法化移行により最も懸念されるのは、医療の後退、つまり精神科患者のコロナ専用病棟をつくるなど、不採算だけれども、都として命を守るために担ってきた行政医療が大きく後退することです。
ここに東京都の令和元年度一般会計の繰入金のグラフがあります。東京都の一般会計から四百億円支出をされています。

グラフを見ると、どこに使っているかというのが分かるようになっているんですが、まず、救急医療六十四・三億円、そして、最も多いのは精神病院の運営百四億円、実に二七%を占めています。そして、周産期・小児医療、がん医療、難病・膠原病医療などなど感染症もここにありますけれども、今はその配分が随分大きくなっていると思います。このグラフを見ますと、不採算部門ではありますが、命を守るための医療分野にいかに財政出動をされているかが分かると思います。

しかし、独法化の大きな理由は四百億円、この削減ですから、現在と同様水準の医療提供の継続ができる保証はありません。コロナ禍で都立病院は、都内病院で最大の二千床のコロナ病棟を設置しました。命を守るため奮闘している医師や看護師たちは、独法化で公務員から民間職員になって、雇用・労働条件は大きく変わります。これでモチベーションを持って働き続けよというのは無理な話だと私も元職員として思います。

また、この間、議会では松沢病院の充実を求める陳情が出されました。精神障害者家族会が直営での必要性を説明されるなど、独法化移行に不安を持つ当事者、家族の声は大きなものです。

我が党は、都立・公社病院の独法化には反対します。

区長はこの間、精神障害者手帳一級の方々の心身障害者福祉手当支給や長期入院患者の地域移行支援など、この分野でも積極的対応をされてきました。

また、今年の第一回定例会の私の質問に、松沢病院はほかの医療機関にない役割を担っている、医療の質の保持、必要な人材確保を都に要望するなど、答弁されてきました。

この間、都へどのような働きかけを行ってきたのでしょうか。また、このコロナ禍での独法化移行への区長の見解を伺います。

保坂 区長

松沢病院の独法化についてですが、東京都の医療施策に関して、我々二十三区の区長からは特別区長会を通して要望を出すという形で通常行っており、これまでの要望事項の中にも、医療体制の充実、整備に関する項目がございます。

とりわけ、より効率的で質の高い医療体制を構築するとともに、急性期から回復期、在宅療養に至るまでの医療サービスを地域ごとに切れ目なく確保するために、しっかり構築してほしいと要望を出してまいりました。

おっしゃるように、松沢病院は私も訪問をし、院長先生から、まさに今おっしゃったような、いわゆるコロナに罹患された患者さんを、ほかで受け止める場所がない中で積極的に受け止めていただいている。特に高齢の認知症の方の感染者についても積極的に受け入れていただいて、まさにこの松沢病院があってようやく治療ができたというところだと思います。

これまで同様、災害時医療や二次・三次救急医療の役割をはじめとして、この松沢病院について地域医療機関と連携して、やはり大きな敷地、また機能も大きい、歴史も長いということで、今後も公共的な役割を担い続けていただきたいと考えております。

東京都の医療体制を考えていくときに、今回、八月にも大変な危機がありました。東京都としてもなかなか対応し切れなかったろうと思います。

これだけのパンデミック、これが新型コロナウイルス感染症ということで、仮に収束をだんだんしていくにしても、パンデミックのリスク自体は、次の感染症ということは当然考えられるわけで、そういう意味で、このコロナを経験した特に医療危機、病床逼迫というのは、多分戦後初めてのことだと思います。

これを踏まえて、第六波も心配される中で、医療体制確保の計画の見直しを東京都にはしっかり取り組んでもらいたい、必要な意見を区長会を通して提出してまいります。

江口 じゅん子

区長会を通してということで、しっかりよろしくお願いいたします。

図書館について

江口 じゅん子

最後に、図書館です。

さきの一般質問で、行政経営改革、民間活用について区長の基本的姿勢を伺ってまいりました。本日もこの立場で伺います。

先週の十八日、区議団主催で図書館を考えるシンポジウムを開催しました。実質一週間の準備でしたが、ズーム参加を含め約七十五名が参加、区民の方々のこの問題の関心の高さを実感しました。

会場からは、来年の烏山・下馬図書館の指定管理の動きを初めて知った、また、経費削減を口実に本当に指定管理を進めてよいのか、各会派どういう態度かなど発言も活発に出されました。

図書館というのは民主主義の根幹です。図書館とはを考える上で、どの公立図書館にも掲げられている図書館の自由に関する宣言というのがあるんですが、これを確認したいと思います。これは日本図書館協会の基本的綱領で、戦前、思想善導機関として機能した図書館の歴史を反省しつくられたものです。

宣言は、「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする」とあります。

この任務を果たすため、図書館は資料収集、提供の自由を有す、利用者の秘密を守る、全ての検閲に反対するとあり、最後には、図書館の自由が侵されるとき、我々は団結して、あくまで自由を守ると結ばれています。図書館は、無料利用を原則に、国民の生存権の文化的側面である学習権を保障する重要な役割を担う公的機関であって、民主主義のとりでだと改めて認識するものです。

しかし、国も、東京都も、それの動きとは逆行し、民間でできることは民間でなど、新自由主義の政治の下で図書館民営化を進められてきました。一方、世田谷区はどうでしょうか。この間、区立図書館の在り方検討を進めてきました。

報告書では、限られた財源、職員を効率的に配分、区の財源不足や重点分野への人員配置に対応するため、合理的、効率的な図書館運営を図るなどとして、民間活用導入やむなしとしています。

そして、それを受けての区は、今後の図書館運営の柱に民間活用を掲げ、指定管理者制度導入の理由に、限られた運営財源の中で図書館サービス向上が期待できるとしています。

しかし、区長はこの間、行政経営改革については、サービスを細かくカットする従来型の行革ではなく、手法転換などで財政構造、体質を改善する行革に取り組む、財源の足らざるものは国、都から引き出すなどを表明してきました。

財政は厳しい、選択と集中などと言って区民サービスカット、また、公的責任を後退させる民間活用推進や職員定数抑制では、従来の行革路線と変わらないのではないでしょうか。区政の根幹である参加と協働を貫かれていません。

さきに述べたシンポジウムでも、来年、二館の指定管理計画を初めて知ったと、多くの参加者が感想を寄せています。七月下旬の常任委員会発表後、直ちに八月に公募開始、十二月には議決予定のスケジュールも示され、議会の議論も不十分であり拙速です。

ここで伺いますが、区長の図書館に対する認識などを伺います。図書館の指定管理導入は、従来型行革とどう違うのでしょうか。

参加と協働を貫かれているのか、区長の区政運営の基本姿勢と異なるのではないか、あわせて、区長の認識を伺います。

保坂 区長

御紹介がありました図書館の自由に関する宣言は、国民の知る自由を保障する普遍的な責務を示しているものだと受け止めております。

区立図書館では、知と学びと文化の情報拠点を基本理念に掲げて、これを三つの柱を中心として取り組んでいます。

民間事業者の活用は、その三つの柱のうちの一つというふうに位置づけています。

区内の図書館ニーズや立地、特性を踏まえ、民間事業者の得意なノウハウ、迅速性が生かせる場合には、図書館サービスの向上を図るために、指定管理者制度など民間活用の導入を検討することにしてきました。しかし、その場合でも、柱の一つである中央図書館のマネジメント機能により、選書やレファレンスの公共性、専門性は確実に担保をしていくものとしています。

また、三つ目の柱として設置をします(仮称)図書館運営協議会では、学識経験者のほかに図書館利用者など、区民をメンバーとする考えであり、区民参加の下、客観的な評価と検証の下に、図書館運営の水準をキープしていくものと期待をしております。

区立図書館の民間活用は、運営面での長所や短所も十分に検討して、従来の直営図書館の特徴と合わせて、効果、利便性を生かしながら、知と学びと文化の情報拠点としての役割が果たせるように努めていきたいと考えています。

江口 じゅん子

区長、私は来年度、二館の指定管理を知らなかったという多くの区民の声を重く受け止めております。

参加と協働で今からでも利用者、区民、関係団体の意見をきちんと聞いていただきたい、いかがでしょうか。

保坂 区長

車座集会などでも聞いてきましたが、改めてそういう機会があればお聞きしたいと思います。

江口じゅん子

しっかりお願いします。

以上で日本共産党区議団の質問を終わります。

<< 前のページに戻る