令和3年 予算特別委員会 都市整備領域

2021年3月18日 江口じゅん子区議

公共交通不便地域対策について

江口じゅん子

日本共産党の質疑を始めます。

私からは、公共交通不便地域対策について、砧地域の令和四年度早期の実証運行を求め、伺います。

昨年七月、実証運行に向けての需要予測調査アンケートが実施されました。結果は、実証運行移行に必要な条件である運行経費の収支率三〇%以上をクリアしました。砧がモデル地区に選ばれ、地域とともに検討が行われ、今年で五年目、地域の方々の多大な御協力、御努力と、そして区の粘り強い取組が機運を高め、コロナ禍の厳しい状況でありましたが、まず条件クリアに結実したと思っております。

本来なら、来年度実証運行の予定でしたが、区は、コロナ禍の見通しが不透明な状況下などとして、これを見送りました。本事業は、実証運行で運行経費の収支率が四〇%以上、かつ運行欠損額七百五十万円以内が本格運行移行の条件です。コロナ禍での実証運行では、予測どおりの乗車が見込めるか不透明であって、今般の判断は妥当と考えます。

この間、地域からは、一体モデル運行はいつなんですかと多くの声を伺っています。今年一月の区と地域との勉強会も中止になりました。区からの実証運行延期などの地域への正式説明はこれからです。今後どうしていくのか、見通しを含め、地域に説明と理解を得る必要があります。

また、令和三年度を実証運行に向けての地域と協働しての大切な準備期間と位置づけ、令和四年度の早期実証運行を目指し、取組を求めます。ここは部長に見解を伺いたいと思います。

道路・交通計画部長

砧モデル地区におけるコミュニティー交通の導入による公共交通不便地域対策につきましては、これまで地元町会や商店街の方々を含む地域の方々の御協力をいただきながら、調査、検討を進めてまいりました。昨年七月には、地元勉強会、協議会での議論も踏まえた運行ルート案に基づく需要予測アンケートを実施したところでございます。

需要予測アンケートでは、一定の需要が確認できたものの、今後の新型コロナウイルスの感染拡大の状況が全く見通せない中で実証運行を行い継続運行の可否等を判断するのではなく、区民へのワクチン接種による効果等も踏まえ、できるだけよい条件の下で実証運行を行う必要があるものと考え、令和三年度の実証運行は見送り、令和四年度の実証運行に向けた検討と取組を行うこととしました。

地域の皆様へは、できるだけ早く、勉強会開催を通じてこの間の経緯や今後の取組等について御説明したいと考えておりますが、緊急事態宣言下であったことなどから、まずは三月中にニュース臨時号の送付と区ホームページの掲載による周知を予定しております。

江口じゅん子

御答弁にあった勉強会ですが、地域住民への広報、周知、そして参画を促す大切な場です。コロナ禍ですが、多くの方々に御参加いただけるよう、複数の集会施設での分散型、また、学校、保育園、高齢者クラブや障害者施設などへの出張型、さらに、ネット配信、SNSなど工夫して早期開催を求めます。伺います。

交通政策課長

今お話しいただいた手法についてでございますけれども、多くの方々に御参加いただき、御意見をいただける有効な手法だと認識しております。高齢者の方々の使いやすさ、参加しやすさの観点を踏まえながらも、勉強会の参加者などにも御意向をお聞きし、多くの方々に御参加いただける手法で進めてまいります。

「砧・大蔵交通不便地域を考える会」からの要望書について

江口じゅん子

昨年十一月、区長や地元区議などに対し、長年ミニバスを通す活動を続けている砧・大蔵交通不便地域解消を考える会から要望書が届けられました。その中に、コロナ禍の下での砧地域の住民の声があり、紹介したいと思います。

砧一丁目、八十代の方。祖師ヶ谷大蔵駅方面に行きたいが、娘が来たときでないと行けない。バスが通れば近所の人と行けるので、買物したり、おいしいものを食べたり、町の様子も見たい。

砧三丁目、八十代の方。コロナで家に閉じこもっていたが、久しぶりにそしがや温泉21に行き、バス停で知人と言葉を交わしたら、頭がスカッとした。ミニバスの運行を早く進めてほしい。

砧四丁目、六十代の方。デイに通っていた九十二歳の母が、コロナ禍で半年休んだら、足腰が弱くなって、認知も低下した。高齢者には、外出して刺激を受けることが大切と思った。運行が待ち遠しいなどなどです。

新たな移動手段であるワゴン車型ミニバスのメインターゲットの高齢者にとって、自分の行きたいところに外出したい、他者と交流したい、そして、そのことで気持ちが晴れる、元気になるという声が多いのが特徴的と感じました。移動支援のみならず、生活の質が向上し、介護やフレイル予防など期待ができます。さらに、運行実現に向けての機運醸成などの活動に多様な個人、団体の参画、協働が必要です。これらを通して地域の活性化も展望できるのではないでしょうか。

区も需要予測調査アンケートの考察として、移動支援だけでなく地域社会と関わりを持ち、多様に活動できる環境づくりにつなげると、その必要性を言及しています。そして今後、沿線マップなどに取り組むとしていますが、では、具体的な取組について伺います。

交通政策課長

コミュニティー交通の利用は、移動そのものが目的ではなくて、移動先で買物や通院、運動や人との交流などを通じた社会参加にあるものと認識しております。昨年実施しました需要予測アンケート調査では、コミュニティー交通が導入された場合の日常生活の変化につきまして、外出頻度が増えると回答した六十五歳以上の方の割合が六十五歳未満の方よりも高く、また、期待する効果として、体を動かす機会が増える、人と接する機会や新たな出会いが増えるの選択割合も、同様に六十五歳以上の方のほうが多いという結果となりました。

来年度の機運醸成の取組の一つといたしまして、お話がありました沿線マップづくりや試走動画なども例として挙げております。地域の魅力を一番熟知しているのは地元の方々でありまして、一例に挙げましたルート沿線マップなどを作成する場合は、地域の方々からのルート案、沿線の見どころや穴場などの情報が重要であると考えております。

これらの取組が様々な活動に波及する可能性もあると考えておりますので、まずは来年度の活動につきまして、地域の方々の御意見をお聞きし、地元協議会の方々などと連携した取組を検討してまいります。

江口じゅん子

そして、ハード面では、来年度、バス停や運行ルートを決定し、安全対策も着実に進めていただきたく、伺います。

交通政策課長

運行ルートにつきましては、これまでに地域の声をお聞きし、複数の案を作成し、複数の案へのアンケート実施後、運行ルート案を決定しております。また、バス停につきましては、安全な場所への設置が必要となることから、交通管理者との立会いを実施しておりまして、今後、実証運行に合わせてバス停を設置することとなります。バス停の設置に当たりましては、地先の方々の御協力をいただく必要があり、そのため、地域の方々と連携しながら進めていきたいと考えております。

江口じゅん子

今御答弁いただいた課長は、五年間も地域の方と取り組んでいただいております。引き続き、実証運行に向けて、私も、地域一丸となって頑張っていきたいと思います。

北沢川緑道のハトの餌やり問題について

江口じゅん子

それでは次に、北沢川緑道のハトの餌やり問題です。

経堂駅南側には、豪徳寺から続く緑道が、宮坂、赤堤を通過し、さらに赤堤通りを越えて続きます。高齢者や保育園児のお散歩などで人の往来が多い地域の大切な緑道です。しかし、地域では長年ハトの餌やりが困り事になっています。電線やマンション、また、校舎にハトがびっしりと止まっています。ハトの生息数は餌の量に比例すると言われています。

数年前の朝五時頃、赤堤小体育館にハトが進入し、警報に触れて、校舎から大音量で、避難してくださいと警報が町中に流れたこともありました。また、同校サポーターの方からは、夏は屋上プールのハトのふん除去が大変とも聞いています。毎日緑道を散歩されている方は、新井橋から赤堤通りまでがふんが多く汚いと言われます。地域では餌をまく方がいて、改善困難ということも周知されています。

長年、地元町会の方々が早朝や夜中にまかれた餌を掃除し、独自パトロールなど、御努力されてきました。区も世田谷区環境美化等に関する条例を制定し、環境と公園部門が共に餌をまく方に説得を続けています。議会でも、地元の先輩区議が改善を求め、質問をされています。しかし、なかなか状況の打開はできず、本日は公園管理からのソフト、ハード面のさらなる対応を求め、提案したいと思います。

まず、啓発と環境改善です。

現地には、ハトの餌やりは禁止、ハトに餌をやっている人を見かけたら一一〇番など、多数の看板が掲示されています。強い禁止のメッセージです。これに対し、ここにあるんですが、東京都のポスターは、鳥獣保護の観点からメッセージが訴えられています。あなたの餌やりは、ハトにとってもよくないというメッセージの内容です。ハトは野生鳥獣であって、ペットではない。ハトは自身で雑草などを食べて食べ物を探すと、このように書いてあります。そして、人が餌を与えることで、ここにアパートの汚れ、ビルの窓の汚れ、マンション、ベランダの汚れなど、実際の被害の写真がありますけれども、このように人が餌を与えると過剰な繁殖を繰り返して、悪影響となって、最終的に人とハトとの共存が難しくなると、このように丁寧に説明をしています。毅然とした呼びかけとともに鳥獣保護の観点からのこういった都のポスターも参考に、工夫を求めます。

また、環境改善としては、ハトのふんが多い場所は日当たりが悪くじめじめしているところがあります。付近の保育園や小学校などと協働し、花などの植栽を行い、緑道の環境改善を行ってはどうでしょうか。地域の参画を通じて、見守りの目や意識を高めることも期待できます。

啓発、環境改善について伺います。

公園緑地課長

二つ御提案をいただきました。まずは看板の表記についてです。

餌やりの対象者が場所を移動しながら餌やり行為を行っていることから、これまで現地掲示は禁止であることを分かりやすく表示してまいりました。そのため、表示内容が単一的な印象があるのは確かでございます。委員お話しのとおり、餌やりをしている人に訴えかけるためにも、表示の工夫は必要だと考えております。人が餌をやる行為がハトにも人にも不幸な結果をもたらしてしまうことをしっかり伝えられるよう、東京都のポスターなども参考に、表示内容を検討してまいります。

次に、花などによる環境改善の御提案ですが、植栽により、エサをまきやすい地面が減ることとともに、緑道自体の魅力が高まり、人の目が増える可能性があるという意味でも、実施してみる価値はあるかと考えております。当該地は少し日当たりの悪い場所もあり、地面がむき出しになっている箇所もありますので、そのような環境でも生育できる樹種や草本類を選定するなど、まずはどのような環境改善対策が実施できるか検討してまいります。

また、種まきやポット苗など、植付けが容易なものが植栽可能であれば、近くの保育園などにも参加を呼びかけ、緑道への関心を高めてもらうことで少しでも事態の改善につなげていけるよう努めてまいります。

江口じゅん子

ハード面ですけれども、業者に私もちょっと聞き取ってみたんですが、ハトを止まりにくくする、また、進入防止などの道具や大規模工事など様々な対策があると伺いました。こういうことも視野に対応を求め、伺います。

公園緑地課長

 かつて餌やりが頻繁に行われた公園でハトが飛来しにくくなるようワイヤーを木と木の間に張り巡らすなどの対応をしたこともありましたが、ハトも状況に対応し、結果、ハトの飛来をなくすことはできませんでした。しかしながら、何事も試行錯誤しながら対応することは大事なことだと考えますので、多くの実績を有する専門業者からアドバイスをもらう機会などを設けながら、効果的な施設設置などの方策について、諦めることなく模索、検討してまいります。

江口じゅん子

 粘り強く取り組んでいただいて、大変な状況ということは理解をしております。一義的には、餌をまく方への福祉的対応を含めた粘り強いアプローチが必要と考えますが、できることからお願いします。

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