令和2年 決算特別委員会補充質疑
2020年10月13日 江口じゅん子区議
- コロナ禍から区民生活を守り、感染拡大抑止と経済活動両立を実現する自治体本来の役割の発揮を求め
- 来年度の事務事業見直し及び新実施計画(後期)について
- コロナ禍から区民生活を守る、区民に信頼される執行体制について
- コロナ禍における経済的弱者支援強化について
- 少人数学級について
- 早急な水害対策を求め
コロナ禍から区民生活を守り、感染拡大抑止と経済活動両立を実現する自治体本来の役割の発揮を求め
江口じゅん子
日本共産党の質疑を始めます。
まず、コロナ禍から区民生活を守り、感染拡大抑止と経済活動両立を実現する自治体本来の役割の発揮を求め、順次伺ってまいります。
今議会を通し、我が党は、今般の世田谷区政策方針及びそれに基づく今後の財政運営、事務事業見直しにおける区長の基本的姿勢を確認してきました。区は、区民生活の安全及び区民の健康と生命を守り抜くことを基本とする。また、事務事業見直しにおいては、全事業について区民理解を得られるよう、区民、利用者の視点を中心に、多角的な見直しの軸を設け検討するなど御答弁をされました。第三次補正は、この基本的姿勢が反映されたものと評価をしております。特にPCR検査拡充に関しては、区長のいち早い決断が国の感染対策を大きく動かしました。感染拡大抑止と経済活動両立の最大の鍵は、検査・医療支援の抜本的拡充にあります。しかし、今年度、行政検査の自治体の二分の一負担に対する国の財政支援は、内閣府の臨時交付金で手当てをされています。恒久的な全額国庫負担実現に向けて国へ積極的働きかけを求めるものです。
現在、来年度予算編成策定作業中と認識をしています。引き続き、コロナ禍から区民の命と暮らしを最優先に守る政策方針の下、新年度予算編成及びそれを待たず、補正予算において、この方向での充実、発展を求め、区長の見解を伺います。
保坂 区長
令和三年度予算は極めて厳しい財政状況の下での編成となると思います。私は、政策方針で示したとおり、今般のコロナ禍の長引く影響を受けて、区政運営の中で最優先すべきは、区民生活の安全、そして、区民の健康と命を守り抜くことだと考えています。今年度の補正予算でも、コロナ診療に最前線で当たる医療機関支援やPCR検査の拡充、社会的検査の実施などの視点から施策を組み立て、必要な予算について時期を逸することなく措置をしてまいりました。来年度以降も、少なくとも、今後にわたり新型コロナウイルスの影響が続くものと予想しており、その影響は、直接的な感染の問題以上に、社会・経済活動の収縮に伴う事業環境の悪化、雇用の消失、生活の不安、生活に関わるところで大きく広がるおそれがあると予想しております。
今後、今年度の補正予算とも連動させつつ、政策方針の四つの柱に基づきながら、国や都の動向をしっかり踏まえ、また足らざるものは引き出して財源を確保しながら必要な施策を推し進めていきたいと考えております。
江口じゅん子
その基本的姿勢で今後もしっかり進めていただきたいと思います。
来年度の事務事業見直し及び新実施計画(後期)について
江口じゅん子
また、来年度の事務事業見直し及び新実施計画(後期)においては、官民連携による取組が位置づけられています。しかし、さきの都市整備所管で質疑をしたように、現在の官民連携指針では、情報公開、モニタリング、区民意見反映、また、区の責務など不十分であって、早急な見直しを求め、伺います。
中村 政策経営部長
官民連携を行う上では、世田谷区官民連携指針にも掲げていますとおり、民間企業の単なるビジネスチャンスではなく、区と民間企業が連携することによって公共サービスのさらなる充実を目指すことを大前提としています。また、民間企業と対等な立場として対話を行い、個別案件ごとに区民、区、民間企業のそれぞれのメリットやそのバランスを考慮しているところです。さらに、民間企業の内部情報にも配慮しつつ、区が関わる以上は可能な限り区民への公表に努めるとともに、区議会への報告、安全性の確保や実効性のある事業手法など、丁寧な事業の組み立てを行う必要があり、また、役割分担等も含め、個別案件ごとに協定等により定めることを求めています。
官民連携の事例を今後も積み上げる中で、他自治体の事例も参考にしつつ、必要に応じて指針の見直しも検討してまいります。
コロナ禍から区民生活を守る、区民に信頼される執行体制について
江口じゅん子
次に、政策方針に基づいて、二点伺います。
一点目は、コロナ禍から区民生活を守る、区民に信頼される執行体制についてです。この間、コロナ禍での業務量増大に伴い、保健所に電話がつながらない事態、また、手続の遅滞やミスも相次いでいます。議会でも多くの会派が保健所体制強化を求めてきました。また、暮らしを守る支援を速やかに届けること、二重払い、データ流出など、本来あってはならないと考えます。背景には、この間の職員定数削減があります。この間、非常勤で人員は補充されてきましたが、非常時対応は、原則、正規職員が担います。日頃ぎりぎりの人員体制で、何かあると十分に対応できない状況では、危機から区民の暮らしを守る執行体制とはなり得ません。
そして、過度な公務員削減は、すなわち区民の命や暮らしを脅かすことにつながる、こういったことが明瞭になりました。いつ起こるかわからない災害や健康危機に機敏かつ着実に対応し、区民生活を守るには、適正な人員が必要です。当面は特に保健所の保健師増員が最重要課題です。今後、行政職含め、計画的増員が必要です。
区長はこの間、保健所に電話がつながらない、また、手続遅滞などありましたが、どのように受け止め、要因を何と考えているでしょうか。平時から余力を持った人員体制が危機から区民生活を守ることにつながると考えますが、今後の職員定数増に対しての認識を伺います。
保坂 区長
区は、本年四月に世田谷区コンプライアンス基本方針を策定しました。この取組の一つとして、各課において事務ミスが発生した場合、発生状況等を報告させる仕組みとしておりますが、その多くが、前例に倣えば大丈夫だろうとするチェック体制の甘さなどが原因であるものと認識をしております。
今般のコロナ禍においても、緊急的に発生、また増加した業務について、組織の垣根を越えた全庁的な応援体制を講じるなど、チェック体制を含めた体制の確保に取り組んでまいりました。来年度の人員体制につきましても、事業手法の見直し等を含めた行政経営改革の取組を進めながら、強化が必要な部門には積極的に人員を投入するこれまでの考えを踏襲し、新型コロナウイルス感染症への対策などを中心に人員の強化に取り組んでまいります。
一方、新型コロナウイルス感染症拡大により、区財政は大幅な減収が必至の状況であり、複数年にわたりコロナ以前の水準への回復が見込めないなど厳しい状況にあることを覚悟の上、財政運営を行いながら区民生活を支えていく必要がございます。こうした状況の中で、職員定数管理につきましては、今般のコロナ対応を踏まえた今御指摘のありました保健所体制についてですが、計画的な保健師増員を図るなど、危機管理体制に即した人員の適正な規模を見据えながら、最小の経費で最大の効果を上げられるよう、考えております。
政令市で、北九州市の保健師さんの数と世田谷区を比べれば、世田谷区のほうが三分の二ぐらい、もちろん二十三区では一番多いんですけれども、そこの点は拡充をしっかり果たしていきたいというふうに考えております。
江口じゅん子
保健師の増員、拡充に踏み出すということで、しっかりお願いしたいと思います。
コロナ禍における経済的弱者支援強化について
江口じゅん子
では次に、二点目に、経済的弱者支援強化です。コロナ禍で、低所得者、あるいはひとり親などの経済的弱者の暮らしはますます困窮しています。あるシングルマザーの方は、子どもは来春大学受験だが、親の収入が減り、奨学金を借りると子どもに多額の借金を背負わせることになる、進学の断念も考えている。また、ある工務店の方は、仕事が減って、年金だけでは生活が厳しく、七月から住宅確保支援金と小口資金を借りて倹約して生活しているが、年末までに生活費が底をつきそうで不安、こういったお話を伺っています。当区の緊急小口貸付の受付は約八千八百件、住宅確保給付金の支給は約五千五百件にもなりました。区として、深刻化、長期化するコロナ禍から、経済的弱者対策を一つの柱として取り組むことが必要です。
国へは、貸付金の返済免除制度の拡充、住宅確保給付金の支給期間延長などを求めていただきたい。また、区としては、困窮者をいち早くキャッチし、支援に結びつける重層的仕組みづくりと、最後のセーフティーネットとしての生活保護への広報や体制強化を求めます。私のこれまでの経験からも、生活が苦しい、もう貯金がないという方に生保を案内すると、子どもに迷惑はかけられない、持家があると受けられないなど、誤解や抵抗感が強いということを実感します。この背景に、一部政治家などのバッシングなどあり、また、制度の周知不足もあると考えます。困窮する区民が偏見や誤解などで申請をためらう、また行き着かない、こうした事態があってはなりません。
ここに、コロナ禍を受け、十月更新の厚労省の生活を支えるための支援のご案内というパンフレットの抜粋があります。様々案内とともに生保のページもあって、これはそのページの抜粋ですが、ここに何て書いてあるかというと、一番トップに、生活保護は、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行う制度です。また、生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体まで御相談ください、このようにトップに呼びかけられています。そして、どのような方が受けられるか、また手続の流れなども書いてあります。ここの表には、年金やそういった手当てなどの収入が最低生活費に満たない場合、その分だけ保護費が支給されるんですよという、こういった分かりやすい表もついています。
これは七月の参議院での我が党の質疑に、当時の安倍首相が、文化的生活を送る権利はあるわけで、ぜひためらわずに申請していただきたい、様々な手段を活用して国民の皆様に働きかけを行っていく、こういった答弁を受け、追加されたと認識をしています。一方で、こちらが区のホームページの生保の案内です。制度の説明と、そして、生活にお困りの方は御相談くださいと、詳しくは各総合支所の生活支援課へ御相談くださいと大変簡素にまとめられている、こういった状況になっています。国も様々な手段を活用して国民の皆様に働きかけると御答弁をされています。当区としても、広報、そして周知の改善、工夫が必要と考えます。
同時に、今後の経済状況などで生保を必要とする方が増加したとき、その対応をする生活支援課の体制は十分でしょうか。先日、他会派からの質問に、区は生活支援課として、一人当たり約八十七世帯のケースを受け持っていると御答弁されました。しかし、それは窓口の面接担当者を加えての数字です。実際に受給者対応は、窓口の面接担当者とは異なるケースワーカーが行います。各支所の生活支援課の面接担当を除く、ケースワーカー一人当たりの担当数を伺います。
澁田 保健福祉政策部長
総合支所生活支援課におけるケースワーカー一名が担当しているケース数でございますが、国からの調査の基準では面接担当も含めることになっておりまして、その場合は平均でおおむね八十七ケースとなっております。面接担当は、生活保護を受ける前の相談対応をしておりまして、各支所に二から三名配置され、区全体で月平均約五百二十件の相談を受けております。なお、面接担当を除いた場合のケース数でございますが、平均でおおむね九十八ケースとなっております。
江口じゅん子
面接担当を除いた場合のケース数は、五支所平均で九十八世帯ということが分かりました。各支所のケースワーカー一人当たりの担当数も伺っております。五支所のうち百世帯を超える支所は三つ、玉川支所は一人当たり百三世帯、砧、烏山は百四世帯になっています。厚労省はワーカー一人が担当する標準数を八十世帯と定めていますが、それを超える状況が常態化をしています。今後、各種貸付や給付金が年内に途切れれば生保申請者の増加が予測され、現在の体制で果たして十分に対応できるのでしょうか。さらに個別ケースは、専門的配慮を要する事案が増えて、数とともに支援内容の考慮も必要です。
区長に伺いますが、補正予算、また新年度予算編成でも、経済的弱者対策を一つの柱として取り組むことを求めます。また、区長の生活保護における認識と、広報、現場の体制強化について今後どうしていくのか伺います。
保坂 区長
まず、御掲示をされている厚生労働省の出されている内容と我が世田谷区の内容、世田谷区のほうが非常に簡素になっていると。これはむしろ基礎自治体として逆でなければならないと思っています。早急に点検、見直しをして、厚労省の内容もしっかり反映できるようにしていきたいというふうに思います。
もう一つ、生活保護を巡る問題ですが、今般、社会福祉協議会、ぷらっとホーム世田谷がある意味セーフティーネットとして本当にフル回転をしていただいた。応援も入れましたけれども、十時、十一時まで職員が帰れないといういわば大変な相談集中ということで、小口貸付が八千八百、住宅確保給付金が五千五百という空前の数になっております。こういった状況が何を示しているのか、どういう方が申請をされてきているのか。また、経済産業部のほうで実施をした電話相談でどんな問題が出たのか、融資でどんな状況が分かったのか、あるいはおしごとカフェで雇用の状況はどうなのか、こういったものを集約して今後の対策に生かしていきたいと思っております。
生活保護は、憲法第二十五条の全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると、この理念に基づいた国の基礎的な社会保障制度であり、生活に困窮する全ての国民に必要な生活費を給付し、最低限度の生活保障と自立支援を行う重要な制度であると認識しております。
世田谷区の生活保護の状況は、九月現在、保護世帯数は八千八百三十六世帯、保護人員数は一万二百三十五人となっており、前年同月比で見ると若干減少しており、現時点では増えておりませんが、さきに挙げたぷらっとホームなどでのセーフティーネットが仮に打ち切られる、あるいは消滅をしてしまうということになると大変多くのニーズが出てくるだろうというふうに予想しています。そういう意味で、生活保護の広報について、生活に困窮されている方が確実に相談窓口につながるような体制、また、非常に後ろめたいとか、いろいろな意味で、それだけは利用できないというような壁があると思いますが、しかし、これは体制が必要なんだということで具体的な取組を検討していきたいと思います。
現在の体制強化については、生活保護が増えた場合の対応について、計画的な人員確保策を検討し、経験の浅いワーカーを先輩がフォローし、ベテランが支える体制についてもしっかり心を配っていきたいと思っております。
江口じゅん子
よろしくお願いします。
少人数学級について
江口じゅん子
次に、少人数学級についてです。
さきの我が党の文教質疑、また、本日も他会派から質疑がありまして、教育長は分散登校時、少人数学級の有用性を強く感じたと御答弁もされました。また、先ほども早期実現に向けては特別区教育長会などを通じて国や都へ強く働きかけていくと前向きに御答弁されています。ぜひ教育長の積極的な働きかけを期待するものです。
そして、本年七月、全国知事会、全国市長会などは、新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言において、少人数編制を可能とする教員確保を要望しました。コロナ禍の地方からの要請及び学校現場、保護者の長年の要望が国を動かしています。
しかし、来年度、国によって義務教育標準法が改正されるか、予算がつくかは全く不透明な状況です。実現に向けての重要な局面であって、地方からのさらなる後押しが必要です。特別区長会としても、実現に向けての財政措置を国にしっかり求めていただきたい。区長の少人数学級に対する認識、区長会幹事としてのリーダーシップを期待し、伺います。
保坂 区長
少人数学級につきましては、今回、分散登校の経験で、改めて少人数学級での指導というのが非常に効果的だという声が私のところにも届いております。これまでも特別区長会が全国市長会要望として、少人数学級の実現要望、具体的に、教職員の配置の充実や施設整備に係る財源などを要望しております。今後、区長会として要望を実現できるよう、まずは区長会としての見解、要望をしっかり練っていく役割をしたいというふうに思っております。
江口じゅん子
期待しておりますので、ぜひ区長会でも積極的な働きかけ、要望をお願いいたしたいと思います。
早急な水害対策を求め
江口じゅん子
最後に、早急な水害対策を求め、伺います。
台風十九号の浸水被害最終報告を受け、この間、地域から、対策はこれで十分か、また、浸水被害に遭った保育園では、いつまた同様被害に遭うか分からず、移転も検討していると伺っています。先ほど他会派から、多摩川、世田谷区間の河道の掘削要望がありました。我が党からも、その実現に向けて、国への積極的働きかけを求めます。
同時に、それまでの当面対策として、樋門への排水ポンプ施設の設置を求めます。現在、区内全ての樋門には、多摩川への排水ポンプ施設の設置はありません。以前、我が党の質疑に、区は、国、都へ水門への大規模排水ポンプ設置を強く要望すると御答弁されました。しかし、この件で、我が党の都議が東京都に確認したところ、用地確保や区との役割分担などに課題があるとの見解が示されています。進捗状況と、都が表明する課題に区としてどうするか伺います。
関根 土木部長
昨年の台風第十九号と同様の浸水被害を軽減するためには、国による多摩川における河道掘削などの対策の一方で、堤内地における対策も必要であると考えており、排水樋門に排水ポンプ施設を設置することは有効な手段の一つであると区も認識しております。
区では、これまでも東京都城南五区下水道・河川連絡協議会等を通じて、排水ポンプ施設の設置等を東京都に要望しており、今後も機会を捉えて積極的に働きかけてまいります。また、東京都により排水ポンプを設置していくためには、様々な困難な課題を調整する必要があるため、要望している内容について東京都と協議を進めてまいります。
江口じゅん子
早急に対策を進めてください。
以上で日本共産党の質疑を終わります。
