令和2年区議会予算特別委員会 福祉保健領域
2020年3月12日 江口じゅん子区議
江口じゅん子
日本共産党の質疑を始めます。
新型コロナウィルス感染症拡大に伴う区民生活の影響について
江口じゅん子
まず、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う区民生活の影響に対してです。
昨日、世田谷区健康危機管理対策本部において、十六日以降の学校休校を含む区の対応が示されました。さらに、議会への情報提供の中には、まず三月二日からの学校休校決定の理由、二週間の検証分析、そして総合判断などが明記をされていました。区民生活全般にわたる負の影響が拡大をしています。長期の対応が予測される中、区がなぜこのような決定をしたのか、これからどうしていくのか、区民へ丁寧な説明と理解を求める特別な努力が必要です。さらに、感染予防とともに、施策の決定においては、区民の実態や声をつかみ反映をする視点、さらに、区民の生活の質、人権にも配慮した視点を求めるものです。そして、検証を積み重ねることは、当面の課題解決だけではなく、将来的に起こり得る同様事態への備えや対応にもつながると考えられ、引き続きこの方向での実践を求めるものです。
それでは、具体的に区の対応について二点伺います。
一点目は、国民健康保険加入者への対応についてです。
国保の加入者は、自営業やフリーランスなど経済基盤が脆弱な方々が多く、会社員などと異なり休業補償もありません。今般の感染者の中にも、派遣とバイトのダブルワークで仕事を続けていた方もいます。生活のため仕事を休めない、収入が激減すれば保険料支払いも滞り病院にかかれない。こういった加入者に対し、我が党は、今行われている国会審議の中でも、健康を守って、そして感染拡大防止及び生活保障のための踏み込んだ対応を求めてきました。
国保料を滞納すると、保険証有効期間が六カ月に短縮されている短期被保険者証が交付をされます。そして、再三の納付勧奨に応じず滞納を続けると、さらなるペナルティーとして、保険証を交付せず、窓口十割負担の資格証明書が交付をされます。手元に保険証がないことで、今般の新型肺炎では、加入者の重症化、そして、そのことによる感染拡大が懸念をされます。こうしたことから、今般、国は、保険証を持たない資格証明書世帯が帰国者・接触者外来受診の際、通常の保険証とみなしてよいとの通知を出しました。
まず、当区の資格証明書世帯数と国の通知後の区の対応を伺います。
五十嵐 国保年金課長
被保険者資格証明書を交付している世帯数でございますけれども、三月七日現在で四十四世帯となっております。
それから、国の通知と区の対応についてですが、このたび国は、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、発症の疑いで帰国者・接触者外来を設置する保険医療機関を受診した際に資格証明書を提示した場合、こちらにつきましては資格証明書を通常の被保険者証とみなして取り扱う旨の文書を発出しております。これを受けまして、この緊急対応の取り扱いを速やかに帰国者・接触者相談センターを介して医療機関に通知するとともに、資格証明書を交付している全ての世帯に対しまして、このみなし扱いについての案内文を先週送付しまして、周知徹底を図っているところでございます。
江口じゅん子
既に対応されているということで、加入者の健康を守って、感染拡大予防のため必要な対応だったと思います。
それでは、保険証有効期間六カ月の短期被保険者証世帯についての対応を求めたいと思います。現在、この短期被保険者証世帯は百七十四世帯というふうに伺っております。通常、区は、納付相談などの機会の確保のため、保険証の期限が切れる前の三月と九月に、対象者に窓口へ保険証をとりに来るよう連絡をします。しかし、中には、督促されても払えないなどの事情で窓口に来ないままの方がいます。その場合どうなるかというと、窓口で保険証はとめ置かれることになります。かつて区でも、そのために長期間子どもが病院にかかれない事態が発覚、問題となったことがありました。区議団も繰り返し改善を求め、今では区は、十八歳以下の子どもへの速やかな短期証発送と、窓口のとめ置き期間は三カ月に短縮と改善をされております。
しかしながら、我が党は、窓口とめ置きは加入者の命と健康を守る立場から行うべきではないと考えます。加えて、今般の事態で、窓口に保険証をとりに来ることでの感染拡大のリスク、また、窓口に来ないとき、三カ月手元に保険証がないことでの重症化や感染拡大のリスクもあり、速やかに対象世帯への発送を求めるものです。伺います。
五十嵐 国保年金課長
現在交付しております短期被保険者証の有効期限は、今月末、三月三十一日となっております。短期被保険者証の世帯のうち、分割納付や相談等のない世帯につきましては、一定期間、窓口に来られるのをお待ちした後に短期被保険者証を郵送するというのが通常の取り扱いとなっております。また一方で、平成二十一年に新型インフルエンザが流行した際には、区民が安心して受診できるよう、納付相談等を待たずに、短期被保険者証を対象となる全世帯に送付したという実績もございます。感染拡大防止対策を講じているこの間の状況をしっかりと見きわめまして、医療機関の受診に関する国の動向等を注視しながら、早急に対応してまいります。
江口じゅん子
早急に対応と言っておりましたけれども、つまり全世帯に速やかに短期被保険者証を送付するといった解釈でよろしいでしょうか。
五十嵐 国保年金課長
その解釈のとおりでございます。
江口じゅん子
よろしくお願いいたします。
それでは、この質問の最後に、国保加入者への傷病手当について伺います。
傷病手当金とは、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、その八割が支給される休業中の生活保障のための制度です。会社員などが加入する健康保険にはあるこの傷病手当は国保にはありません。ですから、前述の感染者のように、体調不良でも生活のため休めない、結果、感染拡大。周りにもそのリスクが生じるということにつながります。
三月六日の衆議院の厚生委員会で、我が党の宮本徹衆議院議員は、国保の傷病手当を求め質問しました。その後の国の動きと区の対応を伺います。
五十嵐 国保年金課長
国は、三月十日に、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策の第二弾をまとめまして、その中で、国保加入者で新型コロナ感染症に感染した被用者に対して傷病手当金を給付する自治体に対しまして、国が特例的な財政支援を行う旨の事務連絡が厚生労働省から出されました。厚生労働省からは、本年一月一日にさかのぼって適用することや、支給要件としては、健康保険組合や協会けんぽ等、既に傷病手当金制度があるほかの公的医療保険と同様とすることなどが示されております。一方で、財政支援の詳細や、具体的な事務処理の基準や手順等については未定でありまして、追って示される予定となっております。
区としましても、感染拡大の防止に向けまして、感染または感染の疑いがある方が休みやすい環境を整備するため、都や他の特別区等とも情報交換しながら課題を整理するなど、実施に向けて検討を進めてまいります。
江口じゅん子
これまで国保の傷病手当金は市町村が条例で定めることができるとなっていますが、実際は全国の自治体で条例を持っているところは一つもありませんでした。ですから国保に傷病手当はないと申し上げたとおりです。ですから、今回の特別対策第二弾で、このコロナ感染に限ってということで期限も決められていますけれども、初めて国保に傷病手当制度ができるということは大きいと考えます。答弁で実施に向けて検討を進めていくとありましたけれども、ぜひ迅速な対応を求め、そして次に移ります。
コロナ対策について新BOP学童クラブについて
江口じゅん子
次に、コロナ対策について、新BOP学童クラブについてです。
突然の休校要請、そしてさらなる継続という事態に、大変な御努力の中、毎日運営をされていると認識をしております。この間、指導員の方々にお話を伺ってきました。ある方からは、利用者数は通常より少ないが、突然の事態で、人員の確保がとにかく大変。指導員が確保できないと、学校施設が開放されても目が行き届かないので利用ができないと伺いました。また、クラブによっては、お弁当のとき私語は控える、また、消毒ができないから校庭の遊具使用は控えるなど、子どもの生活の充実と感染予防のはざまで悩み、対応されていると聞きました。
区として、この間、実践をして課題は何と考えるか及び今後の運営にどう生かしていくのか伺います。
相蘇 児童課長
今回の新型コロナウイルス感染症の学校休校に伴う新BOP事業の実施に当たっては、何より急遽決定したものであることから、職員の体制の確保が最も大きな課題であり、今後も引き続く課題であると考えております。
さらに、感染予防のための手洗いの励行や検温など子どもの健康状況の確認、設備の消毒、子ども同士の接触を極力減らす運営など、子どもたちの安全の確保と健康管理を行うことも大きな課題であり、これまでにない対応をとる必要がございます。体制の確保については、児童館職員の応援と、学校からの必要な活動場所の確保や、人員が不足する部分への教員などの支援があり、これまで体制の確保・整備ができてきております。
今後、春休みまでは現在の学校の協力を得ながら体制を維持し、春休み期間中は、従前から朝からの一日の実施を予定しておりましたので、その体制での運営を行いますが、従前と異なり、感染症予防のための取り組みを行いながらの運営になるために、さらに人員が必要になることも想定されます。これらの不足する人員の確保、家庭への健康管理の徹底等の再度の依頼等を行ってまいりたいと考えております。
江口じゅん子
今御答弁されたように、人材確保が大きな課題ということがわかりました。
これまで我が党初め多くの会派が新BOP学童クラブの恒常的な指導員不足を指摘しておりましたが、休みが長期化することで、利用者のさらなる増加も予測され、この緊急時を乗り切るため、人員確保についてはあらゆる手だてを講じることが必要です。その一つとして、国が緊急対策第二弾で示した学童保育の運営費補助の活用を提案します。
私も国の通知を確認しました。その中には、人材確保などに要する補助を、一支援一日当たり二万円増額、全額国庫負担とありました。WHOがパンデミックと表明するこの非常事態に限って、国の緊急対策を大いに活用し、非常勤やアルバイト職員の時給を一時的に上げ、人員確保に努めるのはいかがでしょうか。子どもの生活の質の向上、そして万全な感染予防対策のためにも、人員確保については、あらゆる手だての検討、対策が必要と考えますが、見解を伺います。
相蘇 児童課長
この間、学童クラブの人員の確保のために、報酬の増額を含めさまざまな対応を行ってきておりますが、確保が難しい状況にございます。今般の新型コロナウイルス感染防止のための学校休校に関連して、国や東京都による交付金等の措置が決定をされて、要綱、申請様式等が順次示されてきている状況でございます。区としては、内容、要件、その効果等を精査いたしまして、活用を図れるものについては遺漏なく手続を行い、人材の確保を初め、新BOP活動が安全に安定的に運営できるように取り組んでまいります。
江口じゅん子
さきの総括でも申し上げましたけれども、政治の判断で一斉休校要請をしたということで、首相は、そうしたことに対するさまざまな影響に、政治の対応できちんと手当てをすると表明をしています。こうした国の制度があるわけですから、それを大いに活用していただく。そして、なかなか使いにくい、こういったことがあれば、その改善を求めて国に意見をする。これは本当に大切なことだと思います。ぜひ生活の質の向上、そして万全な感染対策予防のため、重ねて人員確保については努力をお願いするものです。
そして、今般の事態で、公設公営の新BOP学童クラブの役割が大いに発揮をされたと感じています。民間学童では、多くが一日開設はできず部分営業、中には早々に休業を決めました。塾やお稽古も一部もしくは全面休業となっています。一方、区では、初日は児童館職員が応援に入る。そして今でも教育委員会と連携し、先生が応援に入るなど、区が一丸となって、突然の決定にも初日から六十一校の全てで一日育成を実施し続けております。
ある保護者からは、仕事は休めないし、近くに面倒を見てくれる親もおらず、学童に本当に助けられていると伺いました。また、心配なので子どもを親に預けている。また、学童卒業の高学年の保護者の方々からは、活動量が減って子どもが太ってきた、ストレスがたまっている、ユーチューブ漬け、公園は高学年の子でぎゅう詰め、低学年の子が入ることができない、毎日規則正しく行く場所があることの大切さを感じるなどなど伺っています。
コストや多様化するニーズなどから民間活用の声が一部聞かれますが、非常時のセーフティーネット、そして経験を持つ指導員の質の高いかかわりで、安全安心な放課後の居場所としての直営新BOP学童クラブの役割は大変大きいと考えます。引き続きの区の努力を求めるものです。
学校休業により果たしている役割と、そして公の責任について、区の認識を伺います。
相蘇 児童課長
今回の学校休校に伴う新BOPの実施については、感染防止のための対応の必要性と、保護者の就労による子どもが見られない家庭への支援の必要性、子どもが自宅で長時間過ごすことによる安全や健康への対応などの要件がある中で、最終的にはセーフティーネットの考え方から、このような緊急時こそ子どもの居場所の確保が必要であると考え、新BOPを実施しているものです。
実施に当たっては、新BOPのシフトに児童館職員が応援に入ったり、学校職員の支援の調整、区立小に在籍していない児童の対応など、突然の休校に合わせた迅速な対応を職員一丸となって取り組むことができております。これは緊急時における公設公営のメリットの一つであったかなというふうに考えております。
江口じゅん子
今申し上げたとおり、ある保護者の方は民間学童を利用しておりまして、国の一斉休校要請が出て、世田谷区の対応はどうなるかまだ決まっていないにもかかわらず、当民間学童としては休業に入りますとメールが来て、本当に途方に暮れたとおっしゃっていました。そしてそういったときに、今、課長も御答弁されたように、区立小に通っていないこうした私立や国公立の生徒、そして民間学童を利用している生徒に対しても緊急の受け入れを行うとホームページ上で発表して、本当にセーフティーネットの大きな役割を果たしているということを実感しました。区民の期待は大変大きいものです。重ねて引き続きの区の努力を求めるものです。
介護職の確保、処遇改善について
江口じゅん子
それでは次に、区政の喫緊の課題である介護職の確保・処遇改善について伺います。
その前に、この介護現場からも、コロナ対策について一言申し上げたいと思います。広がる感染拡大に、介護現場の危機感と不安は大変なものと伺っています。ある職員さんからは、ハイリスクの高齢者が入居、通所する施設ですから、クラスター感染が発生するリスクも高いし、本当に大変なことになると思うと心配の声を伺いました。マスク、消毒薬の不足はそれに拍車をかけていて、区として現場の事情をよくつかんで、それに応え得るきめ細かな対応をまず求めるものです。
それでは、具体的に介護職確保・処遇改善について伺いますが、毎年、介護労働者の就業実態などの調査を実施している介護労働安定センターの昨年の調査では、現場の介護職員の人材の不足感は約七割にも上って、五年連続で不足感の増加という結果です。さらに不足の理由の一位は、採用が困難であるが九割を占め、その原因は、同業他社との人材獲得競争が激しい、これが大半という結果でした。さらに、全介護労働者の一割が六十五歳以上という介護職の高齢化も報告されまして、区でも同様の事態と認識をしております。これまで我が党としても、特養ホーム職員の実態調査アンケートも行い、介護職確保・処遇改善を求めてきましたが、本日もその立場で伺いたいと思います。
まず、開設から二、三年たつ特養ホームについてです。職員の確保ができず、いまだに満床にできないと聞いております。区内特養ホームの待機者は約一千八百人もいる中、区としての責任は大きいと考えます。必要な人員を確保し、満床稼働をするという当然のことを実現するため、施設任せではなく、区としてどうしていくのか、現在の稼働率を含め伺います。
三羽 高齢福祉課長
区内の特養ホームは、今年度新たに四施設が開設し、現在は二十七施設で、二千四十五人分の定員枠を確保しております。その中において福祉人材の不足は依然として厳しい状況にあり、各施設の稼働率にも影響を与えているところです。
委員お話しの施設、二施設ございますが、一つは、現在全てのユニットをオープンしており、入所率が約九割になったところです。その翌年にオープンした施設は八割程度の入所施設となっております。ともに引き続き職員の採用活動に注力し、さらなる受け入れ拡大に向けて取り組んでいるところです。
区といたしましては、各法人が安定的な人材確保を行えるよう、引き続き介護職員の宿舎借り上げ支援事業やハローワーク等の社会資源の活用等に取り組むなど、さまざまな支援を行ってまいりたいと考えております。
江口じゅん子
さまざまな支援にぜひ尽力していただきたいと思います。そして、この間、区は、介護人材対策のため、介護事業所などとワーキンググループで検討をしてきました。現場の声が反映し、新年度予算案では、区独自の特養職員の宿舎借り上げ助成、電動自転車購入助成などが始まり、一定評価をしております。同時に、区の宿舎借り上げ助成は、都の助成額の半額、対象数四十戸であり、今後拡充を求めます。
現場の深刻さは増しています。処遇改善、イメージアップなど、介護職確保の総合的対策強化が必要です。当面どうしていくのか。また、次期の介護保険事業計画などにもしっかり位置づけることを求め、伺います。
三羽 高齢福祉課長
昨年五月、区内の介護サービス事業者等を構成員とする検討会を立ち上げ、六回にわたり介護人材に関する意見交換や検討を行いました。検討会での議論を踏まえながら、来年度は介護人材採用活動経費助成事業を拡充、実施するほか、新たに介護職員宿舎借り上げ支援事業や、電動アシスト自転車購入費用助成を開始します。また、四月には、保健医療福祉総合プラザ内に福祉人材育成・研修センターを移転し、福祉専門人材の確保や育成に関する総合的な取り組みも始めます。
現在、第八期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向け取り組んでいるところですが、介護人材の確保育成・定着支援を重点課題に位置づけ、御議論いただく予定です。区といたしましては、国が示す取り組みも踏まえつつ、今年度設置した検討会を発展強化するなど、地域課題に応じた新たな対策にしっかり取り組んでまいります。
江口じゅん子
一千人計画に見合う人材確保を重ねてお願いしまして、終わりとします。
