令和元年決算特別委員会 補充質疑

2019年10月15日 江口じゅん子区議

江口じゅん子

日本共産党の質疑を始めます。

まず、台風十九号により、区内でも多くの方々が避難、また浸水被害に遭われました。
心からお見舞いを申し上げます。

被災者の皆様が一日も早く日常生活へ戻れるよう、国、東京都、区、また区議会も一丸となって全力を挙げて対応することを求めるものです。

では、今般の十九号の被害について三点伺ってまいります。

台風19号~①被害状況の実態把握と全容解明について

江口じゅん子

まず、区としての被害状況の実態把握と全容解明についてです。

先ほど来から、他会派の方たちから被害状況についての大変な状況が切々と訴えられました。
私も区議団として発災翌日、そして昨日も、地域の方々と兵庫島の氾濫発生場所、また、浸水被害の大きかった地域を歩き、被害状況の聞き取りを行いました。

我が党は、現地を歩き、今回浸水被害が大きかったのは主に三カ所と考えています。
ちょっと小さいのですけれども、ここが多摩川が氾濫した兵庫島です。それから離れて、この世田谷記念病院のある野毛と、そして玉堤、そして尾山台の一丁目、この野毛と玉堤、そして尾山台の一丁目、ここの浸水被害が大変ひどいという状況を確認しています。
これらの地域の中には、多摩川が近いということで、家屋の土台を一メートルほどかさ上げしているお宅もありました。それにもかかわらず、床上浸水をした。

また、こちらは清掃作業をしていた方にお話を伺ったんですが、大人の男性の腰の上、指を差しているここまで水が来たんですよということで、本当に浸水の大変さ、被害の大きさ、これを目の当たりにしました。

道路網です。腰まで冠水をしたと。そしてその冠水した道路の中をアユが泳いでいたといったお話も伺いました。

発災翌日、住民の方々は、泥すくい、清掃に追われています。そして、このように、町の至るところでごみの山ができている状況です。
先ほど他会派からもこうしたごみの状況、早く解決をというふうにおっしゃっていましたけれども、本当にそういった声を私も多く伺いました。

区長も、発災直後、氾濫現場から、また世田谷記念病院までなど、そういった被害状況を確認されたと認識しております。
その世田谷記念病院ですが、正面入り口がある通りには、私と同じ四十代、三十代の子育て家庭が住む一軒家、大規模マンションが建ち並んでいます。発災翌日にその現場を歩きましたけれども、本当に家族総出で、一階全部開け放して家財道具を運んでいる、清掃している、だけれども、なかなか取れない、そういった状況でした。

一人のお父さんからお話を伺いました。ローンを抱え、購入した我が家が床上浸水、ここで暮らし続けられるのか、今後の生活はこれからどうなっていくのか不安が尽きない。
また、子どもはけなげにしているけれども、火曜日から小学校も始まる。やはり傷ついているのではないか。一日も早くもとの生活に戻れるように支援をしてほしいと本当に切々と訴えられています。被災を受けて地域の方からは、不安、困惑、要望、こうした声であふれていました。

また、発災後翌日は晴天で暑く、翌々日は小雨でした。多くの方が、このパネルの写真の方のように、Tシャツや短パン、そして下はサンダルと、マスクや手袋もせず、泥にまみれた家屋や家具を洗っていました。
これまでも、洪水後、泥などによる破傷風やレジオネラ肺炎など、特定感染症の流行が確認されています。早急な注意喚起が必要と思いました。

先ほど申し上げたとおり、区長は発災後、翌日から被害状況を確認し、被災者からの声を直接聞かれています。
そして、この間のやりとりでも、区も区民生活復旧に全力を挙げると答弁をされています。そうであるならば、区として、浸水地域の全件訪問を行い、早急な実態把握が必要です。
先ほど他会派から浸水被害がひどいと四十四件、この速報値はないだろうと指摘がありました。

私も地域を歩き、大規模マンションの一階が浸水というところを幾つか見ており、本当に区内の浸水被害、大変な数ではないかと実感しています。

本日、東京都から被害状況の把握調査が来たということを所管から聞きました。激甚災害の指定を受けるにも、区として実態を直ちにつかみ、その数を東京都や国へ上げなくては、果たしてその指定を受けることができるのか危惧をしております。

大田区は既に職員、保健師などが回っていると地域の方も既に知っていて、住民も区の積極的対応を強く望んでいます。
区として、事務、土木、保健師などがチームとなって、被災地域全件を訪問し、早急な実態把握を求めます。その際、区の支援情報、感染予防など広報啓発が必要です。

一昨日、きのうと役所は休みで、罹災証明書の発行は本日からです。
それを待つのではなく、迅速に対応していただきたい。情報を知らず、区の支援を受けられない方が出ないよう、そして発災後の感染症流行など二次被害の防止のためにも早急の対応を求めます。
区長の見解を伺います。

保坂 区長

おっしゃるように、このペーパーにまとめましたこの四十四件というのが、まさに対応を始めたところの件数であって、被害が多数発生しているということで認識をしております。

きょう先ほど聞いたところによれば、罹災証明については百件、既に出ていると、あす以降も出てくるものと思います。

委員おっしゃっている地域を回りまして、やっぱりなかなか排水が間に合わないということで、渋谷区のほうから、渋谷側対策で四台排水ポンプを職員の皆さんと一緒に来ていただいて、もう既に昨日、対処していますが、まだ足りないというふうに聞いております。

災害ごみ、被災ごみについても、この城南ブロックの中で幾つかの区で共同して人員を送っていただくということも先ほど情報が来ましたので、これはぜひ受け入れて、一日も早く被災ごみを片づけていく。
そして、おっしゃった感染症対策、これから細かいほこりになったり、そういった形で、泥をかぶったところの安全対策について保健師の訪問等、なるべく早くできるように調整して行っていきたいと思います。

江口じゅん子

地域は特定をされています。ぜひ区として早急な実態把握、全件訪問を行って、一日も早い復旧への全力の支援を求めます。

台風19号~②被災した保育園への対応について

江口じゅん子

そして二点目は、被災を受けた保育園の対応についてです。

尾山台にあるゼロから五歳児の保育所は床上浸水の被害となりました。こちらも発災直後から職員、保護者、近隣園が集まって泥かき、清掃に追われていました。

浸水した一階は調理室と三から四歳、五歳の保育室、園長先生からお話を伺いました。

二階にある階段の二段目まで浸水、調理室の水がなかなか抜けない、床も外さなければ土台がどうなっているかわからない、床下暖房は駄目になっているんじゃないか、通常保育に戻るには大規模修繕が必要になると思うが、保険でどのくらい賄えるのか先が見えない状況ですとのことでした。

この園について区の対応を伺うとともに、通常保育に戻れるまで区の責務としての積極的役割を求めます。見解を伺います。

知久 保育担当部長

今回の災害に対します対応としましては、十三日の日曜の午後三時までに被災状況をメールで知らせていただけるように各園に通知をいたしました。

十三日の午後三時に職員が参集し、情報収集に当たったところです。
今御指摘の園につきましても、十三日の日曜日に、職員二名が午後三時過ぎに現地を訪問し、状況を確認しております。
今お話しのあったように、床上浸水を確認しまして、一階の三歳から五歳児の保育室、調理室、事務室が浸水している。
また、床暖房、什器類は全て水につかったとのことでございました。

その場で、十五日のきょう、園の開設に向けて、園長とお話をさせていただきました。
浸水した三歳から五歳児のクラスが一階にございますが、そのうち三歳から四歳については園での受け入れが可能ということを確認しております。

一方、五歳児、定員が十六名となりますけれども、こちらの受け入れが当該園では難しいということで、近隣にございます公立の園に、その日に園長と調整をしまして、きょうこの十六名については、区立の園で受け入れをしているところです。
また、調理室が浸水したため、しばらく給食の提供ができないということですので、区のほうでケータリング業者のほうを御紹介させていただいて、提供についても継続していただけるように、今支援をしている状況です。

いずれにしましても、こちらは復旧にはしばらく時間がかかると思いますので、保育担当部としましても、必要な支援を継続してまいりたいと思います。

江口じゅん子

この間、区立保育園のあり方というのが示されて、区立保育園の新たな役割として、災害時の緊急保育を行うということが明記をされていますが、それに即した迅速な対応と考えております。

通常保育に戻れるまでまだまだ時間を要すると思いますので、ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
そして、被災地域を積極的に回ってきた区長としても、ぜひこの園の現状を見ていただきたいと要望します。

台風19号~③避難所の非常用電源配備について

江口じゅん子

災害対策、今般の十九号被害に対しての三点目は、総括質疑に続いて、避難所の非常用電源配備について伺います。

来年度には、指定避難所である区立小中九十校全てにエアコンが配備予定です。しかし、停電時の非常用電源はどうかというと、現状ではほぼ本部機能開設、維持のための三日から四日弱の電力が賄える程度となっています。

つまり、避難所で長期間生活をするための被災者の方のための電力確保、まだまだ不十分な状況ということを総括質疑でも指摘をしました。

今回の十九号被害では、十月で涼しく、長期間避難所にとどまり、泊まれる方も多くいました。しかし、停電時の酷暑の時期、また雪が降るような寒い時期、満員の避難所でエアコンが稼働できなければ、高齢者、乳幼児の健康被害は必至です。
そして、今般の台風被害でも長時間の停電が発生をしております。

ここは区長に伺いますが、エアコンは配備されても停電時は稼働できない、この状況をどう認識されているのでしょうか。
総括質疑で危機管理室長はでき得ることから年度内に着手をすると答弁されましたが、今後具体的にどう進めていくのか、あわせて見解を求めます。

保坂 区長

学校体育館への冷暖房エアコンの設置ですが、まず災害対策上、ガスに関しては、若干これはプラスの費用はかかりましたけれども、停電時に、みずからそのバッテリーで起動して、ガスが供給されていれば、エアコンが回り、その回っているエアコンの動力で吹き出しの電源も確保するというタイプのものを入れさせていただきました。

しかしながら、このガスタイプは全体からは少数で、今おっしゃるように、電気によるものということが多数です。
なお、その電気によるものについて、太陽光発電だと学校にあります。蓄電もあります。あるいは先ほど他会派から出ていたバッテリー、そういったものをそろえていくというのは、これから手配したいと思いますが、エアコンを稼働させるには相当の電力が必要で、やっぱり電源車などの手配がないと難しいものと思います。

これが具体的にどうできるのか、これも検証していこうと思いますけれども、最大限区の、万が一ではなくて、これから起こり得る、今回停電がなかったんですが、大停電もあり得たので、この体制について、現状はこうだと、そして課題はこうだと、課題についてできるものは直ちに着手していきたいと思います。

江口じゅん子

直ちに着手をされるということで、やはり先ほども申し上げましたけれども、停電時の避難所生活で一番被害を受けるのは、高齢者、乳幼児、そして障害者などの災害弱者です。

そして、区民の方からも、やはりエアコンがついても停電時は使えないということに対して、区の対応を求める声も寄せられています。ぜひ積極的な対応を期待しまして、次に移ります。

台風19号~専門家を交えて被害原因の調査を

江口じゅん子

この質問の最後に、これまでの質疑で、区は今般、浸水被害のあった尾山台、玉堤、野毛の被害を内水被害と言われております。

しかし、先ほど申し上げたとおり、アユが冠水した道路を泳いでいたと、実際に尾山台、また玉堤で住民の声を伺いました。
また、テレビでも捕まえたアユが映されて、報道されていたそのニュースをごらんになった方もいらっしゃると思います。

排水門、排水管、これは丸子川、谷沢川から多摩川への逆流を防ぐためのものです。
つまり、多摩川のアユが既に尾山台や玉堤などを泳いでいたことなどから、既に多摩川は逆流していたのではないかと考えております。

排水門、排水管の閉鎖の時期、適切であったのか、また、今般の被害は本当に内水被害なのか、専門家を交えてきちんと調査をする、このことが必要だと思っております。

ぜひ専門家を交えて調査をするということ、着手をしていただきたいと思いますが、所管の見解を伺います。

関根 土木部長

今回の内水被害につきましては、今後、多摩川の水位なども検証しながら、詳細に検証してまいりたいと考えております。

江口じゅん子

詳細の検討ということで、内部だけで済まさず、ぜひ専門家を交えて調査をしていただきたいと思います。

先ほど他会派からも、一体この水、どこから出たのかわからないという声を私も現地で多く伺いました。
そして、内水被害であったときに、区としての情報提供について厳しい指摘もありました。
しかし、まず、全容解明をしていかないと、これがどういった被害なのかということはわからないです。

ぜひきちんと調査をしてもらって、そしてそれを区議会や区民に明らかにすることを強く要望します。

新年度予算について~国保多子世帯の均等割りの減免を

江口じゅん子

それでは、続きまして、新年度予算について伺ってまいります。

我が党は、この間、新年度予算で国民健康保険の子どもの多い世帯の均等割の減免、これについて一貫して求めてきました。
これまで国保には他の医療保険にはない人頭税と同じ仕組みの均等割が子育て支援に逆行しているということを指摘してきました。
均等割は、加入者一人一人に課されるもので、生まれたての赤ちゃんにも当然かかります。

今年度は年間五万二千二百円になります。一方、協会けんぽ、また公務員の方が入る共済の保険など、そういったサラリーマン家庭の場合は、加入者の所得によって保険料が決められるだけです。何人子どもがいようとも保険料がふえることはありません。

同じ世田谷区民の子どもでありながら、保護者の働き方によって子どもに均等割五万二千二百円が課される場合と、そしてそうでない場合が生じます。

この間、子育て支援としての区独自の対応を求めてきました。
先日の福祉保健領域では、さまざまなシミュレーションを重ねているというふうに御答弁されていましたけれども、この間の進捗状況について伺います。

板谷 保健福祉部長

国民健康保険の多子世帯軽減につきましては、子育て支援の観点から検討を行っております。軽減の対象や影響額など、さまざまな試算を行っているところです。

また、既に行われている当区の子育て支援策との整合なども考え、就学援助基準や給食費無償化基準といった一定の所得制限を設けた場合の試算などもあわせて進めているところでございます。

区独自の多子世帯均等割軽減策につきましては、子育て以外の被保険者や国保以外の区民の皆様にも御理解をいただくこと、財政面の課題や条例等の法制面での整理も必要となってまいりますので、引き続き検討を続けてまいります。

江口じゅん子

引き続きの検討をお願いいたします。

そして、子育て支援としての均等割の減免を求めていますが、区長に伺いますけれども、このことに対しどのような観点で、そしてどのような家庭や子どもへの支援が必要と考えているか、伺いたいと思います。

保坂 区長

九十万人を本年切りそうだと、二年予想より早くやってきました。

もう少子化が本当に決定的になってきていて、この国保の均等割について、子どもの人数がふえればふえるほど人数分ふえるというのは、やはり子育て支援に逆行しているだろう。
特別区区長会でも、国に既に申し入れていますけれども、例えばフランスでは第二子五〇%、第三子無償などの子どもが多ければ多いほど減免していくさまざまな手当てや制度がございます。

これにも倣って、これは緊急にやっていかなければならないと問題提起をするとともに、区として何ができるのか、具体的な検討をするように所管に指示しているところであります。

子育て支援の観点から、課題整理、実施検討に鋭意当たらせたいと考えております。

江口じゅん子

よろしくお願いいたします。

新年度予算について~保育士の処遇改善加算の継続を

江口じゅん子

それでは、新年度予算の二点目としては、保育士の世田谷区独自の月一万円の処遇改善加算について伺ってまいります。

さきの代表また一般質問でも多くの会派から、我が党を含め、八万二千円の保育士など、職員の家賃助成の継続、これをしっかり東京都や国に求めていただきたいと要望が相次ぎました。

そして、私もこの間、保育関係者の方から伺っていますが、やはり子育て支援に大変力を入れている世田谷区の象徴として、この区独自の月一万円の処遇改善、これもぜひ継続をしていただきたいと、このように強い要望をいただいております。

この間の答弁では、家賃助成については積極的に働きかけるという御答弁でしたけれども、区独自の月一万円の処遇改善についてはどのように考え、どう対応していくのか、所管の見解を伺います。

知久 保育担当部長

区では、次期子ども計画において、令和二年度から四年度は一定数の保育施設整備が必要と見込んでおり、保育人材確保策としまして御指摘の月額一万円の区独自の処遇改善助成は大変重要な事業であると認識しております。

本事業については、令和二年度までの実施を既に決めておりますが、三年度以降の取り扱いについては、宿舎借上げ支援事業を初め、令和三年度以降の人材確保及び定着支援策を決定していく中で検討してまいります。

江口じゅん子

保育関係者の方、これは象徴というふうにおっしゃっていました。
ぜひ継続を強く求めまして、以上で日本共産党の質疑を終わります。

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