令和元年決算特別委員会にて総括説明・総括質疑
2019年10月01日 江口じゅん子区議
江口じゅん子
日本共産党の総括質疑を始めます。
本日は、十月一日です。
消費税一〇%増税が強行されました。
日本共産党は廃止を目指し、市民とともに、まずは減税に向けて野党間の協議と共闘を進めてまいります。
区においては、さきの私の一般質問に区長が御答弁されたように、区民の命と暮らしを重視し、必要な対応を検討、そして実施することを求めるものです。
災害対策について
江口じゅん子
それではまず、災害対策について大きく二点伺っていきます。
これまでの各会派の質問でもおっしゃっていましたけれども、災害から区民の命と暮らしを守るのは自治体の大きな責務、本当にそのことを強く実感します。我が党はこの間、従来の想定を超える自然災害が相次ぐ中、区としてこれまでの枠組みを超えた積極的な対策を求めてきました。
先月九日、首都圏を直撃した台風十五号は、関東に上陸した台風では最大級で、記録的暴風雨に見舞われました。区内でも強風で一名がお亡くなりになりました。
特に千葉県では、住宅一部損壊、約一万一千七百件、停電は最大六十四万戸、それに伴う熱中症と見られる死亡は四名、県内全ての停電が復旧したのは先月の末でした。
改めてお見舞いを申し上げるとともに、日本共産党は、引き続き被災地支援に全力を挙げるものです。
先ほど他会派から千葉県鋸南町にボランティアに行かれたという話があって、本当にありがたいなと思いながら聞いていました。実は私の親戚も大きな被害を受けた千葉県鋸南町に住んでいます。
停電により、親戚と連絡が一切とれなくなって、町役場に電話しても避難者名簿に載っていない。約一週間安否がわからず、その週末に鋸南町に行き、再会したときは本当に安堵しました。
親戚も高齢ですので、長引く停電、先の見通しがわからない状況に疲れ切っていました。
鋸南町のたった一つの病院やスーパー、ガソリンスタンドは二つしかないんですが、そういったところは全て営業停止、給油ができないので、遠くの町へ買い出しや持病の薬がなくなっているが病院にも行けない。
また、町の多くは屋根が一部剥がれ、ブルーシートで応急処置をしていますが、修繕は順番待ちでいつ来るかわからないという状況でした。
私も現地に行って、電気というライフラインが途切れることが、社会生活のさまざまな機能をストップさせ、そしてそれが長期になるほど高齢者など災害弱者の健康被害に直結するということを実感しました。
さらに、通信の断絶、情報不足が不安、混乱を増していることを感じました。
今回の被害拡大の背景に、安倍政権が内閣の組閣を優先し、全体の対応と被害実態の把握がおくれたことがあり、政府の責任は大変重いと指摘をするものです。
区長は今定例会の招集挨拶で、強風による停電などのリスクへの備えの必要性を強く認識し、至急チェックをかけるように指示したと述べられました。
当区においても、台風の直撃、また首都直下地震などいつ大規模災害に遭うかわかりません。
今般の災害を受け、停電のみならず、通信の確保、災害弱者対策、またおくれている住宅耐震化・不燃化促進など、改めて区民の命と暮らしを守るため、災害対策全般のチェックと促進が必要です。まず、区長の見解を伺います。
保坂 区長
改めて、千葉県で長いこと被災されている皆さんにお見舞いを申し上げ、また、区内で亡くなった方にも御冥福をお祈りいたします。
大規模停電については、昨年、台風二十一号で大阪、それから胆振東部地震で北海道全体がブラックアウトするという経験がございました。
今回、千葉県で起きた大停電、大阪の場合、昨年三日で回復していますが、これはもう一週間にも及んだと、あるいはまだそれでも電気がついていないところもあったということで、大変長期間に及びました。
そこで、私たちは、一応七十二時間、三日間ということで、いわゆる蓄電、あるいは発電機等の設備を配置してきましたけれども、必ずしも三日間で復電するという保証はないということがここで明らかになったかと思います。
緊急対策会議を開きまして、特に学校において避難所になるということを想定すると、ソーラーパネルがありますが、どこまでどのぐらいの性能があるのか。蓄電池を入れた場合に、どのような機能向上があるのかの点検、また、これから災害弱者、特に酸素吸入されているような皆さんに対して、現状はどうなのか、そして救援に向かうとすれば何ができるのか、それを至急点検して、大地震対策、大地震火災の災害シミュレーション、防災訓練をやっておりますけれども、いわゆる大停電も含めて強風対策、この風ということに対して大変備えが脆弱であるということもわかりましたので、至急進めてまいりたいと思います。
江口じゅん子
至急進めていくということで、ぜひ迅速な対応をお願いしたいと思います。
そして今、世田谷区からも、この間、千葉県君津市の支援を対口支援で指定をされ、また、まちづくりセンターなどで千葉県の災害の義援金も受け付けています。
先ほど清掃・リサイクル部の派遣という話もありましたけれども、こうした被災地支援への継続的で積極的な取り組みを引き続き求めるものです。
それでは、今回の災害を受けて、具体的に避難所となる区立小中学校体育館の非常用電源配備について伺います。
今般の災害では、停電の長期化、それに関連すると見られる高齢者の熱中症死亡などが起こり、改めてその必要性を痛感するものです。
まず、現在の避難所の電力の想定使用量と避難所の燃料の備蓄について伺います。
工藤 危機管理室長
避難所につきましては、夜間の照明や防災機器類稼働のための電源としまして、現在、発電機用のガソリン三十リットル、ガス発電機用のボンベ四十六本を備蓄しておりまして、また現在、ソーラー式の蓄電池の配備を進めているところでございます。
燃料の保管等につきましては、法的な規制があるため、これ以上の量の備蓄は困難でございますが、災害時に燃料を調達するための関係団体との協力協定を締結しているところでございます。
先ほど御質問いただきました想定使用量等につきましては、現在の取り組みでは、避難所で使用する電源機器、一日当たりの消費電力は二十九キロワットアワーを想定しておりまして、今ある備蓄燃料等では百十五キロワットアワーが捻出できますので、単純に割り算しますと、およそ三日間強賄うこととなります。
江口じゅん子
所管から避難所一カ所の電力想定使用量と燃料などの備蓄一覧表をいただきました。
今、室長の御答弁で、避難所で使用する電源機器の消費電力は二十九キロワットアワーとありましたが、それはどういう機器かというと、ここに書いてあるんです。読み上げたいと思います。
避難所一カ所における電力の想定使用量、ワイヤレスアンプ、マイクセット、有線電話、ファクス、防災無線、PHS、個別受信機、テレビが二台、ラジオ、投光器などなどとなっております。
つまり、この避難所一カ所における電力の想定使用量の機器というのを見ますと、現在の避難所の電力とその備蓄というのは、避難所の本部機能を開設、維持するための電力であって、そしてそれを三日間強維持するための燃料備蓄となっているということがわかります。
問題は、被災者となる区民が避難生活を送るための電力想定とその非常用電源については、現在ほぼ準備がされていないということです。
実際停電時は、体育館の照明が薄明るくなる程度と聞いています。発災時に被災者となる区民が避難所で生活するための非常用電源配備の充実は待ったなしの課題と考えます。
いつ来るかわからない災害に対し、避難所の非常用電源確保をどうしていくのか、具体的な対応を着実に進めていただきたい。
区はこの間、来年度には体育館のエアコン設置をまず進め、非常用電源確保については検討と答弁されていますが、この間の教育委員会の取り組みについてまず伺います。
淺野 教育次長
区では、昨今の猛暑から児童生徒の健康を守ることを主眼としながらも、災害時の避難所ともなることから、区立小中学校の全九十校の体育館への空調設置を進めております。
現在、体育館への電力供給能力を踏まえまして、電気式とガス式の二方式で設置を進めておりまして、来年の夏までには全校の体育館への設置を完了する予定となっております。
停電時への対応でございますが、停電時に空調機の電源を確保するには相当規模の発電装置が必要となりますが、ガス機器の空調機によっては停電時においても自立的に稼働し、空調機を利用できる機種がございます。
教育委員会としましては、ガス式を導入する二十一校全てにこの停電時でも使用できる空調機を設置する方向で手続を進めております。
今後も多様な手法を組み合わせるなどの工夫を凝らしながら、災害対策担当とも連携し、避難所の充実を図ってまいります。
江口じゅん子
教育委員会の積極的な対応と評価をしますが、それでは、危機管理室の見解を伺います。
工藤 危機管理室長
現在、先ほど区長からも御答弁がございましたが、指示のもと、台風第十五号による大規模停電等を踏まえた区施設の点検をしておりますが、特に避難所につきましては強化する必要があると認識しておりますので、他自治体で導入をしている避難所の電源に電気自動車を活用する事例なども参考にしまして、災害時の新たな電源確保のあり方について検討を進めまして、スピード感を持って対応してまいります。
江口じゅん子
スピード感を持ってということですが、具体的なその時期ということに関してはどのように考えていらっしゃいますか。
工藤 危機管理室長
できることがしっかり確認できれば、年度内にでも着手できればと考えております。
江口じゅん子
このたびの千葉県の災害を受けて、やはり東京と千葉、とても近いですから、区民の方からも、いつ世田谷区だって台風直下ということがあり得る。そういったときに、世田谷区の災害対策、避難所って大丈夫ですかという問い合わせを伺っています。
今の室長の御答弁で、災害時の避難所の新たな電源の確保のあり方について、できるところから年度内にということをおっしゃられていました。
その方法として、電気自動車を活用するということもあるということですが、しかし、発災時、道路の状況がどうなっているか、これは本当にわかりません。
やはり避難所自体が自立をして、そこの非常用電源を確保する、こういった取り組み、本当に必要だとは思いますので、大変だと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。
民間活用・官民連携について
江口じゅん子
それでは、続きまして、民間活用、官民連携について伺います。
当区では、人口増加などに伴い、行政需要や区民から求められる支援は拡大の一途です。例えば区内では、二十八地区の福祉の相談窓口などなど、多様な行政と民間の連携、活用が広がっています。
我が党はこの間、民間活用、官民連携に当たって、区が担う役割と重要性を認識し、慎重に対応することを求めてきました。そして、その基本的考え方として、公的責任について、今後も行政が担うべき事業について、民営化になじまない事業についての基本を定めることが必要と考えます。
なぜなら、民間活用にはリスクが伴うからです。
その一つが、サービスの安定性、持続性です。民間企業は、本質的に収益を上げることが目的であり、事業収益の減少などによる廃止、撤退、倒産などもあり得ます。
具体的に区内でも昨年末、企業主導型保育所の突然の休園や経営困難な園が続出の問題が起きました。
待機児解消、認可ではなく、多様な経営主体による無認可保育所、企業主導型保育所で行うという国の制度により、子どもたちの行き場がなくなる、保育の質を脅かす重大な問題が、当区のみならず、全国で起きています。
公共サービスは同一条件で、長期にわたり住民にひとしく提供されることが必要ですが、民間化された場合にはその保証はありません。
そして、二つ目のリスクとして、自治体の財政コストの増加があります。まず、民間事業者が適切なサービスを提供しているかどうかチェックする上で、行政には必要な人員や事務に財政の負担が生じます。さらに、当初は低廉であった民間への委託が、中長期的には財政負担を増すという各地の実例が今問題になっています。
例えば東京都では、現在四カ所の都立病院で医者と看護師以外の病院業務にPFIを導入しています。財政負担の抑制が目的と導入されましたが、導入から約十年が経過し、都議会ではこの経費増大が大きな問題となっています。
幾つかの病院では、今の水準の支出が続けば、契約額を数百億円規模で超過をする、そういった想定が出ています。
我が党は、今回の都議会で東京都に対しこの問題を質問しましたが、東京都はこの契約額の数百億円規模を超過する想定に対し、その要因は精査中と答弁をしています。その他、民間活用のリスクとして情報公開の対象にならないなど、情報の透明性の問題や自治体が現場のサービスを手放すことで、チェック能力が失われるなど問題が各方面から指摘をされています。
区としては、民間活用を考える際、公的責任をしっかりと担いながら、こうしたリスクを踏まえ、事業者によるサービスの質をどう確保し、チェックしていくか、そのルールづくりが必要です。保育分野では、区立保育園の民営化に際し、保育の質を守る行政の責任を明確化し、保育の質ガイドラインを制定し、その指導、支援を行ってきました。この経験をほかの民間活用、官民連携でも生かす必要があると考え、区の見解を伺います。
中村 政策経営部長
民間活用や官民連携の基本的な考え方につきましては、新実施計画の行政経営改革十の視点で明らかにしているところです。
保育の質のガイドラインを含めまして、公共サービスの向上とコスト縮減を目指しつつ、行政がその責任において、事業者によるサービスの質の確保を図るということが基本的な考え方であると考えています。
区が直接行うべき役割はしっかりと担いながら、民間活用を図る場合には、サービス基準の提示や運営状況の検査、監査等により質を確保することは重要だと考えております。
民間企業との連携についても、官民連携指針において、官民連携の目的を公共サービスのさらなる充実と位置づけているところです。公共サービスを担うのは、行政のみではなく、民間企業も地域社会の一員として存在していることから、ともに連携することでよりよい公共サービスを提供できるという考えに至っています。
また、民間企業と対等な立場で信頼関係を構築していくことも重要視しており、対話を通じて行政の意見、地域の声を知ってもらい、公共サービスのさらなる充実をともに目指すこととしております。
お話のありました保育の質のガイドラインは、考え方を公開し、実務の場でさまざまな御意見をいただきながら、運営の考えも磨かれてきたと認識しております。そうした経験を他の民間活用、官民連携に生かしていきたいと考えております。
江口じゅん子
その方向でよろしくお願いいたします。
指定管理者制度のガイドライン制定について
江口じゅん子
それでは、以上の立場で具体的に指定管理者制度のガイドライン制定について伺ってまいります。
指定管理者制度は、区民の共有財産である公共施設の管理運営を民間に委ねるものです。我が党はこの間、区民サービス向上、コスト縮減、質の確保を行政の責任を明確にしながら進めるルールとその具体化を求めてまいりました。
まず、進捗状況と今後のスケジュールについて伺います。
中村 政策経営部長
現在検討中の指定管理者制度運用に係るガイドラインですけれども、庁内からの意見募集をしており、現在調整中でございます。
区議会の御意見もいただき、十二月の策定を目指してまいります。
江口じゅん子
先ほど申し述べたとおり、公共施設は区民のための施設です。
ですから、ガイドラインは行政の内部文書、行政が見てわかるというものではなくて、住民のためのものと位置づけていただいて、やはり誰が見てもわかる、そういったガイドラインにしていただきたいと思います。これまでも求めてきましたが、改めて区の見解を伺います。
中村 政策経営部長
このガイドラインは、これまでの行政内部の規定としていました実施要領も含め、指定管理者制度の世田谷区における運用の考え方から実務的な取り扱いまで一つにまとめて示して、このことにより区と区民、事業者との共有を目指していくものです。
さらに制度そのものを開かれたものとするために、これは昨年度から実施しています指定管理者選定委員会の会議録要旨や、今年度から実施しています指定管理者候補者の提案書、これを区議会の報告の際に資料として添付するなど、指定管理者制度に係る情報の公開としてガイドラインに明記をしたところです。
また、モニタリングや年度評価において利用者アンケートを実施するなど、日常から利用者の意見や評価を把握するとともに、指定管理者による自己評価や、施設所管による区の評価、外部委員を含む選定委員会による評価など、複数の評価を通じまして、区民の意見や評価を反映することを改めてガイドラインには示す予定です。
江口じゅん子
全国でこの指定管理者制度はもう導入されて何年もたっております。
私どももさまざまな自治体のガイドラインのほうを調べさせていただきましたが、横浜市などは、区民と事業者が共有ということで、区民、市民が見ても大変わかりやすい内容になっておりました。
十二月の策定ということですが、ぜひ先進自治体の取り組みも参考にしていただいて、策定をお願いしたいと思います。
それでは最後に、ガイドラインにおいて、区と事業者の参加と協働を位置づけることを提案いたします。
玉川野毛町公園拡張事業のキックオフシンポジウムに参加された方からお話を伺いました。公園にはこの地域の歴史があり、区民がかかわってきた経緯がある。
そうしたことを踏まえて検討してほしい。既に決まったことということで何を言ってもというような印象を受けたが、ぜひそういったことはお願いしたいという意見を伺いました。選定過程においては、こうした区民意見の反映や、そして地域とのかかわり、歴史などがそういった施設にはありますので、そうした考慮が必要と考えます。
また、既に指定管理者を導入した施設には、例えば区民センター、区民会館、図書館など広く区民が利用する施設があります。
導入後の安定的で質の高いサービスの提供のためにも、区のチェックのみならず、区民、区、事業者が一堂に協議をする場や、また区民意見反映の仕組みをガイドラインに位置づけることを求め、区の見解を伺います。
中村 政策経営部長
例えば図書館では、住民ボランティアによる読み聞かせなどを行っていますけれども、指定管理者制度導入後もそのような地域住民による運営協力が継続されて、既存の利用者がこれまでと同様、あるいはこれまで以上に利用しやすいようにすることが肝要だと考えています。
そのような既存の施設利用者など、区民の意見やこれまでの施設の運営経過をきちんと踏まえた上で、制度の導入を検討していくべきものと考えております。
指定管理者施設の運営に区民の意見が反映できるよう、新たに策定しますガイドラインにも考え方を盛り込んで、区民にもそのことがわかりやすく伝えられるよう工夫をしていきたいと考えております。
江口じゅん子
以前、我が党のほうで経堂図書館の指定管理者制度導入後に、長年、経堂図書館で読み聞かせをしていたボランティア団体が撤退をする、こういった問題を取り上げさせていただきました。
やはり指定管理者導入によって、その質が低下をする、そういったことはあってはなりません。
こういった区民意見の反映、こういったことをしっかりガイドラインに盛り込んで、質の確保、そして安定的なサービスの提供、ぜひ実現していただきたいと要望いたしまして、日本共産党の質疑を終わります。
