平成31年第1回定例会 本会議 一般質問
2019年02月22日 江口じゅん子区議
都道(補助)52号線について
江口じゅん子
質問通告に従い質問します。
まず、都道補助五二号線について伺います。
この間、沿線での反対の世論は広がっています。昨年末、祖師谷での環八以西、つまり千歳台、祖師谷、成城の地権者、住民を対象とした住民団体の懇談会に約百二十名が参加、今月、祖師谷での学習交流会には約百名が集まりました。これほどの参加に、地元でも話題となっています。
私も、これら集会に参加しました。告知ビラを見て、初めて計画が進んでいることを知り驚いた等、子育て世代から高齢世代まで幅広い方々が集まり、住民不在で検討が進められているなど驚きと憤りの声であふれました。その後、環八以西の地域で新たに住民の会がつくられ、都知事、区長宛ての要望書も届けられたと聞いています。
私は、世論が広がっている背景として、以下三点指摘をします。
一点目は、住民不在の計画決定と十分な説明や合意形成がない計画推進についてです。
五二号線は、昭和二十一年、決定、認可する主務大臣、内閣は不存在であるにもかかわらず、都市計画決定がされました。原図はありません。地主、住民への説明や了解の手続も行われていません。
さらに、五二号線は、昭和四十一年に都市計画変更され、位置や幅員が変わっています。千歳台一丁目の七十代のある地権者は、うちはもともと計画線に入っていなかったのに、ある日、それが突然変わった、説明を受けた覚えもないと話されていました。
決定当時と社会情勢は大きく変化しています。国交省が平成二十九年に示した都市計画道路の見直しの手引きでは、人口減少などの社会経済情勢の変化から持続可能な社会を構築していくため、選択と集中を図る必要があり、未着手区間の中には当初の都市計画決定から長期間が経過しているものもあり、特に再検証に積極的に取り組むことが求められるとしています。都の計画推進に住民理解は得られていません。
二つ目は、必要性についてです。
都や区はこの間、防災性向上、道路ネットワーク形成など整備効果を説明しています。しかし、地域の方々からは、いつできるかわからない道路より、今すぐできる震災対策のほうが優先、こういった受けとめです。
さらに道路ネットワークに関しては、経堂、船橋の方からは、城山通り、小田急の高架下側道、赤堤通りと既に東西に並行に走っている道路があり、五二号線は不要の声、千歳台から成城の方からは、五二号線はそもそも成城四丁目で行きどまりの計画、平成二十八年には住民運動もあり、成城四丁目から七丁目までの五百五十メートルの区間が廃止されている、本当に必要なのか、こういった声が聞かれています。
三点目に、環境、暮らし、まちづくりなど地域への被害は絶大ということです。
現道がない計画線には、住宅、商店街などが建ち並び、既に住民生活は何代にもわたり根づいています。宮坂から行きどまりの成城まで、商店街は経堂本町通り、農大通り、経堂西通り、ちとふな商店街、祖師谷のウルトラマン商店街と五つも分断します。さらに、経堂の福昌寺などの寺、認可保育園が園庭に指定している経堂の児童遊園、烏山川緑道などを横断します。生活やコミュニティーの基盤などが壊され、多くの商店、住居が立ち退きになります。
祖師谷小の保護者からは、うちの学校は校区に信号がないというのが地域の自慢、五二号線ができると校舎のすぐ裏を並行して幅二十メートル道路が走ることになり、子どもたちの交通事故が一番心配と話されていました。区長は、これら地域の声、運動をどう受けとめ、対応していくのでしょうか。
これまで区長は、参加と協働を標榜され、まちづくり分野では、小田急線上部利用計画において、北沢PR戦略会議、北沢デザイン会議を実施し、住民、行政、企業の協働を実現してきました。この立場で、都市計画道路にも対処していただきたい、区長の見解を伺います。
保坂 区長
区立保育園についての考え方を申し上げます。
区立保育園は、身近な公設の児童福祉施設として、全ての保育施設間のネットワークの核となりまして、安全で質の高い保育の提供、子育て家庭への支援、地域、地区に目を向けたきめ細やかな事業を展開していく、その意味で大変有益、また大切な存在だと考えております。職員一人一人がその存在意義を自覚、認識し、必要な人員体制や財源を確保し、果たすべき役割を担っていただきたいと考えています。
全ての子どもの安全と健やかな育ちを保障するためには、区立保育園がいわばネットワークの核となって、区立保育所も含む区内全ての民間の認可保育園、認証保育所、また認可外も含めて子育て家庭への支援や保育の質の維持向上に取り組んでいくことが必要だと考えています。
今回お示ししました区立保育園の今後のあり方についてですが、区立保育園が日々の保育を通して保育の質の維持向上、災害時や施設閉園時の緊急事態への対応、また、世田谷区において成育医療研究センターともかかわりの深い医療的ケア児が大変多く、この医療的ケア児の受け入れを要望する保護者の声にしっかり応えていく、地域、地区での公的なセーフティーネットとしての役割を担うことを定めて、老朽化の進む施設の再整備の進め方についても改めて整理をいたしました。
事業の展開に当たりましては、日々変化いたします待機児童の状況等を判断をした上で、現在行っている弾力化、また現在業務の見直しも行い、保育現場の負担軽減にも着目しながら、来年度以降、順次できるところから実施をしてまいります。
小山 道路・交通政策部長
私からは、補助五二号線と公共交通不便地域対策につきまして順次御答弁申し上げます。
まず、補助五二号線に関してでございます。
都市計画道路補助第五二号線は、区内では環状七号線から補助第一二八号線までの区間を現在東京都で事業中であり、これに続く環状八号線までの区間は、東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)において、平成三十七年度までに事業化を目指す東京都施行の優先整備路線として位置づけられております。さらに、環状八号線から成城の補助二一七号線の区間につきましては、事業者、事業化時期ともに未定の状況にあります。
都市計画道路整備には賛否両論ございますが、補助第五二号線につきましては、事業中区間、優先整備路線区間に加え、環状八号線以西につきましても、事業反対の声が区にも要望書として寄せられているところでございます。
区では、お寄せいただいた区民の声を伺う中で、道路事業反対の声が生まれる背景として、事業実施によって地域に根差した生活やコミュニティ、積み重ねられた地域の歴史などが失われたり、沿道の土地利用が変化して、まちの環境が悪化するのではないかなどの不安があり、事業の必要性に対する疑問にもつながっていると考えております。
東京都と区市町は、これまでも都市計画道路について不断の見直しを行ってきており、将来の見直しにおいては、区民の御意見を適切なプロセスで受けとめて反映に努めるとともに、事業化に際しては丁寧な情報提供と説明を行い、地権者住民の合意形成に努めてまいります。
砧地域の公共交通不便地域対策について
江口じゅん子
次に、砧地域の公共交通不便地域対策について伺います。
この間も、砧・大蔵地域の特に高齢者の方々から、ワゴン車を活用した新しい交通手段の期待の声を伺っています。砧一丁目の方は、環八を走る路線バスは渋滞で時刻表どおりに来たことがない、早くバスを通してほしい。大蔵一丁目の方は、随分時間がかかっているが、バスが走る件はどうなっていますか、このように問い合わせが来ております。
新年度予算案に実証運行予算が計上されなかったことは残念でした。地元の阿久津議員も言われていましたが、計画中止があってはならない、これは地域の圧倒的な声です。さらに、不便地域解消は全区的課題です。
区として、これまでの到達と課題は何か、さらに延期の理由を地域に丁寧に説明することを求め、伺います。
実現に向けての最大の課題は経費であり、持続可能な運行を実現するスキームが必要です。住民はもちろん、企業、団体との協力連携を進め、ともに支え合い、広く協力を募るための仕掛け、工夫が必要と考え、以下提案します。
砧・大蔵地域は、古くから福祉、医療のまちです。友愛十字会や成育医療センター、また少し離れ、関東中央病院などがあります。
例えば成育医療センターには、地方から長期入院の子どもに付き添う家族のため、敷地内や徒歩圏内に安価に宿泊できるドナルド・マクドナルド・ハウスなどがあります。建設、運営は、全て寄附収益です。
さらにセンター内には、医療的ケア児と家族のためのショートステイ施設、もみじの家があります。こちらも運営の多くは寄附に依存と聞いています。
バスにこれら施設のラッピング広告を行う、また乗車することで、一部その収益が施設側に入るなど、地域の足の確保とともに、病気の子どもや親を支える仕組みを検討してはどうでしょうか。広く広報し、全国からの寄附も期待できます。
一つの提案ではありますが、運行実現には工夫、仕掛けが必要であり、今後の展開について伺います。
区として、採算確保のさまざまな工夫を十分に行った上で、早期の実証運行、その後の本格運行の実現には、区としての経費補助が必要となる場合もあります。地域の高齢化はますます進展します。
さらに、障害者、乳幼児を抱えたママなど、誰もが閉じこもらず外出できるよう、移動手段の確保は重要です。それをどう実現していくのか、区政の姿勢が問われます。区の見解を伺います。
小山 道路・交通政策部長
次に、砧地域の公共交通不便地域対策につきまして、三点御答弁申し上げます。
まず、地域に丁寧な説明等、これまでの到達点、課題等についてでございます。
区は、これまでに地元勉強会を六回開催するほか、砧地域在住の三千名の方々を対象としたアンケート調査を二回実施するなど、地域のニーズに即した対策の検討を進めてまいりました。
昨年十月には、地元町会・自治会、商店街で構成する砧地区公共交通協議会を発足し、将来的には、地元がコミュニティ交通を運営していくための体制を整えていただいております。さらに、交通管理者とも協議を重ね、現地実査を行い、運行ルート案やバス停の設置について検討を進めてまいりました。
しかしながら、砧地域は狭隘な道路も多く、歩車道が分離されていない通学路を走行することとなるため、安全対策等の強化やバス停の設置についても地元の理解を得ていく必要があります。
また、運営継続性の観点から、運行経費の収支の改善が重要であり、運賃以外の収入確保策が継続的な運行につなげるための課題となっております。
この間、早期の実証運行に向けた調査検討を進めてきたところでございますが、解決すべき課題も多く、継続可能な運行計画を策定するためにも、来年度は、これらの課題解決に向けて取り組んでいくこととしました。
区といたしましては、協議会と引き続き協力して取り組むとともに、勉強会等の場を活用して、地元住民の方々にも、これまでの経過や今後の取り組みにつきまして丁寧な説明に努めてまいります。
次に、実現には工夫や仕掛けが必要であり、今後の見解についてどうかというお尋ねでございます。
区といたしましては、これらの課題解決に当たり、まずは地元の方々にモデル地区の取り組みを知っていただき、その必要性を御理解いただくことが重要と考えております。
そのため、地元協議会ともさらに協力しながら、運行ルート等について地元の方々に丁寧に説明し、地域への積極的な広報を行いつつ、引き続き交通管理者とも粘り強く協議を進め、安全対策を実施してまいります。
また、運行収支の課題については、これまでもサポーター制度等の活用を検討してまいりましたが、議員お話しのとおり、さらに広い視野で、福祉、医療機関、企業などとも連携し、継続的な運行につながるための工夫も必要と考えております。
区といたしましては、将来的に本取り組みが区内のほかの不便地域の対策につながるよう、今後も検討を進めてまいります。
最後に、移動手段の確保は非常に重要であり、どう実現していくのか、区の姿勢についてでございます。
持続可能な運行の実現のためには、まずは運行経費の縮減やサポーター制度等の運賃外収入の確保策について、地元協議会と協力して検討していくことが重要であると考えております。
その上で、区といたしましては、コミュニティ交通を継続可能な運行につなげるため、他の自治体の事例等を参考とし、また東京都の補助金の活用も視野に入れながら、地元の機運を醸成していく中で、さまざまな工夫により支援のあり方を検討してまいります。
以上です。
保育施策についての区長の考えについて
江口じゅん子
最後に、保育施策についての区長の考えを伺います。
今議会に、平成二十四年策定の区立園統廃合を進める再整備方針を見直した区立保育園の今後のあり方が報告されました。区立保育園は、子どもの育ちのセーフティーネットとしての役割を行政の責任のもと担い、全ての子どもたちの安全と健やかな育ちを保障すると新たに規定、さらに老朽化園改築を進めるものです。
昨年末、区内で企業主導型保育所の突然の休園、経営困難な園の続出の問題が起きました。さまざまな保育事業と多様な運営主体の参入があり、不安定な保育運営、質の問題も顕在化しています。
区はこの間、保育の質を根幹に据えた保育行政を推進してきました。区の直営施設である区立園の存在は、保育の質を守るとりでです。経験豊かな職員の専門性と人材を生かし、保育ネットや巡回指導などで保育の質を支えています。区がその現場を手放せば、すなわち子どもの命と健やかな成長が脅かされることにつながります。
今議会で区は、来年度、新たな統廃合計画を決定、公表と答弁をしています。しかし、これは単に数を減らす従来型の行革であってはなりません。新実施計画後期の行政経営改革の取り組みでは、区立園の再整備に当たっては、今後の保育需要を見きわめながら、施設更新による効率化を図りつつ、地域の子育て支援機能や保育の質の向上に向けた取り組みなどを効率的、効果的に推進と明記をしています。この実現には、現行の体制維持が必要です。
区立園運営には国の補助金はなく、今後の幼児教育無償化で、さらに区の財政負担は増します。区がこの間、独自努力を続けてきたことを評価し、今後も区としての公的責任をしっかり担うことを求めます。今後の区立保育園について、区長の見解を伺います。
保坂 区長
区立保育園についての考え方を申し上げます。
区立保育園は、身近な公設の児童福祉施設として、全ての保育施設間のネットワークの核となりまして、安全で質の高い保育の提供、子育て家庭への支援、地域、地区に目を向けたきめ細やかな事業を展開していく、その意味で大変有益、また大切な存在だと考えております。職員一人一人がその存在意義を自覚、認識し、必要な人員体制や財源を確保し、果たすべき役割を担っていただきたいと考えています。
全ての子どもの安全と健やかな育ちを保障するためには、区立保育園がいわばネットワークの核となって、区立保育所も含む区内全ての民間の認可保育園、認証保育所、また認可外も含めて子育て家庭への支援や保育の質の維持向上に取り組んでいくことが必要だと考えています。
今回お示ししました区立保育園の今後のあり方についてですが、区立保育園が日々の保育を通して保育の質の維持向上、災害時や施設閉園時の緊急事態への対応、また、世田谷区において成育医療研究センターともかかわりの深い医療的ケア児が大変多く、この医療的ケア児の受け入れを要望する保護者の声にしっかり応えていく、地域、地区での公的なセーフティーネットとしての役割を担うことを定めて、老朽化の進む施設の再整備の進め方についても改めて整理をいたしました。
事業の展開に当たりましては、日々変化いたします待機児童の状況等を判断をした上で、現在行っている弾力化、また現在業務の見直しも行い、保育現場の負担軽減にも着目しながら、来年度以降、順次できるところから実施をしてまいります。
江口じゅん子
五二号線について、答弁では道路事業反対の声が生まれる背景、丁寧にお答えいただきました。
ぜひこの声を、今から地元区として主体的に東京都に伝えるなど、参加と協働を貫き、主体的対応をとっていただくことを重ねて要望し、終わります
