平成30年第3回定例会 本会議 代表質問
2018年09月18日 江口じゅん子区議
災害対策について
江ロじゅん子
日本共産党世田谷区議団を代表して、質問します。
はじめに、災害対策についてです。 ここで、西日本豪雨災害、台風21号災害そして北海道胆振(いぶり)東部(とうぶ)地震で被害にあわれた皆様に、心からお見舞い申し上げます。この夏、大きな地震、記録的豪雨、強力台風の上陸が相次ぎ、災害級の猛暑も合わせ、各地で深刻な被害をもたらしています。
多くの専門家が一連の災害要因に、地球環境の異変、気候変動を指摘しています。地震活動も活発化し、首都直下地震もいつ起きるとも限りません。
区内でも8月27日、玉川地域で時間111ミリの猛烈な集中豪雨が発生しました。
想定を超える災害に対し、住民の生命と財産をどう守っていくのか。今議会でわが党は、区の災害対策について、一般質問を含め各分野で伺ってまいります。代表質問では、3点について質します。
1点目は、被災地支援についてです。
台風21号は、強風による死者は13名、強風等で8府県で約225万戸と、平成に入ってから西日本で最大の大規模停電が発生。高潮による浸水で関西国際空港が一時全面閉鎖しました。
続いて6日には、最大震度7の北海道胆振東部地震が発生。大規模な土砂崩れ等で死者は41名。火力発電者が被害を受け、連鎖的に道内の発電所が停止。泊原発の外部電源が喪失し非常用電源に切り替わり、改めて地震国日本での原発の危険性を露呈しました。
史上初の道内全域停電いわゆるブラックアウトが起き、断水、病院機能停止、JRの全線運休等市民生活に甚大な被害が起きました。いずれも過去最大級の被害です。
被災地に対する全国からの支援が必要です。まず、区の被災地支援について伺います。
危機管理室 室長
現在も困難な復旧の続く7月の西日本豪雨も束の間、9月6日未明には最大震度7の北海道胆振東部地震が発生し、またしても多くの方が亡くなられ広範な地域が被災しました。
区はこれまでも、交流自治体などが被災した場合に迅速に情報収集を行うとともに自治体に被害状況や支援の必要の有無を確認し、職員派遣や救援物資、見舞金の贈呈などの必要な支援をしてまいりました。
7月の西日本豪雨では、東京都と岡山県との対口支援に基づく都からの要請に迅速に対応し、倉敷市真備町に職員を派遣しました。
今般の北海道胆振東部地震においては、交流自治体である冲川町及び「特別区全国連携プロジェクト」で交流のある胆振地方の7町に対して既に連絡を取り、支援協力を行うことをお伝えしております。
この「連携プロジェクト」においては、他の区も北海道内に交流市町村を持つことから、特別区長会総会において早急に支援することを確認したところでございます。
自然災害が頻発し、災害対策のみならず実災害への支援は国を挙げての重要課題となっております。今後とも、交流自治体などが被災した場合や対口支援の仕組みによる要請に対し、速やかに支援に努めてまいります。
江ロじゅん子
災害対策の2点目は、8月27日の台風22号による集中豪雨についてです。
区内では、床上浸水が284件、床下浸水が24件の被害が出ました。水害はハザードマップなどに示される特定の地区に繰り返し起こります。近年の集中豪雨の多発、そして台風の大型化などに対して、こうした地域への抜本的、また当面の対策を全力で進める必要があります。
用賀地区はかつて浸水被害が相次いでいましたが、都が緊急対策として行った下水道の貯留管整備後は被害が大幅に軽減しました。 しかし、区内には今回大きな被害を受けた弦巻また尾山台駅周辺や中町地区等依然被害が繰り返される地域が数多く残されています。
国や都とも協力し、気候変動による大型災害を視野に入れた、早急な対策を求めます。
豪雨対策推進担当参事
豪雨対策の中で、大きな効果を出すハード面の対策としては、東京都が取り組んでいる、河川の整備や下水道の整備となっています。
ご質問の中町地区の豪雨対策については、中町地区を含む谷沢川流域の治水安全度を高める対策として、東京都が谷沢川分水路の事業に今年度、着手したところで、2024年度の完成を目指して取り組んでいると伺っています。
区としましても、一日も整備完成となるよう、引き続き、東京都に働きかけるとともに東京都と連携を図りながら事業が円滑に進むよう協力してまいります。
尾山台地区につきましては、下水道の分流整備エリアにおいては、今後、雨水下水道管の整備を行う必要があります。
現時点では、整備年次をお示しできない状況でございますが、雨水下水道管の整備促進に向けて、区自らが、下水道局より受託事業として整備に当たるなど、東京都と協働し取り組んでまいります。あわせて、雨水浸透や雨水貯留などの流域対策につきましても、区民の方々の理解と協力を得ながら進めてまいります。
江ロじゅん子
さて、今回被害にあわれた300件を超える個人・事業所が1日も早く、通常の生活や事業再開出来るよう支援することが求められています。
尾山台駅周辺地区とハッピーロード商店街、中町地区などでは、多くの住民、商店・事業所が被害をうけました。
ある設計事務所では、パソコン5台と関連機器、書類などが水浸しとなり、データを含め大変な被害で、事業再開までに相当の期間と資金が必要と語っていました。
床上浸水をした、ある保育園は、施設の消毒、水没した赤ちゃん用の畳コーナーの畳の処分、今後は床下の消毒・張替えが必要とのことですが、すべて自己負担で行なうそうです。
工事は長期にわたるため保育への影響が大きい、復旧費用も多額にのぼると被害の深刻さを語っていました。
現在区は、居住世帯に対する支援として、見舞金・見舞品支給、粗大ごみ減免、税・保険料の減免・猶予、保健所による消毒を実施しています。しかし、被災商店・事業所には、保健所の消毒、税・保険料の減免・猶予以外の適応がありません。
特に事業再開には多額の費用が必要となります。区では災害応急資金融資制度はありますが、利率が0.9%と高く、これを利用する事業者はほぼいないそうです。
個人事業者、中小零細業者の水害に対する支援のあり方の再考が必要と考えます。区の見解を伺います。
経済産業部長
8月27日の集中豪雨における浸水被害につきましては、経済産業部等に5件の事業所から融資に関する電話相談が寄せられております。
現在、被災された中小企業所への支援といたしまして、被害を受けた中小企業の事業所に対する事業再開に向けた区の融資として、災害応急資金融資あっせん制度を設けています。
いずれにいたしましても、被害を受けた方が一日も早く事業再開にたどりつき、通常の事業活動が営まれるよう支援するとともに、昨今の度重なる豪雨における被害を勘案し、他区の状況も見ながら関係所管と事業者の被災に対する効果的な支援等について検討してまいります。
江ロじゅん子
災害対策の3点目は、猛暑による熱中症被害についてです。
この夏の区内の熱中症による救急搬送者は、7月だけで221件、昨年同時期に比べ約3倍となりました。 熱中症は適切な冷房の使用等で防げますが、一方、経済的事情でエアコンを買えない、使用を控える低所得・生活保護受給者の方々がいます。
生保世帯へのエアコン設置支給は長年認められませんでしたが、今年6月、厚労省は『熱中症対策』のため、今年4月以降の受給者に限り、その支給を認めました。熱中症対策というなら、全ての受給者に適応すべきであり、国の制度設計に疑問が残ります。
こうした中、荒川区では、今年7月から、「酷暑から命を守る緊急対策」として、自治体独自で助成額5万円のエアコン設置助成を高齢者・障がい者・就学前の子供がいる世帯を対象に開始しています。
区として、現状認識と生保受給者等への対策について見解を伺います。
北沢総合支所、保健福祉センター所長
区内の生活保護受給世帯数は、7月1日現在で8,736世帯ですが、この夏に熱中症による死亡者はいませんでした。
また、救急搬送された方は全てが熱中症とは確認はできていませんが、13名と把握しております。 議員お話のとおり、国は7月より、生活保護世帯のエアコンの購入費用について、要件を満たせば、5万円を上限として保護費より支給できるよう認めることとしました。
近年は、賃貸住宅にもエアコンが当初から設置されている状況が大半ですが、国の要件に当てはまらない場合の設置費用は、受給者の生活費の中でのやり繰りや、社会福祉協議会の貸付金を利用するなどの対応となります。
熱中症予防について担当ケースワーカーは、定期訪問時や電話を受けた際などを捉えて、こまめな水分補給やエアコンの使用等を促すなど注意喚起しており、エアコンの設置相談においても、社会福祉協議会の貸付や家主への交渉等の提案も含め、個々の状況に応じて支援しており、今後とも適切に対応してまいります。
保健福祉部長
議員お話のとおり、今夏は、6月下旬から最高気温が30度を超える真夏日が続き、35度を超える猛暑日も記録され、区民の生命に関わる異常な事態であったと認識しております。
区としては、これまでも、最後のセーフティネットである生活保護制度の方針を基準とし、生活保護世帯ではない、生活にお困りの方へは、個々に適用される仕組みにより、状況に応じた相談対応を丁寧に行ってまいりました。
経済的理由からやむを得ずエアコンを設置されていない世帯や、エアコンの使用を控える方はいらっしゃいます。
その方々に対する支給などは、まずは、国が制度設計するものであり、区としては、東京都を通じて国に、生活保護における「夏季加算」の新設などを要望するとともに、来年度に向けて実態を踏まえつつ、区民の安心安全を守るために努めてまいります。
江ロじゅん子
災害対策について4点伺ってきましたが、気候変動による異常気象、地震の活発化などに対応した災害対策の必要性と実施に区として全力で取り組むことを求めます。
国政問題について
江ロじゅん子
次に、国政の重要問題について伺います。
まず、憲法9条改憲を目指す安倍首相の発言についてです。
安倍首相は、秋の臨時国会を目指して9条改憲案を出し、議論を進めると表明しました。
首相が目指す改憲の内容は、憲法に自衛隊を書き込み、憲法9条の「戦力不保持」や「交戦権否認」を空文化し、自衛隊の海外での無制限の武力行使を可能にするものです。
国民的議論もなく強権的に進めようとする首相への国民的批判が高まっています。
最新の世論調査では、「次の国会に改憲案提出」に朝日新聞では「反対」49・0%、 「賛成」は32%。JNNの調査では、反対53%、賛成26%です。
こうした中、9条改憲に反対する区民運動が様々に取り組まれ、市民と野党の共闘も発展しています。改憲阻止のためにわが党も全力で奮闘する決意です。
区長のこの問題での見解を伺います。
区長
先日の総裁選候補者による共同記者会見において、安倍首相は、憲法九条に自衛隊を明記する必要性を強調し、秋の臨時国会で自民党の憲法改正案を提出する意向を表明しました。
政権発足当初から掲げていた憲法改正がいよいよ現実味を帯びた議論となっています。
我が国は、戦後70年以上にわたり平和国家として歩んできました。
その礎こそが、これまで先人の皆様が守り抜いてきた平和憲法だと考えています。
私たちは今後も強い決意のもと、憲法前文にある、恒久の平和を念願し、全世界の国民がひとしく平和のうちに生存する権利を有するという理念を実践し、次世代へと受け継いでいかなければならないと考えています。
私としては憲法九条を改正するべきではないと考えています。さらにもし本当に臨時国会で議論をはじめるとなれば、通常国会、憲法審査会で反映させることが全くされておりません。
今後の政治日程をみますと天皇陛下の退位に伴う様々な大きな変わり目があり、参議院選挙もございます。
こうなるとその前にと言うことは可能性としては考えられる訳ですけど、全く拙速としか言いようがありません。
例えば国民投票、最終的には国民投票で決める訳ですけど、コマーシャルなどの量的制限がないんですね。
お金があればあるほど徹底的にコマーシャルを流すことができるんですね、こういったことは問題だとはされていますが、議論はされていません。
そういう意味拙速に進めるものでなく、引き続き国会における慎重かつ丁寧な審議と民的議論が必要であると考えております。
江ロじゅん子
次に、幼児教育無償化と消費税10%増税についてです。
首相はこの間、幼児教育無償化等とセットに、来年10月からの消費税10%を、『予定通り引き上げる』と明言しています。
消費税は、逆進性が高く、低所得者ほど負担割合が重くなります。
日本経済は8%増税後低迷し、消費不況が長期化しています。10%増税による国民生活・経済悪化を誰より政権が警戒しています。
軽減税率や財政出動等で「経済への影響を最小限に」等と目論見ますが、それに伴う歳出拡大は必至で、一体何のための増税なのでしょうか。
更に増税財源は幼児教育無償化に充てるといいますが、それは増税の口実です。専門家からは無償化より先ず待機児解消が先、更に保育の質に不安がある無認可・ベビーシッター等への税金投入に懸念が示されています。
安倍政権のもと、教育予算は600億円削られてきました。本気で幼児教育無償を実現するならば、増税に頼らず今すぐ必要な予算を確保すべきです。
幼児教育無償化と消費税10%増税について、区長の見解を伺います。
区長
平成30年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」において、3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化を2019年10月から実施すること示されました。
国は消費税10%への引き上げによる財源を活用し無償化を実施するとしておりますが、「社会保障充実のための消費増税」と謳いながら、不合理な制改正等により、特別区では増税とサービス停滞の二重の負担を強いられることになります。
私もふるさと納税問題をはじめ財源問題については発信し続けておりますが、国として無償化を実施するのであれば、国が自らの責任において全ての財源を確保すべきであり、本年7月には特別区長会においても「幼児教育無償化に関する要望」を内閣府特命担当大臣(少子化対策)に提出したところでございます。
また待機児童につきましては、定員拡充などこれまでの取り組みが功を奏した、本年4月には500名を切ることが出来ました。
地域によっては待機児童解消に近づいておりますが、今後も取組みを緩めることなく、低年齢児の受け皿となる小規模な保育園を中心に保育需要に合わせ整備してまいります。
さらに、幼児教育・保育において最も大切なことは安全対策とともに「質の向上」です。
無償化の実施に向け国でも質の確保を議論しておりますが、区はこれまで同様「質の向上」の重要性を念頭において、区が大切にしてきた「子どもを中心とした保育」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
江ロじゅん子
最後に、多様性を認め合う、共生社会についてです。
自民党 杉田水脈(みお)衆院議員の「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるのか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり生産性がない。」との発言は衝撃的でした。
病気や障害等の事情で、また個人の選択として、子どもを持たない、欲しくても叶わない方々の尊厳を傷つけ、排除するものです。全国各地で、多くの市民が抗議の声を上げました。
日本共産党はこの発言に抗議し、撤回と議員辞職を求めました。 「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」では、「男女共同参画及び多文化共生を推進することにより、多様性を認め合い、人権を尊重する地域 社会を実現することを目指…」す、とし「多様な性に対する理解の促進及び性の多様性に起因する日常生活の支障を取り除くための支援」を基本施策としています。
杉田議員の発言はこの条例の立場と全く相反するものです。区の見解を示すことを求めます。
生活文化部 部長
ご指摘のLGBTに関する発言により、区に対しても施策内容の照会をはじめとする取材やお問い合わせ、ご意見をいただいており、社会的な関心の高さを認識したところです。
本年4月1日に施行されました「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」は、性的マイノリティの方を含む全ての人が多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳をもって生きることのできる社会の実現を目指しております。
この条例の趣旨や内容を、区民や事業者の皆さんにご理解いただけるよう継続して広く周知・啓発するとともに、基本的に施策を着実に進め、男女共同参画社会及び多文化共生社会の実現につなげる事で、世田谷区の姿勢を示してまいります。
区政運営の基本問題について
江ロじゅん子
次に、区政運営の基本問題に関し、5点伺います。
1点目は、「適正な利用者負担の導入指針」の見直しについてです。
「適正な利用者負担の導入指針」は、平成22年に施設使用料や保育料の見直しに際しての指針として策定されました。その特徴は「受益と負担のあり方」として「受益者負担」と「利用するものと利用しないものとの公平性」の視点が貫かれたものでした。
一方、昨年度策定された、新実施計画(後期)の行政経営改革計画では「施策・事業の継続性と政策目的を踏まえ」、さらに「経費抑制策や事務改善」にとりくむとともに、「区民負担の適切な見直し」をはかるとされました。
わが党は、「適正な利用者負担の導入指針」は、新実施計画の方針に基づき見直されるべきと繰り返し、その見直しを求めてきました。
ところが今般、区から示された指針策定に向けた検討状況の報告は、新実施計画が示した「適切な見直し」の視点とはまったく異なるものです。
「適正な利用者負担の導入指針」の見直しは、新実施計画が示す視点で行うべきと考えます。区の見解を伺います。
さらに「検討状況の報告」では、「使用料算定の対象経費に減価償却費を含め試算することが望ましい」との考えが示されました。
公共施設は本来的に区民の税負担で作られています。施設の利用者に、再度、建設費の負担を求めることに、区民の理解は得られません。
建物の建設費を利用者から二重に取るようなことは行うべきではありません。区の見解を伺います。
区長
今年度策定した新実施計画(後期)では、行政経営改革の視点として、区民負担等のあり方について、施策・事業の継続性と昨策目的を踏まえ、見直しを図るとしております。
現在、こうした考えのもと、新たな「施設使用料見直しに関する指針」の検討を進めており、この指針では、施設の政策目的を十分に踏まえた上で、区民生活を取り巻く社会状況の変化など、総合的な検証を実施することを目的としております。
減価償却費については、使用料算定の対象経費として取り扱うことを検討項目として入れさせていただきました。
この点については、計画的な財政運営を図る必要があること、新公会計制度の導入により、減価償却費を含めたフルコストの見える化を図り、対象経費に含め試算することで、区民にわかりやすく説明できるのではないかとの考え方によるものです。
しかしながら、減価償却費を含めることは、これまでの建物などの初期投資を対象としない扱いを変更することとなり、その考え方や利用者負担割合等への影響については、区民への過度な負担とならないように、また、参加ど協働の視点も踏まえ、しっかりと検証する必要があるとも認識しております。
また、ご指摘の(建物の建設費を二重に取っているのではないかという)点も含めて、区戻から理解が得られる指針となるよう、区民や議会心皆様と丁寧に議論を積み重ね、策定するよう指示してまいります。
江ロじゅん子
次に図書館の民営化について質問します。
平成29年4月、経堂図書館に区内ではじめての図書館への指定管理者が導入されました。
区教委は制度導入の際、指定管理者自らの創意工夫で、1、図書館業務運営の効率化。2、図書館サービスの質及び量的向上。3、あたらしい図書館サービスの導入。の3点について期待できると報告しています。
経堂図書館に指定管理者が導入されて1年半が経過しました。運営は効率化されたのか、サービスは向上したのか、また、民営化へのリスクの管理は適切かなどの検証が必要です。
現状はどうでしょうか。
図書館運営経費は制度導入前とほぼ変わっていません。利用が大きく増えているわけでもありません。
図書館サービスは、立ち寄り型から滞在型へと趣を変えた、講座を開いた、入り口に植え木を配置した等がありますが、どれも直営でも出来るようなことばかりです。
一方、図書館の公共性を担保すること、人件費を削減し利益を追求するようなことはないか、個人情報は守られているのか、資料の購入や管理が適正に行われるのか等の民営化に付随するリスク回避について十分な検証は行われていません。
経堂図書館への指定管理者の導入は期待されたサービス向上にはつながらず、リスクだけがあるのではないでしょうか。
わが党は、今後の図書館の民営化はより慎重に検討すべきと考えます。 区が経堂図書館の指定管理者導入で期待したものは何だったのか、現時点でその成果をどう見ているのか、区教委の見解を伺います。
教育委員会 生涯学習部部長
図書館の民間活力の導入につきまし七は、第3次世田谷区立図書館ビジョンにおいて、図書館サービスの充実を図るために、多様な民間活力の活用による運営体制づくりを進めることとしております。
図書館における指定管理者制度は、指定管理者の創意工夫によって、図書館運営の効串化、図書館サービスの質の向上が図られることなどを目的に導入を進めました。
経堂図書館は、平成29年度から指定管理者による運営を開始し、指定管理者制度運用に係る指針に基づく年度評価では、管理運営が良好であると評価しており、先般、議会へも報告させていただいたところです。
また指定管理者からの提案により、昨年10月には座席管理シズテムを使ったビジネスコーナーの設置や子どもコーナー、新聞・雑誌コーナーを充実させるなど館内のリニューアルによって、これまでの立ち寄り型図書館から滞在型図書館としての趣きを加えられたことなども、民間活用の効果と捉えております。
第2次図書館ビジョン第2期行動計画に基づき、民間活用を進めながら、図書館の公共性・専門性を担保するために、区職員の専門性の維維持・向上を図り、今後も魅力的で効率的な図書館運営を目指してまいります。
江ロじゅん子
3点目は、都市計画道路の見直しについてです。
国土交通省は都市計画道路の廃止や幅員変更などの見直し等を地方公共団体に求め、平成29年に「都市計画道路の見直しの手引き」を策定しました。
手引きでは「都市計画道路は、高度成長期における都市の拡大を前提に決定されたものが多く、近年の人口減少、低成長等の社会経済情勢の変化を踏まえると、都市計画決定後、長期間が経過し、その必要性に変化が生じつつある道路もある」としています。
また、都市計画道路の計画地内では建築制限がされています。長年に渡る住民への権利制限が課題として示されています。
これを受け、大阪市が未着手路線の4割を廃止するなど、全国で見直しが行われています。
国交省の視点は正論であり、これに加え国の危機的な財政状況、社会資本の老朽化、自然災害の増加があります。
日本共産党はこの認識に立って、新規・新設の開発を中止・抑制し、老朽化対策や防災対策を進めていくべきと考えます。
既存社会資本の維持管理・更新に予算の使い方を切り替えるべきです。
国交省が示す視点をどう評価するのか。今後、都市計画道路の検討に区長はどのような姿勢で望むのか、伺います。
道路交通政策部 部長
国土交通省は平成29年10月「都市計画道路の必要性の点検」を公表し、その中におきまして、人口減少等の社会経済情勢の変化かも、持続可能な社会を構築していくための取り組みの重要性の高まり、都市の骨格を定める都市計画道路について、目指すべき都市構造と対応したものであるか、必要な再検証が求められるとしており、また、長年にわたる建築制限への対応も課題の一つとしております。
国が示したこの2つの視点につきましては、区といたしましても、都市計画道路のあり方を検討する上で、大切な視点と認識しております。 今後も、区を取巻く状況や区が掲げている都市づくりを実現する上での課題をふまえ、今回、都区共伺で進めている検討にも主体的に臨んで考えてございます。
江ロじゅん子
今般、「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針 中間まとめ」が示されました。
東京都と区市町村が協議して検討を進めていると聞いていますが、区として主体性を持って取り組むことが重要です。
江ロじゅん子
住民の意見を聞きながら、先に示した視点に沿って区が独自の検討を行い、都との協議に臨むべきです。
見解を伺います。
道路交通政策部 部長
都区市町が協働で策定した「東京における都市計画道路整備方針・(第四次事業化計画)」では、都市計画道路としての必要性を検証しており、今回の在り方検討では、この検証を前提に進めているところであり、今回、「中間まとめ」を策定・公表し、パブリックコメントを実施して、住民からの意見を広く聞いたところでございます。
都市計画道路については、今回の検討に限らず、不断の見直しをしていく姿勢であり、今後とも都と協働で適時適切な見直しを行っていく考えでございます。
江ロじゅん子
「中間まとめ」では、「概成(がいせい)道路における拡幅整備の有効性の検証」があげられ、検証対象となる具体的な路線も明らかにされています。
「概成」区間について区はどのように認識し、どのように検証を行うのか。
区内の「概成」区間の見直しについて、区民に区の考えを示し、区民の意見を聞いて都との協議にのぞむべきです。
区の見解を伺います。
道路交通政策部 部長
概成道路につきましては、計画幅員まで完成していないものの、概ね都市計画道路としての機能を満たしている道路のことで、今回の検討におきましで、検証の対象事項となってございます。
概成道路につきましては、都市の中で必要とされる「都市計画道路の機能」がどの程度確保されているか、という観点での検討が重要と区では考えており、歩行者や自転車の安全な通行のため歩道等を整備することなどが大切な視点と認識しておりします。
今後、あり方の験討の中で、東京都市計画全体をみての統一的な検証手法を整理し、それに基づき個々の路線を対象とした検証を実施いたしますが、区議会から、あるいは、区民の皆様からいただく御意見等は、十分に念頭におき、また、世佃谷区には世田谷区の独自の課題、市街地形成の歴史などがあることも踏まえ、今回の検討に加わっていく考えでございます。
江ロじゅん子
4点目は、国民健康保険についてです。
高すぎる国保料は、今年度からの広域化により、さらに大幅な値上げとなりました。特に保険料の均等割は五万一千円へと引き上げられ、子どもの多い世帯ほど負担が重くなるという子育て支援に逆行する事態が進行しています。
さらに、今後6年間で一般財源繰り入れを無くすとしており、更なる保険料高騰につながります。
わが党はこの間、区民生活を守る立場から子どもの多い世帯・低所得者の軽減策を繰り返し求めてきました。
これに対し区長も、多子世帯への保険料軽減や低所得者にも対応が必要であると認識していると答弁してきました。
保坂区政の最後の予算編成において、この間の答弁にそった施策の実現を強く求めるものです。
区長の見解を伺います。
保健福祉部 部長
国民健康保険制度における多子世帯や低所得の被保険者への負担軽減につきましては、国としてもご均等割保険料の7割、5割、2割軽減制度、この軽減制度は多子世帯など被保険者数が多いほど該当しやすくなる制度ですが、その所得制限を年々緩和するなど、既に対策を始めています。
当区でも、国保世帯の4割弱(平成29年度実績37.2%)が既にこの制度の適用を受けています。
多子世帯や低所得者への負担軽減は、これまでも、23区一体となって、国や都に対してその充実を求めてきており、今年も7月30日には都に対して、8月24日には国に対して「平成31年度の施策及び予算に関ずる要望」を特別区長会として行った中で、国・都それぞれに支援を奏望しております。
広域化により新たに保険者となった東京都並びに国保制度の設計者としての国には、子育て支援の観点からも多孚世帯や低所得者世帯への更なる負担軽減策を実施するよう、今後も引き続き、働きかけてまいります。
江ロじゅん子
区政の在り方についての5点目は、区立保育園の今後と保育の質についてです。
昨年度末、子ども子育て会議の部会が、「区立保育園のあり方検討部会報告書」を区へ答申しました。
これは、平成24年策定の「今後の保育施策推進のための保育施設整備方針」、平成27年策定の「世田谷区保育の質ガイドライン」等を踏まえ、この間急増・多様化している区内保育施設の質の確保や児相移管を踏まえた子育て支援・虐待予防等の今日的課題に対応するため、「児童福祉施設としての保育園の役割を…明確にし、区の子ども施策の直接の担い手 である区立保育園の今後のあり方について、検討」した結果と認識しています。
答申では、今後の区立園の在り方として、保育所の特性を生かした地域への子育て支援や困難家庭への支援また保育の質確保・向上のための牽引役等が提言されています。
区は今後、この答申を踏まえ、今後の区立園の方向性を示すとしていますが、それにあたっては、平成24年策定の「今後の保育施策推進のための保育施設整備方針」の検証が必要です。
平成24年の方針は、先ず「区立保育園の果たすべき役割」があり、そのうえで「保育施設再整備」の考え方等が示されています。
「区立保育園の果たすべき役割」では、地域の保育の質や子育て支援機能の向上支援等を行うことを定め、「具体的取り組み」として、区立園での「ひろば事業の実施」「地域に巡回指導相談の拠点となる区立保育園を順次整備」「子育てサポート等による産前産後家庭の支援」等6点が明記されています。
6年間で、これら具体的取り組みはどこまで実現できたのでしょうか。
現状、区立園は待機児解消のため、約400人の定員以上の子どもを受け入れ、また施設は狭く、老朽化しており、平成24年方針で求められた具体的取り組みを実現するための、人的・物的環境の余裕はないものと考えます。
区として、今後の区立園の在り方をまとめるにあたり、平成24年方針で求められた役割・取り組みの何が実現でき、出来なかったのか、実現には何が必要なのか、しっかり検証して頂きたい。
我が党は、平成24年方針また昨年度末の答申で、定められ、期待されている区立園の役割実現には、これ以上の区立園の弱体化は出来かねるものと考えます。
区立保育園の今後についての区の考えを伺います。
宮崎副区長
区は、平成24年2月に「今後の保育施策推進のための保育施設再整備方針」として区立保育園の果たすべき役割をまとめるとともに、現在、方針に基づき区立保育園10園を5園に統合する計画を進めております。
再整備方針策定以降、待機児童対策による民間保育施設の急増や子ども・子育て支援新制度の実施など、区の保育施策や区立保育園を取り巻く情勢が大きく変化しております。
更には、来年度から予定されている幼児教育の無償化、都からの児童相談所の移管を控えていることから、これまでの再整備方針を見直し、今後の区立保育園のあり方について、その全体像を現在取りまとめているところです。
見直しにあたっては、一人ひとりの子どもの最善の利益を第一に考え、子どもの育ちのセーフティネットとしての役割を区立保育園がしっかりと認識した上で、限られた財源や人員を効率的かつ効果的に活用できるよう検討し、保育の質の維持・向上と、すべての子どもの安全と健やかな育ちが保障されるよう、未来に向けた区立保育園の役割を改めて定義する方針としてとりまとめ、11月中には案を議会にお示してまいります。
介護職の確保・処遇改善について
江ロじゅん子
次に区民生活に直結した解決がせまられる、重要課題について、3点伺います。
1点目は、介護職の確保・処遇改善についてです。 介護職不足の深刻な状況のなか、その確保は区政の最重要課題です。特養ホーム1,000人分計画とそれに伴う介護職確保は車の両輪であり、この実現のため順次伺います。
先ず、昨年特養ホーム開設後、1年経っても稼働率半分の施設についてです。
その原因は介護職の確保ができないためと認識しています。
憂慮すべき事態であり、事業者任せではなく、区の積極的支援を求め、見解を伺います。
区長
区には、特別養護老人ホームが23か所(定員計1695人)ありますが、多くの入所希望者がいらっしゃるため、希望者が速やかに入所できるよう、特養ホームの整備を計画的に進めております。
そのような中、開設から約1年を経過したにも関わらず、介護人材不足が深刻な中、入所者が定員の半分程度となっている施設があるという事態が生じていることは、重く受け止めております。
区は法人に対し、これまで、区の資格取得費用助成や都の介護職員宿舎借り上げ支援事業の活用、ハローワークなどの社会資源の活用などを働きかけてまいりました。
今後、法人との連携をさらに密に取り、早期の全面開設ができるよう、支援してまいります。
一方、労働力人口が減少している中、人材不足の抜本的対策としては、国や東京都と連携しながら取り組んでいく必要があると認識しております。
江ロじゅん子
この夏、区議団は、区内全ての特養ホームを対象に、事業所・現場介護職員の実態調査アンケートを行い、更に施設を訪問し聞き取りも実施しました。
調査の目的は、区内でも介護職不足による前述の問題等があり、この解決のため、現場の実態を把握したうえで、改善策を提案するためです。
今回、区内22か所の特養ホームのうち、聞き取りは16施設、事業所アンケートは14施設、職員アンケートは8施設152名の方から回答を得ることが出来ました。
この場で、ご多忙の中、アンケートにご協力下さった事業所、職員の皆様に感謝を申し上げます。
詳細な結果報告は、今後パンフレット等にしてご協力下さった方々は勿論、区民の皆様にお示しする予定です。
調査の結果、介護職の低賃金、社会的評価が低い等を要因に、介護職の深刻な不足と介護の質の低下が顕在している状況等が明らかになりました。
我が党は、これら結果を踏まえ、以下4つの提案を行います。
1つ目の提案は、区の責任において、1000人分増設計画に伴う介護職を確保することです。
事業所アンケート、施設長からの聞き取りでは、「区は施設拡充の計画は作るが、確保は事業者任せか。」「とにかく人が採用出来ず、業界全体が人材仲介派遣業者に頼らざるを得ない。
業者への支払いは法外で、処遇改善加算等あってもそこに費用が流れ、経営を圧迫している」等厳しい実態が聞かれました。
一方、区が実施している研修助成や初任者・実務者研修助成補助の評価も聞かれました。
この度、区が示した介護ロボット、ICT導入も現場の負担感軽減や介護職のイメージアップに寄与するものと考えますが、問題は介護職「育成・定着」の前の「確保」であり、区として施設任せでない独自の積極的支援が必要です。
区の見解を伺います。
高齢福祉部 部長
区は2025年に向けた特養ホームの中長期整備目標として、平成27年以降、新たに1,000人分の整備を進めておりますが、サービスの担い手となる介護人材の確保・育成、定着支援は、区としても喫緊の課題と認識しております。
区では、これまで区独自の研修やハローワークと連携した就職相談・面接会、施設バス見学会を実施するほか、介護朧員の資格取得費用助成など未経験者も含めキャリアアップを図り、処遇改善加算が得られるよう運営法人を支援してきました。
また、多様な介護人材を確保するため、介護未経験者の不安を払拭する介護の「入門的研修」を国が定めたことから、区でも導入を検討しているところです。
区としましては、介護業界がより働きやすく魅力ある職場となるよう、介護ロボットやICT機器等を活用した職場環境改善の支援や、介護の仕事の魅力を発信するイベント等をとおして、多様な人材への働きかけを行うなど、介護事業者の意意見を伺いながら、更なる対策を検討してまいります。
江ロじゅん子
2つ目の提案は、介護職の賃金が安い、社会的評価が低い現状を改善し、介護職として働きたい、働き続けられる相応しい処遇改善を実施することです。
職員アンケートでは、8割の職員が「人員不足を感じている」と回答しました。
「介護職の人員確保が困難な理由」は「賃金が安い」が82%、次いで「社会的評価が低い」66%でした。
「人員不足の影響」では、「丁寧な対応が出来ない」60%と最も高く、以下、「事故のリスクが高まっている」、「スケジュール通りに進まない」、「職員の退職につながっている」等となっています。
「介護職確保に必要な月額手当」への要望を伺うと、「4万円以上」が30%、「3万円」が19%、「2万円」が16%でした。
ここで、ごく一部ですが、職員アンケートの自由記載欄に書かれた声を紹介します。
「賃金が安いうえに、仕事内容は体力仕事でハード。」
「人出不足で介護量が増えることにより身体的に辛い。思うように仕事が進まないのでストレスがたまる。イライラすることが多くなり、利用者に対して雑な対応をしてしまう。」
「社会的地位が低いからどんな人材でも入職出来るが、問題のある職員がチームワークを乱し、家族等からのクレームにつながり『しょせん介護職』というイメージにつながっている。」等です。
全産業と比べ、賃金が月10万円低いという介護職の処遇改善が早急に必要です。
既に詳細な結果は区にお示ししています。
月額手当・家賃補助等区独自の対策を求め、見解を伺います。
高齢福祉部 部長
介護職員の給与等は、介護報酬を基本とし、区では、区独自研修の実施や資格取得費用助成などをとおして、介護事業者におけるキャリアパスの構築 や職場環境改善を促進し、処遇改善加算が取得できるよう支援しております。
国は、介護職員について、これまで月額5万3千円相当の処遇改善を行ってきましたが、さらに来年10月からは、勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善を行い、それを事業所の収入として他の介護職員等の処遇改善にも充てられるよう、柔軟な運用を認めることとしています。
区ではそれらの処遇改善を事業者が活用できるよう、事業の周知に努めてまいります。
介護人材確保に向けて、区独自の手当の創設は継続性の点からも難しいとえますが、国や都に対し介護職員宿舎借り上げ支援事業の拡充や職場環境改善策の支援など、事業者の意見もお聞きしながら求めてまいります。
江ロじゅん子
3つ目の提案は、介護職確保の総合的対策実施が必要であり、そのため先ず区として現場の実態把握の努力・工夫を行うことです。
『社会的評価が低く、介護の仕事を希望しても親や教師から反対される』現状の改善には、賃金のみならずイメージアップ等総合的対策が必要です。
事業所任せでなく、区として、24時間、認知症等の高齢者の健康と生命を守るため、現場で奮闘している職員の声をぜひ聞いて頂きたい。
そこにこそ、現状を打開できる多くの知恵とヒントがあると考え、区の見解を伺います。
高齢福祉部 部長
区は介護サービス事業者の指定権限に加え、介護保険法に基づく調査や指導を行う権限も有しているため、行政手続条例の趣旨を踏まえ、事業者に対し法に基づかない権限行使は細心の注意を払い、事業者の対応を行っております。
運営法人はそれぞれ独自の人事給与・福利厚生制度により、法人は職員との雇用契約を結んでいることから、区として個々の職員の調査を行うことは難しいと考えております。
区内では特養ホーム施設長会や職員も参加している、ケアーマネージャー連絡会、介護サービスネットワークなどの連絡会をとうし、広くご意見などを伺っております。
今後とも現場の声の把握に努め、国や東京都、他所管との連携を図りながら、更なる総合的な人材確保策を検討してまいります。
江ロじゅん子
4つ目の提案は、国に介護報酬引き上げを求めることです。
国の特養ホームの人員配置基準は3:1ですが、今回の調査で多くの施設が、入居者へのより良いサービスのため、独自に2:1等の人員を配置していました。
介護報酬での人件費で賄えない差額を法人が持ち出しており、職員の低賃金の根本原因と考えます。
区として、実態に即した介護報酬引き上げを国に求めることが必要です。見解を伺います。
高齢福祉部 部長
特別養護老人ホームにおける人員配置基準は、国の基準に基づいて、東京都条例により定められており、介護職員及び看護職員の総数について、入所者3人に対して常勤換算で1人以上が必要と規定されております。
区が、平成28年度と29年度に実施した特別養護老人ホーム6施設の実地指導では、介護職員及び看護職員総数の人員配置は、6施設平均で入所者2.1人に対して職員1人以上という、基準以上の手厚い人員配置をしていることを把握しております。
また、平成29年度に国が実施した介護事業経営実態調査においても、特別養護老人ホームの入所者2人に職員1人を配置していることが報告されており、施設では職員の休暇や研修参加などにも配慮し、基準以上の手厚い人員配置により対応している、実態があります。
このような実態に即した報酬上の評価が行えるよう、国に対して働きかけてまいります。
児童虐待予防について
江ロじゅん子
重要課題の2点目は、児童虐待予防についてです。
区立児童相談所開設を目指す当区として、「悲劇を繰り返さず、幼い命を虐待から守る」ため、児童虐待予防の総合的対策強化を求め、以下3つ伺います。
1つ目は、子育て支援・予防の強化です。
昨年烏山で、生後3か月の赤ちゃんが、母親により風呂の浴槽に沈められ亡くなる事件が起きました。
母親はネウボラ面接や産後の赤ちゃん訪問を受けていましたが、何故防げなかったのか、大きな問題意識を持っています。
区がこれから出す検証報告を、しっかりと今後に生かすことを求めます。
虐待予防として、妊娠期早期に母親と接触するネウボラ面接は重要です。ネウボラ面接や産後の各種検診事業は、保健師を中心に母子保健コーディネーターや委託の助産師等が担っていますが、その中核である保健師の体制充実と質の向上が肝要と考えます。
昨年度支所の保健師は増員されましたが、開始から2年が経ち、ネウボラによる産前・産後の支援体制の検証と保健師の増員等強化を求めます。
世田谷保健所所長
『世田谷版ネウボラ』の実績ですが、平成29年度の妊娠届出数に対する妊娠期面接初回の実施割合は83.8%で前年度を上回りました。
また、面接時間枠の30分を超え相談される。方も多く妊娠中期や後期に改めて相談する方も増えています。
また、絶対安静のため保健師等が訪問し妊娠期面接をした事例が64件、母子保健コーディネーターの電話等による継続支援は412件を数え、不安や不眠等の訴えなど保健師が個別に支援した本例は504件ございました。
なお、実施体制の強化として、土曜日面接の導入や個別支援の増加等を踏まえ、昨年度、保健師13名、母子保健コーディネーター8名を増員しました。
出産後から就学前までの切れ目ない支援及び移管する児童相談所との役割や連携のあり方などをより充実することが当面の課題です。
今後も、世田谷版ネウボラの取り組みを検証する「世田谷版ネウボラ推進協議会」の意見等を聞きながら、めざす姿や体制強化などの検討を進めてまいります。
江ロじゅん子
区内5か所の子ども家庭支援センターは、子育て支援・相談の中核を担い、児相との連携強化に長年務めてきました。
今後、新たにDV相談の受理や児相移管後は通告受理窓口ともなります。
児相移管後の人員増ではなく、計画的な体制充実や知名度向上を求め、見解を伺います。
子ども・若者部 部長
子ども家庭支援センターは、地域の関係機関等と連携しながら、総合的な相談・支援、各種サービスの提供及び調整等を行い、地域における子・どもと家庭の福祉の向上や、児童虐待の予防・防止を図っています。
平成28年の児童福祉法改正では、区市町村における、身近な場所での支援業務を適切に行うことの重要性が明記されました。
これを受け現在、東京都と都内区市町村とで、児童相談所と子ども家庭支援センターにおける連絡・調整のルールを定めた「東京ルール」の見直しを検討しています。
「泣き声通告」や「面前D・V」などの相談のうち、地域のネットワークや資源を活用し、身近な機関で対応した方が望ましいケースについては、子ども家庭支援センターが対応する方向で検討が進んでおり、早ければ来年度早期の実施となります。
このように、子ども家庭支援センターが果たす役割がますます重要となる中、子どもの命を守り、児童虐待を未然に防ぐためには、ケースワーカー等の体制を強化し、ソーシャルワーク機能を充実するとともに、多くの区民の方に信頼して気軽に相談していただけるよう、窓口の工夫や、様々な機会を通じた周知の強化に努めてまいります。
江ロじゅん子
学校現場では、教育と福祉の専門的知識を持ち、不登校・いじめ・養育困難等の問題を抱える子どもの生活環境改善のため、支援を行うスクールソーシャルワーカーの役割が重要です。
現在は、非常勤の6人体制で、昨年度の訪問・連携実績は762件でした。
スクールソーシャルワーカーの役割は益々重要と考え、その体制強化を求め、見解を伺います。
教育委員会教育政策部 部長
児童虐待の予防は、子どもの命と人権を守るために最も重要であると認識しており、毎年度当初に管理職に対して、発見時の通告義務を含め、関係機関との連携について周知徹底しております。
これまでも、学校と子ども家庭支援センターは、ケース会議における情報共有や役割分担等の協議など継続的に連携しておりますが、引き続き、子どもの命を守る危機管理意識を決して緩めず、連携体制の強化に努めてまいります。
またスクールソーシャルワ一カーは、福祉分野に関する知見を用いて、子ども家庭支援センター等の関係機関と連携しながら、経済困難や虐待など家庭環境への課題を抱える児童・生徒や在籍する学校を支援する専門家で、区としてその重要性を十分認識しております。
区では、平成22年度に配置を始め、その後体制を充実し、平成30年度も1名増員し現在6名体制で学校を支援しております。
今後、活動状況を検証した上で、適正かつ効果的な配置を検討してまいります。
江ロじゅん子
2つ目は、早期発見・通告の体制強化です。
厚労省調査では、児童相談所全国統一ダイヤル#189の最近の平均接続率は19.9%です。
通話料発生の音声ガイダンスを聞いた後、電話を切るケースが多いことから、国は来年度から通話料無料の改善を行います。
区としても、現在の189の接続率がなぜ低いか検討を行い、対策を講じる必要があります。
通報電話が確実に繋がるスキームの構築が必要であり、見解を伺います。
答弁 子ども・若者部 部長
現在、当区には、児童相談所と5箇所の子ども家庭支援センター、また、児童相談所全国共通ダイヤル189(いちはやく)のあわせて7つの児童虐待の通告・相談窓口がございます。
このうち、児童相談所と子ども家庭支援センターにつきましては両機関の一元的な運用を担保し、速やかな初期対応を行うため、一本化さてされた通告専用ダイヤルを設置することを予定しております。
区の専用ダイヤルは、緊急時の早期対応を確実に行うことを最優先とするため、児童相談所内に受電体制を整備し、児童相談所で緊急度の初期判断を行うこととし、通報の大半を占めるいわゆる泣き声通告や面前DVなどのケースは子ども家庭支援センターで子どもの安全確認など、業務フローの検証等進めております。
他の自治体では通報が途中で切れないように通話料無料とするなどの工夫に取り組んでるところもございます。
他自治体における取り組みについても、効果等を検証し、今後の検討の参考としてまいります。
江ロじゅん子
3つ目は、区立児相・一時保護所設置についてです。
職員には、専門的・即自的対応と判断が求められ、一時保護所では24時間子供の命と生活を支えなくてはなりません。
体力的・精神的にも厳しい職場です。
区立児相開設後暫くの間の東京都からの職員派遣は、円滑な引継ぎと業務継続のため不可欠です。
都からの経験のある職員派遣は絶対に必要と考え、実現の見込みについて伺います。
子ども・若者部 部長
児童相談所における児童虐待対応は、チームとして対応することとなります。
そのチームリーダーとして、児童福祉法等により、児童相談所の豊かな勤務経験を有する、いわゆる「スーパーバイザー」の配置が定められております。
専門的見地から、職員に対し 指導及び教育を十分に果たすことで、子どもの安全の確実な確保や、効果的な保護者指導ができるものと考えております。
こうした重要な役割を担うスーパーバイザーとして、任期付職員採用制度の一層の活用による、経験豊かな職員の確保とあわせ、都からの派遣職員を配置することにより、案定した児童相談所の運営体制を構築してまいります。
都に対しては、職員派遣等人的支援について、特別区の児童相談所開設に向けた具体の検討の開始時点から繰り返し要請しており、引き続き、一刻も早い決定を求めてまいります。
江ロじゅん子
職員が遣り甲斐をもって働き続けられるような人員体制が必要であり、区の見解を伺います。
子ども・若者部 部長
区は、子どもの生命と安全を守るだめ、万全の体制を維持する責務を負うこととなります。
国の職員配置基準を尊守するとともに、適切な職務に役割分担や、職員支援、育成研修の充実が不可欠であると考えております。
現在、職員への専門的な助言や、相談支援のため、長年にわたり児童相談所業務に携わり、職員育成を行ってきた経験者を確保し、指導にあてており、今後、さらにこの体制を強化していく予定です。
また研修や実務を通じて、子どもが安心できる生活を取り戻すまでの過程を学ぶことにより、区の児童相談所の意義や、職務の成果を職員が実感することも重要であると考えております。
こうした育成プランを構築し、やり甲斐を高めていくとともに、新たか職務であることをふまえた、適切な職員支援と運営体制の整備に取り組んでまいります。
外環道について
江ロじゅん子
最後に外環道についてです。
これまで国等は「外環道は、地下40m以深の工事で地表への影響は生じず、地権者の同意・補償もなく事業が進められる」と地域へ説明してきました。
ところが、大深度地下利用のそもそもの前提が崩れる事態が起きています。
今年5月から、地下でのシールドマシン屈伸による地上部への空気漏れが起き、野川に気泡が出現等の事態が起きました。
6月末には地下水流出が発生、工事は2か月以上停止しました。
この間開かれた、喜多見のオープンハウスでは、住民から「説明不足。情報提供は、ホームページからのみで不親切。」「原因解明なく工事再開はしないでほしい。」等の声が聞かれ、要望書も提出されました。
住民からの不安・懸念の声は区にも届いていると認識していますが、区は休工中、住民のくらし・環境を守る立場で、事業者に何を求めてきたか伺います。
道路交通政策部 部長
外環道の本線トンネル工事により生じた、野川河床からの気泡の発生や、事業地内における地下水の流出については、事業者から事象の発生状況などの報告を受けるとともに、区も現場状況を確認しております。
事業者から事象の発生状況などの報告を受けた際には、区から事業者に対し、これらの事象の原因の特定、影響について、速やかに解明するとともに、周辺をはじめとした区民の方々への説明や情報提供を丁寧に行うなど適切に対応するよう、既に要望しております。
江ロじゅん子
8月30日、9月6日に、世田谷区議会議員を対象に、事業者主催の現地視察が行われました。
事業者から、気泡や地下水噴出の原因について、掘進時に用いる空気の一部が人工的な穴を通り上昇したため等説明がありました。
しかし、工事再開の言及はなく、8月30日の視察中、私が事業者に「再開はいつか」と質すと、「実は今日からです」と驚くべき回答がありました。地域には勿論知らされていません。
こうした情報提供のあり方と工事再開に対し、抗議を表明します。
工事再開を区はいつ知ったのか、また今回の情報提供のあり方について、区の受け止めを伺います。
道路交通政策部 部長
トンネル工事の再掘進については、事前に地域の方々にお知らせを配付した後に実施していくとの情報提供は受けていたものの、今回の工事ヤード内での検証のための掘進については、開始当日に事業者より情報提供を受けたものでございます。
一方、事業者は、今回の事象の発生や調査の結果などが明らかになった時点や、その都度、ホームページを活用し広く情報提供をしております。
しかしながら、地域の方々より事業者による周知が不十分との声が区にも寄せられており、区も同様に考えていることから、事業者に更なる丁寧な情報提供を行うよう、既に申し伝えたところでございます。
江ロじゅん子
工事再開に住民の不安は増しています。事業者は、野川の気泡中の酸素濃度が1.5~6.4%と、通常の空気中の酸素濃度約20%に比べ極めて低いことを明らかにしています。
地域からは「野川だから気泡が発生し空気漏れが分かったが、シールドマシンが野川を過ぎれば、どこに出ているか分からない。
半地下の家も多く、酸欠空気が充満したら大変」等不安が聞かれています。
現に事業者も、休工中に、喜多見周辺の家屋等約10軒の地下室で、酸素濃度を計測しています。
事業者は地表への空気漏れを防ぐため、対策を施しながら、試掘をし、検証する、と聞いています。
このような事態を再び起こさないよう、区長の7項目の要望の立場で、事業者にしっかり求めて頂きたい。区の見解を伺い、以上で壇上からの質問を終わります。
道路交通政策部 部長
議員お話しの区長の7項目については、外環道の工事着手に際し、工事による環境への影響や事業スケジュールに関する情報提供、地元要望への対応などについて、区長が国に要望したものでございます。
今回、発生した事象について事業者が区に状況などの報告に来た際に、事象に関する原因の特定、影響、区民の方々への情報提供など丁寧かつ適切に対応するよう、その都度、事業者に要望しております。
また、区長も直接事巣者に対し、適切に対応するよう要望をしました。
区といたしましては、引き続き、情報提供のあり方をはじめ、工事を進める上で地域の方々が不安を感じることのないよう、改善策などについても丁寧な情報提供に努めるよう、事業者に要望してまいります。
再質問
江ロじゅん子
外環について再質問します。
工事再開について、答弁では事前に地域の方々にお知らせを配布していましたけれど、部長もご覧になったと思いますが、工事再開の言明、言及は一切ありませんでした。
一般的な安全対策ということで、本当にこういった情報提供のあり方を止めていただきたいと思います。区に関しても8月30日の工事再開、つまり視察中に再開したということで、情報提供のあり方については、厳しく求めていただきたいと思います。
問題は喜多見、成城の家屋が立ち並ぶ地上部に空気漏れ、地下水の流出などあってはならないことです。
今後対策をたて、試し堀をしつつ検証するといっていますが、検証結果は本掘進前に説明会など、区民にきちんと説明してもらいたいと思います。
区としてここを求め実現もらいたいということで、副区長に伺います。
再答弁
岡田副区長
外環道のトンネル工事の再掘進ことで、ございますけれども、先ほど部長からご答弁申し上げたとうり、事前に地域の方々にお知らせを配布して頂きたいということは私どもも求め続けてきたことです。
今回の工事ヤード内の検証ための掘進ということですが、本掘進を開始する前には、ぜひ区民に説明するということは改めて求め続けていきたいと思っています。
江ロじゅん子
次に個人事業者支援災害対策について再質問します。
災害応急資金斡旋制度あるということですが、この実績は何件なのでしょうか。伺います。
経済産業部 部長
先ほど災害応急資金斡旋制度がございますとお話させていただきましたが、現在、実際問題として、ほとんど使われていないのが現状でございます。
使われ方については、今後検討していきたいと考えております。
