平成30年予算特別委員会 福祉保健委員会所管質疑

2018年03月13日 江口じゅん子区議

国が求める規制緩和について

江ロじゅん子

おはようございます。日本共産党の福祉保健領域の質問を始めさせていただきます。 初めに、保育について四点伺います。
一点目は、国が求める規制緩和についてです。
まず、一月二十一日の産経新聞の記事を紹介いたします。ごらんになった方も多いかもしれません。見出しは、待機児童全国最多の世田谷区、厳格な保育施設基準継続とこのようにあります。
記事を抜粋して紹介します。待機児童が全国的な社会問題となる中、厚労省は二十八年、国の保育施設の配置基準に上乗せしている各自治体に対し基準見直しを求めたが、ほとんどの自治体は応じていない。来年度にも、都道府県単位で自治体関係者や施設事業者などによる法定協議会が設置され、独自基準の見直しなどに関する議論が進められる見通しだ。一方、保坂区長は、待機児童が非常に厳しい中、質にこだわるのかという疑問の声もあるが、子どもが安全な環境で育つことが何より重要、量的な整備と質的な確保は車の両輪だと述べられ、現時点で独自基準を継続させる考えを示すと記事はこのように結んでおります。
国はこの間、待機児童ゼロを標榜しておりますが、規制緩和中心の対策で、結果、逆に待機児がふえています。この期に及んで、記事にあるとおり、国はさらなる規制緩和を進めようとしております。こういった動きに対し、当区の子ども・子育て会議の委員であり、保育園を考える親の会の普光院亜紀さんは、朝日新聞の記事で、これまでの流れに反していて無責任だ、待機児童を認可園に入れるために質を落とすとは信じられない、このように国の規制緩和の動きを批判しております。認可に入りたい、これは切実な親の願いです。だからといって、子どもが長時間毎日過ごす保育所の保育の質が落ちることは、親は望みません。規制緩和による保育の質の低下は子どもたちの健やかな成長が阻害され、生命と安全に直結するからです。
ここで副区長に伺います。区として、国の規制緩和策にどう対処していくのでしょうか。今後も区の独自基準の継続を行っていくのか伺います。

宮崎副区長

まず、今御指摘ありました規制緩和の件でございますけれども、この間、再三にわたりまして、世田谷区におきましても、厚労省含めまして、働きかけを続けてきたところでございます。今般、法定の協議会ということで改めて国のほうから打ち出しておりますが、私たちのスタンスとしては変わることなく、まずは、待機児解消と質を守っていくということの両輪を何とかクリアしていきたいと申し上げておりますし、この先もその考え方に変わりはございません。
やはりここの配置基準や施設基準を見ますと、今までの現状からしますと、かなり質という部分について守られるかどうかという不安がございます。我々のほうも意を強くしているのは、この間も、待機児が多い中でも区民のほうが一番理解していただいているんじゃないかと思っていますので、引き続き、繰り返しになりますが、自治体からの声として、国のほうに向き合い、我々が今までスタンスとして守ってきたことについて何とかクリアしていきたいと思っております。

江ロじゅん子

今の副区長の御答弁を聞いて、多くの区民、保護者の方たちは安心をしたと思います。これから法改正があり、どのような協議会がつくられるかまだ動きは見えていないところはありますけれども、今、副区長がおっしゃられたように、保育の質を守るというこの世田谷区の姿勢を保護者が評価しております。ぜひそこを堅持し、これからも主張していただくことを強く申し上げます。

今後の保育施策の方向性について

江ロじゅん子

次に、今後の保育施策の方向性について伺います。
特に首都圏での待機児解消が見通せない状況に対し、世田谷区では、昨年、三歳児以降の待機児を解消しました。区の質を大切にした認可中心の整備方針こそ効果があることを着実に示しています。
ここで改めて確認します。区の現在の保育整備の状況と今後の取り組みについて伺います。

菅井保育計画・整備支援担当課長

現在の保育施設の整備状況につきましては、認可保育園、小規模保育事業、認証保育所の新規開設や、認可外保育施設の新制度移行に伴う定員増等により、平成三十年四月までに千四百九人分の保育定員の拡大を見込んでいるところです。また、この四月入園の一次申込者数につきましても、前年度に約二千人分の保育定員を拡大し、多くの方々が入園されたこともあり、前年度と比べ四百三十五人減少し、六千二百四十五人となっております。さらに、ゼロ歳から五歳全体の内定率の平均も五九・七%から六四%へ、四・三ポイント上昇しており、特に待機児童の多いゼロ歳児、一歳児の内定率の平均は五七・四%から六六・一%と九ポイント近く上昇しております。
今後は、保育施設整備の優先度や緊急度をよりきめ細かく分析し、地域ごとの保育需要を見定めながら、保育の質の確保を前提といたしまして、認可保育園を中心とした整備を図り、特に低年齢児を対象とした保育施設の整備を重点的に進め、平成三十二年四月の待機児童解消に向け全力で取り組んでまいります。

江ロじゅん子

その方向で今後もよろしくお願いいたします。
今の御答弁でありましたとおり、内定率が上がって、保育事業者からもこの間お話を聞きましたが、待機児童解消の方向であることに間違いがないという感想を伺っております。これまでの量一辺倒の保育施策から、全ての保育所が保育の質ガイドラインにある質の高い保育が実践できるよう取り組みを高めること、さらに、保育所内にとどまらず、地域への子育て支援の展開など、今後の施策の方向性の検討を行う時期に来ているのではないでしょうか。
ここに、区立保育園のあり方検討部会報告書があります。これは、子ども・子育て会議の部会である区立保育園のあり方検討部会が今年度末に答申予定と聞いております。この文書及び検討の状況は区のホームページから見ることができまして、私もそこから引用いたしますが、まず、この報告書の概要と、区としての受けとめ及び今後これを受けて区としての考えが示されると思いますが、今後の見通しについても伺います。

後藤保育課長

御質問いただきました子ども・子育て会議において設置されました区立保育園のあり方検討部会の報告内容は、五つの視点で構成されております。五つの視点とは、養育への支援が必要な家庭等への支援、地域の子育て支援、他の行政機関との連携、保育の質の確保のための地域連携、そして、区立保育園職員として求められる資質と人材育成でございます。
報告では、地域の子育て支援の重要性について触れ、地域全体の子どもの育ちの保障や保育の質を高めていく牽引役を担う必要があること、低年齢児の児童虐待の予防的な支援として子どもの預かり枠の拡充をしていくことや、そこで働く人材としては、児童相談所移管も見据えまして、ソーシャルワーク的な資質も求められていることなど、児童福祉施設としての区立保育園の役割に焦点を当てて具体的な提言をいただいているところでございます。
現在、最終案の調整を行っていただいているところでございますが、区といたしましては、これらの提言を真摯に受けとめ、児童福祉法第二十四条により設置された行政直営の保育施設として、また公務員である区立保育園職員として、地域全体の子どもの育ちの保障や保育の質の向上に向けた取り組みを行う責任があることを肝に銘じ、今後の児童相談所の移管も見据え、来年度から、議会とも議論しながら具体的な検討に取り組んでまいります。

江ロじゅん子

私は、この報告書を読んで、初めに書かれている次の部分が肝要と感じました。以下、抜粋して紹介をしますが、これまで区立保育園では、待機児童の解消に向けて定員の弾力化に注力してきた。今後は全ての子どもたちが心身ともに健やかに成長できるよう、養育への支援が必要な家庭への支援や虐待を未然に防止することにさらに力を注ぎ、児童福祉法に位置づけられた児童福祉施設としての役割をより明確にし、子育て支援事業の充実に取り組む必要がある、このように書かれております。すばらしい理念だと思いました。
しかし、この具現化のためにはさまざまな諸条件を整える必要があります。さきの福祉保健常任委員会では、(仮称)区立玉川地域拠点保育園において、おでかけひろばを設置し、在宅子育て支援の強化、検討などが報告をされました。この報告書の提言を見据えつつ、まずは拠点園で何を実施していくのか、例えば今は医ケア児の定数は一名受け入れというふうになっておりますが、これでよいのかなどなど、区民が行政に求める機能、役割を検討する必要があります。
今後、拠点園のみならず、区立各園が提言の方向性をどう実現していくのか、どのように環境整備をしていくのか、現段階での考えを伺います。

澁田子ども・若者部長

区立保育園の今後のあり方につきましては、今後後期実施計画案の行政経営改革の項目として位置づけ、事業展開を行う予定でございます。項目の内容は、平成二十四年にまとめた保育施設再整備方針に基づく老朽化する十カ所の区立保育園を区立拠点園、統合園として五カ所に統合する計画を着実に進めることと、今後の保育需要の状況、社会情勢の変化により求められる児童福祉施設としての役割を改めて踏まえまして、区立保育園が果たすべき施策を展開するというものでございます。
これらの取り組みを進めるに当たりましては、統合により生み出される財源や人員をより必要とされる取り組みに充てるなど、効果的かつ効率的に進めてまいります。まずは拠点園を中心に進めていくことを予定しておりますが、子ども・子育て会議の議論も踏まえた区立保育園の今後のあり方につきましては、取り組みの内容、規模観を明らかにするとともに、来年度の早い段階で全体像を改めて整理しまして、お示ししてまいります。

江ロじゅん子

御答弁でありましたけれども、来年度の早い段階で、区としての考えを提示するということなので、私たちもしっかり議論していきたいと思います。

保育室について

江ロじゅん子

次に、保育の質問の三点目ですが、保育室について伺います。
二月に世保連四十五周年記念、保育室まつりがあり、出席しました。区長を初め、議会各会派、また担当課長も出席され、大変温かい雰囲気のお祭りだったと思います。長年、家庭的で質の高い低年齢児の小規模保育を行い、待機児童対策にも貢献してきた保育室への保護者、地域からの評価、信頼が高いことを改めて実感しました。
しかし、平成二十七年度から始まった新制度で、五年間の認可への移行期間が設けられる中、平成三十二年度末までの期限が迫っております。この間、保育室関係者から、住宅都市世田谷での土地・建物確保が困難な事業者がいること、また、保育室は認可選考でのポイントは低いが保育の必要が高いなど、制度からこぼれ、また、はざまにある子どもを入園させる役割を担ってきた、このまま保育室として残れればという苦渋の思いも伺っております。
先の見通しが立たない状況では、事業者、保護者の不安が増します。安定的な保育の提供に影響を来すことがあってはなりません。区がこの間、補助金を増額し、さらに区立保育園跡地の優先的な提供など支援を行ってきたことを評価し、今後もさらなる丁寧で寄り添った支援を求めます。また、国の移行補助期間を超えても、移行ができない保育室への支援の方向性についても伺います。

有馬保育認定・調整課長

保育室の新制度の移行支援についてですが、区では、平成二十八年度に保育室新制度移行支援の方針を策定し、保育の質の確保と向上を図りながら、安定的な施設運営ができるよう、子ども・子育て支援新制度の特定教育・保育施設等への移行を支援してまいりました。
既に三園の保育室が移行しており、現在十二園のうち六園は、昨年七月に移行時期や移行先を決定し、それぞれの園が準備を進めているところでございます。移行が決まっていない六園のうち五園が認可への移行を希望しておりますが、保育士の確保や準備金の確保等の課題があること等を踏まえ、新制度移行支援に関する補助を来年度に拡充する方向でおります。
区としましては、保育室の確実な移行に向け、また、安定した施設運営ができるよう支援を進めてまいります。また、お話しのありました移行時期、移行先が決まっていない園についてですが、区としましては、各保育室が策定した移行計画が円滑に実現できるよう、平成三十二年度までの移行、もしくは平成三十二年度までには移行時期、移行先が決定できるよう、施設の事情等に寄り添いながら丁寧に支援してまいります。

江ロじゅん子

ぜひ丁寧に寄り添う支援を引き続きお願いしたいと思います。

都立蘆花公園の花の丘地区にできる保育所の安全対策について

江ロじゅん子

それでは、保育の質問の最後に、都立蘆花公園の花の丘地区にできる保育所の安全対策について伺います。
花の丘地区ほぼ全体の土壌汚染が明らかになり、保育所部分についての汚染土壌対策は終わり、四月一日開設予定と伺っております。しかし、保育所部分を除く花の丘地区の汚染土壌撤去は保育園開設後にあり、子どもたちへの影響を大変不安に感じます。ぜひ子どもたちに影響が出ないよう、都に安全対策をしっかり講じるよう求めること、そして、保護者、近隣への丁寧な説明を求めます。区の見解を伺います。

菅井保育計画・整備支援担当課長

都立蘆花恒春園花の丘地区につきましては、東京都により、保育園部分の土壌汚染対策が先行して実施され、この四月に保育園が開園する予定でございます。保育園以外の花の丘地区の土壌汚染対策につきましては、東京都からは、今年度の土壌調査の結果を踏まえまして、平成三十年度以降、法令に基づく手続と必要な対策を実施する予定である旨を確認しております。
委員御指摘のとおり、保育園開園後におきましても、保育園の隣接にて、東京都による土壌汚染対策工事が実施されることから、区といたしましては、東京都に対し、閉鎖区域内への侵入防止や汚染土壌の飛散防止などの安全対策をしっかりと実施するとともに、今後の土壌汚染対策の内容、スケジュールなどについて、保育園を含め、丁寧な住民説明を行った上で、一日も早い、閉鎖区域の利用再開ができるよう求めてまいります。

江ロじゅん子

よろしくお願いいたします。

特別養護老人ホームの整備について

江ロじゅん子

それでは次に、特別養護老人ホームの整備について伺います。
まず、多床室、これは多い床と書くんですが、つまり大部屋の整備について伺います。この間、区内各地で特養ホームの開設が続いています。船橋の世田谷希望丘ホームの開設は四月一日と目前に迫りました。所管の御努力を大いに評価いたします。しかし、内覧会に参加し、資料を見た地域の方から、特養ホームは月十四万円もかかるんですか、国民年金じゃ入れないし、これでは有料ホームと一緒じゃないですかといった声を伺います。
ここにパネルがあります。これは区のホームページから、世田谷希望丘ホームのページがあり、引用したものです。ここに入居した際の一カ月当たりのおよその費用が書いてあります。要介護度四の場合は十四万二千百十円ということで、利用者負担段階区分、第四段階以上の方なんですが、これは住民税課税世帯です。内訳がこのように書いてあります。私もこれを見まして、確かに高い、国民年金では入れない、このように思いました。
ただ、要介護度や施設の加算状況、個別事情に応じて利用料は変わるので、あくまでも目安ではありますけれども、しかし、この高い個室型ユニットの利用料、これについて地域からはさまざまな声があるのは事実です。区は現在、特養ホームの新規整備においては、個室のユニット型整備を計画的に推進としております。しかし、今申し上げたとおり、個室ユニットは従来どおりの多床室、つまり大部屋に比べ利用料が高くなる、やむなく辞退をする方もいます。
ここで、区内特養ホームのユニット型個室と多床室、つまり大部屋の整備状況を伺います。

柳澤高齢福祉課長

特養ホームの居室には、一つの部屋で二人以上が生活する多床室、それから従来型個室、ユニット型個室及びユニット型準個室という四つの類型がございます。区内には、現在、地域密着型二カ所を含めて二十一カ所、千五百五十六人分の特別養護老人ホームがございます。多床室のみは二施設、多床室と個室の混合は十二施設で、平成十六年以降に整備された七施設は全室個室となっており、多床室が合計で八百三十七人分、個室が七百十九人分となっております。

江ロじゅん子

ここで、ユニット型だとなぜ利用料が高くなるかを伺いたいんですが、お願いします。

相蘇介護保険課長

特別養護老人ホームに入所する際に必要となる費用は、介護保険サービスの自己負担分、居住費、食費がございます。このうち介護保険サービスの自己負担についてですが、平成二十九年度におきましては、国が定める一日当たりの介護報酬単価は、要介護四の方の場合、ユニット型は八百二十八単位に対しまして、多床室を含む従来型は七百四十九単位となっております。
これを金額に直しますと、一日当たり八百六十一円の差となりまして、介護保険サービスの自己負担分は一割負担の場合、一日当たり八十六円、一カ月では二千五百八十円の差となります。また、居住費につきましては、居住環境の違いから、ユニット型個室と多床室で違いがございますが、平均的な費用の額を勘案して、厚生労働大臣が定める費用基準額は、ユニット型個室の一日当たり千九百七十円に対して多床室は八百四十円と、多床室のほうが千百三十円低くなっており、一カ月当たり約三万四千円の差となっております。また、低所得者の方の負担を軽減するために、食費、居住費については自己負担が軽減される補足給付の制度が設けられております。

江ロじゅん子

今の御答弁をお伺いしまして、個室ユニット型と比べて、居住費が多床室のほうが一千六百円低く、一カ月当たりは約四万八千円差が出ることがわかりました。確かに個室ユニット型の利点はあると思います。しかし、区民にはさまざまな経済状況があり、国民年金で入れる特養ホームの要望が大きいのを実感いたします。
第七期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画素案に対するパブリックコメントがこのようにありまして、それを読みました。ちょっと紹介をしますけれども、最近、介護つき有料老人ホームがふえてきたが料金が高い、国民年金受給者でも入所できる施設を望むですとか、区内の有料老人ホームは利用料が高く入居できない、年金生活者が入居できる老人ホームやグループホームをつくってほしい、これは四件と集計されていまして、このように年金生活者が入れる施設整備の声が多いことがわかります。
それではここで伺いますが、特養ホーム整備において、多床室整備の必要性についての区の認識を伺います。

柳澤高齢福祉課長

区内の特別養護老人ホームの定員は、千五百五十六人分のうち、半数以上の八百三十七人分が多床室となっております。特養入所申し込みの状況は、ユニット型と従来型で大きな違いはなく、むしろ新しい施設のほうが希望者が多い状況となってございます。一方、第七期の世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に当たり実施したパブリックコメントでは、委員お話しのとおり、低い費用で入所できる介護施設を整備してほしいという御意見もいただいており、できるだけ低額な料金で利用できる施設の需要についても配慮が必要と認識しております。
高齢者の生活の場である特養ホームの居室につきましては、居宅における生活に近い日常生活の中でケアを行うユニットケアを推進する観点から、国は、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針におきまして、ユニット型個室の定員を全特養の七〇%以上とする目標を都道府県に示しております。
国は、新型ユニット型個室整備を推進していることから、多床室の整備は東京都の整備費補助の考え方として、新たに整備する定員の三割以下で、特に自治体が認めた場合との縛りがあります。また、補助の単価がユニット型施設に比べ一床当たり約三百七十万円低額で、百床の特養の場合ですと補助額に約一億一千万円の差があります。また、介護報酬も低く設定していて、一日当たり百人規模で約八万七千円、これを一年にしますと約三千万円の違いがあるなど整備運営の課題がございます。

江ロじゅん子

今の御答弁で、区としては、低い費用で入所できる介護施設を整備してほしい、そういった区民ニーズがあるということは認識していると。しかし、課題としては、多床室だと東京都の補助額も低い、介護報酬も安くなるということがあるということがわかりました。
しかし、課題認識されているのでしたら、区として課題解決に取り組む必要があるのではないでしょうか。先ほど御答弁でもありましたけれども、東京都は、区市町村が必要と認める場合は、定員の三〇%まで多床室の整備に補助を行っています。
この補助でつくられた多床室というのが、ここにある墨田区の東京清風園、特別養護老人ホームです。見ていただくとわかるとおり、東京都も多床室を進めるに当たっては、カーテンで仕切るといったものではなくて、こういったパーティションで天井から床まで区切られて、個室に近い、プライバシーもちゃんと確保されている多床室を進めるようにと整備誘導しております。こういうものだったら個室に近い環境だと私も思います。
ぜひこういった都の補助もありますし、これを使うためにはさまざま条件があるとも認識しておりますが、ぜひ世田谷区としても今後特養ホーム整備において、多床室の整備を行うことを求めますが、いかがでしょうか。

柳澤高齢福祉課長

先ほど御答弁申し上げました国の基本的な指針を受けまして、東京都は、特養ホームの新規整備は原則ユニット型を条件にしております。平成三十二年度までの第七期中に区内で開設する特養ホームは、そうした国や都の考えを踏まえまして、整備運営法人は、全室をユニット型個室の整備計画として、東京都の整備費補助の内示を受けており、現在整備を進めているところでございます。
区といたしましては、今後の特養ホームの整備については、国、都の居室の考え方などの動向を注視するとともに、特養入所申し込み状況など、区民ニーズをしっかり把握し、都の多床室に対する整備費補助や介護報酬も踏まえ、特養ホームの整備方針について検討を進めてまいります。

江ロじゅん子

区民にはさまざまな経済状況があり、そこに配慮し、前向きな検討をお願いしたいと重ねて要望いたします。

二〇二五年の特養ホーム一千人分整備計画の見直しについて

江ロじゅん子

それでは、特別養護老人ホームの質問の最後に、二〇二五年の特養ホーム一千人分整備計画の見直しを求めます。
私は、昨年の決算特別委員会で、区の特養ホーム入所指針は、待機時間が前提であって、加えて待機者が約一千八百人いるので、入所が可能な七五ポイントでもさらに待機が必要という状況を指摘しました。そして、新たな人口推計で、高齢者人口増加も予想されており、計画の上方修正、前倒しを求めました。
最近も地域の方から、新しく特養ホームができたって待っている間に死んじゃうと、本当にそうだと思うんですけれども、切実な声を伺いました。区はこの声をどう受けとめるでしょうか。七期案での約一千人分目標の見直しを求めますが、見解を伺います。

瓜生高齢福祉部長

特養ホームの整備につきましては、第六期の世田谷区介護施設等整備計画初年度となる平成二十七年度から十年間、二〇二五年に向けまして、新たに約千人分を目標に計画的な整備を進めております。整備の進捗状況でございますが、第六期と第七期計画を合わせますと、第七期末の平成三十二年度までの目標としていた約五百三十人を上回る五百九十三人の定員増の見通しが立っており、約千人分の整備目標につきましては、達成のめどが立っているところでございます。
区といたしましては、今後とも高齢者人口、要介護認定者数の推移や、特養入所申し込み状況など、区民ニーズを踏まえ、目標数の検証も行いながら、三年ごとの整備計画を策定してまいります。また、整備に当たりましては、公有地の積極的な活用を図り、目標の早期達成も念頭に入れた特養ホームの計画的な整備を引き続き推進し、誰もが住みなれた地域で安心して住み続けられるよう、特養ホームを初め、地域密着型サービスなど介護基盤の計画的な整備に全力で取り組んでまいります。

江ロじゅん子

部長が御答弁されたように、目標の早期達成も念頭にということで、待っていらっしゃる御家族の方、今の御答弁を聞いて、本当に安堵の思いだと思います。ただ、特養ホームがあっても、介護職が集まらない、そのためユニットを一部閉鎖するですとか、開所の調整をするとか、こういった状況が区でも顕在化されており、本日は介護職の処遇改善、人材確保の問題、議論はしませんけれども、ぜひ区として前向きに取り組んでいただきたいと要望しておきます。

精神障害者のアウトリーチ支援について

江ロじゅん子

それでは次に、精神障害者の地域移行を促し、地域生活を支える、アウトリーチの支援について伺います。
精神障害者へのアウトリーチとは、精神科の未受診、また治療中断の方に治療を促し、また退院後の地域生活を支えるため、医師、看護師、精神保健福祉士など多職種がチームをつくり、二十四時間体制で必要な方への家庭訪問などの支援を行うことを言います。この間、当事者、家族会からアウトリーチ支援を求める要望が繰り返し行われ、そして議会の多くの会派もこれを求めてまいりました。
先般、区議会には、梅ヶ丘拠点整備事業に伴う区立保健センター事業概要において、アウトリーチ支援を区直営で検討と口頭報告がありました。昨年度から区は、梅ヶ丘拠点整備でのこころの健康相談などの機能拡充について専門部会を立ち上げ検討しております。今回の口頭報告は、部会での検討内容を反映したものと考えますが、現在の検討状況について伺います。

鵜飼健康推進課長

区は、昨年六月、梅ヶ丘各拠点の心の健康づくりの機能整備を踏まえ、既存の相談窓口の役割、窓口相互の連携のあり方等を検討するため、世田谷区健康づくり推進委員会の専門部会として、外部有識者等で構成するこころの相談機能等の強化検討専門部会を設置いたしました。
これまでの検討を通じ、精神障害者や精神疾患者等に対するアセスメントに基づく支援のほか、措置入院時から退院後の生活を地域と連携して支える仕組みづくりを目指し、区独自のアウトリーチによる支援を行う多職種チーム等の必要性が確認されております。
そのほか、当事者や家族等が夜間休日など相談を必要とするときに随時相談できる窓口の整備、精神障害者に対する偏見の解消に向けた情報発信拠点の場の確保と仕組みづくりなどの必要性等につきましても確認をするとともに、当事者、家族の休息施設の要望などにつきましても課題として整理いたしました。
来年度におきましても、同専門部会を引き続き開催し、今年度整理した方向性をもとに、区直営の多職種チームの体制整備等も視野に、こころの相談機能等の具現化に向けた検討を行う予定です。

江ロじゅん子

今の御答弁で、夜間休日の相談体制や家族の休息施設など、当事者家族の要望についても検討しているとのことは大変重要な方向性と評価いたします。また、アウトリーチに関しては、この間、国では継続審議である精神保健福祉法改正に伴う措置入院患者の入院から退院後の支援の動きもあります。また、厚労省は、平成二十九年度から精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業を実施しており、平成三十年度から多職種によるアウトリーチ支援の補助事業も予算計上されていると伺っています。これらの国の動きもある中、区の方向性を区民、議会に早期に示していただきたいのですが、区の見解をお伺いします。

鵜飼健康推進課長

国は、平成二十九年度から都道府県等を実施主体とする精神障害者に対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業を、平成三十年度からその実施主体を特別区等に拡大し、事業内容にも精神障害者等とその家族を対象とする多職種によるアウトリーチチーム事業を追加することを承知しております。一方、措置入院患者等の退院後の支援に向け、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正が予定されておりましたが、いまだ見通しが立っていない中、先日、国から措置入院の運用に関するガイドラインを年度内に示すとの一報がございました。
こうした状況の中、来年度も、こころの相談機能等の強化専門部会を引き続き開催し、これら国の動向を踏まえながら、梅ヶ丘拠点のこころの健康づくりの相談機能等の具現化に向けた検討を進めてまいります。検討結果等については議会へも報告するとともに、当事者団体等へ情報を提供し、御意見等を伺いながら、精神障害者等が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができる支援の実現を目指してまいりたいと存じます。

江ロじゅん子

区がアウトリーチ支援導入に当たって、二十四時間三百六十五日の支援体制は必須と私は考えます。実際はどうなのかということで、先日、所沢市から精神障害者アウトリーチ支援事業を受託している株式会社円グループの代表と支援チームの看護師さんからお話を伺いました。所沢市のこの事業では、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、医師の計五名で、重度の方を含めた約七十名の登録者に対し、二十四時間三百六十五日体制で訪問看護、往診、電話相談を行っております。重度、重複の患者さんも、アウトリーチ支援などで在宅生活を続けられるということで大変驚きました。
お話を聞いて、患者さんの求めに応じた適時適切な電話相談、そして訪問と、多職種チームによる多角的な支援、患者さんとチームの信頼関係がそれを可能にしているということがわかりました。患者さんは、入院中は二十四時間治療看護を受けますが、当然退院後の生活にはそれはなく、また、精神の患者さんはソーシャルサポートが乏しいという事例も多く、こういったことから病状悪化、再入院を繰り返す事例は頻繁だと、私も精神科病院に勤めておりましたので、実感しております。
自宅に帰っても二十四時間三百六十五日、いつでも専門職に相談ができて、必要なときに来てもらえるアウトリーチ支援は、地域で暮らす患者さんにとって、本当に大きな安心感、何よりの薬かなというふうに思います。
また、区立特養ホーム芦花ホーム内にある芦花訪問看護ステーションからもお話を伺ったのですが、こちらは利用者の三分の一が精神疾患の方で、二十四時間の電話・訪問対応を行っており、その必要性は明言されておりました。
同時に、二十四時間対応による現場の負荷、混乱を危惧する声も聞きます。しかし、どちらの事業者さんからも、利用者から今すぐ来てという電話があっても、話を聞くだけで落ちつくことのほうが多い、信頼関係をつくり、またいつでも話せるという安心感から、次第に頻繁な電話は減って落ちつくとのことでした。
所沢市アウトリーチ支援事業では、平成二十八年度、一年間の夜間・休日出勤は四十九回という実績でした。ぜひ区としてもこのアウトリーチ支援、二十四時間三百六十五日で行っていただきたい、必要性の認識と今後、実際その支援を行っている事業者の聞き取りを行うなど、前向きな検討をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

鵜飼健康推進課長

精神障害のある当事者や家族の方が随時相談できる窓口の開設を望まれていることは承知しております。そのため専門部会でもその必要性について議論しており、区の窓口が閉庁する休日や一定程度の時間枠を設けて、夜間の窓口開設については、その中でも意義や効果が見込まれております。
一方、二十四時間型の相談窓口につきましては、電話相談の依存性を高めること、また繰り返し利用による生活リズムへの悪影響なども考慮し、より慎重な議論が必要であることを確認しております。
今お話にありましたように、現場に携わる専門の方の実態を把握することは重要であると考えて、お話にありましたとおり、近日中に二十四時間体制で精神障害者等に対してアウトリーチによる支援を行っている団体等を訪問いたしまして、その実態、課題等を伺い、来年度の検討につなげてまいりたいと存じます。

江ロじゅん子

前向きな検討、お願いいたします。

国民年金の過小支給問題について

江ロじゅん子

最後に、国民年金の過小支給問題について伺います。
三月三日、多くの新聞で年金百三十万人に過少支給という記事が報道されております。この件に関して区民から区への問い合わせ状況、そして区の対応を伺います。

和田国保・年金課長

八月末の申告書送付直後から、区の国民年金係の窓口へも問い合わせがありますが、日本年金機構からは、期限を過ぎても申告書を提出すれば過少支給した年金は是正され振り込まれると聞いておりますので、そのこともあわせて御案内しております。

江ロじゅん子

過小申告が、ちゃんと出せば戻るということなので、ぜひ丁寧な対応を区にお願いしまして、以上で日本共産党の質問を終わります。

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