平成28年第2回定例会 本会議 一般質問

2016年06月15日 江口じゅん子区議

低年齢児の保育施設の支援について

江口じゅん子

質問通告に従い質問します。 まず、小規模保育事業など、低年齢児の保育施設の支援について伺います。
先般、区は過去最大の保育待機児数などの結果を受け、今後の方向性として、ゼロから二歳児を対象に、認可分園、認証、小規模保育所の整備を一層促進していく方針を示しました。
日本共産党は、待機児対策の柱は、今後も認可を中心に量と質の確保を行うことを求めますが、同時に、待機児の状況などを考慮すると、今後区内で低年齢児の施設拡充は必要と考えます。その際重要なのは、子どもたちの保育の質が確保されることです。
区長はさきの我が党の代表質問において、全ての保育施設が質の高い保育を展開できるよう、量的拡大と質的な充実の両立を実現してまいる決意と御答弁されました。こうした姿勢は、多くの親たちの願いに即したものであり、保育関係者、何より保護者から大いに評価をされています。
低年齢児の保育施設において、これを進めるための具体的な施策を求め、以下提案を行ってまいります。
一つ目は、財政面での支援についてです。保育の質の確保、安定した事業継続には、区の支援の底上げが必要です。私はこの間、区内のある小規模保育事業所と、保育室から小規模への移行を目指す事業者の方々からお話を伺いました。小規模A型は認可と同程度の基準となっているが、運営費の差額が大きい、もし補助額がふえたら職員給与を上げたり、非正規職員を正規へ雇うことができる、昨年度末から保育職員が数人退職した、保育士不足の今、人材は条件のよいところに移るなどの実態を伺いました。
職員確保、待遇改善、定着は、保育の質に大きく関与します。認可とそれ以外の施設では、特に給与と待遇面で格差があります。保育に熱意と実績のある事業者であっても、処遇改善定着に大変苦慮しており、区として財政面での支援の増強が必要です。さらに、安定した事業運営は、安全で質の高い保育につながります。区として小規模保育所や保育室を含む低年齢児の保育施設への運営費補助を増額することを求めます。区の見解を伺います。
二つ目は、運営に対する支援についてです。小規模保育所の事業者の方々からは、事業者間同士の連絡体制が確立していない、区との定期的な協議も行われていないので情報が入ってこない、三歳児以降の連携園の確保が事業者任せなど課題を伺いました。区としてはこの間、保育室や保育ママを小規模含む新制度へ移行誘導してきた経緯があります。区として、移行や参入を目指す事業者、既に開設した事業者に対し、丁寧な支援を求めます。見解を伺います。
三つ目はチェック体制についてです。この間、区内でも認証保育所の小田急ムック成城園での虚偽申請、補助金不正受給、また、株式会社の認証保育所の経営権争いによる閉鎖騒動、さらに、小田急ムックなどを運営する株式会社小田急ライフアソシエの全株式が、株式会社木下ホールディングスに譲渡されるなど、保育の質や継続性が問われる問題が起きました。
国の規制緩和により、特に小規模の保育所は、さまざまな業種の株式会社など多様な運営主体が参入しやすくなっています。保育事業が営利目的により運営されることで、質の低下、事故の発生、安定した事業継続が担保できないなどの問題が生じるおそれがあります。 区として保育の質を保つため、今後一層のチェック体制の強化が必要です。区の見解を求めます。

中村 子ども・若者部長

 

私からは、小規模保育事業など低年齢児の保育施設の支援について、三点御答弁いたします。
まず、事業者からの声をよく聞き、丁寧に寄り添う支援を行えとの御質問です。
小規模保育事業を初めとした地域型保育事業につきましては、平成二十七年度より、子ども・子育て支援新制度の施行とともに、区の認可事業となりました。これまでも各事業者と個別にきめ細やかな運営支援を実施してまいりましたが、今年度からは事業者相互の情報共有などが図れる機会の設定などに努めてまいります。
また、低年齢児を重点とした待機児童対策を進める観点からも、小規模保育事業の新規参入を促進するため、三歳以降の受け入れ先となる連携施設を紹介するなど積極的な支援を行っているところです。新制度への移行を希望する認可外保育施設に対しては、これまでも個別に御相談をお受けしているほか、認可化移行可能性調査の活用等を御案内するなど支援を行っております。
今後も小規模保育事業への参入や新制度へ移行する事業者に対しては開設前支援研修を実施し、準備体制を支援するなど、各事業者に寄り添ったきめ細かい対応をしてまいります。
次に、保育の質を保つため、今後一層のチェック体制の強化が必要との御質問です。
区では、今期の子ども・子育て支援事業計画において、保育所定員を現在の約一万六千人から約二万人まで引き上げるため、認可保育園及び小規模保育事業者、認証保育所など、株式会社を含めた多様な運営主体の参加促進を図っているところです。
御指摘の運営事業者の変更につきましては、当区では認可保育園での事例はありませんが、運営事業者に変更が生じる際には、子どもの最善の利益を守る観点から、運営主体の法人形態にかかわらず、変更後の事業者の保育に対する考え方、人員体制を含めた円滑な事業引き継ぎの方法などについて確認するとともに、財務状況など必要な審査を丁寧に行ってまいります。
また、保育内容については、日ごろより十四名の職員により、区内保育施設へ巡回指導相談を行っております。そこでは、子どもへの言葉がけ、うつぶせ寝の危険性など、保育の基本や子どもの危機管理についてアドバイスを数多く行い、保育施設がこうしたアドバイスを受けとめ、子どものために最善の保育を提供していただけるよう支援をしているところです。
今後も多様な設置運営主体に対して、新規事業者に対する開設前支援研修や開設後のさまざまな支援を積極的に行い、保育の質の確保と施設の安定的な運営に取り組んでまいります。
次に、小規模保育所や保育室の運営費補助についてです。
小規模保育事業における保育の質を確保するための安定的な事業継続に必要な運営費につきましては、平成二十八年四月より増額された国の定める給付費の内容や、それぞれの小規模保育事業所の運営状況、他自治体の動向等を踏まえ検討してまいります。また、低年齢児受け入れに大きな役割を果たす保育室の運営費につきましては、先般閣議決定されました日本一億総活躍プランにおいて、自治体独自の保育施設への運営費支援が示されたことも踏まえて検討を行ってまいります。
 これらを含め、先ほど宮崎副区長から他会派に御答弁しましたが、七月末の所管委員会で、待機児童解消に向けた具体的な対応策としてお示しし、議会の御意見をいただいてまいります。
 以上です。

外環道の二十四時間三百六十五日の工事について

江口じゅん子

次に、外環道の二十四時間三百六十五日の工事について伺います。
現在大蔵五丁目では、地上部でシールドマシーンの組み立て工事などが行われています。日本に数台しかないと言われる巨大クレーンがそびえ立ち、野川両岸が工事用フェンスで覆われ、野川を横断する工事用の橋がつくられるなど、以前の緑豊かな環境と大きくさま変わりをしております。
昨年の六、七、八月、地域住民と対象の町会対象に前述した工事に関する説明会が行われ、私も参加しました。説明会で特に住民からの不安、意見が多かったのは、二十四時間三百六十五日工事を行うことに対してでした。
NEXCOなど事業者の説明は、シールドマシーンは二十四時間稼働し、現地から練馬方面に二台同時に掘進する。最大で八千立米の土砂が排出されるため、地上部の野川沿いに高さ十八メートル、長さ約百五十五メートルと約二百十メートルに及ぶ防音ハウスを両岸につくる、その中で常設の六台の油圧ショベルが十トントラックに土砂を運び入れ、東名高速へ搬出する。最大で一日五千台のトラックが通行するだろう。これを二十四時間三百六十五日行う。防音ハウスの契約は平成三十一年となっており、工事は数年続くというものでした。
説明会で住民の方からは、この地域は夜間は物音一つしないくらい静かだ、二十四時間毎日トラックが行き交うような工事が三、四年も続くのは問題だ、防音ハウスがあっても振動や騒音はゼロにならないなどの声が出されました。現在地元の方々からは、説明不足、また、夜間、日祝日工事の中止はやめてもらいたいという声が聞かれています。区はこうした切実な声をどう受けとめるのでしょうか。
区は、地元自治体として、地域住民の福祉や暮らしを守る立場で国に意思表示をすることが必要です。地元住民にとって、二十四時間三百六十五日の工事が数年にわたり行われることの被害、影響は余りにも大きいと考えます。区長の認識を伺います。 当該地域は、第一種住宅専用地域です。事業者は二十四時間三百六十五日の工事を行うと説明していますが、現在の法律、基準においてそれは可能なのでしょうか、区の見解を伺います。

板垣 副区長

私からは、二点について御答弁させていただきます。
最初に、外環道の二十四時間三百六十五日の工事についてでございます。
外環道の仮称東名ジャンクション予定地では、本線シールドトンネルの築造に向けたシールドマシーンの組み立て作業が六月より始まっており、今後、トンネルの掘進とそれに伴う土砂の搬出等の作業が予定されております。
区長が、平成二十三年十二月に区有地の使用条件として、国に七項目の要望事項を示してきたように、工事に伴う環境への配慮につきましては、必要な対策等を講じるよう、区はこれまで、事業者である国、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社に対して重ねて申し入れております。
また、事業者からは、防音ハウスの設置を初め、さまざまな環境保全措置を実施することで、騒音や振動の低減に努めていく旨の説明を受けておりますが、大深度地下を活用した日本最大級のトンネル工事でもありますので、地域への影響がより少なくなるよう、現在も要請しているところでございます。
区といたしましては、区民の生活を守る立場から、工事により懸念される生活環境について十分配慮するよう引き続き事業者へ求めていくとともに、地域住民の方々に対し、丁寧な対応に努めるよう働きかけてまいります

菊池 環境総合対策室長

私からは、外環道の二十四時間三百六十五日工事について、それを規制するための法律、基準等について御答弁申し上げます。 区内の建設工事全般についてでございますが、くい打ち機や一定の基準以上の掘削機等を使用する場合、騒音規制法及び振動規制法に基づきまして、事業者から特定建設作業実質届を提出していただき、騒音、振動等の基準に従って工事を実施するよう指導しております。
さらに、特定の掘削機を使用するような作業につきましては、東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づいた指定建設作業に位置づけ、法に準じた勧告基準がございます。都条例では騒音八十デシベル、振動七十デシベル、作業時間が午前七時から午後七時の間の十時間以内、日曜祝日以外の日の作業などが定められており、なおかつ周辺の生活環境を著しく損なわれると認められる場合は、事業者に勧告することができる規定となっております。
世田谷区としましては、外環道の工事の進捗状況を見ながら、地域住民の生活環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

環八の千歳台交差点に横断歩道設置について

江口じゅん子

次に、環八の千歳台交差点に横断歩道設置を求め伺います。
この問題は、議会の中で繰り返し地元の強い要望として質問が行われています。先般地元住民の皆さんでつくる環八千歳台交差点に横断歩道の設置を目指す会が区議会への要請を行い、私も地元区議の一人として要請を受けました。
団体署名は、希望丘団地高齢者クラブ望みの会、千歳清掃工場、JA東京中央千歳支店などなどの十七団体、個人署名は一千三百四十九筆集まったと伺いました。また、上北沢まちづくりセンター管内の五町会自治体で署名が回覧板で回されたとのことです。これは、地元の歩道橋は不便、横断歩道設置要望がいかに強いかのあらわれです。
先日、会の方々は、同趣旨で副区長と成城警察に要請をしたと聞きました。区は地元の高齢者、障害者、子育て世代の方々からの三十八段もある歩道橋を渡るのが大変、車椅子では歩道橋は渡れず、やむなく自転車専用レーンを使っている、怖いが仕方ないなどの声をどのように受けとめたのか伺います。
区は、今後どのように都や警察との協議を進めていくのでしょうか、見解を伺います。

小山 土木部長

私からは、環八の千歳台交差点への横断歩道設置について、今後の都や警察との協議についてお答えいたします。
このたび、区と同様に成城警察署にも環八千歳台交差点に横断歩道の設置を求める請願署名が提出されたと聞いております。横断歩道の設置及び管理に関しましては、東京都公安委員会の権限に属するものでございます。区といたしましては、成城警察署に対しまして、今回の要望を踏まえ、その趣旨である横断歩道設置を中心としたバリアフリー化につきまして、一層粘り強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。
また、道路管理者である東京都には、請願署名の内容を伝え、横断歩道橋の設置を含めた千歳台交差点のバリアフリー化について、同様に働きかけを継続してまいりたいと思います。
以上です。

板垣 副区長

次に、環八の千歳台交差点に横断歩道設置についてでございます。
かねてより他の会派からも、千歳台交差点への横断歩道の設置を初めとした環状八号線にかかる横断歩道橋とその周辺のバリアフリー化につきましては御要望をいただいているところでございます。
御指摘の千歳台交差点に関しましても、環状八号線の道路管理者である東京都建設局第二建設事務所や、交通管理者である成城警察署に対し、横断歩道を含めた千歳台交差点のバリアフリー化について継続して改善要望してまいりましたが、具体的な進捗が見られない状況でございます。
先般、千歳台交差点周辺の十七団体を含む住民の方々からの環八の千歳台交差点に横断歩道の設置を求める請願署名を受けとりましたが、改めて地元の皆様の関心の高さ、要望の強さを感じ取ったところでございます。
こうしたことを踏まえ、区といたしましては、地元の皆様の要望でございます千歳台交差点への横断歩道の設置を含めた交差点のバリアフリー化について、より一層粘り強く東京都や警視庁に働きかけてまいります。
以上です。

都立玉川高校跡地活用について

江口じゅん子

最後に、都立玉川高校跡地活用について伺います。
これまで我が党は、都立玉川高校跡地を活用し、地元要望の強い図書館、集会施設、保育園、特養ホームなどの整備を求めてきました。さきの議会で、区は今後、これまで寄せられてきたさまざまなお声、地元要望なども踏まえ、ことし七月を目途に、区の跡地活用の方向性について議会に御報告し、都に要望していく予定と答弁をしております。地元の期待、関心は大変大きいものです。住民団体からはさまざまな提案も行われています。
区は、七月末に都へ要望を提出する前に、地元の町会、団体、住民の方々へ、区としての活用の方向性を報告することが必要と考えます。地元の方々の気持ちに寄り添い、丁寧な対応を求めます。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。

板谷 政策経営部長

私からは、都立玉川高校跡地活用についてお答えをいたします。
旧都立玉川高校跡地のある二子玉川地区は、広域生活文化拠点と位置づけられています。また、再開発の進展とともに人口増の傾向が続くエリアでもあり、目指す地域像の実現や人口動向に対応する活用を検討する必要があります。七月の都への要望では、既に住民の方から寄せられているさまざまな御要望や当該地域における政策的優先度、財政面での課題等を整理した上で、区としての活用の方向性を示してまいります。それをベースに、活用の可否や条件面など都の意向を確認してまいりたいと考えております。その後、都の意向も踏まえた具体的な活用のあり方について検討を進めていくことになります。その段階では、住民との対話や区議会において十分な議論を尽くしていくことが重要であると考えており、議論の場の確保に努めてまいります。
以上でございます。

再質問

江口じゅん子

外環について要望と再質問します。
まず、二十四時間三百六十五日工事、住民の方の理解、まだまだ得られていないというのは質問で申し上げたとおりです。また、知らない方も多くなっています。今この坑外設備工の工事、おくれて行われていますけれども、これから事態が進むにつれてまた説明会などもあると思いますが、ぜひ地域の皆さんへの丁寧な説明、それをよろしくお願いしたいと要望します。
そして再質問なんですが、二十四時間三百六十五日工事は油圧ショベルなどを使う予定です。答弁にあったように、都の環境条例ではバックホウ、つまり、油圧ショベルなどの掘削機を使用する作業は、夜間、日曜日、休日作業はできないとなっております。
 ことしに入って、事業者が区の環境保全課に二十四時間三百六十五日工事を行いたいなどの打診があったと聞いております。その際、区はどのように対応したのか伺います。

最答弁

菊池 環境総合対策室長 

再質問にお答えいたします。
外環道の工事に関しまして、事業者から夜間の作業を実施したい旨の相談が本年三月に環境保全課のほうへありました。事業者の説明では、バックホウという低騒音のショベル型の掘削機を使用して土砂等をトラックに積みかえる作業を行うとのことであり、また、作業は日曜、休日も実施したいとのことでした。
環境保全課としましては、掘削機を使用することから、都条例の対象となり、時間と曜日の点で勧告基準に該当すること、また、本条例は基準を超えかつ周辺の生活環境が著しく損なわれると認められる場合に勧告できるという規定であり、この基準は禁止事項ではなく発動要件であることなどを説明しております。
以上でございます。

江口じゅん子

現段階、都条例では、夜間や休日工事はできないということになっていますけれども、これからどのように事業者側が二十四時間三百六十五日行う説明づけをしていくか、これはまだですので、ぜひ区としては地元住民の暮らし健康を守る立場で意思表明をお願いしたいと重ねて要望し、私の質問を終わります。

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