平成28年第1回定例会 本会議 一般質問

2016年02月26日 江口じゅん子区議

二子玉川再開発について

江口じゅん子

質問通告に従い、質問します。
まず、二子玉川再開発についてです
昨年、二子玉川再開発は竣工し、町の様相は一変しました。人口もふえ、ショッピングセンター、シネマコンプレックスなどができたことで来訪者数は激増しています。にぎわいが増す一方、地域住民からは再開発により生じたさまざまな問題の解決がもう何年も求め続けられています。特に解決が急がれるのが、再開発の超高層ビル群による危険な風害問題です。
私は、これまでもビル風にあおられ、高齢者が転倒、骨折したことなど、被害の実態を述べ、議会で早急な解決を求めてまいりました。そして何より、地域の方々の六年間にわたる粘り強い運動があり、この間、再開発組合に植栽、パネル、黄色回転灯の設置などや、昨年にはビル風被害の大きい多摩堤通りを渡らず駅まで行ける迂回路などが整備されました。しかし、抜本的対策には至っていません。そのため、区は、風対策の専門家会議を立ち上げ、平成二十六年十二月には、二年間にわたる専門家会議の検討結果報告集会が行われました。
提案では、多摩堤通りを大屋根で覆うことで風を遮り、発生を抑制する案が示されました。これに対し地域の方々からは、玉川一丁目に新たな被害を生むのではないか、また対策としては、地下道やカバーで覆われたエレベーターつき歩道橋なども検討してほしいなど、実にさまざまな意見、要望が聞かれました。そして、日々ビル風を体験している住民の声をよく聞き、対策を講じてほしいと要望されています
ここで伺いますが、専門家会議の報告から一年以上経過しますが、地域住民に今後の風対策の具体策は提示されていません。早急な解決が必要です。今後どうするのか、スケジュールなどについても伺います。
風害による被害は続いています。東京で春一番が吹いた二月十四日の午前中、バスターミナルなどがある交通広場そばのコンビニ前で、強風でベビーカーから赤ちゃんが吹き飛ばされたのを地域の方が目撃しました。以前より地域の方々からは、交通広場のビル風対策が不十分であり、バス待合室をつくってほしい、ほかにもテラスマーケットの自転車屋付近などなど、追加の風対策の要望が聞かれています。ビル風の危険を知らずに来訪する方々が増加していることからも、誰もが安全安心に交通できるさらなる風対策が必要です。
住民の方々からは、現行のビル風対策は不十分、追加対策の要望が寄せられています。対策を行うに当たり、住民の声を聞く場を設けるなど、丁寧な対応が必要です。あわせて区の見解を伺います。
二期再開発組合は、平成二十八年度中にも解散予定と聞きます。しかし、風害など、再開発により生じている問題や懸念される水害や地盤沈下などが起きたとき、どこが問題を引き継ぎ、対応に当たるのでしょうか。区として事業者に問題を引き継がせるよう、きちんと指導を行うべきです。区の見解を伺います。
また、今議会に組織改正条例案が示されました。拠点まちづくり担当部廃止が提案され、住民の方からは、今後の対応はどこが行うのか不安が寄せられています。区としての考えをお示しください。

男鹿 拠点まちづくり担当部長

私からは、二子玉川再開発に関しての幾つかの御質問にお答えいたします。
まず、今後の風対策の具体策とスケジュール等について御答弁いたします。
平成二十六年十一月、専門家会議により検討結果報告書が取りまとめられ、対策が必要と考えられる箇所の抽出や多摩堤通りを覆う大屋根構造物などによる抑制対策、強風エリアの回避策などが例示、提案されました。現在、再開発組合は、既に実施済みの自主対策である防風植栽、防風パネルや西陸閘付近の迂回路及び注意喚起表示に加えて専門家会議により提示されたさらなる追加対策を講ずるべく、現在、対策が必要と考えられる箇所に対して、対策手法の検討に取り組んでおります。
区といたしましては、今年度中に対策の方向性を取りまとめることを目標に、再開発組合と引き続き協議しており、まとまり次第、議会及び地区住民にお知らせしてまいります。
次に、住民からの追加対策の要望が寄せられており、住民の声を聞く場を設けるなど、丁寧な対応が必要とのことについてお答えいたします。
区では、これまでも住民団体からの個別面談に応じ、風環境改善対策への要望をお聞きしております。再開発組合に対しても、その都度、要望内容について情報共有を図ってまいりました。今後の対策の方向性がまとまり次第、地元に対しては、報告会などを開催するとともに、対策の実施に際しては、玉川一丁目町会など、地域住民への丁寧な対応を心がけながら進めてまいります。
次に、二期再開発組合解散後、風害、地盤沈下など、問題対応を事業者に引き継がせるよう、区の指導に関することと拠点まちづくり担当部廃止後の対応についてお答えいたします。
平成二十二年七月に設立された二子玉川東第二地区市街地再開発組合は、風環境改善対策を初めとして、再開発事業の進捗に伴い発生した問題に対応してきております。昨年六月には、二子玉川東第二地区市街地再開発事業により、全ての施設が竣工いたしましたが、再開発組合につきましては、平成二十八年度中に解散となる見込みでございます。施設竣工に伴い、第二地区事業の管理運営につきましては、Ⅱ―a街区管理組合がその業務を担っており、再開発組合の事務の一部を引き継いでいるとのことです。また、平成二十三年に竣工している商業街区など、各街区管理組合及び鉄道街区運営者のそれぞれの代表者により構成された二子玉川ライズ協議会も組織されています。 現在、区では風環境対策について再開発組合と協議を進めておりますが、組合解散後の対応につきましても、しかるべく組織に引き継ぐよう、あわせて協議しております。また、御質問の区の業務に関しては、先日の御提案では、新設する市街地整備課に移管することになっております。
以上でございます。

都立玉川高校跡地活用について

江口じゅん子

次に、二子玉川地区に都立玉川高校跡地などを活用し、公共施設整備を求め、質問します。
これまで多くの会派がこの地区の公共施設の不足を指摘してきました。我が党は都立玉川高校跡地の活用を提案するなど、この地域に足りない集会施設、図書館、児童館、また保育園や特養ホームなどの整備を求めてまいりました。また、住民団体からも跡地活用や図書館整備などに対し、ワークショップを行うなど、さまざまな提案が活発に行われております。
区の二子玉川地区の公共施設整備の必要性や都立玉川高校跡地活用についての今後の考え、スケジュールを伺います。 また、整備に当たっては、地域住民の皆さんの要望をよく聞き、丁寧に取り組むことを要望します。区の見解を伺います。

板谷 政策経営部長

私からは、都立玉川高校跡地活用のお尋ねについてお答えをいたします。
二子玉川駅周辺地区は、再開発等による人口増とともに、集会機能などの施設需要が見込まれております。議員御指摘の都立玉川高校跡地は、現在は東京都公文書館の仮移転先などの仮庁舎用地となっており、平成三十一年度中まで活用すると伺っております。なお、敷地の一部は玉川総合支所の改築時に生活支援課や保健福祉課及び集会室機能の仮庁舎として、平成二十九年度から三十一年までの暫定活用を都に要望してございますが、都立公文書館移転後に、改めて区としての活用を図らせていただきたいと考えてございます。
区は、新たな基本計画におきまして、二子玉川地区を広域生活文化拠点と位置づけ、新実施計画に基づき、用賀出張所から二子玉川分室を分割して、まちづくり機能を付加した新たな事務所、集会機能を整備する取り組みを進めております。当該エリアは、区内最大級の区立二子玉川公園のほか、昨年五月に図書館カウンターを設置してございます。今後、都市計画上の用途地域やこれまで寄せられてきたさまざまなお声、地元の要望等も踏まえ、ことし七月を目途に区の跡地活用の方向性について議会に御報告し、都に要望をしていく予定でございます。 以上でございます。

介護の質と量の確保に向けた対策強化

江口じゅん子

次に、介護の質と量の確保に向けた一層の対策強化を求め、質問します。
川崎市の有料老人ホームでの転落死事件で逮捕された元職員は、仕事のストレスを抱えていたなどの趣旨の供述をしています。殺害にまで至るケースはもちろん特異ですが、介護施設の虐待は増加し、厚労省によると、二〇一四年度の介護施設での虐待報告は三百件と過去最多になっています。
今、介護現場の実態はどうなっているでしょうか。今月、病院や介護施設の職員でつくる日本医療労働組合連合会は、介護施設夜勤実態調査結果を発表しました。これは、全国百十八の介護施設で働く職員三千百九十六人のアンケート結果を集計したものです。調査によると、長時間夜勤となる二交代勤務を行っている施設が八五%、その七割弱が十六時間以上の夜勤です。グループホーム、小規模や複合型の施設では、回答のあったほぼ全ての施設が一人夜勤です。また、多くの施設で非正規職員が夜勤を勤めています。結果からは、現場の深刻な人手不足、そして認知症、医療行為が必要な利用者がふえる中で、長時間夜勤を一人の職員が担う厳しい現場の実態がうかがえます。
私は、先日、区内の特養ホームと有料老人ホームの施設長さんなどからお話を伺いました。どこも人材確保に苦慮しており、介護職の平均賃金が全職種と比較し、十一万円下回ることを引き合いに、結婚し、子どもができても生活できる展望が必要と話されていました。区の特養ホームの待機者は約二千人で高どまり状態です。区は二〇二五年度までに特養ホーム一千人分整備などの目標を掲げています。しかし、国の介護報酬切り下げもあり、目標があっても、量と質の確保はできるのか大変危惧をしております。
区は、来年度、第七期介護保険事業計画策定に向けて、区内事業者の実態調査を行う予定と聞きます。その際、法定外のお泊まりデイも含め、介護職員みずから勤務状態などを回答する実態調査を行うことを提案します。実態を踏まえ、区として新たな介護職の処遇改善、人材確保策を早急に進めることを求めます。区の見解を伺います。
今、介護現場だけでなく保育の現場でも、全国で施設の不足、そして質の低下という同様の問題が起きています。世田谷区の介護サービス、保育サービスなどの質の確保、向上のためには、区政運営全体で現場職員の労働条件の改善に取り組む必要があります。区長の認識、そして一層の対策強化に向けた決意を伺います。

保坂 区長

江口議員にお答えをいたします。
介護、保育に携わる職員の皆さんの雇用条件、労働条件に関しての御質問です。
介護及び保育の質及び量を確保する上で、介護や保育の現場で働く方の処遇改善は大変重要であると認識をしております。とりわけ川崎市の事件などを振り返ると、決して、その環境がゆえにそういう事件が起きたとは結びつけることはできないと、特異性はあると思います。一方で、介護職員の極めて厳しい労働条件と命を預かるという大変重い責任、そして重労働ということがあって、比較的短い期間での離職が多いと、また最近は集まってこない。福祉専門学校などの学生も希望者はふえている。構造的にこれを対処しなければ、施設の拡充だけではこれからの時代に備えることはできないというふうに思っているところです。
区では、介護職員の確保と質の向上に向けて、職員の処遇改善につながる資格の取得を支援し、また、二十八年度より都の介護職員宿舎借り上げ支援事業を活用することを現在検討しています。
保育につきましては、国基準の保育園運営費に区として上乗せした給付を行うことで、事業者が給与面などを通して安定的に保育士を雇用できるよう支援しています。また、保育士の家賃負担を軽減するため、平成二十七年四月から保育士宿舎借上げ支援事業を開始し、十月には既存施設や国や都の制度の対象とならない保育施設にもこの支援対象を拡大しました。さらに、介護や保育の現場の職員がやりがいを持って働くことのできる動機づけも、質の確保向上に向けた重要な支援と考えており、各種研修のほか、介護事業者等による実践・研究の発表を交わす場である福祉区民学会の開催に、区として協力したり、また、介護の現場で働く人たちや介護事業者の声に耳を傾けるフォーラム等で実態を私どもが聞いてニーズをつかむことも重要と考えています。また、保育施設に働く保育士等を対象にした保育実践報告会も実施をしております。
介護も保育も人が人を支えるサービスであり、質の向上のためにそれに携わる人が世田谷の施設で働くことに誇りとやりがいを感じるとともに、長く働き続けたいと思う労働環境を整えていくことが重要であると考えております。今後とも、国や都の施設改善に向けた支援の拡充を要望し、労働雇用条件の向上の支援に取り組んでまいりたいと思います。

田中 高齢福祉部長

私からは、介護職員の実態調査と介護の質と量の確保に向けた対策強化についてお答えいたします。
区では、介護現場の実態を把握するため、施設職員へのヒアリングや意見交換を行ってまいりました。施設からは課題として、業務多忙のため、サービスの質の向上や介護福祉士等の資格取得などの研修に職員を参加させられないことなどが挙げられております。課題解決に向けて、現在、新たに見守りの代替や車椅子やベッドからの移動動作の支援などを行う国の介護ロボットの導入支援特別事業の協議を開始いたしました。また、介護人材確保・定着を図るため、福祉避難所指定施設に一事業所当たり四戸、月額八万二千円の八分の七を四年間補助するという都の介護職員宿舎借り上げ支援事業の活用を検討しております。さらに、専門的技術を必要としない業務を補助する介護助手の導入による有資格者の負担軽減策などについて、施設職員の意見を伺いながら検討を進めております。
平成二十八年度には、第七期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定に向け、雇用や労働環境についての設問を含む事業者アンケート調査を実施いたします。調査内容は、今後、詳細を詰めてまいりますが、できるだけ介護現場の実態を捉える調査となるよう工夫するとともに、調査結果を踏まえ、介護職員が長く働き続けられる環境の整備や介護の仕事の魅力など、人材確保策について検討してまいります。
以上でございます。

補助五二号線について

江口じゅん子

最後に、補助五二号線について伺います。
東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)において、宮坂二丁目から経堂、船橋を横断し、環八まで至る幅員二十メートルの補助五二号線が優先整備路線となりました。
私は先日、経堂の住民の方々とほぼ現道のない計画線を歩きました。宮坂二丁目の経堂本町通り商店街から出発し、行列のできる有名な魚屋さん、花屋、そば屋などなど、数々の商店や歯医者、クリニックなど、住宅も横断し、農大通り商店街を南北に分断し、貫きます。経堂の名の由来になったと言われる約三百九十年の歴史を持つ福昌寺を横断し、小田急線の高架下を抜け、経堂駅北側の経堂西通り商店街に行きます。多くの商店や住宅などを横断し、区立烏山川緑道、JKK経堂第一住宅、区立経堂四丁目児童遊園を横断し、船橋に入ります。さらに、区立船橋一丁目広場を横断し、住宅街を抜け、ちとふな商店街と森繁通りを分断し、千歳通りに出たら、浄立寺と都水道局南部支所を横断し、環八に至る計画です。
商店街だけでも四つ、寺は二つ、公園は二つ、緑道は一つを横断する計画です。多数の住宅、そして商店が立ち退くことになりますが、区は立ち退き戸数を把握していないとのことでしたので、私は住宅地図に計画線を落とし、一つ一つ数えてみました。約二百八十五戸、集合住宅もあるので、それ以上が立ち退くことになるだろうとわかりました。地元からは、こんな大きな道路が必要なのか、商店街を潰すななどなど、さまざまな意見が寄せられています。
二百八十五戸以上の住宅、商店を立ち退かせ、四つの商店街、二つの寺、二つの公園、一つの緑道を横断する五二号線計画は、区民生活、環境、そして商店街に多大な被害、影響をもたらします。区の認識を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。

青山 道路整備部長

私からは、補助第五二号線整備についての影響についての区の認識について御答弁申し上げます。
都市計画道路補助第五二号線は、目黒区の青葉台から成城までの延長約九・六キロメートルの都市計画道路で、環状七号線までが完成区間となっております。区内の環状七号線より西の区間は未完成ですが、補助第一二八号線までの区間は、特定整備路線の区間を含め、現在、東京都で事業が進められております。補助第一二八号線から環状八号線までの区間は、第四次事業化計画案において、都施行による優先整備路線に選定されており、完成すれば、環状七号線から環状八号線までの道路ネットワークが整備されることとなります。
補助第五二号線は、自動車交通の円滑化など、広域的な整備効果もさることながら、基盤が未整備で密集している地区に計画されていることから、区としても、整備により、消防活動困難区域や災害時の避難が困難な区域の解消等、地区の防災性向上に大きな効果があるものと期待しております。
お話しのとおり、本路線は、経堂農大通りを横断し、経堂駅の南側のお寺を通る計画となっておりますが、事業に当たっては、施行者である東京都がどのような影響があるかも含め必要な調査を行い、適切な対策がとられるものと考えております。
なお、この路線に限らず、計画線に係る権利者数等につきましては、事業実施の段階で施行者が調査を実施し、把握していくこととなります。
以上です。

再質問

江口じゅん子

五二号線について、答弁では農大通りと経堂駅の南側のお寺のことしか述べていませんでしたが、四つの商店街、二つの寺、二つの公園、一つの緑道、二百八十五戸以上の住宅を立ち退かせるということで、本当に影響が大きいと思います。それに対して、東京都がどのような影響があるかも含め、東京都が対策を考えるというのでは区は無責任だと思うんですね。世田谷区が参画し、やっている事業ですから、ちょっとそれについて、部長、答弁をお願いします。

再答弁

青山 道路整備部長

再質問にお答えいたします。
基本的に今述べましたように、事業の施行者がその事業に伴う影響を調査して対策を検討するというのは基本でございます。区施行の場合は、当然世田谷区が必要な調査を行って対策等を検討するということになっております。ただ、東京都は、事業をする前には、当然世田谷区のほうにもいろいろな情報提供があると思いますので、そのときに、その情報によって、必要があれば世田谷区としての意見は述べていきたいなと思っています。

以上です。

 

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