平成27年決算特別委員会 福祉保健委員会所管質疑
2015年10月08日 江口じゅん子
妊娠期からの切れ目のない支援について
江口じゅん子
引き続き質問を行います。まず、妊娠期からの切れ目のない支援について伺います。
現在、区では妊娠期からの切れ目のない支援の検討委員会が行われておりまして、私も議事録などを拝見させていただきました。その検討の中で、ハイリスクの妊婦だけじゃなくて、もう今や子育てが非常に難しい時代だと。全ての妊婦を対象に寄り添った道案内が必要といった議論もされていて、非常に重要な観点だと思っております。
共産党としても、この間、妊娠期からの切れ目のない子育て支援を世田谷版ネウボラと位置づけること、また、さまざまな提案も行っています。検討会でも、子育て世代包括支援センターの活用が検討されていますが、この設置をぜひ要望しておきます。
次に、妊娠期からの切れ目のない子育て支援において、適切な時期に産後の母親の心のケアを行うことを求め、質問します。
ことし、成育医療センターの医師たちによる研究班が、同病院で出産した約一千四百人の母親の妊娠中から産後三カ月のメンタルヘルスの研究報告を行いました。出産後、ほとんどの女性が気持ちが不安定になるマタニティーブルーを経験します。これがなぜ起こるかというと、女性ホルモン分泌量の急激な低下があるんですね。女性ホルモンというのは、妊娠中は胎盤から大量の女性ホルモンが分泌されているわけですが、この女性ホルモンには脳の機能を維持し、気持ちを安定させる働きがあります。出産後、大量に出ていた場所、胎盤が、あと赤ちゃんが体外に出ることで一気にそれが低下をする、こういったことが大きなマタニティーブルーの原因になっています。さらに、睡眠不足や育児疲労、体の不調など、さまざまなことも要因します。
その後、この症状が長引くと産後鬱と診断されるわけで、初産の方に多く、全体では産婦の約一〇%が罹患すると言われています。実は私も産後鬱の経験者でして、子どもが生まれたばかりなのに、自分が病気になってしまって、やはり大変な経験でした。一人でも多くのママが産後鬱にならないための予防的措置、これがとても大切だと思います。
先ほどの成育医療センターの研究に戻るんですが、この結果では、産後鬱陽性者の割合が、産後二週間では二五%、つまり四人に一人に上ることが明らかになりました。その後、産後一カ月では一七・六%、三カ月では六・一%と推移をします。産後二周目の時期に精神状態が最も不安になって、その割合が初産の方では四人に一人という結果は大変驚きで受けとめられまして、NHKでもこれを取り上げた報道が行われました。この調査を行った成育の医師によりますと、産後二週間、一カ月というタイミングで母親に何らかのケアを行わないと非常に大きな問題につながりかねないと、NHKの取材でこのように答えられていました。
現在、区では、産後四カ月目までを目安に、保健師、助産師が赤ちゃん訪問を実施しています。そこでは、産後鬱や不安を抱える母親を早期にキャッチする目的で、チェックリスト、アンケートを実施しています。これはこれで非常に大切なことだと思うんですが、研究では産後二週間、一カ月の時期への支援が重要だと、そういった根拠が得られているわけです。研究班では、その時期に母親、新生児の分娩施設での健診制度の構築、これも提唱しています。
実際に妊婦、そして産婦のメンタルヘルスに取り組んでいる医療機関が、埼玉県埼玉医科大学総合医療センターというところにありまして、ここは妊娠八カ月の早期の時期から、全妊婦さんのメンタルヘルスの調査、面談などや聞き取りなどの調査を行って、それを産後の支援につなげているということなんです。この取り組みにより、同病院で出産した女性が産後鬱と診断される割合は全国平均の一〇%を大きく下回り、一%程度に抑えられているという結果が出ています。適切な時期に予防的措置を講じれば、有病率が下がるわけですから、研究で示された産後二週間、一カ月というタイミングでの母親の心のケアをぜひ取り組む必要があると思っております。
ここで伺いますが、区の母親の心の支援の必要性についての認識を伺います。
百瀬 子ども家庭課長
妊娠中や産後、乳幼児を育てる時期はさまざまな不安を抱える時期であり、核家族化や地域社会とのかかわりの希薄化の進展により、サポートが受けられず、悩みを一人で抱え込み、子育てに孤立感と負担感を覚えるケースがふえてきています。区としては、こうした悩みを抱える保護者同士が気軽に集い、交流し、情報交換などができる場を充実することや、自分の時間を持ち、リフレッシュする機会をつくることで育児不安の軽減を図り、子育てに喜びと楽しさを実感できる環境を整えていくことが必要であると認識しております。
江口じゅん子
区の検討委員会、先ほど申し上げた妊娠期からの切れ目のない支援についての検討委員会の中に、このメンタルヘルスの研究に取り組んだ成育医療センターの立花医師が副委員長として参加をされております。ぜひ立花医師からのこの研究について、委員会で共有する時間を設けてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
百瀬 子ども家庭課長
立花医師には、これまでも検討委員会の中でも御意見等を頂戴しているところでございますが、委員お話にございます研究報告につきましては、委員長及び各委員とも御相談いたしまして進めてまいりたいと考えております。
江口じゅん子
そして、ぜひ共有をしていただいて、研究結果で産後二週間、一カ月、この時期への支援は非常に重要だと、そういった結果が出ているわけですから、区における切れ目のない子育て支援の中に産後二週間、一カ月目の母親の心のケアを位置づける、このことを求め、具体策を講じていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
百瀬 子ども家庭課長
区では、本年四月からの新しい第二期子ども計画の中の重点政策の一つといたしまして、妊娠期からの切れ目のない支援、虐待予防を盛り込んでおります。この中では、現在、検討委員会により検討を進めております妊娠期を中心とした支援策のほかにも、出産後から出産前の間の子育て中の家庭や保育園などに通っていない在宅で子育てをされている家庭への支援策など、妊娠期から子育て家庭に寄り添いながら、切れ目なく支える仕組みを身近な場所から充実させていく点で、議論や整理すべき課題はなお残されております。
今、委員からお話しのあった母親の心のケアに関する支援策についても、今後、切れ目のない支援策を検討していく中で、さまざまな検討課題の議論を進める上では、同時に議論をされることとなるテーマではないかと考えております。
江口じゅん子
ぜひ進めていただきたいと思います。
そして、今、区内には産後ケアセンターというものがありまして、利用者が非常にいっぱいで第二の産後ケアセンターですとか、あと訪問型の活用ですとか、そういった提案も議会でされております。私もこれを利用したんですけれども、産後ケアセンターというのは利用登録を直接窓口に行かなくてはいけないんです。妊娠期八カ月目から行けますよということなんですが、やはり私の経験からも、そしてママたちからも話を聞いたんですけれども、妊娠中に切迫早産とか、体の不調があって入院をされている方もいて、直接窓口に行けないこともあったと。そして、産後は産後で、子どもが生まれてから一カ月は床上げをしてはいけないと言われていて、一応一カ月健診が母子ともに終わって、医師のオーケーサインが出てから、いろいろ外に行ってもいいですしとか、体の、また心の状態で窓口に行くのがなかなか大変というのが実態として挙がっております。
区のほうで窓口に直接来ていただくことで、そこで顔を合わせることがお母さんの心の状態をチェックする一つの役割もあるということは伺っているんですけれども、実際問題、行けないということもあり、自分が行けないから、夫や、それから自分の母に行ってもらうということで登録をするというケースもあるわけで、この利用登録を直接窓口に行く方法というのを、それ以外の方法でも利用登録ができる形にぜひ改めてもらいたいんですが、いかがでしょうか。
百瀬 子ども家庭課長
産後ケアセンターでございますが、産後四カ月未満で体調不良や育児不安等がある方という利用要件がございます。こうした育児不安等を適切にセンターでケアするために、利用前に的確にアセスメントして、ケアプランを作成しておりますが、そのためには面接してお話を聞くことが重要となります。
委員お話しのとおり、来所することが困難な産後の母親もいらっしゃることを踏まえて、産後ケアセンタースタッフなどとも確認しながら、産後ケアセンターを利用希望の全ての母親が申し込み可能となるような方法について検討してまいります。
江口じゅん子
改善をお願いします。
医療的ケアの必要な障害児について
江口じゅん子
次に、医療的ケアの必要な障害児について質問します。
この問題は、さきの代表・一般質問で多くの会派が取り上げました。その大きな契機になったのは、各議員全員に配られていますが、ここにある区が社会福祉法人むそうと共同で取り組んだ医療的ケアを要する障害児者などに関する実態調査報告書でありますし、そして要医療的ケア児の親の会からの要請を各会派、議員がそれぞれ受けとめ、支援の重要性を感じたからだと思っております。
私も親の会からお話を聞き、そして要医療的ケア児の児童発達支援サービスほわわ瀬田を視察する中で、これは本当に支援が必要だということを感じました。他党の質問と重複するところもあるかもしれませんが、以下、その立場で伺ってまいります。
まず、ことし六月、この成育医療センターにおいて報告書の報告会が行われました。今回の調査の目的とあと、なぜ成育医療センターで実施したのか伺います。
久末 計画調整課長
区では、医師や歯科医師、薬剤師、ケアマネジャー等の参加を得て、医療連携推進協議会を設置し、医療と福祉の連携を推進してまいりました。当初は高齢化の進展を背景に、高齢者の課題を中心に検討を進めてまいりましたが、誰もが安心して暮らし続けることができる地域社会を構築するという地域包括ケアシステムの理念を実現するには、障害児者に対する医療と福祉の連携についても検討を進める必要がございます。医療的ケアを必要とする障害児者の在宅療養支援の充実について検討を進めるためには、医療の実態や生活状況等を把握する必要があり、医療連携推進協議会の障害部会において、社会福祉法人と連携し、実態調査を行ったものです。
また、報告会が成育医療センターでというお話でございますが、成育医療センターのほうの先生と非常にかかわりがありまして、協力もしていただいた関係で、あちらのほうで実施をしております。
江口じゅん子
在宅療養施設の充実について検討を進めるためという目的がわかりましたし、そして、成育医療センター、あれだけ多くのNICUを抱えて、区内だけではなくて、二十三区、ハイリスクの分娩を扱い、そしてハイリスクのお子さんたちをあそこで大きく受け入れていると、そういう役割があるということで、成育医療センターで報告があったのかなというふうに受けとめました。
それで、私は先日、未就学の要医療的ケア児の児童発達支援サービスほわわ瀬田を視察しまして、親の会、施設長さんからお話を聞き、お子さんたちとも触れ合ってきました。瀬田の閑静な住宅街の一軒家で、看護師、理学療法士、介護スタッフの方が子ども一人につき一人配置され、手厚い体制でした。通所のお子さん、気管切開、胃ろう、経管栄養、吸引など、さまざまな医療行為が必要なんですが、個別性というのが非常に高くて、気管切開がありながら、本当に元気に動いている子もいますし、自力体位移動が困難な子ももちろんいまして、知的レベルもさまざまということでした。
サービスは柔軟で、その子に合わせた内容ということを感じました。私は元看護師ということで、やはり医療的ケアが必要ということなので、施設の中にいて、病院でちょっとケアをするというイメージがあったんですけども、これから公園に行きますというふうに言うんです。吸引器やアンビューバッグをスタッフの方が持って、また車椅子の介助を受けながら、そして歩ける子は元気に公園に行くということで、今まで病院とか施設ということしか知らなかったので、私は、非常にびっくりしました。お母さんたちからは、地域で生きていくためには、こういう子がいるっていうことをぜひ地域の皆さんに知ってほしいと、そして地域とつながるために外に出るということが非常に大事というふうにおっしゃられていました。
視察をして、施設ではなく保育園のような家庭的で温かい雰囲気でした。ここで初めて子どもに友達ができた、あと親御さんは自分に初めてママ友ができたという声もありました。ここは母子分離が基本のため、お母さんが休めるレスパイト機能も果たしていて、ここに通う母親たちが親の会をつくったということからも、在宅生活を支える児童発達支援サービスなどの整備の必要性を感じました。
そこで、具体的に在宅生活を支えるサービスについて伺います。まず、児童発達支援サービスについてですが、区内ではほわわ瀬田と、あとあけぼの学園、二カ所整備されております。しかし、どちらも定員枠を超えた倍の登録があって、使いたいときに使えないという声があります。伺いますが、区の児童発達支援サービスの必要性についての認識、また使いたいときに使えないという声をどう受けとめているでしょうか、お伺いします。
竹花 障害者地域生活課長
現在、就学前の障害児に日常生活における基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練等の療育を行う児童発達支援事業の重症心身障害児施設において、看護師が配置され、医療的ケアに対応できる施設は区内に二施設で、合わせて一日当たり十人、登録者は四十人となっております。
医療的ケアに対応できる施設の開設には、医療機器等の設備や専門人材の確保など課題が多く、事業者の新規参入が進んでおりません。先ほどの実態調査におきまして、困っているとの問いにサービスを提供できる事業所がないとの回答が多くなっております。このことからも、医療的ケアに対応できる施設整備が重要と認識しております。
江口じゅん子
医療的ケアに対応できる施設整備は重要という認識なので、これを今後どう進めていくか、これが課題だと思います。
そして、お母さんたちから伺ったんですが、これはほかの会派も取り上げていたと思うんですが、緊急時に利用できる宿泊ショートステイ、これが五歳以下では使える施設が区内にはないということと、全体的に不足している、この問題があります。現在、区内では、五歳以上の要医療的ケア児はイタール成城の宿泊ショートステイがあります。しかし、五歳以下で使える宿泊ショートステイ施設は区内にありません。五歳以下となると、東京全都でも本当に幾つかで、もちろんベッド数も少なく、使いたいときに大変いっぱいで使えないと、そういった実態が寄せられています。ある親御さんは、利用できる宿泊ショートステイが区内になくて、またその区外の施設もいっぱいで使えなくて、身内の不幸が地方であって、ぜひ使いたかったんだが、結局利用できなかったといったことをおっしゃられていました。
要医療的ケア児が利用できる宿泊ショートステイが不足をしております、整備を求める声をどう受けとめますでしょうか。
竹花 障害者地域生活課長
二十六年度に実施しました実態調査において、やはりサービスを提供できる事業所がないという声が多く、短期入所、いわゆるショートステイにつきましても、この中に含まれていると考えております。このことからも、医療的ケアに対応できる施設として、ショートステイの整備についても重要だと認識しております。医療的ケアに対応できるショートステイにつきましては、制度上看護師の配置がなく、医療機器等の設備も必要となることから、課題が多く、ショートステイにつきましても事業者の新規参入が進んでおりません。
なお、短期入所ではございませんが、区では医療的ケアを必要とする重度の身体障害と知的障害を重複するお子さんで訪問看護を受けている御家庭に看護師を派遣し、御家族が休息したり一時的に外出したりできるように、一日四時間を限度に在宅レスパイト事業を実施しており、現在五歳以下十七人を含む四十九人に御利用をいただいております。このような事業によりましても、御家族の支援をしてまいりたいと考えております。
江口じゅん子
今御答弁された在宅レスパイト事業なんですけれども、親の会の方から聞くと、例えば歩ける医療的ケア児というのがこの対象から外れていたりですとか、やはりこれもなかなか使いたくても使えない、そういった現状があるということなんですね。この間のやりとりで、非常にこの医療的ケアの子どもを持つ親の支援や在宅生活を支える、こういった整備が必要ということは重々認識はしているんですが、しかし、それが進まないという現状があるということがわかりました。
ここで提案するんですが、成育医療センターと連携協力し、親のレスパイトを可能とする児童発達支援サービスと宿泊ショートステイの整備を進めること、この提案を行います。現在、梅ヶ丘拠点整備での活用を提案されておりまして、これはこれでぜひ進めていただきたいと思っています。同時に要医療的ケア児の施設整備を進めるに当たって、医療機関の連携というのは非常に不可欠なことで、特に成育医療センターとの連携は非常に重要であると考えています。
先ほど申し上げたこの報告書でも、成育があるということで十八歳以下のこのアンケート調査の対象者の三九%、五支所の中で断トツしてこの砧地域に三九%の方が居住をしていると。そして報告書の中でも、そういった居住地域、断トツで砧地域の居住が多いということで、砧総合支所エリアを今後も医療的ケアを必要とする障害者を支える中核エリアとして社会資源の整備を進めることが期待されると、このように明記をされております。施設が少ない、そして医療機関との連携が必要といった状況なので、さまざまな可能性をぜひ探っていただきたいと思うんです。何より要医療的ケア児の親にとって、やっぱり成育との連携というのは本当に大きな安心であると思います。
成育との連携協力を進め、親のレスパイトを可能とする児童発達支援サービスと宿泊ショートステイの整備を進めることを求めますが、いかがでしょうか。
竹花 障害者地域生活課長
区では今後、梅ヶ丘拠点民間施設等におきまして、医療的ケアに対応することとしまして、提供サービスとして児童発達支援を整備し、事業者からの提案により、障害児のショートステイも整備することとしております。現在、事業者と協議を進めており、医療的ケアの対応に向けて取り組んでまいります。
なお、成育医療センターの近くに医療的ケアを必要とされているお子さんが多くお住まいという状況もございますので、新たに事業者が参入する場合につきましては、成育医療センターとの連携も働きかけてまいりたいと考えております。
医療的ケアを必要とするお子様を安全に受け入れるためには、児童発達支援施設におきましては、医療機器等の設備や専門人材の確保等、ショートステイの施設におきましては、制度上看護師の配置がないなどさまざまな課題があると考えております。引き続き慎重に検討を進めてまいります。
江口じゅん子
ぜひさまざまな可能性も探っていただいて、そして成育という本当に大切な医療機関があるわけですから、連携協力も進めて在宅生活を支える、そういったサービスの推進をお願いしたいと思います。
お泊まりデイについて
江口じゅん子
最後に、お泊まりデイについて伺います。
さきの福祉保健常任委員会で、認知症対応型通所介護事業所、つまり認知症の方を対象に日中デイを行っている施設における、いわゆるお泊まりデイの人員、運営などに関する指針の骨子案が示されました。過去には、区内ではお泊まりデイで、平成二十一年には茶話本舗、平成二十二年には清水の郷成城で死亡事故が起きまして、議会でも問題となりました。
お泊まりデイとは、昼間は介護保険のデイサービス事業を行う事業所が、夜間は介護保険外で実施する宿泊サービスのことです。我が党はこの間、お泊まりデイの問題点として、良心的施設もありますが、多くが営利目的で、設備、職員配置など、安全上、さまざまな問題があり、死亡事故も頻発をしていること、また、宿泊は法外事業のため、行政のチェックが届かないことを指摘、改善を求めてまいりました。これまで東京都で独自に届け出、公表制度を設けておりました。今年度、介護保険法の改正によりまして、届け出が義務づけされ、そして事故があった場合の報告の仕組み及び届け出内容の公表が規定されました。
来年度からお泊まりデイをほとんど実施している小規模通所介護施設は市区町村に移管予定です。区がこれらの事業所の指定、監督を行う立場になります。区では、現在、認知症対応型施設のお泊まりデイはないと聞きますが、来年度の移管を視野に今般骨子案が示されたと理解をしております。
ここで伺いますが、今般示されたお泊まりデイの指針、骨子案の目的について伺います。
内田 介護保険課長
区では、今年度より地域密着型サービスの基準条例を一部改正し、利用者保護の観点から、指定認知症対応型通所介護事業所等で提供される宿泊サービスの実態を把握するため、区への届け出と事故報告の仕組みを規定したところでございます。このたび、さらに宿泊サービスの質を担保し、利用者の尊厳の保持や安全性の確保を図ることを目的に、区内の認知症対応型通所介護事業所で提供する宿泊サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準を規定した指針を制定することといたしました。
江口じゅん子
利用者保護の観点からこういった指針が示されているというのは大きいことだと思っております。
現在、区内の通所介護におけるお泊まりデイの実施数は、そのうち未届け数は幾つでしょうか。また、お泊まりデイ実施事業所はほとんどこの小規模通所介護施設であると思うんですが、実態の把握はいかがでしょうか。
内田 介護保険課長
このたび介護保険の制度改正がございまして、東京都では、これまでの独自基準等を一部改正し、届け出の受け付けが再開されておりますが、まだその届け出結果が公表されておりませんので、昨年度の時点とはなりますが、東京都で公表されている事業所数は三十七事業所、届け出がなく、区で確認した事業所数は、一時的な実施としている事業所もありますが、十二事業所となっており、合計四十九の事業所で実施されておりました。
なお、小規模の通所介護につきましては、想定ではございますが、三十六事業所が対象になると思っております。
江口じゅん子
お泊まりデイ実施の事業所は、ほとんど小規模施設であるということから、今後、区の果たす役割は大きいと考えております。
区は、清水の郷の事故も受けまして、平成二十四年からお泊まりデイの実態訪問調査を毎年行っております。しかし、二十五年度からの調査報告が議会にはありません。今回請求して、その調査報告をいただきましたが、この議会報告がなかった二十五、二十六年の実態調査に基づき、利用状況などを確認したいと思います。
まず、宿泊料金、それから最長連泊数、これについて伺います。
内田 介護保険課長
お泊まりデイの調査といたしまして、訪問による実態把握調査を平成二十五年度は六事業所、平成二十六年度は十五事業所行いました。最長の連泊数は、平成二十五年度で九カ月、平成二十六年度では一年二カ月となってございます。
江口じゅん子
非常に安価で、そしてそのためによって、一応東京都のほうでは緊急で短期間、三十日程度の利用が望ましいというふうになっているんですが、実態は非常に長く使っているということがわかりました。こちらで二十五・二十六年度、死亡の報告というのはあるんでしょうか。
内田 介護保険課長
平成二十五年度と平成二十六年度でのお泊まりデイにおける事故報告につきましては、十三件の事故報告がされております。その中で死亡事故は四件でございます。
事故報告につきましては、世田谷区介護保険事故報告取扱要領に基づき、事業所側の責任や過失の有無にかかわらず、利用者のけがや死亡事故等について報告を求めております。
江口じゅん子
区民の高齢者のことにかかわることなので、ぜひ議会報告を行っていただきたいと思います。そして、現在の調査は年度ごとの新規開設事業所のみが対象となっておりますので、この調査方法の改善も必要と考えます。
最後に、お泊まりデイ、小規模のものは世田谷区の所管になると決まっているのですから、もう二度と重大事故を起こさないこと、この必要性というのを聞きたいんですが、いかがでしょうか。
内田 介護保険課長
区としましても、お泊まりデイの実態把握については非常に重要だと考えております。
江口じゅん子
もう二度と重大事故を起こさない、ぜひそういう決意でこの問題にも当たっていただきたいと思いまして、以上で日本共産党の質問を終わります。
