平成27年決算特別委員会 区民生活委員会所管質疑
2015年10月07日 江口じゅん子
ダイオキシン漏えいによる世田谷清掃工場の稼働停止問題について
江口じゅん子
日本共産党の区民生活領域の質問を始めさせていただきます。
私からは、一般質問に引き続き、ダイオキシン漏えいによる世田谷清掃工場の稼働停止問題について質問します。
まず、区民への情報提供、そして説明会開催について伺います。
さきの一般質問で私は、この問題が区民に知らされていない、三月を最後に一組でのホームページ掲載が最後になっていることを指摘しました。これは本当におかしいことだと思っております。実は今、私の子どもは世田谷清掃工場の近くの砧にある保育園に通っているんですね。小さい子どもを持つ親にとってダイオキシンというのは、がんですとか、生殖機能の異常ということをいろいろ指摘されているわけですから、大変不安に感じるわけです。
私は同じ保育園のママ友に、この問題について尋ねてみました。知らされていないわけですから、当然みんな知らないわけなんですけれども、しかし、話すと、みんな、えっとやはり驚きます。そして、どうなっているの、これからどうなるのと、やはり皆さん異口同音に心配の声を聞きました。地元では目の前というか、近くに清掃工場があるわけですから、小さい子どもを持っていなくても、やはりダイオキシンが漏れている、どうなっているのかなといった不安や関心があるのは当然だと思います。そして、区全体で考えてみても多額の税負担が生じているということで、これは本当に区民全体にとって大きな問題だと思います。確かに、地元町会、自治会、近隣小中学校のPTA役員など地域住民代表二十名と一組、区を構成員とする運営協議会はあります。しかし、この協議会は基本年二回、二月、七月の開催のみですし、これをもって丁寧な地元説明ということにはならないと思っております。
また、この間の議会などでの指摘を受けまして、九月十八日、清掃一部事務組合ホームページにおいて新しく記事がアップされました。世田谷清掃工場の現状と今後の対応についてというこの間の経過などを報告するものです。しかし、これも目的を持ってわざわざ一組のホームページにアクセスした人しかわかりませんし、当然一方的な情報なわけですから、それに対して意見のやりとりというのもできかねるということです。
私はぜひこの事態を改善してもらいたいと思っております。早急に地元、区民向け説明会を実施し、経緯や税負担、また、今後の方向性についてきちんと説明をする、そして区民からの意見も聞いてもらいたいと思っております。説明会開催について事務組合に強く求めていただきたいと要望しますが、見解を伺います。
畠山 清掃・リサイクル部管理課長
今回のダイオキシンの漏えいということなんですが、炉室内に限定されておりまして、外部環境に影響がないということは清掃一部事務組合の調査によってわかっているわけでございます。そうはいっても、今委員お話しございました工場周辺にお住まいの方々を初めとしまして、区民の方々が御不安を持っておられるということで、その不安解消のためにも、やはりきめ細かな情報提供が必要だと考えております。
こうしたこともございまして、区としては、区長を先頭に清掃一部事務組合に対しまして、抜本的対策の早期立案を含めまして安定的な中間処理体制の確保、あわせまして、区民の皆さんへの丁寧な、適切な情報提供を求めたところです。今委員お話しのとおり、九月十八日に、三月以来更新がなされていなかったホームページの更新がされて、この間の経緯だとか今後の対応について広く情報提供を行ったということでございます。今、委員から御提案のございました住民説明会につきましては、改めまして清掃一部事務組合に対して私どもからお伝えいたします。それと、引き続き、ホームページでのきめ細かな情報発信と住民協議会等を初めとしました地元の方々への丁寧な説明等を強く働きかけてまいりたいと考えております。
江口じゅん子
区長を先頭にぜひ説明会開催を実現してください。重ねて要望します。
そして、私は一般質問で、ガス化溶融炉の平成二十年竣工から現在までの定期、中間点検以外の故障などによる稼働停止期間及び経費負担額について伺いました。ガス化溶融炉についての区議会の議論をちょっと議事録で振り返ってみますと、平成十二年に世田谷清掃工場建てかえにおいてガス化溶融炉導入検討を行うと。このことに対して各会派、いろんな意見を言われていました。当時から我が党を含め多くの会派、また、住民団体から、故障の多さとその技術の未完成さが指摘をされ、我が党も導入をやめるべきという立場でした。その当時指摘されていた故障の多さですが、実際世田谷清掃工場ではどうかということで、ここで詳しく伺いたいんですが、竣工から各年度ごとの故障件数、状況について教えてください。
畠山 清掃・リサイクル部管理課長
世田谷清掃工場でございますが、二十三区内で唯一のガス化溶融方式の焼却炉を持つ清掃工場でございます。委員お話しのとおり、平成十九年の三月の操業開始以来、大小さまざまな故障が頻発しておりまして、区といたしましても、年間計画稼働日数を確保したことがほとんどないという状況については認識しているところでございます。今、操業以来の稼働状況のお尋ねがございました。手元の資料によりますと、定期点検等を除いた年間計画稼働日数は毎年二百八十九日あるいは二百九十日といった日数でございますけれども、故障件数と故障による休炉日数を年度別に申し上げます。
これからは二台合わせた数字になりますが、ちなみに、平成二十年度は、故障件数が十五件、故障休炉の日数が約百十日、二十一年度は、故障件数十一件、故障休炉が約六十日、二十二年度は、故障件数が十四件、故障休炉が約九十五日、二十三年度は、同じく故障件数十二件で、故障休炉が約七十日、二十四年度が故障件数十件で、故障休炉が約百日、二十五年度は、故障件数五件、故障休炉が約四十五日、二十六年度、昨年度でございますが、故障件数十件で、故障休炉は約百九十日ということになっております。
江口じゅん子
今のやりとりで年間計画稼働日数を確保したことはほとんどない状況。毎年十件から十五件の故障件数が起きていて、二十六年度、昨年度はダイオキシンが漏れたということで、計画稼働日数二百九十日なんですが、故障休炉約百九十日と、もうほとんど壊れっ放しというような印象を持ちまして、平成十二年当時、議会で指摘されていたことが現実になっているなという感想を持ちます。
この間の財政負担は平成二十二年から二十六年、過去五年間、記録がある範囲ということで約二億三千五百万円、さらに今回二億五百万円の補正予算が組まれ、現在も毎週約九百万円の負担が続いているといった状況です。こうしたことを踏まえまして、ガス化溶融炉に対する区の認識を伺います。
畠山 清掃・リサイクル部管理課長
ガス化溶融炉につきまして区の見解というお尋ねでございますが、清掃工場の設置運営は清掃一部事務組合の所掌事項でございます。炉の形式に関しまして区が直接論評するという立場にはございませんが、今般の長期操業停止といった事態を初めまして、計画された稼働日数が確保されないという状態につきましては、当区はもとより、二十三区全体の清掃事業に及ぼす影響が極めて大きいということから、まことに遺憾であると言わざるを得ないものと考えております。区といたしましては、区民生活を下支えする立場から、一組に対しては引き続き抜本的対策の早期立案、そして安定的な中間処理体制の確保といったものを強く求めてまいります。
江口じゅん子
区のまことに遺憾であるという言葉は重いと思います。今の御答弁で抜本的対策ということをおっしゃられましたが、九月二十九日に一組と、区からは松下部長をメンバーとする世田谷清掃工場の抜本的対策に係る検討組織の第一回目の検討委員会が行われたと聞きます。
ここで伺いますが、検討委員会で議論される内容、そして今後のスケジュールについてお伺いします。
松下 清掃・リサイクル部長
このたび設置をされました世田谷清掃工場の対策検討委員会、委員からお話しのとおり、いわゆるオール一組という清掃一部事務組合の部長級職員、世田谷清掃工場長も含んでおりますが、これに私が加わりました計八名の構成でございます。検討の進め方といたしまして、検討会、部長級の会のもとに清掃一部事務組合の課長級で構成する作業部会を設けまして、関係するさまざまな調査、また、技術的なものを中心としました資料の作成等を行いまして、それを検討委員会で議論するという形になってまいります。
まず、検討の内容でございますけれども、委員も先ほど触れられましたが、ガス化溶融炉の導入に至った経緯、先ほどの質疑の中で当方からもお答えを申し上げたところですが、竣工から今般のこういう事態に至った技術的、また、施設管理上の課題抽出、それらの分析といった検証を行うこと。また、その上で安定的な中間処理体制の確保に向けました抜本的対策の検討といった非常に多岐にわたるものになっております。そこで、検討の過程においては、必要に応じて専門家の意見や助言も得ながら進めていこうということでスタートを切っております。
今後のスケジュールでございますが、去る九月二十九日は第一回目の検討会、作業部会と合同という形で、共通の課題認識を持った上で進めていこうということで合同開催をいたしました。そこで進め方を協議しました。今年度末までには抜本的対策に係る一定の方向性を取りまとめて、来年夏ごろを目途に最終的な対応方針を取りまとめるようなスケジュールで確認をしたところです。非常に多岐にわたる議論になることが予想されます。また、日程的にタイトではありますけれども、今後、検討会、作業部会、おおむね一カ月から二カ月に一度程度の頻度でそれぞれ開催をして、検討を進めていくことといたしております。
江口じゅん子
抜本的対策なわけですから、安定的な中間処理体制の確保に向けて、一般質問でもお伺いしましたけれども、例えばプラントの一部あるいは全部の更新も含め、さまざまな手法が考えられる、多岐にわたる議論を行っていくと今も御答弁ありました。世田谷清掃工場でこれからもガス化溶融炉は続いていくのか、それとも廃炉になるのか、さまざまな手法。それから、分担金のあり方はどうなるのか。結論次第で今後の区民生活や区の財政、また、一組を構成する他区にも大きな影響となるわけです。議会としてもこの間、多くの会派がこの問題を取り上げ、議論の経過に注目しておりますし、また、区民の方からも大きな関心が寄せられています。
ここで伺いますが、区はこの検討委員会にどのような態度で臨むのか、お伺いします。
松下 清掃・リサイクル部長
申すまでもないことですけれども、世田谷区は二十三区の一員という立場ももちろんございます。しかしながら、今般、世田谷清掃工場に関する検討委員会のメンバーとして参画するに当たりましては、私としては、この間の議会での御議論を踏まえまして、清掃工場所在区としての立場からの主張、また、議論も行ってまいりたいと考えております。
江口じゅん子
工場所在区の立場からの主張、議論をぜひ行っていただきたいんですが、そのためにも、区民からも、議会からも意見を聞き、それを反映させる必要があります。そのためにも今後、一、二カ月に一回の程度で開催される検討委員会の報告、やはり議会にもきちんとしていただきたいんですが、委員会の傍聴及び議事録の公開というのはされるんでしょうか、伺います。
松下 清掃・リサイクル部長
この検討委員会では、先ほども答弁申し上げましたように抜本的な対策の技術面での検討に加えまして、今般の事態に至った原因究明等の検証というところにも踏み込んだ作業を行ってまいります。その中では技術面でのことに加えまして、例えば法的な面での対応など、いわば非常にセンシティブな内容も含めて、さまざまな検討がなされると考えております。したがって、その全てのプロセスをつまびらかにしていくということは、いわば今後のプラントメーカーや他のさまざまな関係先とのやりとりなど、一部事務組合としての今後の対応に大きな影響を及ぼすという可能性が、公開するという一方のメリットもありつつも、やはり懸念をされるという部分も否定できないということから、さきの検討委員会において、委員会は非公開、また、会議録、検討委員会の資料の公開も行わないことといたしました。
しかしながら、私からは、検討委員会における検討内容の公開、委員からもお話がございましたけれども、この間、議会からもさまざま強い意見、御要望を頂戴しております。そのようなことを検討委員会の場で私から発言をさせていただき、また、区としても何らかの公開の手法は検討する必要があるのではないかと、このように考える旨を私から発言をいたしました。結果といたしまして、検討委員会における検討状況の報告書を作成するということで、可能な限りの公開を行うことを確認いたしました。今後、検討委員会での確認の上で報告書が取りまとめられました際には、適宜議会に御報告をさせていただくなど、また、区民への情報提供も含めて行ってまいりたいと考えております。
江口じゅん子
部長が第一回の検討委員会で区としても何らかの公開手法を検討する必要があると発言していただいて、しかし、それにもかかわらず、検討委員会は非公開、会議録、検討委員会資料の公開も行わないことになったということです。報告書が出たら、議会報告があるのは当然なわけです。しかし、世田谷清掃工場の今後の結論が出てから議会報告では、もう遅いわけですね。
例えばガス化溶融炉継続という結論が出るということも考えられるわけで、そこから意見を言ったからといって、結論は覆せないと思います。もちろん今部長が御答弁されたとおり、さまざまなセンシティブな内容もあるわけで、そこまで全部公開、資料を出せとは言いません。しかし、検討結果、もしガス化溶融炉継続ということになれば、またいつダイオキシンが漏れるかもわからない。また、全国のガス化溶融炉では爆発事故といった重大事件も発生してきました。そういったリスクだってあると思います。
また、もしこれが廃炉という結論になれば、今後何年間にも、長期にわたり搬入調整が続いて、その間、毎週約九百万円の税負担が生じるわけです。どういった結論になるとしても、地元区民は大きな影響を受けるわけですから、議会、区民に検討過程の報告はぜひしてもらいたい。そして、ぜひ意見を聞いて、それがあって、初めて部長も工場所在区の立場から主張、議論を行うことができるのではないかと考えております。
ここで伺いますけれども、議会、区民に検討過程の報告を求めますが、いかがでしょうか。
松下 清掃・リサイクル部長
先ほど答弁の中で、最終的な報告のまとめは来年の夏ごろを目途というふうに申しました。また、そこに至るまでの間に、本年度末までには一定の方向性を取りまとめる。こういった中間段階での報告、また、可能な限り、その中間段階の報告よりも前の段階ですとかいう、節目節目ごとの何らか御報告が可能なような形で今後の検討作業を進めていく、そういうスタンスで私としては委員会に臨んでいきたいと考えております。
江口じゅん子
ぜひお願いいたします。
最後に、私ども日本共産党としては、故障が頻発し、そして区民に多大な影響をもたらすガス化溶融炉の廃止を党としては求めまして、中里委員と交代いたします。
