平成27年予算特別委員会 総括質疑
2015年03月10日 江口じゅん子区議
外環道について
江口じゅん子
私は引き続き外環道について質問をします。
まず、私はこの間、平成二十四年から準備工事が大蔵五丁目で始まっていますが、この経過を振り返りつつ、区長にお伺いしたいと思います。
現地では、工事が進行するにつれ、さまざまな問題が発生しています。
まず立ち退きの問題です。
東名ジャンクションでは家屋は約三百軒が立ち退き対象になっています。ほかにも農業者、工業者、こういった事業者の方が立ち退き対象になります。
喜多見などではこの間、多くの工場、家屋の立ち退きが行われ、町の様相が大きく変わりました。長年培った町のコミュニティーが壊されています。
そしてさらに、代替地が見つからない、こういった事業者、農業者の方の切実な問題もあります。
また、環境の問題では、計画地の土壌汚染問題、そして、来年度には緑豊かな国分寺崖線を壊してシールドマシーンをつくる基地工事が行われる予定です。
今行われている立て坑工事の被害では、立て坑を掘る際のロット沈下時の振動被害が解決をしないまま、現在も続いています。
今後、大深度トンネルの掘削が行われれば、野川湧水に被害を生むのではないか。
また、地上部にランプ、ジャンクション、排気塔ができれば、周辺にとっては排気ガスや騒音、振動の問題など永続的に続きます。
私は昨年、外環道ふたかけ部分などの上部空間利用を検討するワークショップに参加しました。
多くの参加者の方から、前提として外環道は地元住民にとってあくまで迷惑施設、こういった意見が多く出されました。
計画が進めば進むほどさまざまな問題が起き、そして、地元住民の皆様からは切実な声、御相談が寄せられています。
区長は四年前、区長選出馬に当たり、世田谷新聞のアンケートで表明をされた外環道計画は凍結すべき、この考え、私は全くそのとおりだと思います。外環道は中止をすべきです。
さきの日本共産党の代表質問で区長に、凍結、見直しなどは区長自身が語ったことであり、区民に対し誠実に対応すべき、このように質問いたしました。
区長はこの答弁で、交通量予測や人口減少に伴う移動需要の予測を含めた費用対効果、B/Cのデータのより詳細な解明も重要だと考えておりますというふうに御答弁をされました。
外環道の事業費は地下本体だけでも一兆二千八百二十億円、工事期間の延長や資材高騰などで、これはさらに膨らみます。
また、完成後の維持管理費は将来世代の負担にもなります。区長が述べられた費用対効果の検証は必要なことです。
そして国には、もう一度その視点で立ちどまり、外環道が本当に必要なものか検証をするべきと考えます。
ここで、区長にお伺いしますが、区長は外環道の現状についてどうお考えでしょうか。
保坂 区長
私は国会にいた当時、外環道の計画について、交通量予測、あるいは巨額の費用がかかる、あるいは今おっしゃったB/Cや、あるいは環境に対する影響の点でどうなのかというところを議論してきたわけです。
こうした問題意識を持ちながら、そういった御紹介があった新聞のアンケートでも答えたわけですが、区長に就任して、いよいよ外環の工事というものが具体的に日程が近づいてきた、ついては区に土地を貸与してほしいという申し出があったときに、随分議論をし、また考えまして、七項目にわたって、これは一々読み上げませんけれども、環境の面でどうなのか、あるいは振動、騒音、排ガス、あるいは交通量の予測についてはどうなのか、環八への車両流入の問題等も取り上げました。
また、地元住民に対して説明を尽くすように等々の課題を出し、PI外環沿線協議会を経てつくられたさまざまな論点整理についても情報開示してまとめられたい、こういった条件を付してきたわけです。
今後、こういったところに、具体的に外環周辺で、区民の皆さんから具体的な、例えばそこに抵触するような点が起きたというようなことがあれば、現に起きている問題について、あくまで区民を守るという観点で対応していく所存でございます。
江口じゅん子
現実に起こっている問題に、区民を守る立場で取り組んでいくというような御答弁がありまして、ぜひこれは積極的に、そして実効性ある対応を求めていきたいと思っています。
それで、私、今まで現地ではこういった問題が起きている、そして、将来はこういったことも考えられるだろう、また、外環道自体の事業費の問題、こういったことも指摘をしました。
区長自身は、外環道の現状、この計画に対してどういったお考えをお持ちか、私は今お伺いしましたけれども、さまざまな問題が解決しないまま工事が進んでいる、こういったことに対しての御認識、お考えはいかがでしょうか。
保坂 区長
外環道の工事については、土壌の問題がまずありました。
これについても規定に基づいてしっかりやるようにということで意見を申し上げましたし、また、工事手法の変更ということでのかなり大きな変更だと思いますけれども、これについても規定を踏まえてやってほしいということを申し上げております。
今後、工事が本格化するにつれて、今、住民の皆さんがいろいろ御懸念、あるいはこういうことがあるんじゃないかと言っていたことがもし起こってくるようであれば、それはきちっと外環事務所のほうに申し上げて、区民を守る立場で対処をしていきたいと考えております。
江口じゅん子
住民の懸念がもし起こっていくのならば対処していくということですけれども、しかし、現状についてはどうでしょうか。さまざまな問題が起きている、それにもかかわらず工事が進んでいる、こういった現状に対してのお考えをお伺いしたいんですが。
保坂 区長
国の工事として交通網の整備という中でのこの外環の整備。
しかし、その手法や、あるいは今、これまで申し上げたようなさまざま問題点を十分にクリアしていない部分もあるというふうには思っています。
ですから、行政の長としては、住民の皆さんの生活を守る立場で最大限発言したり、あるいはルールどおりに行うようにという意見を申し上げていきたいと思います。
江口じゅん子
区長から、さまざまな問題がクリアしていない部分がある、現状に対して問題意識を持っている、そういったことを確認させていただきました。
それで、区長が再三御答弁されているように、今現在も問題意識を持っていると。そして、将来に対しても区民の暮らし、環境を守る立場で、ぜひ行動することを求めます。
そして最後に、皆様のお手元に資料配付をさせていただきました。
これは国交省外環国道事務所ホームページ上で示されている外環道の将来交通量の推計結果(平成二十五年七月)という一枚の資料があります。右側に四角が三つあるんですが、その真ん中を見てください。
これは将来外環道に乗り入れる首都高速道路(東京インターチェンジ・用賀出入口)の交通台数の現況、そして将来の交通量の推計結果が示されています。
現況は五・九万台だと。それに対して平成四十二年、今から十五年後には外環なしで三・九万台、外環ありでは五万台となっています。外
環東名以南ができなければ、東京インター周辺は大変大きな交通渋滞を招く、議会でもこうした意見があります。
しかし、外環道があってもなくても将来交通量は減る、混雑は減るということが国の推計として出されていることを指摘して、私の質問は終わります。
