平成26年決算特別委員会 福祉保健委員会所管質疑

2015年10月06日 江口じゅん子区議

高齢者の方を取り巻く社会情勢について

江口じゅん子

おはようございます。日本共産党の福祉所管についての質問を始めさせていただきます。

私は、二〇二五年問題について質問をします。

まず、現在の高齢者の方を取り巻く社会情勢についてお話ししたいと思います。

高齢者の方を取り巻く社会情勢は、大変厳しいものになっています。
九月二十八日、NHKで「老人漂流社会〝老後破産″の現実」というものが放映されました。ごらんになった方も多いかと思います。
内容は、六百万人に迫る単身高齢者の生活実態に焦点を当てたものでした。単身高齢者の約三百万人は、年金収入が生活保護水準以下の年間百二十万円未満で暮らしています。
そのうち、二百万人が生活保護を受けていません。

放映された事例を一つ紹介します。大都市の高齢者の貧困の事例ということで、港区の八十三歳の男性の方の生活が御紹介されていました。
月十万円の年金で、家賃は六万円。電気もとめられてクーラーが使えない。食事は買いためた冷や麦のみ。体調が悪くても病院にかかる余裕がない。引っ越したくてもそのお金はない。所持金は百円程度。独身で頼れる家族もいないということです。
この方は、こんな老後を想像していなかった、早く死にたいと話されていました。私も、放送を見て本当につらい、そういった印象を持ちました。

現在、厚労省によれば、年金受給者の四八%は年金額が百万円以下の低年金者です。国民年金の平均受給額は、月四万九千円になっています。
こうした高齢者の貧困化、社会的孤立が大きな問題となる中で、来年秋には消費税の一〇%増税も予定されています。高齢者の暮らしはますます厳しくなり、貧困はさらに悪化するのではないでしょうか。

さらに、ことし、国会では医療・介護総合法が成立をしました。医療分野では、高齢者の病院追い出しと医療費の削減、そして介護分野では、介護給付の抑制と利用料の自己負担を引き上げる内容になっています。医療難民、介護難民の増大、こういったことが指摘されています。

こういった状況がある中で、十年後の二〇二五年、平成三十七年、日本はどういった状況かと申し上げますと、団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になります。国全体では、七十五歳以上の高齢者数は約二千二百万人。日本は、四人に一人が後期高齢者となる超高齢社会を迎えます。

介護の問題を見てみますと、七十五歳以上になると要介護の認定者の割合が大きく上昇します。認知症高齢者も増加します。厚労省の推計では、七十五歳以上の認知症高齢者は四百七十万人に上ります。
そして夫婦のみの世帯、単身の高齢者世帯も増加します。世帯主が七十五歳以上の世帯では、夫婦のみの世帯約三百五十万世帯、単身高齢者の世帯は約四百六十六万世帯と推計をされています。
国全体がこういう状況ですけれども、それでは世田谷区の二〇二五年における高齢者の暮らしをちょっとお聞きしたいと思います。

後期高齢者数、高齢化率についてまず伺いたいと思います。

瓜生 高齢福祉課長

昨年度の世田谷区将来人口の推計で、二〇二五年一月の高齢者人口は二〇一三年一月の十六万三千人から十八万三千人に、後期高齢者は八万三千人から十万人になり、高齢化率は一九・三%から二〇・九%に増加すると見込まれております。

江口じゅん子

高齢化率は一九・三%から二〇・九%と、これだけ見るとそんなに急激にということではないかもしれないんですけれども、やはり中身なんですね。先ほどおっしゃられたように、今、前期高齢者と後期高齢者の数、およそ約半々ということですけれども、二〇二五年になるとそれが逆転をして、七十五歳以上の方は十万人を超えるということになっています。
その中身なんですが、認知症高齢者数、夫婦のみの世帯、単身高齢者の数、そういったことも増加することが考えられますが、区としてはそういった推計の数値はあるのでしょうか。お伺いいたします。

瓜生 高齢福祉課長

認知症高齢者につきましては、介護保健の要介護認定で認知症の症状がある方は二〇一三年度末で二万人。高齢者に占める認知症の方の割合は一一・五%となっており、毎年千人程度増加している状況でございます。二〇二五年には、三万人を超えるのではないかと予測されております。

また、高齢者のいる世帯の状況は、二〇一四年四月の高齢者単身世帯数は五万三千世帯、高齢者のみ世帯は三万一千世帯で、高齢者のいらっしゃる世帯十二万五千世帯の六七%を占めております。全世帯の五世帯に一世帯が、高齢者の単身及び高齢者のみ世帯となっております。
今後の高齢社会の進展の中で、単身、高齢者のみ世帯はさらに増加するものと思われます。

江口じゅん子

今お話しされたように、認知症、高齢者の数もふえ、そして夫婦のみの世帯、単身高齢者の世帯もここ世田谷でも本当にふえるという、そういったことです。

こうした状況の中で、二〇二五年に向けて今後十年間の区の介護サービスの拡充は決定的に必要になります。予算、人、物、全てを優先的に配分し、全庁を挙げて取り組むべき区政の最重要課題であるという、そういった問題意識をもって以下の質問をしていきたいと思います。

まず、現在、第六期の介護保険事業計画を策定しております。先月末にシンポジウム、パブリックコメントも終了をしておりました。これがその第六期の素案ですけれども、ここの五六ページにおいて、二〇二五年のサービス水準などの推計というものが明記されているんですね。これは、本当にちょっとなので今読みたいと思います。

二〇二五年のサービス水準等の推計。団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けた「地域包括ケア計画」として、「地域づくり・まちづくり・人づくり」を段階的に進めていくことで、どのように地域包括ケアシステムをつくっていくのか、二〇二五年を見据えて中長期的にサービス水準などを推計します、このように書かれているんですね。

六期策定の今現在、なぜ二〇二五年を見据えて中長期的にサービス水準などを推計する、そういったことが行われるのか。そういった理由について伺いたいと思います。

瓜生 高齢福祉課長

国では、第六期の高齢・介護計画では、計画期間中のサービス料を算定するだけではなく、団塊の世代が七十五歳となられる二〇二五年のサービス水準、給付費や保険料水準などを推計し、お示しするものとしております。
区では、第六期の計画策定におきまして、住みなれた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指し、高齢化が進展する二〇二五年に向け、住まいを初め医療、介護、介護予防、日常生活の支援が包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた基盤整備と、参加と協働の地域づくりに努めてまいります。

第六期の計画期間は、地域包括ケアシステムの実現に向けた十年後を見据え、新たな視点で取り組む初めの三カ年の計画で、今回策定の第六期の進捗状況を見ながら、七期、八期計画へと続き、十年後の二〇二五年に向け、区民、事業者、地域団体、行政と協働し、取り組んでまいりたいと考えております。

江口じゅん子

私も調べてみまして、厚生労働省のほうで第六期計画の基本指針というものを出しているんですね。その中で書いてあることは、第六期計画では、三年間の計画にとどまらず二〇二五年に向けて中長期的な視点での施策を策定するよう求めたと、そういうことが必要だということなんです。
市町村による事業計画のポイントとしては、二〇二五年時点でのサービス水準や給付費、保険料水準などの推計を盛り込むということなんですね。
ですから、つまりこの第六期の策定の時期に二〇二五年に向けたそのときのサービス水準、給付費、あとは保険料が幾らになるか、こういったことを推計していくと、そういったことが指導されております。

具体的な中身を今私は申し上げましたけれども、つまり各年度、あるいは各期の、介護給付などのサービスの種類ごとの量の見込み、必要利用定員総数の見込み、また地域支援事業の量の見込み、こういったものを二〇二五年、どういうふうになるのかということを推計していく。そういった理解でよろしいでしょうか。

内田 介護保険課長

サービス料の見込みでございますけれども、こちらは施設・居住系サービスですとか在宅サービス等の見込み量等々について推計をしていくことになります。

江口じゅん子

サービス料の推計の中には、施設・居住系のそういった種類ごとの量の見込みですとか、それから利用定員総数ですとか、あと地域支援事業の量の見込み、こういったものも同時に推計をしていくと、そういうことでよろしいでしょうか。

内田 介護保険課長

サービス料ということで申しますと、先ほどのお話になりますけれども、それ以外のものの人口ですとか定員数、地域支援事業の量の見込みについてもあわせて推計をしていくものになります。

江口じゅん子

保険料についても、厚労省の指導では各期の金額、段階について推計をしていくというふうに指導されていますけれども、これもそういった理解でよろしいでしょうか。

内田 介護保険課長

高齢化が一段と進む平成三十七年、二〇二五年に向けまして、地域包括ケアシステムの構築を見据えた将来推計を支援するために、推計年度は第六期の計画期間、すなわち平成二十七年度から平成二十九年度及び平成三十二年度、平成三十七年度としてございます。

江口じゅん子

今、六期策定のこの時期に二〇二五年の保険料や、それからサービス料の見込み、こういったことを推計していくということですけれども、それでは実際、具体的にどのように行うのかお伺いしたいと思います。

内田 介護保険課長

サービス見込み量、保険料の推計に当たりましては、基本的には国の示すワークシートを用いて推計を行うこととなります。
このワークシートは、各保険者の実績値をもとに、介護保険サービスの見込み量やそれに基づく保険料の推計を各保険者が円滑に行うことができるように、国が保険者に配付する計算シートでございます。

大まかな概要でございますけれども、推計の流れとしまして、平成二十四年度から平成二十六年度見込みの給付実績の整理、人口及び要介護認定者数の推計、施設・居住系サービスの見込み量の推計、在宅サービス等の見込み量の推計、介護給付費とサービス見込み量の推計、保険料の推計を行う形になっております。

こうした推計値をもとにしまして、今後国が示す考え方を考慮するなどいたしまして、第六期の保険料設定を検討してまいります。

江口じゅん子

ワークシートの計算ソフトにいろいろ数字を打ち込んで出るということで、ワークシート上の数字ということですけれども、しかし、リアルに考えていくと、二〇二五年、団塊の世代にとっては十年後、自分がこの世田谷でどのような介護を受けられるのかですとか、本当に大きな関心です。そして保険料に関しては、厚労省は二〇二五年自体での保険料は八千二百円程度になるのではないかとの試算をしているんですね。

幾ら払うことになるのか、そういったことも本当に大きな関心です。計算の数字だけではなく、区民、事業者、議会に二〇二五年を見据えたサービス水準の推計をわかりやすくリアルに示すことが大切だと考えます。

世田谷区が目指す地域包括ケアシステムについて

江口じゅん子

国は、二〇二五年に向けて中学校区程度を想定した日常生活圏域に地域包括ケアシステムを構築することを推進しています。地域包括ケアシステム――世田谷区では、日常生活圏域を地域行政制度の出張所・まちづくりセンターごとの地区としています。地区における基盤の充実が本当に課題になっています。世田谷区が目指している介護保険事業における地域包括ケアシステムの姿と実現に向けての方策について、具体的に示すべきだと考えます。

ここでお伺いしたいんですが、世田谷区としての介護保険事業における地域包括ケアシステムの姿について御説明願いたいと思います。

瓜生 高齢福祉課長

世田谷区が目指す地域包括ケアシステムでございますが、身近な場所で相談ができ、それから必要なサービスが必要な方に漏れなく提供できる。そのために、基盤整備が大変重要と考えております。

また、今後予防という点も大変重要になってまいりますので、地域の皆様とともに、予防が重要でございますので、法的なサービスの充実とともに地域で支える体制づくり、そのような体制づくりに取り組んで、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいりたいと考えております。

江口じゅん子

今、御答弁にあったように、地区で住み続けられる基盤整備が必要ということをおっしゃられました。本当にそうだと思います。

ワークシートの計算ということではなくて、二〇二五年を見据えて地区単位の必要とされるサービス水準を立てるべきと厚労省も言っておりますので、それはいつどのような形で示されるのか、お伺いしたいと思います。

瓜生 高齢福祉課長

サービス量につきましては、介護保険料の額と密接に関係してまいりますし、保険料は、さらにサービス利用者の伸びと国の介護報酬改定の結果が大きく影響することになってまいりますので、サービス量の推計に当たっては、これから総合的に勘案して、慎重に検討する必要がございます。

介護報酬改定につきましては、例年ですと十二月ごろに国が審議機関に諮問を行い、一定の方向性が明らかになってまいります。
その後、区では最終的な集計作業を行いまして、地域保健福祉審議会での審議を経て、平成二十七年二月に介護保険料の条例改正とあわせて議会にお示しし、御意見を伺ってまいります。

江口じゅん子

先ほど来、私が申し上げましたとおり、団塊の世代にとって十年後、自分がこの世田谷区でどのような介護を受けられるのか本当に大きな関心だと思います。
実際に私は、この件について当事者の団塊の世代の方のお話を伺いましたけれども、そんな計算ソフトということではなく、当事者抜きで青写真を決めてほしくないなというような声も聞いております。
本当にリアルにわかりやすく示すことが大切だと思っておりまして、具体的な整備目標や計画についても当然示されるべきものだと思いますけれども、いつ、どこで示される予定なんでしょうか。

お伺いいたします。

瓜生 高齢福祉課長

御指摘のように、第六期の高齢・介護計画策定に向けましては、二十七の日常生活圏域ごとの実態把握を行い、高齢者数、要介護認定者数の状況、居宅サービス、地域密着型サービスと施設サービスの整備状況や、医療、住宅、住民活動等の社会資源について計画素案にお示しをしているところでございます。

また、平成二十五年度には介護保険の認定を受けていない方に高齢者ニーズ調査や介護保険の利用者には介護保険実態調査、介護事業者への調査も実施をいたしました。
調査の内容は、世帯状況、サービスの利用移行、介護が必要になったとき介護を受けたい場所、介護者の状況や事業者の状況でございますが、昨年度、その調査結果を御報告させていただき、報告書は区のホームページにも掲載させていただいております。内容は、今回の計画素案にも掲載させていただいております。

調査結果、高齢者の人口推計、介護保険の要介護認定の推移、給付実績、施設サービスの整備状況等を踏まえ、住みなれた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指しまして、計画策定に取り組んでございますが、先ほど申し上げましたように、一定程度の国の介護報酬の方向が明らかになりまして、その集計作業等を行った後、審議会での審議をいただき、二十七年二月に介護保険料の条例改正と合わせて議会にお示しし、御意見を伺ってまいりたいと考えております。

江口じゅん子

その二〇二五年に向けてのサービス推計ということですけれども、具体的なその整備目標や計画、地域包括ケアを実現するための整備目標や計画はいつどこで示されるのかというのをお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

瓜生 高齢福祉課長

施設整備計画につきましても、第六期高齢・介護計画の御報告とあわせまして、第六期の施設整備計画についてお示しをしてまいりたいと考えております。

江口じゅん子

その示されたもの、区民ですとか事業者ですとか、パブリックコメントとかそういった形で意見を言える、そういった機会という、そういう対応は検討しているんでしょうか。

瓜生 高齢福祉課長

今後につきましては、二十七年三月には計画策定をしていくという流れになってございますので、地域保健福祉審議会での審議、また議会への御報告、御意見を伺って定めてまいるということになってまいります。

江口じゅん子

区民ですとか事業者が直接意見を言える機会はないということなんですよね。
二〇二五年、本当に大きな問題だと思いますし、区民の関心も高いものになっています。ぜひ、区民や、そして直接介護に当たる事業者の意見を直接聞く、言う機会というのを検討していただきたい。
それを要望しておきます。

施設ニーズなどに即して個別の施設整備について

江口じゅん子

それでは、二〇二五年を見据えて地区単位の介護サービス、そして施設ニーズなどに即して個別の施設整備について区のお考え伺っていきたいと思います。

日本共産党は、これまで地区の高齢者の地域包括ケアの拠点となる小規模特養ホームや小規模多機能居宅介護施設を全ての地区に整備することを提案してまいりました。私は先日、千歳台にある小規模多機能居宅介護施設「みんなんち」を視察してまいりました。
小規模多機能居宅介護施設は、デイホームに宿泊機能と訪問介護を加えた施設で、デイサービス利用者が必要に応じて訪問介護や短期間の宿泊サービスを受けられるというものです。従来のサービスとは異なり、訪問は短時間の服薬確認だけでも可能。

また、既存のショートステイと異なり、数カ月前からの予約の必要は不要になっています。施設長さんによりますと、利用者、家族の状況により、その日そのときで必要なサービスを柔軟に考え、支援することができるということでした。在宅介護を行う家族にとっては、デイや訪問、宿泊のサービスを必要に応じてすぐに受けられるというのは本当に大きな助けだと思いました。

現在、区内小規模多機能居宅介護は八カ所になっておりますが、北沢や烏山地域には未整備になっております。整備の課題と、今後どのように整備していくのかを伺いたいと思います。

瓜生 高齢福祉課長

御指摘のように、小規模多機能居宅介護事業につきましては、介護度が重くなっても在宅での生活を継続する上で大変重要なサービスであると認識しております。
現在区内には八カ所の事業所がございますが、単体では整備、運営が厳しいなどが課題として挙げられております。

整備に当たりましては、他のサービス事業との併設加算の周知に努めるとともに、国の交付金や都の補助金のほか、区の上乗せ補助等を行い、基盤整備を図っております。
計画目標は二〇二五年を見据え、高齢者人口等々を勘案し、定めてまいります。

地域密着型サービスは、身近な日常生活圏域でサービスが利用できるよう整備を目指し、整備誘導を目指しており、第六期におきましても、未整備圏域の整備を促進してまいりたいと考えております。
具体的な整備目標は、先ほど来の第六期高齢・介護計画での審議を経まして、議会の御意見を伺い、定めてまいります。

江口じゅん子

視察を行い、その必要性というのも私も理解をしましたし、しかしまた、視察をすることで区内の別の小規模多機能居宅介護施設を利用する御家族にお話を伺うことで、課題も見えてきました。

この小規模多機能居宅介護施設、利用料金は介護度に応じて一カ月単位の定額制になっています。しかし、宿泊費用、食事料金は自己負担なんですね。
区内の一泊の宿泊費用の平均は五千円、区内には七千円のところもあります。
食費は施設により異なりますが、みんなんちでは朝、昼、夕、おやつを全てとると一日千七百四十七円になります。ある御家族は、二泊三日の宿泊費、食費は約二万円になり、経済的負担が重いと話されていました。

また、施設長さんによると、国民年金だけの方の利用は経済的に厳しいのではと話されていました。
こうした状況があるわけですから、施設を整備、推進していくに当たっても自己負担分の利用料軽減を区として検討していくべきではないかと考えます。いかがでしょうか。

瓜生 高齢福祉課長

小規模居宅介護の宿泊費でございますが、区内では三千円から七千円という幅がございます。
事業者が整備する際に、利用者が利用しやすい料金設定となるように、現在事業者にお願いをしているところでございます。

宿泊費助成につきましては、事業者や利用者の声をお聞きし、今後の検討課題とさせていただきます。

江口じゅん子

ぜひ検討をお願いしたいと思います。

そして、この小規模多機能居宅介護施設はデイホームが基本ですから、在宅生活が可能である方が利用者、対象者となっております。
利用者の介護度が上がり、サービスが必要になればなるほど自己負担が重くなります。また、事業者側はマンパワーや施設のハード面の整備が必要になり、自宅から特養などの施設へのこういった小規模多機能居宅介護施設は通過点という位置づけとも考えられるのかなと思います。

地域包括ケアシステムの構築において、住みなれた地域で最後までという区民の願いを実現することは重要なテーマだと考えます。同時に、低所得の高齢者、重度の高齢者の受け皿となる小規模大型特別養護老人ホームの整備を今後も進める必要があります。

さきの総括質疑で、我が党の桜井(稔)委員より、老々介護の御夫妻が特養ホームの申し込みをしてから八年間も待っている実態を紹介しました。現在、区内の特養ホーム待機者は二千二百名を超えています。二〇二五年に向けて必要とされる方はさらにふえていくのではないでしょうか。

待機者をなくすべく、小規模・大型特別養護老人ホームの整備の中長期的な整備計画を立て、整備を進めるべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

瓜生 高齢福祉課長

特養ホームにつきましては、本年十二月に成城八丁目において百人、平成三十年度には深沢一丁目の国有地、また、旧希望丘中学校跡地におのおの百人規模の特養の整備を予定しております。また、今後とも国有地や都誘致を活用し、特養等の施設整備ができるよう国や都に要望を出しているところでございます。

今後の整備目標につきましては、高齢者人口や要介護認定者数の推移、入所・申し込み状況等を勘案しまして、二〇二五年を見据えまして、中長期的視点を持って定めてまいりたいと考えております。

江口じゅん子

特養ホームの待機者、先ほど来申しましたけれども、二千人以上を超えている、そういった状況です。ぜひ、中長期的な整備計画を立て、待機者をなくす、こういったことに取り組んでいただきたいと思います。

低所得高齢者の住まいについて

江口じゅん子

それで最後に、低所得高齢者の住まいについて伺いたいと思います。

医療・介護総合法により、特別養護老人ホームの入所対象者は原則要介護三以上と定められました。
しかし、現在特養ホームに入所している要介護一、二の方の入所理由の六割が介護者不在、介護困難、住居問題などであり、二割が認知症の周辺症状、その他の理由による判断力の低下、喪失という調査結果が示されています。

特別養護老人ホームは、単身や低所得高齢者、また認知症高齢者の最後のよりどころであり、セーフティーネットの役割を果たしてきました。国はサービスつき高齢者向け住宅を整備すると言いますが、そもそも入所対象者は厚生年金受給者が想定されていて、低年金の方の受け皿とはなりません。

低所得高齢者の住まいの場となる都市型軽費老人ホームの中長期的な整備計画を立て整備を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

瓜生 高齢福祉課長

都市型軽費老人ホームは、家賃等の利用料金が低額で所得が低い方でも利用できるため、区としても整備を進めていく必要があると考えております。
世田谷区では、今年度中の整備も含め四カ所七十人の整備状況となります。整備に当たっては、特養の併設など工夫をしてまいります。整備数につきましては、中長期的視点をもちまして現在審議中の第六期計画の中で御審議をいただき、定めてまいります。

江口じゅん子

ぜひ、二〇二五年に向けて基盤整備を進めていただきたいと思います。

それでは、日本共産党の質問を終わらせていただきます。

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