平成25年予算特別委員会 区民生活委員会所管質疑

2013年03月11日 江口じゅん子区議

江口じゅん子

本日で東日本大震災から丸二年となりました。改めて震災で犠牲になられた方にお悔やみを申し上げます。

そして、甚大な被害をもたらした震災からの復興に、日本共産党は全力を挙げて支援することを申し上げ、質問に移らせていただきます。

三軒茶屋就労支援サービス拠点について

江口じゅん子

私は、若者の就労支援、特に来年度開設予定の三軒茶屋就労支援サービス拠点について質問を行います。

若者をめぐる雇用や労働の実態は深刻な状態と考えます。雇用者に占める非正規雇用は三五・二%と過去最高に増大、十五歳から二十四歳の若者では二人に一人が非正規の状態です。

また、東京都では、この年代の失業率が七・五%と高い水準になっています。

若者を取り巻く労働環境は実に厳しく、就職に当たっては、就職難、長期化、孤立化する就活、就活自殺者の増加、希望する賃金・職種とのミスマッチ、そして就職ができても低賃金で長時間労働、休みがとれない、心の病や過労自殺の増加、近年では違法な働かせ方で若者を使い捨てにするブラック企業が大きな社会問題になっています。就労支援の対象者となる若者は、こうした状況の中を日々生きています。

私はこの間、せたがや若者サポートステーション、ヤングワークせたがや、そして一般質問で取り上げたひきこもりなどの若者の支援を行っている品川のNPO法人教育サポートセンターNIREを視察してまいりました。

どちらのスタッフの方も、相談や来所をしてくる若者は、いじめや不登校、ひきこもりを経験した方が多く、また、就活に失敗した、就職をしてもやめざるを得なかった経験などから、自信がない、自己肯定感が低い、人間関係の構築が困難などの傾向があると言われていました。

ここでお伺いしますが、区は、若者をめぐる雇用、労働の実態、また、就労支援を必要とする若者についてどのような認識を持っているか、お伺いします。

大石 工業・雇用促進課長

若者の雇用につきましては、大変厳しい環境、なかなか就職に結びつかない就職疲れというのがあるのだろうと思っております。

また、せっかく働き出しても、即戦力であることを求められる、コミュニケーションがとれないなどから心のバランスを崩してしまうような若者もいると思っております。

そういった中で、国のほうでは、日本の将来を担う若年者等の就労支援ということで、日本の将来を担う若者たちが自身の夢や目標に向かって邁進し、充実した人生のキャリアを築くことができるような社会をつくり上げる、こういうふうな取り組みを進めるということで考えてございます。

また、区といたしましては、働く意欲を失わない、あすへの希望を持っていただき希望の持てる職場探しのサポートなどを行うことによって、労働力の確保につなげることが大変重要だと考えております。

江口じゅん子

今課長もおっしゃられたとおり、若者の非正規雇用、それから所得の低迷というのは、貧困化や少子化の促進にもつながって、ひいては日本の未来の社会保障制度や成長に重大な危機を招くと考えられ、おっしゃられたとおり、国も都も若者の雇用、就労支援に力を入れています。

厚労省では、学生や卒業後の未就職者を専門に支援する新卒応援ハローワーク、正社員の就職を目指す若者などを支援するキャリアアップハローワーク、三十五歳未満を対象にした東京わかものハローワーク、また東京都では公益財団が行う東京しごとセンターのヤングコーナー、ミドルコーナー、また世田谷区内にはせたがや若者サポートステーション、ヤングワークせたがやなどの就労支援の事業があります。

どこもキャリアカウンセリング、それからセミナーや職業体験、メンタルカウンセリングなどを行っています。若者にとって身近に、より自分の状況に即した支援サービスがあることはよいことと考えますが、ここで具体的に三軒茶屋就労支援サービス拠点の機能について伺いたいと思います。

既存の若者就労支援センターとの違い、また連携について、三軒茶屋ではどのような若者を対象にするのか、その特色についてお伺いします。

大石 工業・雇用促進課長

就労支援サービス拠点ではさまざまな方が利用されることを想定しておりますが、その中で、現在もヤングワークせたがやだとか産業振興公社のおしごと相談コーナーでは、メンタルケアやキャリアカウンセラーによる職業選択、キャリア形成等を実施して、個々の置かれた状況、ニーズに応じたきめ細やかな就職支援を行っております。

十月開設予定の三軒茶屋就労支援サービス拠点では、就活準備のための業界研修資料ですとか資格取得に関する資料などの情報を整え、閲覧できる場の提供や各種セミナーを用意します。

また、キャリアカウンセリングをする中で、一人一人に合った就職までの個別プログラムを作成し、就活支援講座や各種セミナー開催等で就職までの丁寧なサポートを行い、よい企業に出会うよう就職支援を行ってまいります。引き続き産業振興公社と連携して検討工夫してまいります。

江口じゅん子

今お話を伺って、従来から行っているキャリアカウンセリング、それからセミナーや職業体験、メンタルカウンセリングなどを行うということで、どれも大切なことだと思います。

しかし、国も都も、既存のハローワークですとかそういった就労支援機関で、また区も区内のサポステなどでそうしたサービスを行ってはいるが、それだけでは結果を出せていない、うまくいかない、そういった実態もあるかと思います。

そこで、三軒茶屋就労支援サービス拠点について幾つか提案を行いたいと思います。

一つ目は、支援が必要な世田谷の若者にこのサービスを広く知ってもらうための普及や啓発活動です。

インターネットの活用や、図書館や庁舎窓口へのパンフレット設置などは言うまでもありません。四月からできる若者支援担当課や区内のサポステ、加えて区外の関係団体との連携が必要と考えます。

例えば世田谷区内の若者が多く利用している新宿、渋谷の各ハローワークや、それから新宿、三鷹のサポートステーション、ひきこもりなどの若者支援を行う東京都若者社会参加応援事業団体にもパンフレットを置いてもらう。

さらに、そこの方に、世田谷の若者が相談に来たら、三軒茶屋に就労支援サービスセンターがある、行ってみたらと、そういった声かけをしてもらうことが必要だと考えます。

そのためには、区の担当者みずからが区外の各ハローワークなどにも足を運んで、担当者同士の連携、横のつながり、そういったことをつくることも必要と考えますが、区の見解をお伺いします。

大石 工業・雇用促進課長

いろいろな機関とは今後連携してまいります。今、渋谷のわかものハローワークですとか渋谷ハローワーク、公社ですとか私どもで一緒になってセミナーなどを実施しております。さらに地域を拡大して取り組んでいくのも一つだと思いますので、検討してまいります。

江口じゅん子

地域を拡大して連携するということもすごく大切だと思います。

それで私、先ほど言ったNPO団体ですとかサポステなどを見学して、スタッフの方がおっしゃられていたのですけれども、やはりどこのハローワークさんとか就労支援団体も非常に忙しいと。パンフレットももちろん置いてあるし、そういう若者が来たらここに行ってみたらと横つなぎをすることもあるけれども、業務に紛れてしまうこともあるようなことをおっしゃっていました。

やはり区の担当者みずからそういったところに足を運んで、まずは連携をつくる、そういった取り組みが必要だと思います。ぜひ検討をお願いいたします。

そして二つ目の提案としては、若者を並走的に継続的に支援を行う、そうした体制づくりだと思います。品川のNPO法人教育サポートセンターNIREの方が言われていたことなんですが、若者支援の出口の一つは就労だが、大切なのは、行きつ戻りつする若者を並走的に継続的に支援を行うシステム、組織が必要とのことでした。

私は、この行きつ戻りつする若者、就労できずになかなか模索をしている若者というのが実際思い浮かばなかったのですが、そこで実際に就職相談に来ていた三十歳の男性の方からお話を伺うことができました。

その方は、某有名大学卒業後、就職は出版や編集関係を希望していたということで、そこを中心に数十社回ったのですが、就職氷河期ということもあって、結局内定はとれなかったと。
卒業後、エディターの専門学校やシナリオライターの養成所に通ったのですが、やはり内定はとれなくて、郵便局のアルバイト職についたんですけれども、単純な仕分け作業などで、自分のやりたいこととは異なるということから退職をされました。

その後、ハローワークやサポートステーションにも通ったんですが、希望職種とのミスマッチ、担当者と相性が合わないことなどから通わなくなってしまって、次第にひきこもりがちになったということです。自信をなくし、将来が見えない状態でしたが、母親の勧めで若者支援のNPOに出会って、現在は、そこに通うようになってから職場体験活動などをルポにまとめる仕事などもされていて、就労を目指して何とか頑張っているということでした。

このように若者というのは、これまでの就活の失敗から挫折感を持っている、自信をなくしている、一回の就職ではうまくいかない、そういったことも多いと思います。

一回の就職で定着できなくても、また三軒茶屋の就労支援センターに戻ることができる、再挑戦ができる、そういった環境が必要だと考えます。

そのためには、キャリアカウンセラーだけではなく、並走型カウンセラーといったものを配置し、行きつ戻りつする若者を継続的に支える専門員の配置が必要と考えますが、区の見解をお伺いします。

大石 工業・雇用促進課長

就職、離職を繰り返す若者、なかなか職につけないということについてはさまざまな背景があるんだろうと思います。

例えば委員お話しのような人とコミュニケーションがとりづらい方については、長年にわたるいじめや叱責などにより、就職に踏み出すことについては大変な決断、決意が必要なんだろうと思います。限られた予算を最大限効果的に活用するために、私どもとしても工夫してまいりますが、就労支援部門だけでは必ず就職に結びつけることは大変難しいものと思っております。

いづらさを抱える若者支援につきましては、四月、子ども部に組織を設置して、関係機関の力を生かした相談、活動支援を行うとともに、新たなニーズに対応した若者支援策の検討を行っていくことになりますので、関係所管と連携しながら、例えばそういう鬱傾向にあるとか人とコミュニケーションがとれない方につきましては、そういう方への就労を含めた支援について研究してまいりたいと思います。

江口じゅん子

この並走型カウンセラー、ぜひ必要だと思います。引き続き求めていきたいと思います。

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