平成25年第1回定例会 一般質問
2013年02月21日 江口じゅん子区議
高齢者の見守り・支えあい活動について
江口じゅん子
質問通告に従い、質問します。
初めに、高齢者の見守り・支えあい活動についてです。
区の高齢者人口は十六万人を超え、高齢者の約六七%が高齢者のみ世帯か一人で暮らしています。しかし、地域の団地では、さらにその状況が進行しているところがあります。
ある大規模団地では、入居者数約二千四百人のうち六十五歳以上が約千人、四割がひとり暮らしであり、災害時要援護者登録数は約百三十人と聞いています。
この団地自治会の方は、昨年は孤独死があり、ひとりぼっちの高齢者を何とかなくしたいと語っていました。
こうした状況から、自治会などが見守り・支えあい活動を積極的に行っています。希望者に週一回の安否確認コール、電球交換などの簡単な生活支援、団地集会所の一部を無料開放し、みんなでお茶やお菓子を持ち寄り住民に提供する活動などです。各種団体の食事会、サークル活動もあります。既に地域では、自助、共助による活動を積極的に行っています。
それでは、公助である区の果たす役割は何か。支援が必要な住民には区の責任で直接支援するという自治体本来の責務を果たすことであり、同時に自助、共助の支援を行うことが必要と考え、以下見解を伺います。
一つ目は、公助の役割についての認識です。
区長は招集挨拶で、区と区民の方の自助、共助、公助のそれぞれを強め、災害防災力へとつなげていく必要がありますと述べられています。見守り活動においても同様ではないでしょうか。
区が来年度から全あんしんすこやかセンターに見守りコーディネーター一名を配置することは、公助の強化と評価します。今後その人員体制で十分か検証し、必要なら人員増について検討が必要です。また、見守り活動における公の役割についての見解をお伺いします。
板谷 地域福祉部長
私からは、大きく二点お答えをいたします。
最初の一点目、高齢者の見守り・支えあい活動について三点お答えをいたします。
見守り活動における公の役割についてのお尋ねがございました。
高齢者の見守りについては、身近な地域住民による緩やかな見守りから成る自助、共助の取り組みと協力体制をとり、公の取り組みとして、高齢者安心コールや、あんしんすこやかセンターにおける見守りコーディネーターを中心に実施するあんしん見守り事業等を実施しております。
高齢者の見守りにおける公の役割は、自助、共助の取り組みと協力体制をとり、緩やかな見守りからつないでいただいた健康度が低く、しっかりと見守りが必要な方を、専門職が進行管理をして重度化予防を図り、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるように支援することであると認識をしております。
今回、平成二十二年十一月から十地区でモデル実施をしてまいりました専門的な見守りであるあんしん見守り事業を効果検証し、平成二十五年度からあんしんすこやかセンター専門職の人員体制を充実して、全地区であんしん見守り事業を実施いたします。
地域にお住まいの皆様が日常生活における高齢者の異変に気づいた場合には、こうした行政のさまざまな見守りの仕組みにつないでいただき、地域の皆様とともに高齢者を見守ってまいりたいと考えております。
江口じゅん子
二つ目は、見守りネットワークの拡充です。
区は来年度からあんしんすこやかセンター、自治会・町会、社協などと連携し、その拡充を行うとしており、大切な取り組みと考えます。現在、横浜市では、水道、ガス、電気、郵便、新聞販売組合、生協など七者と連携を行い、緩やかな見守りの体制をつくっています。
区でも、生活困窮者把握のため、水道、ガス、電気事業者に、異変を感じた際、生活支援課に連絡する協力依頼や新聞販売店の団体と協定を結び、見守りの体制を行っています。
今後、さらに民間と連携した見守り活動の拡大検討を求めます。
板谷 地域福祉部長
次に、民間と連携した見守り活動の拡大についてお答えいたします。
単身の高齢者の方がふえ続けている中で、高齢者を取り巻く課題は、単に高齢者の安否確認というだけでなく、認知症の早期予防や詐欺被害、高齢者虐待の防止など、より一層深刻かつ多面的になってきております。
こうしたことからも、高齢者が安心して暮らし続けられる地域社会の確立に向けては、単一の取り組みではなく、身近な地域住民や事業者など、高齢者を取り巻くさまざまな関係者が重層的に高齢者を見守ることが重要であると考えております。
区では、民生委員やあんしんすこやかセンターによる定期訪問など、さまざまな取り組みを重ねてまいりましたが、地区の実情に合った民間事業者との連携についても、今後の検討課題であると考えております。
江口じゅん子
三つ目は、自助、共助への支援です。
社協は見守りネットワーク、また、ふだんからサロン活動などで大きな役割を果たしています。
先般、社協の地域支えあい活動の活動補助金、会場使用料見直しが提案され、利用者から不安が聞かれています。社協の活動の重要性について及び区として支援強化が必要と考えますが、見解を伺います。
板谷 地域福祉部長
最後に、社会福祉協議会の活動に対する見解にお尋ねがございました。
社会福祉協議会は、社会福祉法において、地域福祉を推進することを目的として、社会福祉に関する事業の企画及び実施や活動への住民参加のための援助、調整、助成等を行う団体であることが明確に位置づけられております。
社会福祉協議会は、法人運営に当たり、会員拡大による会費の増収や広告収入増とさまざまな手法により自主財源の確保に努めておりますが、社会福祉協議会の事業はその性質上、多くの収益は期待できないため、区といたしましても、地域福祉の推進を担う社会福祉協議会が安定した法人運営を行うことができるよう財政支援を行っているところです。
一方、社会福祉協議会の事業費全体に占める区職員派遣による人的支援を含めた補助総額の割合、すなわち補助率がここ数年上昇傾向にあることが中長期視点から大きな課題となっております。
区といたしましては、社会福祉協議会が、その使命である地域福祉の推進を果たしながらも自主財源を確保し、より一層自主的な法人運営ができるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
若者の支援について
江口じゅん子
次に、若者の支援について質問します。
一月七日付毎日新聞に、就活生失敗で自殺増加、NPOが悩み調査、心のケアもという記事が掲載されました。記事では、就職失敗を理由に自殺した十から二十代の若者は、二〇一一年は百五十人、大学生など学生は五十二人であり、二〇〇七年と比べ二・五倍に増加と報道しています。
また厚労省では、長期化する就活、内定が得られないことによる心理的負担が大きいと、新卒応援ハローワークに臨床心理士を配置しています。私は、就活で心を疲弊させ自分を責め、自殺する若者が増加していることに、日本の若者の生きづらさの深刻さを感じました。
先日、会派でニート、ひきこもりなどの若者支援を行っているしながわ若者サポートネットを視察しました。運営するNPO法人は、東京都若者社会参加応援事業の登録研究団体です。
東京都若者社会参加応援事業とは、都がNPO法人などをサポートすることを通し、ひきこもりなどの若者の社会参加を応援する事業のことです。
事業内容は、相談、カウンセリング、そして気軽に集まり、利用者の特性、関心に合わせ、レクリエーションや体験活動をするフリースペース、ボランティアや仕事体験を行う社会体験活動です。ある二十代の若者は、病気や親との関係などで小六から不登校、ひきこもりとなったが、ここに通うようになり、変わりたいという気持ちを後押ししてもらった、現在は定時制高校に通学していると語っていました。
厚労省の調査では、全国でニートは六十四万人、ひきこもりは約三十二万世帯とされています。国は、平成二十二年に子ども・若者育成支援推進法を施行、その目的では、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、健やかな育成、社会生活を円滑に営めるよう、総合的な支援のための施策を推進するとしています。
地方自治体には、総合相談センターや民間を含めたさまざまな機関で構成する地域協議会設置が努力義務とされました。今般、区より、若者支援の専管組織立ち上げが提案されました。
我が党として、この取り組みに期待し、注目をするものです。専管組織と子ども・若者育成支援推進法との関係と、今後の取り組みについて区の見解を伺います。
萩原 子ども部長
私からは、若者の支援について三点お答えいたします。
初めに、いわゆる専管組織の立ち上げと子ども・若者育成支援推進法との関係や今後の取り組みについてでございます。
子ども・若者育成支援推進法は、子ども、若者の抱える問題の複雑化などを背景に、平成二十一年七月に制定され、基本理念に、若者支援は、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における知見を総合して行うことと示されております。
区では、雇用、福祉、保健、教育などの各分野において、就労支援や発達障害者支援、自殺予防などの取り組みを進めておりますが、これらの若者支援の取り組みを、法の示す考え方などと整合を図りつつ、総合的な施策として展開するため、子ども部に新組織を設置することといたしたところでございます。
今後は、この組織を中心に庁内関係所管だけでなく、地域団体やNPO、事業者など関係者間との連携協力を進め、若者支援に関する必要な状況の把握に努めるとともに、生きづらさを抱える若者への支援及び若者が地域社会で力を発揮していくための取り組みなどを進めてまいります。
江口じゅん子
また、ひきこもりやニートに至る前段階に、不登校やいじめ、中退経験者が多いとの報告があります。さきに述べたNPOのスタッフは、中退などで学校との関係が切れるとその後の支援に結びつかないと話されていました。
特に教育委員会など学校との連携が重要と考えますが、見解を伺います。また、今からできる取り組みとして、普及啓発活動に迅速に取り組むことを要望します。
萩原 子ども部長
次に、ひきこもり等に至る前段階での教育委員会や学校との連携についてです。
平成二十二年に内閣府が行った十五歳から三十九歳までの若者を対象にしたひきこもりに関する実態調査では、ひきこもりになった者のうち、その要因を不登校や人間関係にあると回答している者がそれぞれ約一二%あったとの報告がなされております。
区では、この調査結果からも、ひきこもりの予防には、在学中からの相談や中途退学後の早期の支援に結びつける取り組みが重要になると考えております。このような若者が、地域の中の安心して過ごせる場所で自信を取り戻すことができる機会をつくることや、中途退学等により社会との接点をなくした若者をサポートしていくためには、予防の視点からも学校や教育委員会との連携が欠かせず、今後の総合的な若者支援の取り組みを考える中で効果的な方策を検討してまいります。
江口じゅん子
東京都若者社会参加応援事業などのパンフレットなどを、若者や家族の目の届く場所、例えば学校や図書館、区の施設などへの設置を求めます。見解を伺います。
萩原 子ども部長
最後に、支援相談機関を知ってもらうためのパンフレット等の設置についてでございます。
現在、若者サポートステーションや東京都若者社会参加事業等の案内につきましては、就労支援の窓口や思春期精神保健相談などの若者が直接手にできる場所を中心に配布するなどの周知を行っております。
区の新たな組織を中心に、今後、若者支援を進めるに当たっては、支援の必要な若者はもとより、家族や地域の支援団体などにも利用していただけるような創意工夫が大切になると考えております。
区のさまざまな窓口での配布のほか、若者がよく利用する場所や商店での配布及びインターネットの活用なども含めて、若者の声も参考にしながら関連所管と協力した啓発に努めてまいります。
以上でございます。
旧希望丘中学校の跡地活用について
江口じゅん子
最後に、旧希望丘中学校の跡地活用についてお伺いします。
先日、区民意見交換会が行われ、さまざまな意見が聞かれました。
また、地域の住民の方から、学校跡地活用方針(素案)で、特別養護老人ホーム、ショートステイ整備の提案がされたことに期待の声が聞かれています。
区の特別養護老人ホームの待機者は約二千四百人、その整備は喫緊の課題です。これまでの二回の説明会、区民意見の募集、区民意見交換会を踏まえ、今後、案策定に当たり、改めて跡地に特別養護老人ホーム、ショートステイの整備を求め、以上で壇上からの質問を終わります。
板谷 地域福祉部長
次に、二点目、旧希望丘中学校の跡地活用について、特養ホーム、ショートステイの整備に関するお尋ねがございました。
今後、高齢化が一層進展し、重度の要介護認定者も増加していく中、学校跡地活用方針素案では、旧希望丘中学校跡地活用において、特別養護老人ホームやショートステイの整備を挙げさせていただきました。
規模につきましては、老朽化している区立特別養護老人ホームの大規模修繕に伴う入居者の受け入れと、二千四百人余りの特養待機者やふえ続ける認知症高齢者の対応等を勘案し、検討をしているところでございます。
引き続き地域の皆様との意見交換を重ね、高齢者施設についても、さまざまな御意見をお伺いしながら、よりよい施設整備を進めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
江口じゅん子
若者支援専管組織立ち上げに期待することを申し上げ、以上で終わります。
