平成23年第4回定例会 一般質問
2011年11月30日 江口じゅん子区議
梅ヶ丘病院跡地計画について
江口じゅん子
おはようございます。質問通告に従って質問いたします。
初めに、梅ヶ丘病院跡地計画についてです。
区は、梅ヶ丘病院跡地利用基本構想で、保健医療福祉の拠点を整備すると報告をしています。では、その概要はどうなっているでしょうか。基本構想には、梅ヶ丘病院存続を求めた十五万人もの都民の請願署名や、その後の小児精神医療再開を望む患者、家族の声は考慮されず、その整備計画はありません。
そして、想定事業内容は、①保健センター、梅ヶ丘図書館などの既存区施設の移転統合、②高齢者施設は、介護老人保健施設など、③障害者福祉施設は、通過型を基本とする入所施設などです。これらの施設も一定必要ではあります。
しかし、最も切実で整備が喫緊に必要な特養ホーム、そして障害者福祉施設ではケアホーム、グループホーム、認可保育園の整備計画がありません。基本構想は、これらを望む区民の深刻な実態、要望が反映されていないのです。
さらに、区が約百四十五億から百七十五億円で買った跡地は、その後、約半分が民間へ売却することが検討されています。これでは、区が跡地に保健医療福祉の拠点を整備すると説明しても、区民の理解は得られないのではないでしょうか。
日本共産党は、土地買収も含めた梅ヶ丘病院跡地利用基本構想の再検討を求めます。
耐震問題で光明養護学校の改築計画が浮上し、都の売却方針は流動的になっていると伺っています。我が党は、都に跡地での小児精神医療整備を求めます。定期借地による特養ホーム、ケアホームなどの障害者施設などの福祉施設整備を求めます。
では、区民にとって梅ヶ丘病院跡地に小児精神医療整備がなぜ必要なのでしょうか。近年、発達障害の増加が各方面で指摘されています。私も精神科病院看護師時代、若い世代の入院数増加を実感しました。そして、成育過程での治療、療育が不十分なため、予後不良、社会適応困難事例を多く見ました。
あるご家族からは、発達障害専門の医師が少なく、当初の誤診から薬漬けになり、貴重な青春期を棒にしてしまった。そういった深刻な実態をお聞きしました。小児精神分野は、特に専門医の早期からの適切な診断と継続的な治療、療育が必要です。
では、増加する患者に対応する専門医療機関は区内で足りているのでしょうか。私は、梅ヶ丘病院の移転先である府中の都立小児総合医療センターを視察してきました。医師から、区部からの患者が多く、環境の変化で混乱する子どもがいること、小児精神医療機関は足りないことなどをお聞きしました。梅ヶ丘病院廃止後の受け皿である都立大塚病院、都立小児総合医療センターの新規外来予約は約一から二カ月待ちです。区内の小児精神クリニックでは、一週間から四カ月待ち、発達障害を扱う烏山病院は約一カ月待ちでした。区は、梅ヶ丘病院廃止による区内の小児精神医療の現状について把握をしているのでしょうか。区の認識を伺います。
梅ヶ丘病院は、医療だけではなく、思春期、青年期のデイケアや、患者が地域商店街でアルバイトを行うなど就労体験や自立への支援も実施してきました。病気、障害を持つ患者に理解がある地域だからこそ、患者も家族も安心して治療、療育が受けられました。現在、多くのご家族、患者団体から、区内の思春期、青年期の療育、自立への支援機関の整備が要望されています。
また、梅ヶ丘病院廃止後、小児精神医の研修病院が不足をしています。区は基本構想で、梅ヶ丘病院の果たしてきた大きな役割を認めています。それならば、都に小児精神医療機関整備を求めるべきです。
梅ヶ丘病院跡地に小児、思春期精神科外来、デイケアなどの整備を強く求めます。区の見解を伺います。
藤野 保健福祉部長
区内小児精神科医療の現状についてご答弁申し上げます。
区は、発達障害など子どもの心の問題へのケアが重要であると認識しており、小児精神医療との連携による支援に努めております。
小児精神医療の現状でございますが、梅ヶ丘病院廃止に伴い、その専門的な医療機能が小児総合医療センターに移転されるとともに、都立大塚病院に児童精神科外来が開設されました。また、区内には関東中央病院の児童、思春期の精神科診療、松沢病院での青年期の精神科治療が行われているほか、小児精神疾患に対応する診療所等、医療機関もございます。
さらに、区では総合支所健康づくり課における子ども、思春期対象のこころの健康相談で小児精神科医による専門相談を行うほか、発達障害相談・療育センター「げんき」、子育てステーションなどの相談療育の専門機関もございます。
区といたしましては、こうした関係各部署が小児総合医療センターを含む医療機関などと連携し、区民からのご相談や療育に的確にこたえられるよう、子どもの心の健康に関する支援に取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
霜村 梅ヶ丘整備担当部長
梅ヶ丘病院跡地へ小児精神外来等の整備を求めるというご質問にお答えをいたします。
梅ヶ丘病院の再編につきましては、ただいま保健福祉部長からご答弁させていただきましたとおり、東京都が小児総合医療センターを府中に整備し、梅ヶ丘病院の小児精神医療の機能を引き継ぐとともに、都立大塚病院に児童精神科外来を新設し、対応しているところでございます。
梅ヶ丘病院跡地につきましては、昨年度、梅ヶ丘病院跡地利用基本構想を定め、高齢者や障害者を初め区民の皆様が住みなれた地域で安心して暮らせる保健医療福祉サービスの全区的な拠点づくりを目指しているところでございます。
基本構想では、相談支援、人材育成機能といたしまして、予防や医療への橋渡しを含めた心の健康に関する相談支援や、精神保健にかかわる人材の育成、研修等の精神保健福祉にかかわる機能を想定しております。拠点機能の具体化に当たりましては、議会のご議論を初め、幅広くご意見を伺いながら検討を深めてまいります。
以上でございます。
江口じゅん子
梅ヶ丘病院に関して再質問を行います。
平成十八年、区長が国会の参議院議員をされていたとき、当時の参考人質疑で、当時の梅ヶ丘病院の院長先生が参考人質疑にいらっしゃいました。そこで院長先生は、小児精神医療、そしてその教育がなぜ必要なのかということをるる語られ、区長が質問の中で、梅ヶ丘病院も含め、では、ますます医療の現場でも子どもの心や発達にかかわる取り組み、もっともっと増強されなければいけないと質問をされております。
現在の区長の、小児精神の必要性についてどういう認識を持たれているのか、その見解をお伺いしたいと思います。
保坂 区長
江口議員にお答えします。
参議院議員ではなくて衆議院議員です。済みません。
平成十八年の六月でしたが、学校教育法の改正の参考人質疑で、当時、市川さんに参考人ということで梅ヶ丘病院の取り組み実践をお話ししていただきました。実は、梅ヶ丘病院自体は、児童精神科のパイオニア的な拠点病院として、本当に輝かしい役割を長い時期担ってきたと思っています。
といいますのは、私自身が教育問題、特にジャーナリストとして活動していた後半は、主にいじめ等で悩んだり、あるいはひきこもりだったり、あるいは暴力を受けてしまったり、振るってしまったり、そういった子どもたちの相談を親子で受けるということが大変成城学園の一角の事務所で多かったわけです。
その際、三人に一人くらいの方たちが、現在、梅ヶ丘病院児童精神科に通院中であるということだったので、そういう意味で、梅ヶ丘病院の地域で果たしてきた役割も、そしてまた、梅ヶ丘病院に通院するために全国あちこちから引っ越されてきているという方にもお会いしたことがあります。当時から、LDだったり、ADHDだったり、あるいは自閉症、アスペルガー等、さまざまな子どもの障害が非常に広がってきていて、とても難しいのは、そういった子たちの中で非常に知的な能力が高い子たちもいて、いわゆるかつて天才と言われたような人たちの一部は、そういった症状もあったのではないかと思われますけれども、なかなか社会が寛容じゃなくなってきて、そういった子たちが非常に息苦しくなっているということだと思います。
お尋ねの梅ヶ丘病院跡地については、大変広い土地でございます。そして、世田谷区の中で、前熊本区政の中でお願いをしてきた検討の結果、高齢者福祉や、あるいは障害者福祉の一大拠点として世田谷の福祉のとりでにしていこう、こういった案は出てきていると聞いておりますし、いい案だと思います。
ただ、しかし、同時に、私自身、個人の思いとすれば、歴史ある児童精神の跡地としての、いわばそこに宿る記憶は大切にされるべきだというふうに思っておりまして、何度か小宮山厚生労働大臣にも持ちかけているのは、先般、成城であった児童虐待防止シンポジウムでもそうだったんですが、実は児童虐待問題がこれだけ深刻でありながら、全国各地の事例を一カ所に集積をし、そして分析し、どのようなプログラムで、例えば児相職員は動いたらいいのか、あるいは児童養護施設のケアはどうあるべきなのかということについて、体制は非常に貧弱なんです。個人の大学の先生や、あるいは児童養護施設の施設長の個人的な奮闘努力に負っている点が非常に多くて、ナショナルセンターというのは、実は必要ではないかということを厚生労働省としても正面から考えてくれというようなこともでき得れば、そういった児童精神科の拠点であった病院が今日深刻な児童虐待、そこの周辺に全部いろんな問題が絡みますので、そういう場にしていければという思いもございます。
以上でございます。
江口じゅん子
ご答弁ありがとうございました。そして、大変失礼いたしました。
公共交通不便地域へのコミュニティーバス運行要望について
江口じゅん子
次に、砧、大蔵の公共交通不便地域へのコミュニティーバス運行要望について質問します。
区は、鉄道駅から五百メートル以上、かつ路線バス停から二百メートル以上離れた地域を公共交通不便地域としています。それに該当する砧一、三、四丁目と大蔵団地に、先月から日本共産党砧後援会の皆さんが、祖師ヶ谷大蔵駅南側からのコミュニティーバス運行希望を問うアンケートを集めています。これまで無作為で約五百枚配布し、二百二十七件訪問、百二十五人対話、回収は百枚でした。
結果は、運行してほしい六十三人、必要ない十五人、どちらとも言えない十六人でした。私もアンケート活動に加わり、住民の皆様の声をお聞きしました。特に高齢者の希望が強く、理由の多くが、自転車に乗れなくなり、歩いて祖師ヶ谷大蔵駅に行くのは遠い。世田谷通りからバスを使っても約三十分かかる。祖師谷商店街への買い物や幸野クリニックへの通院が大変というものでした。私が地域の高齢者と祖師ヶ谷大蔵駅から大蔵団地まで歩くと、約二十五分かかりました。
また、アンケートでは、若い世代から、駅から成育医療センターや砧公園などに行けると便利との声も聞かれました。砧、大蔵地域には、成育医療センター、発達障害相談療育センター、砧公園、大蔵運動公園、世田谷美術館などがあります。区は報告書で、新規バス路線候補に祖師ケ谷南~美術館経由、関東中央病院路線を挙げています。そして、その導入のメリットを砧地区などの公共交通不便地域の解消、病院、砧公園などへの交通手段の充実と報告をしています。
では、ここで確認をしますが、区がこの路線を候補に挙げた理由と、その検討結果についてお尋ねします。
地域住民がこの路線のコミュニティーバス運行を要望し、区も必要性を認めていますが、実現にはさまざまな問題解決が必要です。その一つが、車道の幅員不足です。車道の幅員は昭和三十七年制定の車両制限令で規定をされ、運行には警視庁の判断が必要です。しかし、既存七路線にも車道の幅員不足の箇所は幾つもあり、これまで警視庁は運行を許可してきました。
区は、新規コミュニティーバス路線の検討において、警視庁から車道の幅員の不足の指導があり、それにより新規バス路線運行が困難としています。警視庁より、車道の幅員の不足に関する正式な通達があったのか。また、警視庁のその指導に対して、区として解決のための要請、働きかけはしているのか、お伺いをします。
道路の拡幅がどうしても必要ならば、住民合意を得て、それを行う必要もあると考えます。大切なのは、これらのことも含め、区が砧、大蔵の公共交通不便地域解消のためにコミュニティーバス運行が必要という認識、覚悟があるかということです。
ここでお聞きしますが、区は、公共交通不便地域にコミュニティーバス運行の必要があるという認識はあるのか、区の見解を伺います。
採算性も問題の一つです。区はバス会社の自主運行が前提で、運行経費補助は行っていません。報告書では、バス事業者の意見として、公共施設、福祉施設を結ぶ路線は赤字の可能性が高い。自主運行では事業採算性の確保が第一と報告をしています。採算性が問題なら、区は補助金についても検討すべきです。
区は、コミュニティーバス運行に当たってのさまざまな問題解決のため、区としてどのような役割を果たそうとしているのか、区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
渡辺 交通政策担当部長
砧、大蔵の公共交通不便地域のコミュニティーバス運行要望について、順次ご答弁申し上げます。
まず、検討委員会の報告書で新規バス路線候補にこの路線を挙げた理由、その検討結果についてでございます。
区では、公共交通不便地域の解消や南北交通の強化等を図るため、これまで七路線のコミュニティーバスの導入を図ってまいりました。
ご質問の祖師ヶ谷大蔵駅南側の地域には、議員からもお話がございましたように、公共交通不便地域が広く存在し、また、公共施設へのアクセスの観点からコミュニティーバスの導入について検討を行い、庁内検討委員会では、そのメリットや問題点などを整理いたしました。
検討結果としまして、お話しの想定路線は、基本要件であります道路の走行環境としまして、現状では道路の幅員が狭い道路が多いということ、迂回のルートも検討しましたが、周辺には道路が狭い状況でございます。また、想定ルートの延長が長いという観点からも事業採算性に欠けるというような面の課題もございます。現時点では、中長期に取り組んでいく検討路線と位置づけてございます。
次に、新規コミュニティーバス路線の検討において、警視庁からの車道幅員規制の不足、正式な通達があったのか。また、その指導に対して区の解決要請、働きかけについてでございます。
議員お話しの路線の協議における警視庁からの指導についてでございますが、道路法の規定に基づく車両制限令で、バスが通行するために必要とされる道路幅員を確保すべきとするものございます。
近年は、歩行者の安全性が確保できる道路幅員を厳格に求められるという状況でございます。区では、コミュニティーバス路線の導入検討において継続的に警視庁へ働きかけを行ってきております。その中で、現場実査による道路幅員の再調査をしたり、安全走行環境を確保するために、バスの退避所の設置や道路の一方通行化、また、路側帯の引き直しなど、バス路線の導入に向けた可能性をさまざま検討しておりましたが、現状の道路事情では警視庁との協議、調整が調わず、実現には至っておりません。
次に、公共交通不便地域でのコミュニティーバス運行に対する認識、また、そういった問題解決をするに当たって区としてどのような役割を果たすかについて、あわせてお答え申し上げます。
高齢社会における地域間の移動の利便性の向上の観点からも、バス交通サービスの充実は重要であると認識をしてございます。しかし、ご質問の不便地域を含め、新たなバス路線の導入について検討しましたが、区内には狭い道路が多いという状況から、運行可能な経路を見出すことはなかなか難しい状況でございます。
こうしたことから、区としましては、バス交通サービスの充実に向け、短期的には既存路線の接続などによる利便性の向上に取り組むこととし、中長期的には道路の整備や開発のタイミングに合わせ、バスの走行できる経路の確保に取り組むこととしております。
また、バス路線の導入に当たりましては、引き続き幅員が狭い道路での、例えば隅切り等の改良、あるいはカラー舗装などによる走行環境の支援、実験運行の実施など、関係機関との調整など支援を行ってまいります。
今後とも、道路所管と連携をしまして、こうした取り組みを進めながら、道路状況や事業採算性などさまざまな観点からバス路線の導入について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
江口じゅん子
以上で終わります。
