平成23年決算特別委員会 都市整備委員会所管質疑
2011年10月13日 江口じゅん子区議
被災者の住宅支援について
江口じゅん子
最後の質問枠になります。よろしくお願いいたします。
まず私は、被災者の住宅支援について質問いたします。
現在、区には、避難している方が三百八十八名、うち福島出身は二百八十六名になっています。区は区民から民間賃貸住宅を募集し、被災者に民間応急仮設住宅として提供する居ながらボランティアを実施しており、先進的な取り組みと評価をいたします。ただ、家賃条件が七万五千円以内、五人家族以上では十万円以内のために、家族世帯がこの制度を利用できない実態があり、私は、九月議会で対策が必要と質問をいたしました。それに対し、区は、このことは家賃水準の高い世田谷では大きな課題と認識しつつも、居ながらボランティアは、単身者の応募ばかりで、被災者ニーズを満たしていると答弁をされました。私は、ここに問題意識を感じ、質問いたします。
現在、区民からの民間応急仮設住宅提供戸数とその間取り、そして被災者からの申込数、成約数、その世帯状況をお聞きいたします。
皆川 住宅課長
まず民間から提供されている住宅でございますが、二百件近いお申し出をいただきまして、そのうち条件に合致する物件が百三十一戸でございます。その間取りでございますが、ワンルームとか一DKが中心でございまして、それが百十七戸、二DKが九戸、三Kが四戸、三DKが一戸でございます。
それから、被災者からの申し込みの件数ですが、三十五件でございます。今その三十五件について契約の手続を順次進めているわけでございますが、その中で実際に契約書を交わした成約件数が十七件でございます。その十七件の世帯の状況でございますが、一人、単独の世帯が十一件、二人世帯が四件、三人世帯が一件、それから五人世帯が一件、計十七件でございます。
江口じゅん子
今ご説明いただきました。提供戸数二百件近いお申し出があったが、そのうち実現可能なのは百三十一件、そしてほとんどワンルーム、一DK中心で百十七戸を占めている、そういったご答弁でした。提供物件がほとんどワンルーム、一DKなので、単身者の応募が多いのは当然ですが、申込数三十五件のうち二人以上、つまりご家族の世帯が十五件あったということを確認しておきます。
続いて、当初居ながらボランティアは、九月末で終了の予定でした。しかし、その後、区はこれを十二月二十八日まで延長いたしました。その理由はなぜか教えてください。
皆川 住宅課長
この延長を決定したのが、終了予定の一週間ほど前だったんですが、その時点でもまだ入居希望の相談というのが続いておりまして、まだまだニーズがある状況だなというふうに判断をいたしました。また、この事業は東京都と連携して進めておりまして、東京都のほうでも期間延長をするというような意向を聞いておりましたので、あわせて世田谷区も延長するというふうな決定をしたわけでございます。
江口じゅん子
入居希望の相談が続いて、ニーズがあったと。区が居ながらボランティアを延長したのは、被災者への応急仮設住宅提供は今後も必要と判断したということです。一方で家賃条件により、提供物件がほとんどワンルームということで、家族世帯が区で暮らすのは困難な状態が続いている、そういったことを指摘しておきます。
被災者の継続支援について
江口じゅん子
さて、今回の大震災は未曾有の大災害であり、それにふさわしい被災者救援とその継続が必要です。私は、福島県楢葉町から区内に避難してきた方のお話をお聞きしました。八十五年間楢葉町で生活し、初めての東京生活で、いろいろ考えると頭の中はかたくなったよう、胸にも何か詰まったみたいで、自殺する人の気持ちが初めてわかった。自宅は新築したばかり、野菜もいろいろつくっていたことを思うと涙が出ます。そういったお話でした。東電も国も全面賠償には消極姿勢で、生活の見通しは立っていません。そして、何より深刻なのは、故郷にいつ帰れるかわからないということだと思います。
区長は、九月議会で、私の被災者支援に対する質問に対し、区民と心を一つにして、区としてでき得る限りの心ある支援を行っていきたいと答弁されています。
そこで、副区長にお聞きいたします。区として被災者の継続支援についてどのようなご認識をお持ちでしょうか。
板垣 副区長
区が、住宅の支援もしかりですけれども、今回の東日本大震災での大惨事ということを我々も大変衝撃を受けながら受けとめておりますので、できるだけのことをしたい。それは区長もそういう方針でございますので、被災地に対する、被災者の方に対する住宅支援を含めまして、区民の皆様と心を一つにして、できるだけの支援をしていきたいということでございます。
江口じゅん子
できるだけの支援をしたい、区長もその方針ということで、本当に心強く思います。
「せたがやの家」の長期間空き室問題について
江口じゅん子
私は、一般質問の中で、家族や介護者のいる被災世帯の声に耳を傾け、今ある資源を最大限活用すべき、そのために「せたがやの家」を応急仮設住宅として提供すべきと求めました。そして、区からは、今後もオーナーが了とすれば、制度上、応急仮設住宅として提供することは可能、そういった答弁をいただきました。そもそも「せたがやの家」は、民間の土地所有者が建設した賃貸住宅を、財団法人トラストまちづくりが一括借り上げ、区民に賃貸をしている住宅です。建設に際しては、国、都、区が補助金を出して援助をしております。これまで議会では税金をつぎ込みつくられた「せたがやの家」の長期間空き室問題が指摘されてきました。
ここで質問いたします。最新の先着順募集物件の空き室の戸数は幾つありますか。
皆川 住宅課長
「せたがやの家」の先着物件の募集につきましては、財団法人トラストまちづくりのホームページで公開しておりますが、本日付で四十件というふうに報告を受けております。先着順でございますので、どうぞ、区民の皆様、ご利用いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
江口じゅん子
四十件あることを確認させていただきました。
その四十件のうち最も古い空き室はいつからあいていますか。そして、その家賃はお幾らでしょうか。
皆川 住宅課長
千歳台二丁目の物件でございます。三DKで五十六平米ぐらいのお部屋なんですけれども、平成十九年十一月からあいてしまっているというふうに報告を受けております。家賃につきましては、十五万五千九百円とのことでございます。空き室になっている原因でございますが、やっぱり駅からちょっと遠いとか、日当たりが余りよくないとかというようなことを伺っております。
江口じゅん子
平成十九年十一月から十五万五千九百円の物件が、最も古いものではあいているということです。こういった空き室の間の家賃というのは、トラストまちづくりが払い続ける、そういうシステムです。トラストまちづくりには、平成二十二年度決算書で区からの補助金、つまり税金が約二億五千万円投入されていることを指摘しておきます。
さて、現在、区は「せたがやの家」を応急仮設住宅として七万五千円で、五人家族以上なら十万円で借り上げ、被災者に提供しております。区が借り上げた費用は国から返却されるので、区の負担はありません。そして、財団法人も家賃収入が入ります。もちろん家賃と七万五千円の差額は財団法人の負担になりますが、それでも何年も家賃を全額負担するよりよいのではないでしょうか。私は、要望があった際には、「せたがやの家」を応急仮設住宅として提供することを求めます。区の見解を尋ねます。
皆川 住宅課長
「せたがやの家」は、財団法人世田谷トラストまちづくりが民間賃貸住宅を一括して借り上げ、管理している住宅でございます。この住宅は優良な民間賃貸住宅を中堅所得者のファミリー層、特に子育てファミリー世帯を支援するといった政策目的を持って整備された住宅でございます。区といたしましては、「せたがやの家」を本来の政策目的に従って活用することとしまして、応急仮設住宅につきましては、これまでどおり、民間から提供された皆様の住宅を提供してまいりたいというふうに考えております。
江口じゅん子
現実に空き住宅が四十件あって、中にも約四年半も埋まらない、その間もトラストまちづくりは家賃を払い続けているわけですよね。一方で家族のいる被災者世帯は、七万五千円の条件で困っております。それなのに「せたがやの家」の提供ができないというのでは納得ができません。
私は、空き室すべての提供を求めてはおりません。当初、区は「せたがやの家」三十戸を応急仮設住宅として提供し、その後、退去があり、今は二十七戸に減っています。せめてその三件を空き室が埋まらない古いものから被災者に応急仮設住宅として提供することを求めます。区の見解をお尋ねします。
道路計画課長
先ほどもご答弁いたしましたが、やはり「せたがやの家」は政策的な目的を持って整備した住宅でございますので、本来の目的として活用してまいりたいと考えております。
江口じゅん子
区長は九月議会の中で、区民と心を一つにして、区としてでき得る限りの心ある支援を行っていきたいとおっしゃりました。そして、先ほど副区長も、こういった惨事にできるだけのことをしたいとおっしゃってくださいました。
副区長にお尋ねをしますが、「せたがやの家」三十戸のうち退去した数戸、つまり三件を提供するのは区としてできることで、再度提供を求めます。副区長の見解をお尋ねします。
板垣 副区長
「せたがやの家」を提供してきました。そのときにはまだ賃貸住宅をお借りすることによって、いわゆる仮設住宅取り扱いになる前の時点でそういう取り扱いをしてきました。その後、賃貸住宅を借り上げることによって仮設住宅扱いになるということで、区長もみずから居ながらボランティアだということで募集をしてきたわけです。それがもう今百三十件もストックはあるわけですから、そこを呼びかけて、それを活用していきたいということが今の私どもの姿勢でございます。
江口じゅん子
ですから、現行の条件内では、七万五千円というのが制約になって、確かに百件以上申し込んでいるけれども、ワンルームで家族世帯が入れない、そういう状況が実際にあるということを申し上げているのです。私は、被災者に心を寄せて使っていない「せたがやの家」を応急仮設住宅として提供すべきと強く要望いたし、次に移ります。
二子玉川再開発による風害について
江口じゅん子
それでは次に、二子玉川再開発による風害から地域住民をどのように守るのかお聞きをいたします。
私は一般質問でこの問題を取り上げました。特に多摩堤通り沿いの風害は深刻です。お年寄りや子どもが風に飛ばされ、骨折という事態が生まれています。信号待ちの際は、飛ばされないように物につかることは日常など、現地では危険な状態が続いております。区は一期工事終了後、こうした被害が生じている事実を認めますか、区の見解を求めます。
佐藤 拠点整備第二課長
一期事業の完成により、道路交通広場等の都市基盤も整備され、新たなにぎわいも生まれ、広域生活拠点の姿が目に見える形になってきておりますが、一方で、風環境への影響などのいろいろな指摘、声が寄せられている、こういうことは承知しております。
江口じゅん子
一期工事終了後、こうした被害が生じていると、それは理解をしていると、そういうことでよろしいでしょうか。
佐藤 拠点整備第二課長
では、確認をした上で具体的な風害対策についてお聞きいたします。
九月議会で区は特に風害被害が多い多摩堤通りについて、組合にさらなる対策をとるよう指導ですとか、仮設的にケヤキや風よけパネルなどの対策を実施し、効果も確かめながら本設化に努めていきたい。そして、交通広場周辺も高木の植栽を追加と答弁をしております。現在、計画中の高木の設置についての具体的な計画をお聞きいたします。設置場所、機能、高さなどはどうなっていますか。また、いつまで設置をする予定でしょうか。
佐藤 拠点整備第二課長
対策の範囲といたしましては、多摩堤通りは大井町線の鉄道高架の下から交通広場にかけての道路の区間、両側ということになります。それと建物敷地の一部に高木植栽等をしていく計画になっております。
設置する場所についてなんですけれども、バス停とか、交通安全上の理由などで設置ができないところもあるんですけれども、そういう場所を除いて、生け垣と高木を組み合わせた植栽を中心に設置していく。高木の設置間隔は、若干ばらつきがあるんですけれども、四メートルから六メートル程度、いわゆるビル側です。ビル側には高さが六メートル超のものと三メートル超のものがまぜて入ってきまして、堤防側の高木は約三メートルのものが入ってくる。その高木を植えた間が生け垣状に二メートル弱ぐらいの木で、生け垣的につくられてくると。そのほかに、今仮設で置いてあります風よけパネルと、また手すりなどが適宜配置されてくると、そういった計画でございます。
整備時期についてでございますが、十一月以降順次着手と聞いております。
江口じゅん子
地域住民を風害から守るための対策ですから、一刻も早く設置するよう指導してください。
そして、対策の結果、風害がおさまらない、地域住民から被害がまだ聞かれる、そういったことになったら、その解決まで区は組合に対策をとらせるよう指導しますか、答弁をお願いいたします。
春日 生活拠点整備担当部長
今課長から申し上げましたように、今仮設的な整備の後、本設化に向けまして、十一月から順次着手してまいる予定でございます。定例会でもご答弁申し上げましたように、二期事業につきましては、やはりこうした取り組みを踏まえまして、総合的な対策ということをしっかりとるように指導してまいりたいと思っております。
いずれにしましても、二期の完成は二十七年ということでございますので、その間におきましても、状況を見ながら、必要な対策はしっかり組合のほうでとるような指導をしてまいりたいと思います。
また、完成後につきましても、アセスメントに基づきまして調査が行われる予定になっておりますので、そうした状況も含めまして、対策につきましては、組合のほうの指導をしてまいりたいというふうに思っています。
江口じゅん子
二期工事のことは聞いていないんですね。今現在、一期工事によってこうした風害が起きているわけです。大変、本当に骨折するほどの深刻な被害が起きていて、区は地域住民からいろいろ対策をとらせるということは先ほどお聞きしました。だけれども、それでも風害がおさまらない、地域住民から被害がまだ聞かれる、そういったことになったら、その解決まで区が組合に対策をとらせるよう指導するのでしょうかと聞いているんです。お答えをお願いします。
佐藤 拠点整備第二課長
区といたしましては、まず事業者により、現在の風対策を着実に実施させることが必要だと考えております。その状況を見ながら、必要に応じて、歩行環境などのための対策を事業者に求めていくことになると思います。
江口じゅん子
その解決まで区は組合に対策をとらせるよう指導するのでしょうかと聞いているんですが、なかなかかみ合いません。
それでは、副区長にお聞きします。副区長は風害から地域住民を守るという決意はありますか。これから二期工事、確かに計画されております。多摩堤通り沿いに百三十七メートルの高層ビルがまた建つ計画です。そうしたら、風害はもっとひどくなるのではないですか。副区長は風害が解決するまで責任を持って組合に対策をとらせる、そうした決意はございますか。
板垣 副区長
風害の報告につきましては、所管から受けておりますし、私もあわせて区長にもそういう報告もしております。区長からもしっかりその対策をとるようにということを指示をいただいておりまして、私からも所管に組合のほうにその対策をきちっと実行していくように指導してほしいということは言っております。
江口じゅん子
区長からしっかり対策をとらせるように所管を指導するということでしたけれども、本当に深刻な状態になっております。地域住民を守るという、そういった決意を持ってこの問題に臨んでいただきたいと思います。
私は、今後も地域住民とともに、区と組合の姿勢、対策を見届けて、そしてそれが不十分なときはまた質問することを申し上げ、中里委員に交代いたします。
