江口区議が定例会にて質問を行いました。

2017年06月15日 江口じゅん子区議

江口じゅん子

質問の前に、一言申し上げます。本日、自民、公明、維新が共謀罪法案、つまり組織的犯罪処罰法改正案の採決を強行したことに、日本共産党として断固抗議いたします。共謀罪は内心の自由を踏みにじる違憲立法であり、捜査当局のさじかげん一つで国民のプライバシー権が侵害される監視社会につながるものです。委員会での審議を中断し、本会議での採決強行は、議会制民主主義を破壊する暴挙です。日本共産党は、市民と野党と力を合わせ、共謀罪法の廃止に全力で取り組んでまいります。

それでは、質問通告に従い、質問します。

公共交通不便対策について

江口じゅん子

まず、公共交通不便対策についてです。

先般、公共交通不便地域対策調査・検討(中間まとめ)が報告されました。中間まとめでは、今後の取り組みの方向性の想定の一つに、地域住民などが協働して地域の課題を解決し、公共的なサービスを運営していくという新たな住民自治のしくみづくりの推進とあります。そして、今年度は、ワゴン車などを活用した新たな移動手段の検討の素地のため、モデル地区を選定し、区と地域住民との連携により調査、検討を進めるとしています。

こうした考え方は重要と考え、先日会派で、中間まとめに事例紹介されている横浜市に、横浜市地域交通サポート事業について伺ってきました。この事業のポイントは、地域の主体、地域の盛り上がりを核に、行政からの財政支援に頼らない自立した運行にあります。具体的には、五人以上の住民グループに対し、市は本格運行に至るまで、相談、連絡、調整などの支援を行います。実証運行に対し、四カ月目まで五百万円を上限とする補助金を出します。本格運行後の財政支援はありません。

平成十九年から始まり、これまで二十五地区が導入検討し、実現は十二地区。緑ナンバーの大型からワゴン型バスが運行しています。横浜市からは、検討から本格運行後も、最も大きな課題は採算性とのことでした。また議会からは、本格運行後の財政支援がなく、地域の負担が大きい、何らかの財政支援が必要と指摘をされていました。

横浜市の取り組みは当区にとって参考となる先進例と考えますが、一方、この事業スキームでは、課題となる採算性で、事業者、住民の負担が大きく、当区では導入困難な地域もあると考えます。導入検討から本格運行に対しても、区としての財政支援は必要です。

そこで、今後の対策として、横浜市地域交通サポート事業などの先進例を参考に、世田谷区の実情などを考慮したいわば世田谷方式の取り組みを求めます。

また、モデル地区選定に当たっては、地域住民の意向、要望を第一に選定することを求めます。

今年度、またそれ以降の取り組みのスケジュールを伺います。

以上、三点、区の見解を伺います。

小山 道路・交通政策部長

私からは、公共交通不便地域対策につきまして、三点順次御答弁申し上げます。

まず、横浜市の事例を参考にするかとのお尋ねについてでございます。

高齢社会の進展によって、今後、日常生活上の移動などの課題解決の必要性が高まっていくことが想定されます。一方、区内を運行する鉄道と路線バス、またタクシー事業者も多く、移動目的なども多様で、住民の間でも不便の感じ方や必要性の認識に違いがあることが考えられます。

昨年度に取りまとめました公共交通不便地域対策調査・検討の中間のまとめでは、今後の取り組むべき方向性の一つとして、地域住民などが協働して地域の課題を解決し、公共的なサービスを運営していくという新たな住民自治のしくみづくりの推進を掲げております。さらに、地域のニーズに見合った方策や事業採算性に見合った需要の確保など、対策の検討と構築を地域全体の課題として、住民が主体となって取り組む必要があると考えております。

御指摘にありました横浜市地域交通サポート事業は、住民のニーズと需要に基づく地域の主体的な取り組みがスムーズに進むよう、市が地域活動を支援する事業です。今回、区が考えるモデル地区での取り組みに先駆けた事業と捉えております。状況の違いなどがありますが、今後参考にしながら進めていきたいと考えております。

次に、モデル地区は地元の意向、要望を第一に選定すべきとのお尋ねについてでございます。

ワゴン車などを用いた公共交通等の移動手段の対策を考える上で、住民の方々のニーズやその地域の特性などを踏まえるためには、主体的に導入に取り組もうとする地域団体などとの連携が不可欠でございます。そのため、今後、対策検討の素地とするには、モデル地区を選定し、区と住民が連携し、実際に調査検討を行うことが有効であると考えております。

モデル地区の選定に当たっては、地区の意向を踏まえるとともに、持続可能な対策とするためにも、交通需要が期待できることや、今後の道路整備の予定などを考慮することも必要と考えております。区といたしましては、これらの状況を総合的に勘案した中でモデル地区を早期に選定してまいります。

最後に、今年度、またそれ以降の取り組みについてでございます。

モデル地区での取り組みにつきましては、対象となる地区を選定した後、当該地域の住民などへの協力をお願いし、当面の日程を調整していくことを予定しております。

モデル地区での取り組みの内容についてですが、まず参画していただく方々に対し、これまでの検討状況や取り組みの内容などを御理解いただくための勉強会や対象地域のニーズ調査を予定しており、これらの取り組みを通じて、その地域での対策やその必要性について考え方を整理してまいります。その上でどのような交通手段とするのか、また費用負担の考え方など、整理すべき課題も多くあるため、ニーズ調査以降の具体的取り組みについては今後の検討事項といたしますが、早期に対策の取りまとめにつながるよう、まずはモデル地区での取り組みに全力で取り組んでまいります。

以上です。

保育の質について

江口じゅん子

次に、保育の質について伺います。

平成二十七年度からの子ども・子育て支援制度の本格施行により、当区でも多様な事業主体が参入をしています。こうした中、区では、ガイドラインに掲げている質の高い保育を提供し続けるために、量的拡大と質的充実をともに実現し、安心して子育てができる環境整備を全力で進めるという基本姿勢を掲げています。専門チームによる巡回指導・相談を初め、保育従事職員の処遇改善などさまざまな取り組みにより、保育の質の確保に取り組まれていることを評価します。その中の一つに、開園二年目以降の認可保育園において、各園ごとの年間の経常的収入に対し、人件費の比率が五〇%以上でない場合、翌年の区補助金の一部をカットする仕組みを要綱で定めています。

まず伺いますが、区がこの制度を導入した理由や目的について伺います。

認可保育所の運営は、多くが国、都、区からの補助金で賄われています。国は、平成二十三年度の実態調査などをもとに、保育士に十分な待遇を確保するため、事業活動収入に対する人件費割合を七〇%と想定し、補助金支出を行っています。区による独自の上乗せ補助や東京都独自の補助も、保育園の安定運営により、子どもの成長、発達がしっかりと保障される保育の提供を目的としていると考えます。しかし、事業者によっては、こうした補助金が保育士などの処遇改善につながっていない実態が明らかになりました。

昨年十二月、日本共産党都議団は、都内認可保育所一千二百四十五施設の東京都に提出した平成二十七年度の財務情報を開示請求し、分析を行いました。その結果、人件費支出の割合が株式会社では平均四八・五%、社会福祉法人では平均六八・九%であることがわかりました。同調査は毎日新聞も実施をしており、ほぼ同様の結果となっています。毎日新聞社説では、株式会社では(補助金の)半分以上が人件費以外に回されている、国や自治体からの補助金の多くが会社の内部留保に回されるのは本来の目的に反しているのではないかと指摘をしています。

さて、都議団が請求した資料に、区内保育所の全認可保育園のデータもありました。その中に、事業活動収入に占める保育従事職員人件費の割合が三五・九%と報告をしている園がありました。

そこで、平成二十七年度の全ての認可保育所における人件費比率がどのような実態にあるのか、調査分析の結果を伺います。

東京都データでは人件費比率が三五・九%と報告の園について、平成二十七年度の人件費比率の結果と区の見解について伺います。

全ての保育施設において、長時間を過ごす子どもたちに質の高い保育を保障し、そのために職員の処遇改善を進めるため、この制度の効果的な運用が必要です。区の見解を求めます。

中村 子ども・若者部長

私からは、初めに、保育の質の向上について御答弁いたします。

まず、人件費比率が五〇%を下回った場合に区加算を行わない制度について、導入した理由と目的、また、平成二十七年度における認可保育所の人件費比率の状況、さらに東京都のデータで人件費比率が三五・九%となっている園について、この三点について御答弁いたします。

区は、平成二十七年度からの子ども・子育て支援制度の本格施行に合わせ、お話しのとおり、開設二年目以降の園に対し、前年度の経常収入に対する人件費の比率が五〇%を下回った場合、区で加算している保育園運営費の一部を支払わないという制度を導入いたしました。この制度は、保育運営事業者に保育の質を支える人件費として経費の五〇%以上を確保するインセンティブを持っていただくことで、職員の処遇改善と保育の質の向上につなげることを目的としたものです。

区が行った平成二十七年度の運営実績の財務診断では、対象となる全ての私立認可保育園において人件費の比率が五〇%を上回る結果となりました。対象となる六十四施設のうち最高値は九三・三%、最低値は五二・五%、社会福祉法人の平均は七二・九%、株式会社の平均は五七・四%でした。

お話しの東京都のデータにおいて人件費比率が三五・九%となっている園については、保育士、調理員、看護師、栄養士などの保育に従事する職員人件費で算出したものです。区では、これらの人件費に加え、法人の本部などで予算や決算、給与業務、施設の維持管理など、日々の園運営に必要な業務を担う職員を含めた人件費により比率を算出しております。その結果、区における同園の比率は五三・四%でした。また、二十八年度の比率については現在算出中でございます。

次に、全ての保育施設において、質の高い保育の保障と職員の処遇改善を進めるために、この人件費比率を要件とした区加算制度のさらなる改善が必要との御質問にお答えいたします。

保育の質の確保、向上のためには、職員の処遇改善は不可欠と考えており、区は、月額八万二千円を上限に補助する宿舎借り上げ支援事業を初め、区独自に常勤の保育士、看護師を対象に月一万円を助成する助成金交付事業を実施しております。

全ての保育施設において高い質の保育を確保するためには、これらの保育士の処遇改善に向けた取り組みとともに、人件費比率を要件とした区加算制度の効果的運用が重要であると考えます。具体的には、全ての事業者がより正確に制度の趣旨を理解していただけるような周知とあわせ、引き続き保育の質の向上につながる積極的な働きかけと指導を行ってまいります。その上で、今後、実績報告等により処遇改善の状況を確認、検証しながら、必要な見直しを検討してまいります。

次に、児童相談所を区が運営することの意義、財政負担、区民への説明責任について御答弁いたします。

児童相談所の区移管の意義という点につきましては、区がこれまで培ってきた地域における顔の見えるネットワークを最大限に生かし、児童相談所と子ども家庭支援センター、地域や地区の人材や関係機関が連携した一元的かつ総合的な児童相談行政を実現することは、子どもの最善の利益の観点から大きな意義があると確信をしております。一方で、こうした権限の移譲に伴って、子どもの命にもかかわる重大な責任を負うことも肝に銘じてまいります。

区の児童相談所の運営に当たって生じる財政負担については、職員数や一時保護所の運営など、現在の世田谷児童相談所の運営と異なる部分についても考慮し、東京都に対して、必要な財源が特別区に移譲されるよう粘り強く協議に当たってまいります。

また、こうした児童相談所の区移管の意義や財政負担などにつきましては、要保護児童支援協議会などを通しまして地域の人材や関係機関に説明していくとともに、広く区民の理解と協力を得ていくため、区報や区のホームページを活用し、児童相談所の運営に係るコストなどの情報を含め積極的に周知することで区としての説明責任を果たしてまいります。

今後も、進捗状況につきまして随時区議会に御報告し、御意見をいただきながら前に進めてまいりたいと考えております。ぜひとも御理解と御支援をお願いいたします。

以上です。

区の児童相談所設置について

江口じゅん子

最後に、区の児童相談所設置について伺います。

児童相談所は、十八歳未満の子どもにかかわる全ての相談、虐待など、養護、障害、非行、育成を受け、子どもの状況により必要に応じて、社会的養護、一時保護、里親などの措置を行います。近年、児童虐待など子どもにかかわるさまざまな社会問題が顕在化しており、当区も例外ではありません。

我が党は、住民に最も身近な自治体である区が、子どもの命と権利を守る最前線の機関である児童相談所の設置主体となることは積極的意義があると考えています。児童福祉法改正の趣旨の一つもそこにあると認識をしています。
先日、会派で、東京都が設置する世田谷児童相談所の視察を行いました。相談で最も多いのは被虐待相談です。平成二十七年度で五百六十二件、相談全体の約四六%を占め、増加の一途と伺いました。児童相談所は、深刻な子どもたちの状態に向き合い、その命と権利、未来を守る決定的な役割を担っています。

そこでまず、児童相談所はこれまで都が設置、運営を行ってきましたが、これを区が行うことの意義と必要性について区の見解を伺います。

また、区は、児童相談所の設置、運営主体となることで何を目指すのか、どのような児童相談所像を描いているのか、区長の見解、決意を区民にお示しください。

開設には多くの課題の解決が必要です。まず、財政問題です。区は、児童相談所運営の経常的経費を年間約二十億円と試算しています。そのうち措置費が約七割を占めますが、国の負担分は措置費の二分の一です。今後、財調での対応が実現したとしても、財政的には区の持ち出しとなる可能性は高いと思われます。

問題の二つ目は、職員の確保、育成です。都の児童相談所では現在、虐待などの通報があれば必ず現場に駆けつけ、対応するとのことでした。時に児童養護施設入所などの法的措置判断も求められます。また、一時保護所では二十四時間の対応が必要です。高い専門性と即時対応が求められる職員の確保、育成は容易ではありません。これらの課題を解決するために、東京都の協力は重要です。しかし、区長会の協力要請に対する東京都からの回答は大変残念なものでした。粘り強く協議を続けていただくことを求めます。

しかし、設置、運営の責任主体はあくまで区です。財政負担など多くの難題を区として引き受けることについての区民理解は不可欠です。区の認識と区民の理解を得るための対応について区の見解を伺います。

保坂 区長

江口議員にお答えします。

今回、児童相談所設置について、私の考え方、決意という御質問でございます。

少し歴史をたどってみたいと思います。児童福祉法、昭和二十三年ですが、敗戦直後でございました。上野の地下道には、戦災で親を失って野宿をしている戦災孤児が多数いて、子どもたちの服は汚れ、シラミもたかっていることから、子どもたちを保護し、DDTを頭から振りかけていた、そういった光景も写真等で残っております。児相のスタート時は、こうした子どもたちの救済のための行政組織ということであったと聞いております。その後、時代は変遷しました。しかし、今日も一時保護施設に子どもたちが保護されるときに、衣服は全て脱いで、官給品たる保護所の服に着がえる習慣が続いています。また、子ども同士の会話が禁止されているなど、少年院等の矯正施設での処遇との共通点も見られている。これが現在の姿でございます。

しかし、この間七十数年、大きな変化がありました。最も大きなパラダイムシフトは、国連子どもの権利条約の批准、児童の権利条約の批准だと思います。権利主体としての子ども、子どもの市民的権利、自己決定権などが明記され、当区においても、子ども条例において反映されているものと承知しています。つまり児童相談行政が、その戦後の混乱期に立ち上げられたシステムから新しく、子どもの最善の利益を実現する仕組みへと新たにきちんと構築されるべき時期に入っているという認識です。

そして、児童相談所が児童福祉法改正により特別区も設置できるという規定が加わりました。この移管については、都と区の長い議論の経過をたどって、自治権拡充のやりとりの中から生まれてきたもの、既に御存じの方が多いと思います。五十前後の都から区への事務移管候補の検討項目がありました。この中で、子どもの安全と生命のために、特別に一つだけ最優先で取り出された課題の一つがこの児相移管です。私が熊本区長から渡されたバトンの中でかなり大きなバトンだというふうに認識しています。東日本大震災を挟んで、しかしながら、膠着状態が長らく続きましたが、我々区長会の議論と、西川区長会会長が塩崎厚生労働大臣に働きかけて実現をした児福法の改正であります。

したがって、この児相移管に関しては一歩も引けない、自治権拡充の中でこれは本当に達成しなければできない大きな課題だということを申し上げておき、そしてもう一つ、三カ所のモデル区の中で、江戸川区は江東児相がございます。荒川区は北児相がある。しかし、世田谷区は、世田谷区全域以外に狛江市も持っています。したがって、世田谷区が都と協議をするということは、広域調整、広域運用の全システムを他の二十二区の分も含めて制度設計をする、当然区長会全体との強い連携と都との交渉が必要になる、こういう事案でございます。

ぜひとも歴史的な節目に、この大きな事業について、区の準備体制、いろいろ課題がございます。具体的には所管部長から答弁させますが、議員各位の御協力、御理解を心からお願いいたします。

再質問

江口じゅん子 議員

保育について再質問を行います。

都のデータで人件費三五・九%の園について伺いました。この園は、保育内容でもいろいろ課題があると聞いております。区の人件費比率でも五三・四%と、全保育園の中で下位のほうであるとも認識をしております。お給料の問題というのは、すなわち保育士さんの処遇改善で、子どもたちの保育の質に大きく関与すると考えますが、いかがでしょうか。

再答弁

中村 子ども・若者部長

再質問にお答えいたします。

この人件費比率につきましては、保育士が日々の子どもの保育に専念するためには、施設の維持管理ですとか、補助金請求を含めた園運営に必要な事務的な仕事に携わる職員の存在が不可欠であると考えております。そうしたことから、区は、これらの職員の人件費を含めて五〇%以上とすることはさきに御答弁したとおりでございます。

一方で、今回の結果で、区における人件費比率で、事業者によって九三%から五二%と開きが大きいこともわかりました。先ほど御答弁いたしました処遇改善の状況の確認、検証に当たりましては、人件費比率の分析をさらに進めまして、職員の経験年数ですとか年齢、給与水準に至るまで目を向けて検証を行って、その結果を踏まえまして、必要な改善、見直しを検討してまいりたいと考えております。

以上です。

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