江口区議が決算特別委員会にて質問を行いました。

2016年10月05日 江口じゅん子区議

保育の質について

江口じゅん子

おはようございます。日本共産党の質問を始めさせていただきます。
まず、保育について質問を行います。
当区にとって待機児対策は区政の最重要課題です。この間、区は待機児解消を目指して、保育の質を大切に、認可を中心とした保育園整備に取り組んでいることを、我が党は高く評価をしております。しかしながら、ことしの保育待機児は一千百九十八人となりました。当然保護者の方からは早くつくってほしいという切実な声が、議会にも区にも届いております。
しかし、だからといって、国が打ち出しているような保育の質を落として規制緩和を行う待機児対策の方向性は認められないということも、我が党は繰り返し申し上げてまいりました。なぜかというと、保育の質を落とすということは、子どもたちの命と健やかな成長に直結することだからです。
保育園での死亡事故は繰り返されております。ことしに入ってからも都内だけで、中央区で一歳二カ月の男の子、そして大田区で六カ月の女の子、つい最近も板橋区で一歳の男の子が亡くなっております。厚労省調べでは、平成十六年から二十六年の十年間での死亡事故は百六十件起きており、実に認可外での死亡事故が約七割を占めております。こうした中、多くの保護者が保育の質を守るという世田谷区の姿勢を評価しております。
では、ここで伺いますが、具体的に質の確保のため、区は今現在どういった取り組みをしているのでしょうか、お伺いします。

田中 保育課長

保育の質をどのように担保していくかということで、保育定員の拡大を進める一方で、保育の質を確保していくことは非常に重要であるというふうに認識しております。
これまで区は、保育士や看護師の巡回による相談支援や、各種研修の実施、地域ごとの保育ネットの取り組みなどで保育の質を維持向上させてきました。保育の質の根幹である保育士の処遇を改善することも重要な要素の一つであり、国の公定価格に区独自で加算することによる保育士平均年収の底上げをしております。昨年度からは保育士の家賃負担を軽減するための宿舎借り上げ支援事業を開始し、今月からは常勤の保育士や看護師を対象として月額一万円を支給する、新たな事業を実施いたします。
また、多様な保育運営事業者が平成二十七年度より保育園を開設することに備え、平成二十六年度から新たに保育園など開設する事業者に対しては開設前支援研修を実施し、開設前から質の確保に向けた取り組みができるよう支援をしております。平成二十七年三月には保育の質の基盤を支える世田谷区保育の質ガイドラインを策定しました。現在、このガイドラインを活用し、各保育施設で日々の保育を見詰め直しながら、保育の質を高めるために有効に活用していただいています。
今後も巡回による相談支援などの各種取り組みを行いながら、ガイドラインに掲げている質の高い保育を提供し続けるために量的拡大と質的充実をともに実現し、安心して子育てができる環境整備を全力で進めてまいります。

江口じゅん子

私も今、子どもが保育園に通っておりまして、その保護者の方ですとか、それから、児童館で今保活中ですというお母さんとも話し合うことがあるんですけれども、やはりみんな、世田谷区は保育を頑張っているよね、質を守っているのはすごいよねという声をよく聞きます。また、質問するに当たって、株式会社を含め事業者さんの方にお話を伺いに行きましたけれども、やはりそこでも世田谷区の保育の質にこだわっていることの評価の声が聞かれております。
しかし、現役の保護者とか保育関係者の中では評価は高いですけれども、実際入れない、待機児になっている親御さんというのはどう考えていらっしゃるんだろうかと。そうはいっても、質を落としてでも自分の子どもを入れてほしいとか、そういうふうに考えられるのかなというふうに私は疑問がありまして、この間、会派で待機児童の実態把握アンケート、今、世田谷区は行っていますけれども、それの情報開示も行って、その実態を調査してまいりました。
ここでまずお伺いするんですが、世田谷区が待機児となった保護者の方を対象に行っているアンケートですけれども、これはいつ、どういうふうに行って、また回答数についても伺います。

田中 保育課長

保育待機児童実態把握アンケートにつきましては、平成二十八年四月の利用調整で保育所等に入園いただけなかった世帯に対して、平成二十八年四月七日に送付をいたしました。送付世帯数は合計二千五百四十世帯、そのうち回答いただいた世帯数は千二百八十五世帯で、回答率は五〇・六%となっております。

江口じゅん子

区が行うアンケート調査の中でも大変高い回答率ということで、それだけ切実だと思うんですよね。それで、先ほど申し上げましたように、私どもはこのアンケートの行政開示請求を行いまして、今、約千三百の回答数の中からその一部、約百六十通が情報公開されまして、私、これを実際に全部目を通しました。待機児の親御さんのリアルな声が書かれていて、自由記載欄には、例えば認証の保育料が高いとか、認可との差を感じるですとか、先方への不満などなど、本当にびっしり書かれているんですね。
 しかし、私がこれを読んで大変驚いたというのは、待機児の保護者の意見で大変多いのが、保育園の数をつくるのはもちろん重要だが、だからといって保育の質を落とさないでほしい。保育の質を保つために、保育士さんの給料を上げてほしいという意見が本当に多かったんですね。
幾つかその自由記載欄を紹介します。
待機児童が多い世田谷区では、単純に保育園をふやせばよいという問題ではなく、それと並行して、保育の質、保育士への待遇の向上をしていかないと根本的な改善につながらないと思っています。
四月より認証に預けることになりましたが、担任が新卒の方で、預けることにとても不安感でいっぱいです。園に相談するも、基準は満たしている、今は保育士不足といった答えでした。認可するに当たっては、しっかりとした基準を設け、保育の質を担保する必要があると思います。園が足りていないのはぜひ解消していただきたいです。しかし、ふやすことも大切ですが、質を高めることも重視していただきたい。
保育園の数をふやしていただくのはありがたいが、質を落としてほしくない。保育園の増設、受け入れ枠の拡大ばかり取り上げられていますが、保育の質についてやや心配です。数を達成しても安心して預けられる園なのでしょうか。
保育園に預けることが今の現状では非現実的なように感じます。より身近に感じられるようにしていただきたいですが、保育の質を落とさないように気をつけてもらいたいです。保育所の数をふやしていくことも重要ですが、安心して預けられるよう、保育の質を高めていただきたいです。
保育士さんの待遇向上を願っています。未来の人材育成のため、最優先の福祉事業として、よろしくお願いしますなどなど、まだまだ、これはたくさんあるので、本当にその一部なんですけれども、今紹介しただけで、世田谷区はぜひ無理な規制緩和ではなくて、安心して子どもを預けられる保育の質、ぜひ大切にしてほしい、保育士さんの処遇改善をしっかり行ってほしい、そういった意見でもう本当にあふれていました。
今御紹介した声は、何度も言うんですけれども、現在待機児となっている親御さんの声なんですよね。ここのアンケートの中には、子どもが待機児になって、だから、育休をさらに延長している。保育料は高いが、やむなく認証に預けている。自由業で職場に子どもを連れていくなどして仕事を続けている。また、仕事をやめたと、それぞれがそうした大変な状況になっているということも書かれております。そうした中でも、子どものために保育の質だけは守ってほしい、これが本当に親の願いだと思います。
私はアンケートを読んで、世田谷区の保育の質を守る姿勢が親の願いに本当に即したものであるし、現在、園に子どもを預けている保護者だけではなくて、待機時の親だって評価しているということを実感しました。
ここで伺いたいんですが、副区長もこの待機児アンケートを読まれていると思います。ぜひ副区長に受けとめ、御感想をお伺いしたいんですが、お願いいたします。

宮崎 副区長

私も保育待機児のこの実態把握アンケートを読ませていただきました。私のほうの受けとめ方も、今御紹介をいただきましたけれども、認証の保育料が高いということを多くの方が書かれていたことや、やはり保育の質に対しては、さまざまな角度の御意見ではありましたけれども、一貫して量の問題と質の問題を並行してやってほしいというような受けとめ方をさせていただきました。
先般になりますけれども、厚生労働省のほうで特に待機児が多い自治体の首長会議というのがございまして、そこにちょっと参加をさせていただきましたけれども、やはり多い自治体におきましても首長からの発言は、一つが働き方改革についての注文と、もう一つが保育の量ということは余り声が上がらずに、逆に質の部分について、厚労省はどのように考えているんだということに対しての結構迫った御意見がありました。
私たちも早くから保育の質ガイドラインをつくって、この質の確保について十分留意してきたところでありますが、特に昨今で言いますと、認可外に対しての目配りをやるべきじゃないか、これは世田谷区からも主張していることでございますけれども、そこについてもしっかり受けとめるということで、厚労大臣のほうも発言されていたんですけれども、その辺のところを含めてトータルで、やっぱり保育の底上げをしていかなきゃいけないというような認識に立っているところです。

江口じゅん子

区民は世田谷区を評価しています。ぜひこの保育の質を大切にということをしっかりよろしくお願いいたします。

提案型保育整備について

江口じゅん子

さて、保育の質を大切にした区の姿勢、今申し上げたように高く評価しているんですが、現実問題として、地域で保育園整備をする際、私ども議員は地域の方や保育関係者からさまざまな声をいただきますが、それが最近多くなっているなということも感じております。
その一つが提案型保育整備に関してです。この問題は、ことし三月の予算特別委員会でも私質問をしました。現在、区内各地で、来年四月、二千二百人分の保育園開設を目指し、工事や説明会が行われております。
私は今、ある地域の保育園建設をめぐって、地域の方から御相談を受けております。地域の方からは、説明会で当初ここは屋上庭園をつくるという計画だったんですが、近隣からの要望を受けた形でなくなったと。それでも問題ないと事業者は言うんですが、子どものことを考えるとどうなのかと思う。これが認可保育園かと疑問を感じているということでした。
ということで、この住民の方のお話は続くんですが、狭い道路に面した狭い土地に子どもを詰め込んで、そもそも無理がある計画だと。災害時など本当に大丈夫か。説明会で意見を言っても、事業者はとにかく建設ありきという感じだったと。提案型なので、区が来ないまま説明会は終わってしまったが、住民としては区に説明会に来てほしかったなどなど意見が寄せられて、住民の皆さんの中に不満がくすぶっている状況です。
提案型は、ここにいる議員は御存じですが、第一義的に事業者が住民説明など対応に当たります。しかし、中には施設建設を急ぐ土地のオーナーや事業者もいると見られ、説明会での近隣住民の声を受けて計画変更などを行ううち、肝心の保育の質はどうなったのか、そういった懸念をする声も届いております。
だからといって、待機児童がこれほど多いので、待たれている保護者の方はたくさんいらっしゃるわけですから、スピード感というのは大切なんですが、だからこそ拙速ではなく、保育の質の低下にならないよう区が責任を持って、ここの部分は理解をしてください、また、引けないところは引かないというところをしっかりと言わなければならないと思います。事業者とともに近隣住民の方々に理解を求めていく努力は必要だと思います。
何を一番大切にしなければいけないのかは、それはもう先ほどのアンケート結果からも保育の質であると考えます。提案型の整備であっても、区は積極的に関与して、保育の質を確保すべきと考えますが、区の見解を伺います。

菅井 保育計画・整備支援担当課長

区では、保育施設整備に向けた民有地の掘り起こしや、民有地の所有者と保育運営事業者のマッチングを進めることで、保育運営事業者みずからが民有地を確保し、保育施設を整備する手法である提案型整備の件数をふやしてきました。
現在、来年四月までに開設する認可保育園の整備計画二十三件のうち、提案型整備は約六割を占める十四件となっております。保育待機児童解消に向けた保育施設整備の手法の中核となっておりまして、今後もますますふえていくことを想定しております。
提案型整備の場合は、お話しのありましたとおり、整備の手法の性質からも、近隣にお住まいの方々への説明等を初め、一義的には整備運営事業者の責任において整備に取り組んでいただくことを原則としており、区は進捗管理も含め、保育運営事業者が円滑に保育施設の整備が進められるよう、町会・自治会等地域への協力依頼や庁舎各部署との連携等の支援を行ってまいりました。 提案型整備につきましても、近隣住民の方々から区に対しまして、保育園が整備されることの不安や懸念などの御意見等を直接いただくケースがふえているのも現状でございます。
一方で、保育園に子どもを預ける保護者の方々からは、整備数を拡大していく中でも保育の質を確保していくべきとの御意見もいただいております。民有地を活用した保育施設の整備におきましては、規模や接道の状況など限られた条件のもとで整備を進める必要がありますが、その中でも最大限保育の質を確保するため、必要に応じまして区も事業者とともに丁寧に住民説明を実施するなど、積極的に関与するよう努めてまいります。

江口じゅん子

ぜひ丁寧な対応をしてもらって保育の質を落とさないように、よろしくお願いしたいと思います。

精神障害者の方の支援について

江口じゅん子

次に、ちょっと順番を変えまして、精神障害者の方の支援について伺います。
七月、福祉保健委員会で、世田谷区精神障害者家族会三団体から請願された「精神障害者への『心身障害者福祉手当』の支給に関する請願」が、委員会の全会一致で趣旨採択をされました。請願の趣旨には、世田谷区で安心して生活できる所得保障として、身体や知的障害の方々に支給されている手当を精神障害者にも、同様に支給してくださるよう請願するとあります。
委員会では家族会の方が趣旨説明をされました。精神の場合、精神科特性の症状の上、薬が多剤処方になることが多く、継続して働くことは困難であり、しかも障害基礎年金もいただけない方が多く、親の老齢年金から小遣いをもらうという、親、本人にとっても、とてもつらい状況と本当に切実な訴えが行われました。
私も以前は精神科看護師の仕事をしておりました。経済的な困窮というのは、その家族関係の悪化ですとか、それから本人の病状にとってもやはりよくない影響をもたらすということを現場で見ておりました。この精神障害者への心身障害者福祉手当ですが、他区では、品川、杉並、大田、足立が既に手当支給を実施しております。今年度は大田区が実施に踏み出しております。ぜひ世田谷区でも精神障害者の方にこの福祉手当支給をしていただきたい、要望いたします。区の見解をお願いいたします。

片桐 障害施策推進課長

区の心身障害者福祉手当につきましては、身体・知的障害者、難病をお持ちの方を対象に、福祉の増進を図ることを目的に、昭和四十九年から支給を開始しているものでございます。
精神障害につきましては、もともと昭和二十五年に制定されました精神衛生法を根拠に医療として取り扱った経過があり、本手当の支給対象には入れておりませんでした。しかしながら、平成十八年の障害者自立支援法が施行されたことにより、身体・知的障害とともに精神障害も障害として位置づけられ、この間、区では就労支援やグループホームの整備など、精神障害者の福祉サービスの充実に取り組んできたところでございます。
先般、区議会で「精神障害者への『心身障害者福祉手当』の支給に関する請願」が趣旨採択されたことは、区としても重く受けとめております。実施に当たりましては、対象となる精神障害者の範囲や金額、支給要件などの具体案を、他自治体の例も参考にしながら現在検討を進めているところでございます。
今後、二十九年度予算編成の中で実施の枠組みを整理してまいりたいと考えております。

江口じゅん子

障害者の方、御家族の方、この実施を強く望んでおります。よろしくお願いいたします。
そして、先ほど申し上げた世田谷区精神障害者家族会三団体からは、議会に対し、以下の次のような要望も届けられております。梅ヶ丘拠点整備を利用した二十四時間三百六十五日の専門職による相談支援体制の整備、あんしんすこやかセンターの相談窓口の方に、より精神の病の御理解と現状を学んでいただきたい。そして、家族間の暴力を回避するため、家族用のシェルター設置の予算計上を求めますということで、この問題は他会派も取り上げておりますけれども、ぜひ私のほうからもその実現、よろしくお願いしたいと思います。

介護について

江口じゅん子

そして、最後になりますけれども、介護についてお伺いいたします。
介護職の処遇改善について具体的に伺ってまいります。
介護業界が深刻な人手不足にあることは、もう皆様、周知の事実だと思います。それを背景とした介護虐待、つい先日も三重県の特養ホームで、職員が八十代の入所者を平手打ちしたり、早く死ねばよいと暴言を吐いたというニュースが報道されましたけれども、こういった虐待だけなく、介護殺人、介護難民などの深刻な状況が連日報道されております。
公益財団法人介護労働安定センターは毎年、全国の介護保険サービス事業者、そしてそこで働く労働者を対象に介護労働実態調査を行っております。最新の平成二十七年の調査を見ました。この調査ではまず、事業所の方に従業員は足りていますかと質問をしております。回答は、従業員が不足している、これが六一・三%、圧倒的です。不足している理由については、採用が困難であるが七〇・八%、その原因は、賃金が低いためが五七・四%、仕事がきついが四八・三%となっております。
さらに介護サービスを運営する上での問題点も事業者に聞いておりまして、回答は、今の介護報酬では人材の確保、定着のために十分な賃金を払えないが五三・八%、良質な人材の確保は難しいが五三・六%となっております。
私はこれを読んで、改めて介護現場は大変な状況だと感じました。深刻な介護職不足にさらに追い打ちをかけたのが、アンケートでも触れられていました、昨年行われた介護報酬の二・二七%引き下げです。これは処遇改善加算を含んでのマイナス二・二七%ですから、本当に深刻な状況をもたらしていると思います。
この間、我が党は繰り返し介護職の処遇改善を求めてまいりました。代表質問でも伺いましたが、改めて区としてこの問題に取り組む必要性について伺います。

柳澤 高齢福祉課長

平成二十七年度の介護報酬改定では、全体の報酬額が二・二七%引き下げられましたが、介護職員処遇改善加算を上乗せするとともに、地域区分とその額の見直しが行われております。
国の平成二十七年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、介護職員処遇改善加算は約九割の事業所が取得しており、介護職員の平均給与月額は、二十六年度と比べ、処遇改善加算Ⅰでは一万三千百七十円の増額となっております。 介護保険制度の持続可能性を担保するためには、介護の現場での労働環境の改善と処遇改善によって人材を確保し、介護の質を保つことが必要となります。国はさらに平成二十九年度から新たなキャリアアップの仕組みを構築し、介護保険制度のもと、月額平均一万円相当の処遇改善を行うとしています。
区は、こうした国の方向を踏まえ、都の人材確保支援事業も活用するとともに、介護初任者研修費助成や福祉人材育成・研修センターの事業などを充実させ、従事者の質の向上と処遇改善に取り組んでまいります。

江口じゅん子

従事者の質の向上と処遇改善に取り組んでまいりますということで、大変重要と考えます。今、地域からは、区が二〇二五年度までに特養ホームを一千人分つくると言っているのはありがたいが、介護職は本当に確保できるのか、質は大丈夫なのかという声をたくさん伺います。そして、先ほど申し上げた調査でも、本当に現場は人手を確保するのに大変だと、そういう状況ですよね。特養ができても介護職が不足し、ユニットが開けないという事態や、また、人手不足を背景とした虐待など、そういったことはもちろんあってはならないことです。
先ほどの介護労働安定センターの実態調査なんですが、これは介護職の方にも直接意識などを伺っております。その中でまず、仕事を選んだ理由は何ですかという設問があります。働きがいのある仕事だと思ったからが五二・二%、過半数を占めております。しかし、労働条件などの不満は何ですかと聞くと、人手が足りないが五〇・九%、仕事内容の割に賃金が低いが四二・三%、有給休暇がとりにくいが三四・六%と、今、そういった実態にあるということです。志があっても、人手不足、賃金が安いなどを理由に、介護職員が離職してしまう、仕事へのやりがいをなくしてしまう、そうした状況にあると思います。こうした状況では安定した質の高い介護の提供というのは本当に困難なことと考えます。
世田谷区の介護の質をどう確保していくか、そこが本当に重要だと思うんですね。そのために、区としての処遇改善、人材育成を今後どういうふうに構築していくかというのは大きな課題だと思いますが、ここで部長にお伺いしますけれども、そこについて、ぜひ御見解をお伺いします。

瓜生 高齢福祉部長

医療的ケアや認知症高齢者、単身や高齢者のみ世帯の増加に伴いまして、今後、介護ニーズが高度化、多様化する中、誰もが住みなれた地域で住み続けられる地域包括ケアシステムの構築のため、最も重要な基盤である介護人材を質、量ともに安定的に確保するための方策をつくることは喫緊の課題と認識しております。
国におきましても、介護人材の安定的確保と資質向上、処遇改善に向けまして、介護初任者研修、介護福祉士、認定介護福祉士というキャリアパスの仕組みを示すとともに、介護人材確保策の検討を進めております。  介護職員のキャリアパスには資格取得が必要となりますので、区では、初任者研修費助成や、資格取得に向けまして職員研修の経費助成、また、受験対策講座などを実施してございます。
こうした取り組みをさらに充実させることによりまして、介護サービスの質の向上と介護職員の処遇改善が図られるよう総合的に取り組む必要があると認識しております。

江口じゅん子

今の部長やその前の課長の答弁でも、国の取り組みで職員処遇改善加算とか、そういったことを国も鋭意取り組んでいる、そういった御回答でした。

介護職の処遇改善加算について

江口じゅん子

私、介護職員処遇改善加算ってどういったものかというのをよくニュースでは聞くんですね。介護職員一人当たり平均月一万二千円の賃上げとか、来年度はさらに一万円賃上げを行うとか示されていますけれども、そもそもそれはどういったものか、ちょっと調べてみました。
この介護職員処遇改善加算はⅠからⅣの四段階に分けられます。最高はⅣなんですね。事業者は加算取得のため、条件、要件を満たすことが求められます。この条件、要件というんですけれども、これは大きく二つあって、一つはキャリアパス要件、これは賃金体系の整備や、職員の資質向上計画をつくって研修を実施するなどの職場環境などの整備を行うこととあります。そして二つ目は、育休整備など労働環境改善などの職場環境要件というものになっております。この二つの加算要件をどれだけ満たしたかで、事業所には介護職員一人当たり最高月二万七千円から一万二千円相当の加算報酬が入ってきます。ただ、これを一律に分配するのではなくて、どういうふうに分配するかというのは事業所に任せられていますし、また、事業所はそもそも加算以上の給料アップをしなくてはならない、こういうふうになっております。そうはいっても、加算を満たせばお金は入ってくるので、これは事業者にとってはありがたい、そうとも思います。
しかし、これにはさまざま課題もあるんですね。三菱総研がことし三月に報告した介護職員の処遇改善に係る実態把握に関する調査研究事業というのがありまして、ここにその報告書があって、すごく厚いんですけれども読みました。この報告書では、この加算の制度のデメリットとして大きく三つを挙げております。
一つ目は、加算は介護職に限定していることです。介護施設では看護師やケアマネジャーなど他職種も働いているんですが、そこには加算がないため、現場では不公平感が生じると。そのために加算をとらない施設もあります、そのように書かれています。
デメリットの二つ目、加算のための事務量が煩雑で多過ぎること。そのため、小規模事業所では対応できないという問題があります。
そしてデメリットの三つ目、介護報酬に加算が組み込まれているため、加算をとると、利用者の保険料が上がってしまう。いろいろあるんですが、大きくいってそういった三つの問題があると、この報告書には書かれております。
 厚労省によると、加算は介護施設全体の八八・五%で取得をされています。しかし、介護職が多い介護療養型医療施設や小規模事業所では加算取得が伸びないという現状があって、今年度、理由を詳細に調査するということです。
 国は平成三十年の第七期介護保険計画においてもこれを継続すると見られておりますが、現状の制度のままでは、全ての事業所、特に小規模の事業所では加算取得が難しいということは明らかだと思います。
 ここで伺いますが、区として国の処遇改善加算の課題について認識をお伺いします。

内田 介護保険課長

処遇改善加算につきましては、平成二十七年度の介護報酬改定において、事業主が介護職員の資質向上や雇用管理の改善をより一層推進し、介護職員が積極的に資質向上やキャリア形成を行うことができる労働環境の整備等を目的に、加算の拡充が図られました。  平成二十七年度の国の調査によれば約九割の事業所が加算の届け出を行っており、定期昇給の実施や手当の引き上げにつながっていますが、委員御指摘のとおり、加算の届け出をしない理由として、事務作業の煩雑など主に三点が挙げられていることを認識しております。
 区では加算の制度等について、介護報酬改定時に事業者向けの説明会を実施し周知を図ったほか、疑問や質問には丁寧に対応し、質疑応答集をホームページに掲載するなど、今後とも必要な情報提供など、事業者の支援に努めてまいります。  また、国では介護従事者処遇状況等調査において、処遇改善加算の届け出を行わない理由について、さらに具体的な事情を調査することになっておりますので、引き続き国の調査結果の把握に努めてまいります。

江口じゅん子

加算というのは、あくまでも一時的な国の仕組みですよね。また利用者負担がふえるということは本当に大きな課題だと思います。ぜひ区としては国に介護職の処遇改善、介護報酬に組み込まないで、国庫による手当てを行うべきと、さまざまな機会で要望していただきたいと思います。
そして今、国の加算ですとか制度についてやりとりさせていただきましたけれども、そういったこともありながら、区として実際、世田谷区でどのような処遇改善策に取り組むかというのが大きな課題だと思います。

副祉専門学校からの要望書について

江口じゅん子

区内で唯一の介護福祉学科を持つ世田谷福祉専門学校から区議会の全会派に要望書が届けられております。要望書には、介護職員不足の危機的状況に立ち向かうには、中長期的な視野に立った、すぐれた人材の育成が不可欠というふうに書かれておりました。
私、実際に専門学校に伺って、校長先生にお会いしてお話をいろいろ聞いてまいりました。以前も触れましたけれども、ここの専門学校、定員が四十名のところ、二十六名の生徒数で、ここ数年、毎年定員割れが続いていると。それは全国的に見ても、介護職の専門学校は同じ傾向ということです。
実際に地元では希望丘ホームなど特養ホームが建設予定であって、そこに自分たちの養成校の生徒とか地元の若者が就職できる、そういった仕組みが必要ではないかと、いろいろお話を聞きました。
校長先生からは、介護職就職や進学のため、今、いろんな各種補助金などあるけれども、区としてもっと広報を強化してほしいということですとか、それから奨学金の取り組みなども進めていただきたい、そういった貴重な現場からの御意見をいただいてまいりました。これは他会派も要望しておりますけれども、私どもとしても、区として人材育成確保の観点から、初任者研修費助成金の拡充と、そして実務者研修助成金の実施は必要だと思います。区の認識をお伺いします。

柳澤 高齢福祉課長

区は、介護の基礎的な知識、技術を習得し、介護に従事するための入門的な資格として、介護職員初任者研修受講料助成を行っており、今までに約八百六十人の方を養成してまいりました。
介護職員のキャリアパスとして、国家資格である介護福祉士の実務経験ルートによる受験資格について、平成二十九年一月の介護福祉士国家試験から、従来の実務経験に加え、新たに介護職員実務者研修の修了が義務づけられました。こうした制度改正を踏まえ、区としても介護のキャリアパス構築に向けた支援が必要と考えております。
国や都の介護職のキャリアアップ支援事業を活用するとともに、区としても初任者研修受講料助成の充実や新たな支援策を検討し、介護職員の確保と定着支援に取り組んでまいります。

江口じゅん子

今行われている初任者研修、増額ということが必要だと思いますし、それから、介護職員実務者研修の研修費助成というのも、ぜひ前向きに検討していただきたいんですね。
介護福祉士になるために国の制度がいろいろ変わりまして、介護職員実務者研修というのが終わらないと介護福祉士の国家試験の資格が得られないということで、本当に質を高めるためには重要な資格だと思うんですね。ぜひ前向きに御検討していただきたいと思います。

世田谷区独自の処遇改善策について

江口じゅん子

そして、やはり世田谷区の実態を踏まえた、区としての処遇改善策を構築することが必要だと思います。平成二十五年度の区の介護保険実態調査報告書を読みました。その中では、区内事業者の六三・三%が従業員が十人未満の小規模事業所というふうになっております。本当に世田谷区の介護を支えているのは、そうした小さいところも大きな力を発揮しているということがわかります。
さらに、ことしからは、区が事業者の指定、監督を行う地域密着型サービスに定員十八名以下の小規模デイが約百五十カ所も加わっている、本当にそういう状況です。こうした小規模事業所では、先ほど申し上げた国の処遇改善加算がとれているのでしょうか。私、地域のお泊まりデイも実施している、区内フランチャイズチェーンのある小規模デイの施設長さんにお話を伺ってきました。処遇改善加算はとっていますかと言ったら、とっておりませんと。なぜですかと言うと、自分は雇われの施設長だから、オーナーじゃないのでわかりませんと。オーナーの方はどういったお仕事をして、いつ来ますかと聞くと、オーナーはほかの事業をしていて、余りこちらには来ない、そういったことでした。
今お泊まりデイを実施している、ここは小規模デイということなんですけれども、区内にはそういったお泊まりデイというのが幾つかあって、その質ということも本当に問題になっていると思います。
加算がとれないこうした小規模な事業所は、とれているところと比べて、当然賃金、労働条件が悪くなっております。そういうところに介護職を集めるということもなかなか困難ですし、そして、そこの介護の質というところも本当に大きく懸念をされると思います。
国の処遇改善加算、使えるところは大いに使っていただいて、それを推奨していただくということは本当に大切だと思います。しかし、世田谷区としては、国の制度ではカバーができない、こうした小規模な事業所の実態をまず把握することが必要だと思います。そしてその上で、世田谷区として独自の処遇改善策の構築が必要だと思います。ここはぜひ部長に認識をお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。

瓜生 高齢福祉部長

区では今年度、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定の基礎資料とするため、区民八千八百人のほか、区内約千百カ所の介護保険事業所を対象といたしまして、高齢者ニーズ調査・介護保険実態調査を実施いたします。事業所調査では、サービス種別や運営形態、従業員数、資格者の数や離職率、加算の状況、運営上の課題などについてお伺いいたしまして、調査結果につきましては、事業所の規模に応じた分析も実施をさせていただきます。
今後の超高齢社会に向けまして介護保険制度の持続可能性を担保いたしまして、利用者が質の高いサービスを利用して安心して世田谷に住み続けられるよう、また、介護職員がみずからの将来に希望を持って働き続けられる労働環境や、処遇改善加算等を活用しました処遇改善を図るとともに、介護職の専門性高め、マイナスイメージを払拭する必要があると考えております。
実態調査の結果や国や都の検討状況等を踏まえまして、専門学校等の意見も踏まえまして、区として介護人材の確保策について総合的な検討を進めてまいりたいと考えております。

江口じゅん子

区として処遇改善策を構築するというのは本当に大変なことだと思っております。しかし、地域の方、二〇二五年、特養ホーム一千人分ですとか、本当に身近で安心した介護ができることを期待しております。ぜひよろしくお願いいたします。
以上で終わります。

 

 

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